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2012/02/16

楽器をやっている人にとって、練習場所の確保は切実な問題です。

他の楽器の方のことはよく分からないんですが、半分推測で書かせていただくと…(アマチュアレペルでの話です)。

鍵盤楽器の方は、まだいいほうではないでしょうか。ピアノは相当音が大きいですが、練習用と割り切れば、電子ピアノで結構いけちゃうと思われます(タッチが本物とは微妙に違うのでしょうけど、素人目からみると、今どきの電子ピアノはかなり本物に近いように思います)。

ギターに関しては、エレキだったら、ボディがソリッド(内部に空洞がないタイプ)なら、アンプなしで練習すれば、音量はテレビを普通に観るより小さいかもしれません。

アコースティックギターだと、ナイロン弦のものならまだいいでしょうが、鉄弦だったら夜に家で練習するのは厳しいですよね。

さて、管楽器です。

トランペットは実は、練習用のミュート(消音器)に良いものがあります。ぼくはもっぱらそれを使って家の中で練習しています。ぼくが使っているのは、ヤマハの「サイレントブラス」という商品です。

これ、実は、消音器の中にマイクが入っていて、小型のアンプに接続し、それをヘッドフォンで聴きながら練習できます。とはいっても、客観的な音が聴けるべくもないので、ぼくはアンプとヘッドフォンは使っていません。ただ良い音をイメージして(ここがもっとも重要です)、そのイメージと唇の鳴っている感覚を照らし合わせて、良い音がしているかどうかを経験値で感じながら練習しています。

「サイレントブラス」の消音器は、エアの抵抗感に関してはほぼ自然な感覚で、全然使えます。音量も、普通にテレビを着けているくらいにまで抑えられます。これはかなり画期的な商品です。

ちなみにサックスには、「サイレントブラス」に相当する商品は、ヤマハからは出ていないんですよね…。

サックスにも「ベル」の部分がありますが、サックスの場合は、音はベルだけから出ているわけではなくて、楽器全体から出ているんですよ。なので、消音が難しく…。

さて。

ぼくが「サイレントブラス」を使い始めたのは、今から10数年前です。

その何年も前から発売されていましたが、変なエアの抵抗感があるに違いないと決めつけて、試しもしませんでした。

で、ぼくの練習場所確保の歴史は、こんな感じでした。

大学時代は学校。卒業後2年半は多摩川、その後は砧公園で2年くらい、以後はクルマをゲットして、人の少ないところにクルマを停め、車内で練習していました。

はっきり言って、練習場所確保のためにクルマを持っていたようなもんです。

最後のころは、駐車場代で月に2万5000円、税金、保険を足して、練習場所確保のために年間、4、50万使っていたと思います。

そんなころ、ジャズ研の同期の結婚式があり、後輩の超絶に上手いトランペッター(プロ演奏家ではないのですが)に会いました。

「お前もまだ吹いてるの?」

「吹いてますよ〜」

「練習場所はどうしてる?」

「うち、実家が小さい工場をやっているんで、そこで練習してます」

「くぅ〜、うらやましい…」

「あとは、サイレントブラスで、家で練習してますね」

「いやいや、あれは練習にならんだろ〜。エアの抵抗感があってだめでしょ」

「いえ、全然使えますよ」

ぼくより数段上手いヤツが言うんだから、本当に使えるのかな…、と思い、質問しました。

「それ、いくら?」

「1万5000円くらいじゃないですかね…」

…。

「なにゅ〜!!! おれなんか、練習場所確保のために、年間、4、50万使ってるんだぞ〜……」

それから数日後、ラッパを担いで楽器屋に行きました。「サイレントブラス」を試奏させてもらいました。

自分の正確な音は聞こえないものの、イメージすることでなんとかなるかな…。つーか、この音量なら、確かに家の中でもできるやないかい…。

即、購入しました。そして、すぐにクルマは処分しました…。

まあ理想をいえば、オープン(消音器なし)で練習したいです。なので、たまには練習スタジオを借りて練習しますが、練習できないよりは100倍マシです。練習のためにクルマを持つことに比べたら48倍はマシです。

さてさて、最後に野外で練習していたころの小さいエピソードをひとつ。砧公園での話です。

夜中、一人でベンチに座って練習してたら、太った白人男性がやってきて隣りに座りました。英語がよく分かりませんが、概ね、こんなことを言っていました。

「おれもアメリカではクラリネットをやっていたよ(ふふっ)。ところで、お前の演奏は、テクニックはあるが『ハート』がないな」

逆、ぎゃく〜!!!…。

ぼくは、テクニックはないけど、ハートで吹くタイプを自負しているので、いらっときました。

で、無視して練習していると、そのおじさん、だんだん距離を狭めてきます。

で、距離を取ると、それでもなお、距離を詰めてきます。

ベンチの端まで追い詰められたら、今度はぼくの太ももの上で、人差し指で『の』の字を書き始めました。

…。

(こいつの言う『ハート』は、そっちかいな…)。

と、ようやくすべてを理解し、「明日、仕事だから」と何となく英語で言って帰りました…。

というわけで、今は部屋で練習していますから、そんな危険にも会わないで幸せです。

あ、さらに最後に、2月22日に行うライブのフライヤーを載せさせていただきますね。
かわいくできたので(b〜y 45歳・男)

ご興味ある方がいらっしゃいましたら、右のバンドHPのリンクからメールいただけましたらと…。
右のリンクには、YouTubeのリンクも載っていますので、お時間ありましたら、ぜひ、お聴きください…。

そんなこんなで、ぼくは今日もラッパを吹いて暮らしています。

2012/02/16 11:30 | ohta | No Comments