あまりにも安易で単純な思考回路かもしれないが、熱帯魚といったらピラニアだ。これはマーボといったらマルミヤと同じくらい有名で全国民が圧倒的に思いつく組み合わせである。と思うのだ。
なので今回はピラニアなのだ。だまって最後まで読んで欲しいのだ。バカボンのパパなのだ。
ピラニアというと、未だに「獰猛な人食い魚」と思っている人が多いが、この思考判断は夕日の向こうに輝く未来がある!さぁ走ろう!と言っているのと同じくらい根拠のない間違った常識です。
もしアナタがアマゾンで確実かつ猛烈かつ豪快にピラニアに襲われるなら以下の状況が必要である。
①アマゾンの首刈族に襲われて首を刈られ、首の付け根から激しく血が吹き出ているのに川を渡るとき。
②アマゾンのゲリラに襲われて、腹部に銃弾をあびて血が出ておるのに川を渡るとき。
③何かの理由で死んでおるのに川を渡るとき。この場合、正確には死んでいるので川は渡れない。流れる、といったほうが良いかもしれない。
つまり、何らかの理由で血が出ている、もしくは完全に死んでいる状況でなければピラ公は基本的に元気良く襲いかかってこない。
我々の間では常識的なこととなっているのが、
「アマゾンではピラニアうじゃうじゃの川で、子供たちは泳いで遊んでいる。その側でお母さんは川で洗濯をしている。その横でお父さんが夕飯のおかずの魚を釣っている。釣れる魚はピラニアである。うまいんだなこれが。」
という状況です。
つけたしで、それら人々の上流にはトイレがあり、ジイサンがウンコをしている、という笑えない?話もある。
ピラニアは実は臆病で、飼育していても人になかなか慣れない飼育しづらい魚の部類に入る。飼育環境によるが、人影や振動で驚いて暴れた後、水槽の陰に隠れて冷たい眼でジッっとこちらを見ていたりする。彼らは人を観察する魚で、他の飼育魚に比べると明らかに水槽の中から見ている。アイツ、うまそうだな、と思って見ているのかもしれない。
川の中ではたくさん泳いでいるが、飼育するに当たって複数匹で安心して飼えるのはピラニア・ナテリーという種類(上添付写真)のみです。他は複数飼いするとエサが足りなかったり水槽が狭いと簡単に共食いする。ナッテリーでさえ、飼育密度が濃いと、朝、水槽を見ると、水は激しく濁り、水面にこんなんが浮いている。
そのため、多くのピラニアは単独飼育が基本です。
また、人の損傷事故がもっとも多い観賞魚でもあり、彼らのキバは凄まじく切れ味がいいので、移動時のタモ網などは簡単に切って穴を開けてしまう。アゴも強靭。
そのとき、とっさに手で受け止めたり、つかもうとすると、指は簡単に持っていかれてしまう。死んだと思ってキバを触ると、まだオバケ屋敷のガイコツみたいにアゴをカタカタさせてきて噛みつかれたりする。水族館では水の温度を知るために指を入れた水槽がたまたまピラニアの水槽で、反射的にエサと間違えて飼い慣らされたピラニアに指を食われる、という事故もある。
ピラニア・ナッテリーは複数匹で飼えて繁殖も楽しめる。エサは夕飯の刺身を分けてあげたり、慣れれば人工エサ(キンギョやメダカのエサのでっかいの)もガツガツ食べる。冷凍のアジを解凍してあげたり、キンギョや川魚などはもちろん好物。あと人の手など。
ナッテリーは東南アジアで観賞用に養殖もされており、うまくいけば200円程度で入手できる。
ピラニアには種類がいくつもあって、アマゾンのそこかしこにいろいろなピラニアがいる。
ダイヤモンドイエロー・ピラニア
ブラック・ピラニア(幼魚)
ブラック・ピラニアなんかは最大50センチ以上にもなって、50センチなんていったらその辺のデブなオヤジの顔ぐらいある。ブラック・ピラニアはピラニア・ピラヤと並んでピラニア一族最強級のヤクザピラニアと言われる。
彼らは、獲物である魚を襲うときは必ず背後から襲う。そしてガツガツちぎるようにして食べる。そのため、かわいそうなことに狙われた魚は下半身だけもぎ取られて上半身だけでヒクヒク泳いで逃げていたりする。かなり悲惨な光景でありムゴイ食べ方なのだ。そのため、多くの飼育者は人工エサに切り替えたり、死んだ魚の刺身などを与えている。ごく一部の人は生きたエサを与えて食べるところを観察してイヒヒヒヒなどとにやけている。きっと人生でなにか悩みや辛いことがあるのだろう。
ちなみにピラニアはヤクザ的魚ではあるが、繁殖時にはペアで産んだ卵を仲良く守ると言う仁義を持っている。