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昨年3月末に行われた「じゃぐなぎ杯」の感想です。
「じゃぐなぎ杯」も今年で7年目となり、
お陰さまで、日本各地からエントリー者のいる、
ジャグリングの大会としてはそこそこ大きくなった大会ではないかと自負しています。
毎年、mi×iの日記で、
エントリーした方々の感想などを書いておりましたが、
今年はせっかくなので、こちらのJunk Stageの場をお借りして書きたいと思います。
少し記憶が薄れてしまった部分もあり、
出場者の皆様には「えっ」と思われてしまうこともあるかもしれません。
あくまで僕からの言葉は参考程度に捕えてもらい、
自分の貫きたいことがあるのであれば、是非ともそれを貫いてほしいと思います。
1:まぁちゃん
今回唯一の女性エントリー者でした。じゃぐなぎ杯でのソロの女性出場は初です。
【良かったところ】
1ルーチン目は比較的技のレベルを落とした演出寄りのパフォーマンス、
2ルーチン目は女性とは思えないえぐい技の数々。
このように、2つのルーチンに変化があったのが良いですね。
体の動かし方も綺麗で、特に1つ目のルーチンの完成度の高さはすばらしかったですね。
技術レベルの高さも、男性顔負けのパフォーマンスになっており、充分今回の他の出場者と渡り合える実力があったと思います。
【今後のためのアドバイス】
演出寄りのパフォーマンスには「大技」の存在、技術寄りのパフォーマンスには「構成」の巧さがさらにそれらのパフォーマンスを引き立てます。
スパイス程度で良いので、少し心がけてみると、ぐっと雰囲気が良くなると思います。
演出についても、まだ改善できると思います。一つ一つの動作について、こだわりぬけるよう、撮影したビデオを見て振り返るなどして、さらなる演出のキレをあげてください。
2:こーのCLUB
2人組クラブパッシングチーム、大学生のジャグリング大会においてチーム2位を獲得しています。
【良かったところ】
決めた技のレベルが高い。技術レベルの高い人は、「とにかく技を決めること」が大事です。
無論、失敗もあったにはありましたが、「成功させた」ことが重要だと思います。
また、ジャグリングをしている最中の姿勢も綺麗で、あまりふらついた様子がなかったのも好感度が高いです。
技術力があるだけに、大分伸び代を随分と感じます。工夫次第でもっといいものができそうだということです。
【今後のためのアドバイス】
まず、最初の技は確実に決めること。いわゆる「ツカミ」の技を成功させることは、お客さんと演者の間の壁を取り払う大事な儀式的なものでもあります。
難易度の高い技である必要はなく、それよりも確実に決められることを優先にしておくべきです。
やや「こーのCLUB独自の」技に欠けていたような気がしますので、こーのCLUBだからこそできる技というものを追及して欲しいところです。
演出面で言うと、いわゆる「普通のクラブパスチーム」となっているのがもったいないように思います。この演目は、ショーでトリとして出るために作られたものだと聞きますが、シチュエーションにおいて演出を変えることというのはできるので、競技会用としてのキャラクターを一つ工夫してみるとよいのではないでしょうか。
3:種村さん
東京のサークル、マラバリスタ所属、ボール・クラブ・ディアボロ三種でのエントリー。
【良かったところ】
ボール、クラブ、ディアボロと、3つの道具を使えるのは武器ですね。しかも、それぞれちゃんと高いレベルの技ができている。
どうしても日本人のジャグリングは一種目、良くて二種目(しかも、やるとしても両方トスジャグリング)ということが多いのですが、
トスに加えてディアボロも、となると一筋縄でいくものではないでしょう。
技の種類も豊富で、「多くの技を入れてきているな」という印象を受けました。
因みに、予選動画の話ですが、照明が上手く使われているなぁと思いました。
【アドバイス】
道具が複数あると、どうしても、1つずつの道具の印象が薄くなりがちです。
どういうことかというと、ジャグリングのルーチンというのは、1つの道具で演技をするとき、
一番最後の大技に向かって盛り上げていくような構成になるのですが、道具が変わることによって、この「盛り上げ」がリセットされてしまいがちなのです。
その点でいくと、今回3つの道具を使っていたにもかかわらず、使っていた曲は1曲だったので、流れとしては一つの線ができていたようにも思いますが、
