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2013/01/06

開業の動機において、口蹄疫は起点であったかもしれない。

平成22年6月15日から10日間、宮崎県に国の命により派遣され牛の「殺処分」に従事しました。

獣医師として、殺処分はやはり辛いものがありました。

毎日、毎日麻酔、静脈注射、搬出、時に牛舎消毒の手伝い。

 

発生農場最後の殺処分農場に現場のサブリーダーとして居合わせたが、周りを囲む死屍累々の現場を目のあたりにして、これが産業動物に係る人間として変な言い方だが「花道」にしようと漠然と考えていた。

 

北海道に帰ってから、突然の「めまい」に襲われるなどやや体調も崩したが、その後は「淡々と業務をこなす」日々が続いた。

その過程で、どこからかは判然としないが「よし、方向転換しよう!」と考えた。

 

それから、週末に知人の動物病院に研修に行くようになった。

しかし、それは明確な目的がまだはっきりとしない、ふわふわした行動だった。

なんとなく、将来ちいさく動物病院ができればいいと考えていた程度の、小さな夢。

 

平成24年3月中旬、それは突然やってきた(大げさ?)

同級生の友人は札幌の中央区内で動物病院を開業しているのだが、私は「尿石症」持ちの犬を飼っているので定期的に処方食をそこで買い求めていた。

いつものように料金を払いに行き、雑談して帰ろうとすると・・・

「お前、以前動物病院をやりたいと言っていたがどうなの?」

「まあ、そりゃやりたいが、夢としてね」

「じゃ、ここでやれば?」

「はあ?」

 

つまり、こうだ。

彼は引退するので、そこをそのまま貸すという話である。

所謂、居ぬきの動物病院である。

本当!戸惑った!どうする?

 

さすがに即答できず、友人には少し考えさせてくれと、返事を留保して帰った。

1週間ほど悩んだ。

年齢、子供の教育費、妻の反応etc・・・

悩んだ末に、妻に決断を伝える(多分、反対だろう・・・)。

 

私:「今の仕事を止めて、動物病院を借りたいがどうか?云々・・・」

妻:「ウーン、いいんじゃないの?」

私:「へっ?」

妻:「やろうよ。これも縁だし」

私:「そうだね、そうするわ」

 

ということで、私の腹は決まりました。

しかし、貸してくれる友人がその動物病院を出るのは、8月か9月ということと、既に来年度の人事内示が発令されていたこともあり、12月末までは在職しようということに決めました。

 

                                          (開業予定の建物です)

 

まさに、通常あり得ない展開で私は動物病院を運営することになったのです。

この友人には感謝!です。

まあ、しかしそう簡単ではない。

 

 

 

2013/01/06 07:28 | shigenobu | No Comments