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今日は日中仕事でした。
家のワンコに腫れ物ができました。
今度は、右臀部で嫌な感じです。でも、会陰部出なくてよかった。
会陰部にできるのは厄介なのです。
大きさも35mm×45mm×15mm位ですかね。
まあ、大きさより深さや多への転移、リンパへの転移、そしてなにより細胞の性状が重要なのです。
針吸引生検(FNA)で病理検査してもらうことに。
こんな腫れ物は気づきませんでした。
吸引した組織をスライドで見た感じは、やはり少し嫌な感じ。
でも一番心配な肥満細胞腫に特有の好酸性の顆粒を有する細胞はなかったような印象でした。
これだけ大きいので、細胞の良し悪しに関係なく摘出したほうがいいかもしれません。
しかし、一番疑われるのは肥満細胞腫なので、グレードを知る必要があります。
それによって、手術のマージンとか後治療が変わってきます。
表面上は他にないので、この一個を摘出すれば当面それでいいかなと思っています。
やはり、ワンコの腫瘤が気になり、皮膚の腫瘍についていろいろ調べて見ましたが、
まあ、あんまり深く考えても不安になるだけなのですが、これも性分ですかね。
肥満細胞腫だとすると、ダリエ徴候といって触っただけで、皮下組織に変化がでます。
肥満細胞腫を触っていると刺激を受けた細胞から生理化学物質が放出され周辺が赤くなったり、浮腫を起こすことがありますが、これをダリエ徴候といいます。過度に触ることで肥満細胞腫からは生理化学物質が刺激により容易に放出されるため、さまざまな症状を起こします。胃酸分泌の増加による胃潰瘍、胃穿孔、消化管潰瘍、嘔吐、食欲減退、腹痛、黒色便(消化管出血による)、血液凝固障害(血が止まりにくい)呼吸困難(肺水腫)などがそれにあたります。
家のワンコにそういう症状はありませんので、多分悪性の肥満細胞腫ではないと判断していました。
怖い病気ですが、多いのも事実!
皆さん、ワンコが高齢になったら、よく体を触ってしこりがないか調べましょうね!
まだ詳しく見ていませんが、家のワンコの「腫瘍」の病理組織診断がでました。
一番心配していた「肥満細胞腫」は否定され、所謂軟部組織腫瘍ですが「悪性度」は高くないようです。
腫瘤の形状やちらりと見た、FNA組織所見から肥満細胞腫でないのでは?とひそかに思っていたので、正直ホットしました。
考えられる腫瘍は以下のとおりなのですが、いずれにしても摘出することで決めました。来週です。
出血傾向から「血管腫系」かと考えていますが、果たして・・・・・・
線維腫・・・神経線維腫
線維腫は、コラーゲン基質に富む、線維細胞ないし線維芽細胞の良性腫瘍です。
イヌに多い腫瘍です。
四肢や頭部に好発します。
肉眼的には球形ないし卵円形で、硬く、弾力性があります。
組織学的に、成熟した線維細胞ないし線維芽細胞が豊富に膠原線維(コラーゲン)を産生しながら増殖します。膠原線維の配列は比較的整然としており(方向性がはっきりしている)、線維の束が織り込まれたような(花むしろ状)配列や渦巻き状の配列も見られます。
線維腫は発育の遅い腫瘍で、完全摘出により治癒します。
病理検査報告書を読みましたが、悪性の所見はそれほどないにしても、もし「血管内皮腫」であれば結構厄介です。
酷い悪性でないにしろ、完全に除去しなければ再発します。
ただ、転移率は低いのでその点では安心です。
で、昨日報告書を見たのですが。
やはり、軟部組織系肉腫のようです。
「軟部組織肉腫」とは がん のグループのひとつであり,犬の皮膚および皮下(皮膚の下)に発生するがんの 15 %を占めています.年間発生率は 10 万頭に約 35 頭と報告されています.軟部組織肉腫の中には線維肉腫, 血管周囲細胞腫 ,神経線維肉腫,神経鞘腫,平滑筋肉腫,横紋筋肉腫,悪性線維性組織球腫,脂肪肉腫,滑膜肉腫などに分類されますが,病理検査では分類不能のものもあります.
※軟部組織肉腫の特徴
1 .強い局所浸潤性(根が深い)
2 .転移率 25 %前後
3 .外科手術で完全切除できれば完治の期待が出来る.
※血管周皮腫について
①血管周皮腫は軟部組織肉腫(癌のグループ)の中でも転移がおきにくく,完全切除できれば完治する可能性が極めて高い癌です.(転移率 10-15 %)
②しこりの周囲に長い根が生えているために,しこりの周囲を 3cm あけて切除しないと完全に切除できないと言われています.
③完全に切除できなければ再発します.再発を繰り返していると癌細胞の転移する能力が高くなり,転移する確率も高くなっていきます.
④転移率は低くても進行すれば局所的な問題から命を落とすことも少なくありません.また, 放置している時間が長い場合あるいは再発を繰り返していると転移してしまうことももちろんあります.」
12日手術です。
根治のためには完全切除が条件で、それさえクリアすれば予後はいいといわれています。
手術まで1週間、何とか少しでも腫瘍を小さくして望むべく試みています。
これを契機に「腫瘍病理学」に興味を持てたことは、「病気も転じて糧と成す!」とポジティブに捉えています。