全編通して、もう少し統一感があると、「3つの道具を使っている」という説得力が出るのではないでしょうか。
特に、怪しげな曲(FF6のケフカのテーマのアレンジですね)を使っていたので、怪しいキャラクターを作ることが出来たら面白かったかもしれません。(道具が3つあるとその余裕はあまりないかもですが)ジャグリングをせずに演出のみをしている時間を効率的に使うとそのテーマが繋がりやすいように思います。
4:ひろた
新鋭の3ボーラー。大学に入ってから3ボールの面白さに目覚めたそうです。
【良かったところ】
ただ単にジャグリングをやるだけではなく、演出面にも気をまわせていたのはいいですね。
大会の趣旨をわかった上で点数を稼げるパフォーマンスをしていたと言えます。
スタンスとしてはそのままでいてもらって、さらに技術面、演出面で腕をつければ将来的にジャグリングの大会で
上位入賞もできるようになりうるのではないかという期待の持てる演技だったと思います。堂々とした演技であることにも好感が持てました。
【アドバイス】
ステージ上での動き方や、拍手のもらい方に気を使えるようなパフォーマンスを覚えるのがよいと思います。
やはり、すごい技を見たらお客さんは拍手を送りたいですから、「拍手を受けるポイントを多く作っておく」。これとても重要です。
3ボーラーにしてはややカスケードに戻る回数が多かったような気もしますが、
カスケードに戻るくらいならジャグリングを止めてしまっても同じ、程度に考えてもいいと思います。(勿論、変化は必要ですが。)
また、あまり意味なくステージを左右に動いていたような気がします。
ステージを広く使うことについてはまったく問題ないのですが、移動には何かしらの意味がついていた方がいいと思います。特に、3ボーラーの場合、上手い人は流れの中で舞台の移動を行っています。それが、自然と取り入れられるようになるといいですね。
5:菜央 (第三位、同時受賞)
スティック系の大会、「ファンタスティック」での常連で、じゃぐなぎ杯には昨年より出場している、フラワースティッカー。
【良かったところ】
僕の審査表を見返してみると、「演出」点が高いですね。自分の世界に取り込める内容だったと思います。拍手の貰い方もとてもうまい。
ステージの使い方もうまい。広くステージを使えているだけではなく、左右への移動が実に自然だったように感じます。
ドロップも出場者の中では少なめだったのでは? 練習の跡がうかがえますね。
あとは、この演技に肉付けをしていき、さらに完成度を高めていけば、
どんなジャグリングのステージにも通用するレベルになるのではないかと思います。
【アドバイス】
この意見については賛否両論あると思うのですが、「きれいに流れすぎてしまっている」という思いがあります。
つまり、難易度の高い技をやっているのはわかるのですが、それをうまく伝え切れていないように思います。
時には、アクセントとなるような、流れから外れるような大技があると、盛り上がりにつながるのではないかと思います。
これは、演出重視のパフォーマーは特に意識してもらいたいところ。と、個人的には思います。
あと、最後の技はやはり決めてほしかったかな。一発で決まらなかったら、やはりもう一度くらいトライするのが良いのではないかと思います。
6:のりc (準優勝)
マラバリスタ所属、ガンガン系トスジャグラー。
【良かったところ】
今回の出場者の中で一番ハイレベルな技に挑戦していたのではないかと思います。
ただやるだけではなく、やっているときの姿勢もよかったように思います。「技で」一番盛り上がっていたのはのりcさんでしたね。
余計な演出を入れないで、真っ向から勝負するというジャグラーもいていいのではないかと僕は思っているので、
そのスタンスで今後もがんばってほしいと思っています。
「余計な演出をしないこと自体が演出」というやつでしょうか。これは、すごく技術力の高いジャグラーに許されたものです。
(大会としてはこの「余計な演出をしない」は不利なんですけれどね……)
【アドバイス】
大技中心の構成の場合、たとえ成功しなくても、大技が成功しかかっただけで観客から「おおっ!!!」と歓声が起こるのですが、
この状況は、僕の場合は得点(技術点)に加算しません。技術点の定義は、「高度な技を【成功させる】こと」とされているためです。
とにかく、大技は成功するところを見せてほしい。たとえ、何回かチャレンジすることになったとしても、やはり成功させて、
