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2013/12/06

地球の舳先から vol.299
気仙沼(2013)編 vol.3(全5回)

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日曜日に参加した気仙沼の気楽会観光案内課。
写真は、スタート地点である気仙沼市民会館の駐車場で道路を横断するカマキリ。
有志でごく丁寧に気仙沼を案内してくれるのだが、あまりの変わりっぷりに驚いた。

まずはまちの様子から。

一番びっくりしたのは、フェリーターミナルの建物が撤去され更地になっていたこと。
ここは甚大な被害のあった湾に面した場所で、1年たってもコンクリートの桟橋が
海に突っ込んだままだった。
これが以前のエースポート。
建物がえぐられ、2階の上あたりにここまで津波が来たという看板が貼ってあった。

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その跡地。いや、跡地というよりは再開発とよぶべきか。
大島へ向かうフェリーは健在なので、暫定的にプレハブ小屋の切符売り場があり
更地はバスと車の広大な駐車場になっていた。
人の行き来が活気を感じさせる。ここが観光バスでいっぱいになればいい。

こちらは、すぐ近くにある、かの有名な男山のかつての姿。
三階建てだったが底部全壊で1・2階がつぶれ、このように。
シンボリックな屋根が残ったのが、むしろ奇跡だったのかもしれない。

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こちらが現在の姿。寄付金での復旧プロジェクトが開始したとおしらせが貼ってある。
ナナメ感も補正されてよかった。明るい陽の光がまぶしい。

津波と火災で甚大な被害を被った鹿折地区。
震災半年後の当時はまだ手付かずの建物も多く、
地盤沈下によりかさ上げされた舗装道路との高低差が激しかったが

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現在は土地もならされ、もともとなにもなかったかのような外見になりつつある。
穏やかな山並みからは、2年前のこの地がすでに想像しにくくなっている。
車の往来も多く、ママチャリ族はそのたびに砂利側によける。

そして誰もしもが一度は見たことのあるであろうこの巨大船。
クレーン車でも到底動かすことができないこんな船が、津波で陸地ど真ん中に流れ着いたのだ。

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賛否両論の議論を経て撤去が決まったこの船は解体されることになり、
私が訪れたときにはすでに囲われていた。日曜だったので隙間から撮ったショット。
このコラムを公開するころには、解体作業も終わっていることだろう。

南気仙沼地区。
ここも車輌道路の舗装は進んでいたが、地盤沈下でところどころに海水が浮き出し
撤去されないがれきが点在していた。
以前来たときは雪がぱらついて、その寂しげな光景に心を搾られるような気持ちになった。
こわれた家よりも、築年数の浅い頑丈な家がぽつんと残っている風景のほうが戦慄的だった。

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あらかたが片付けられ、かさ上げもずいぶん進んだようだ。
でも、震災のすぐあとに、国や自治体が動いた暁にはやり直しになるのをわかっていながら
決定が遅すぎるとか、商売が始まらないとか、あるいはもっと別のさまざまな思いで、
自費でかさ上げをはじめた人たちがいる。
そういうひとたちが、第一歩をはじめたのだ。

気仙沼魚市。
まだ手に届くのではないかというほどのところに、がれきが漂流していた。
それでもあらゆる地からの船は、気仙沼にやってきた。
魚屋は、「今年はみんな、気仙沼大変だったねって寄ってくれる。2年目が勝負」といっていた。

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今回、日曜日でお休みだったこともありふたたび入った魚市。
水揚げはないのに大型船が到着したのでびっくりしたが、穏やかな気仙沼の湾には、
悪天候の一時避難所として停泊する船も多いのだという。
となりの魚屋が、「いつもありがとー!!!!」と、船に向かって絶叫した。
泣きそうになった。

あたらしい兆しも、たくさん見かけた。

プラザホテルから見下ろした気仙沼魚市近辺。
前は、平地と海と船しかあった記憶がないのに、建物がたくさん建ち始めている。
魚市は、市場があるだけでは成立しない。加工場や函屋さんなどがなければ、
水揚げをしたって出荷ができない。新しい大きな建物は、見ているだけでワクワクした。

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見下ろす反対側も、きれいに片付けられ、「あの商店街がこんなに近かったのか!」
とびっくりしたりする。
中央の黒いテントのような形の建物は、渡辺謙さんがプロデュースし、伊東豊雄さんが設計した気仙沼の新しい名物(になるかもしれない)。
おいしいピザでみんなで飲んだり、映画上映やイベントなどを行う、皆が集うカフェになるそうだ。

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いったいこの地に何ができていくのだろう。
気仙沼といえば魚とフカヒレ、だったけれども、これからもっといっぱい「気仙沼といえば●●」
ができていくのだろうと思う。

さて、次回は気仙沼で会った人たちをおとどけします。

つづく

=おまけ=

以前、桟橋からヒトデを発見してコーフンした。
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今回は、クラゲを発見してコーフンした。
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「そんなにおもしろいか?」って、沼人たちにあきれられた。

2013/12/06 08:00 | yuu | No Comments