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2013/07/14

7月13日、ブータンで総選挙が投開票された。
この記事を書いているすぐ脇で、ブータン唯一のテレビ局である
BBS(Bhutan Broadcasting Service)が開票速報を流している。

既にこのコラムで書いた通り、
今回の選挙戦は、ブータンの下院に相当する国民議会(National Assembly)の
全47議席をめぐる争いであり、与党のDPTと野党のPDPによる一騎打ちである。
前回、2008年の選挙では、DPTが45議席を獲得して圧勝した。

先に結果(あくまでも速報ベース)からお伝えしてしまうと、
今回、PDPが32議席を獲得し、政権交代がなされることが確実になった。
前回から30議席を増やす大躍進で、全議席数の2/3以上を確保した。
正直に言って、仮にPDPが勝利するとしても接戦になるだろう、
と予測していたため、ここまでの勝利をおさめるとは驚きであった。

さて、この結果が示す意味と、そこからもたらされる未来予測については、
またの機会に譲ることにしたい。
今回は速報版ということで、選挙当日の投票所の様子、
そして、首都ティンプーの市内の様子を、それぞれ写真を通してお届けしよう。

—–

●投票所にて


誇らしげに投票カードを掲げる有権者たち。
2度目の選挙を迎えた彼らにとって、投票ができるというのは、
まだまだそれだけで心躍る出来事であるようだ。


投票カードをチェックする選挙管理委員会の職員。
投票所は、日本と同様に、学校の教室があてられていた。


投票する有権者。
手元が隠され、どの候補者(政党)に投票したのかは、
誰にもわからないようになっている。


投票所で男女わかれて列をなす有権者たち。
近年、ブータンでも洋服を着る若者が増えてきているが、
この日はみな、民族衣装を身に纏っている。

—–

●静かな首都ティンプー


普段は車通り、人通りも多い首都の目抜き通り。
多くの市民が、地元での投票のために首都を離れていること、
ほぼ全ての店が休日であることから、静かな週末を迎えている。


市内を巡回する警察官。
幸い、大きなトラブルがあったという話は聞こえてきていない。


警察官が手旗信号で交通整理をする交差点。
(ちなみに、ブータンには機械式の信号機は一台も無い)
心なしか、警察官も今日は暇そうにしている。


建設現場で働くインド人たち。
建設業に従事するのは、多くはブータン人ではなくインド人。
彼らは選挙権を持たず、投票日も変わらず仕事をしていた。


メモリアル・チョルテン(仏塔)でお祈りをする人々。
仏塔の周りを時計回りにまわって祈りを捧げる。
若者もお年寄りも、投票日であっても変わらずに。


ティンプー市内には、野犬(中には飼われている犬もいる)が多い。
人が少なくなった街のなかは、彼らの天下になっていた。


ティンプー中心部にある時計塔広場で遊ぶ子どもたち。
選挙権を持たない彼らにとっては、いつもの休日と変わらない。

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最後に、個人的な雑感を少しだけ。
やや蛇足になることをあらかじめお詫びしたい。

投票所で、投票を終えた有権者へインタビューを行っていた際に、
「この国を良い方へ導いてくれるのであれば、どちらでもいい」
という声が何名かから聞かれた。

PDPのここまでの躍進をもたらしたものは何だったのか、
5月31日の予備選後の6週間で、何が心変わりをさせたのか、
これからじっくりと分析をしてみなければわからない。

ただ、そこには、「一度、任せてみてもいいのではないか」
という、やや消極的な選択も、あるいは含まれていたかもしれない。

そういう意味では、自民党から民主党へ鞍替えした日本人と、
どこか近しいものを感じずにはいられない。
願わくば、結果まで日本と同じにならぬように…

2013/07/14 12:00 | fujiwara | No Comments