自分も観客も満足した状態で拍手をもらいたいですね。
「真っ向勝負」とは言っても、ステージ上の動きが雑になってはいけないです。5→3になるところなど、ジャグっているボールを
投げ捨てるなどの行為は、スマートなものとはあまりいえないのではないかと思います。
また、落としたときのドロップライン(落としたときのために移行するBプランや、リカバリーの技)を準備しておくのがよいでしょう。
7:ケントカイト(優勝)
KAMIWAZAにも出場した、中学生&小学生コンビの実力派クラブパサー。昨年JJFにてチーム部門優勝を果たしています。
【良かったところ】
JJFの記事で誉めたとおりです。
技術・体のきれいさ・完成度の高さ、どの面を見ても隙がありません。
この場で改めてまた誉めるところを探すことに意味がないような気もします。
【アドバイス】
今後、JJFなどに再挑戦するなどということがある場合、気をつけないといけないのは、
観客は実力があるジャグラーだということがわかっている場合、見る目が厳しくなる、ということです。
今回の場合、JJFで優勝したときと音楽が同じだったので、JJFの演技が頭の中にフラッシュバックした人は多かった筈です。
「新しいチャレンジ」をより一層ルーチンの中に入れ、「ケントカイト前見たときよりパワーアップしたな!!」という
観客に支持を貰えるような演技をすると、今後より一層ジャグラーの中で活躍していけるのではないでしょうか。
強いて言うとすると、二人のキャラクターをつけていくというのがよいかもしれません。なかなか難しい演出ではあるのですが。
8:わこう
ハット&ボールという組み合わせで登場、ベテランのジャグラーです。
【良かったところ】
珍しい組み合わせだけあって、見る技見る技が全てオリジナリティあふれる技でしたね。
ハット・ボールの組み合わせというのは、(珍しいとはいえ)古典的なものではあるのですが、真面目に追求すると
ここまで面白くなるんだぞというものを見せつけていたと思います。
「古典的」ですが、見ている側にとっては「斬新」だったのではないでしょうか?
【アドバイス】
アイディア系で勝負するならば、もう少し見ごたえのあるアイディアが盛り込まれているとよいと思います。(難しいんですけれどね。)
競技会で勝負する場合、客席は生粋のアイディア系ジャグラーがやまのごとくいる状態ですから、
そのジャグラーたちを大爆笑させるような新しい発想を盛り込めば盛り込むほどよいものになっていくと思います。
(辛いのは、初見一発勝負になってしまうということなんですが……)
あるいは、その筋ではベタなネタでも、逆に今やると新しく見える(つまり、ジャグ暦がそんなにない人たちは知らないネタをやる)
ということもあると思うので、客席に座るであろう人を分析しつつの演技作りをするのがよいのではないかと思います。
9:Ike(アイク)
コンタクトポイの使い手。リリース技が多かったのが印象的でした。千葉大ポッサムの部長です。
【良かったところ】
色々な道具で戦うジャグラーの中において、ポイで勝負というのはなかなか難しいことです。
客席がジャグラーであることを意識した上で、チャレンジングな技(手から離れる技)を入れていたのはいいですね。
また、舞台も広く使えていたと思います。
世界観への入り込み方も良かったのではないでしょうか。
【アドバイス】
ポイなどの道具を演技するにあたり、大切なのは変化であると思います。
「特にテーマなくポイを振り回す」箇所と、「技を行っている」箇所のメリハリは今以上につけなければ、
「ただポイを振り回しているだけ」という印象を与えかねません。
ポイの振り回すリズムも一本調子である箇所が多かったため、リズムに緩急をつけたり、
思い切ってゆるく回す部分を入れてみたりなど、6分間の中に、さまざまな変化をつけられるように意識してみてください。
10:球萌(たまも)
姫路のジャグリングコミュニティ、HIME JUGよりのエントリー。
複雑系3ボールと、その延長である4ボールという構成でした。
【良かったところ】
ベースとなっている技は「見たことのある」技ですが、それを発展させて自分の技として取り入れているところは良いですね。
しかも、1つ1つの技が高次元な難易度を持っており、それを成功させていたところがよいです。
パフォーマンス中の表情も、柔和な笑みで余裕を感じました。
この手の4ボールというのは珍しいのではないでしょうか?
【アドバイス】
いわゆる有名どころのジャグラーの技の発展系は、そう思われてしまうとやや不利な側面があり、
大きく発展させることが必要になってくると思います。
方向性としては僕は良いと思うので、さらにこれを発展させて追及してみてください。
別の人のアドバイスでもいいましたが、舞台を左右に動くときは、ただ移動するだけではなく、
それの移動を行う意味づけを行っておくとよいですね。
11:いづた
西のナンバーズシガー使いと言えばこの人。「がっしんがっしんのいづた」。
【良かったところ】
まずは、入れている技の難易度の高さ。
とにかく高いレベルの技ばかりで、とにかくストレートを打ち続ける、いさぎよい演技構成だったと思います。
これがノードロップで終わるんだとしたらえらいことになりますよ(笑)
「見たい技を見せてくれる」という構成については、競技会の中ではとても好感度が高いと思います。
従来のシガーボックスではありえない「高さ」もあるパフォーマンスというのも素晴らしいですね。
【アドバイス】
やはり、技は「決めること」。6分間の間にあまりにも多く大技を入れすぎてしまった感じがします。
ガンガン系は僕は大好きなのですが、それでももっと薄めてもよいくらいの内容だったのではないかと。
1つ1つの技が重いだけに、成功させればがっと盛り上がりますから、練習の対象をもう少し絞っても充分すごいのではないかと思います。
あとは、「大技」が似通ってしまっている部分があるので、ぱっと見で完全に違う種類の多技であることが伝えられるようにするのが良いと思います。
12番のエントリー者は棄権でした。
13:中野慧(第三位、同時受賞)
こちらも満を持しての登場、JJFの常連である中野さん。
ガンガン系ボールジャグラーです。
【良かったところ】
流石の貫禄を見せ付けてくれた、といったところでしょうか。
こちらもやはり技のレベルの高さというか。あまり数が少なくないところではボディー系のハードな技を、
数が多くなっても爆発力の高い大技をガンガンに決めていました。
やや、演出的には特に意識されていることがないようにも思いましたが、
あまり、誰も彼もがキャラクターをつけまくっても仕方ないと思いますし、
がんがん系のジャグラーは、逆にそういうキャラクターが邪魔になってしまうこともあると思いますしね。
【アドバイス】
やや、技をやっているときに足元がふらついていたように思います。
技を決めるときに極力足を動かさないことが、ジャグリングの綺麗さにつながるので、
大技を決めるときには仕方ないとして、極力演技中足を動かさないよう意識してみるとよいかと思います。
「演出」は必要ないのですが、「構成」は考えてほしいところです。
大技につなげるためには、どのような小技から大技につなげていくか、そして、フィニッシュ、という、
単発技一つ一つ分散して考えるのではなく、一連の流れでルーティーンを作ってもらいたいと思います。
いかがでしょうか。
支離滅裂な文章になっているかもしれませんが、
思いを組み取っていただけるとありがたいです。