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2016/04/17

英王室のウィリアム王子とキャサリン妃が、4月14日から2泊3日という弾丸日程で、ブータンを訪問した。滞在初日は、パロ空港到着後、首都ティンプーへ移動し、第5代国王・王妃両陛下と御懇談された。2日目はパロへ再び移動し、タクツァン僧院を訪問され、翌朝、インドのデリーへの旅路につかれた。
英国BBC放送は、ウィリアム王子・キャサリン妃両殿下がブータンの伝統的なアーチェリーを楽しむ姿や、タクツァン僧院へのトレッキングの様子を映像入りのニュースで伝えている。

Archery challenge for William and Kate in Bhutan│BBC
William and Kate trek to Bhutan’s Tiger’s Nest monastery│BBC

また、ブータン国内でも、ワールドワードで人気の高いロイヤルファミリーの訪問は注目のイベントだったようで、BBS(ブータン放送)は生中継も交えながら、これまでの英国とブータンの歴史を振り返る特番を放送し、主要新聞社であるKuensel紙も、”A Historic Visit” というタイトルでその訪問の歴史的意義を紹介した。

A Historic Visit│Kuensel


ところで、第5代国王と、ウィリアム王子は、ともに30代半ばとほぼ同世代だが、片や、小国とはいえ一国の主であるのに対し、間もなく御年90歳を迎えるエリザベス2世を祖母に持つウィリアム王子は、英国王位継承権第2位という立場。こういうとき、いったい序列はどうなっているんだろう…と下衆の勘繰りをしてしまうのは悪い癖だ。

試しに、それぞれのご本名と年齢、そして、敬称付きの英文正式名(もし誤りがあったらご指摘いただきたい…)を並べてみよう。

ジグメ・ケサル・ナムゲル・ワンチュック国王(36歳)
His Majesty The Druk Gyalpo (King) Jigme Khesar Namgyel Wangchuck

ジェツン・ペマ・ワンチュック王妃(25歳)
Her Majesty The Gyaltsuen (Queen) Jetsun Pema Wangchuck

ウィリアム・アーサー・フィリップ・ルイス王子(33歳)
His Royal Highness Prince William Arthur Philip Louis, Duke of Cambridge, Earl of Strathearn, Baron Carrickfergus, Royal Knight Companion of the Most Noble Order of the Garter

キャサリン・エリザベス妃(34歳)
Her Royal Highness Princess Catherine Elizabeth, The Duchess of Cambridge, Countess of Strathearn, Lady Carrickfergus

…正直、書いてみてうんざりしてきた。こういう、王族とか貴族とかの称号は、もちろん、数付けば偉くなるわけではないのは百も承知だが、間違いなく、自分の手の届かないところにいる方々だ、ということは一目で分かる。
ちなみに、ウィリアム王子は、結婚後にケンブリッジ公爵位を得たため、対外的にはケンブリッジ公を名乗る(ことになっている)ようだ。が、公爵といっても、中世の貴族のように、ケンブリッジに領地や領民を持っているわけではない。
…と、これ以上書くと、書けば書くほどボロが出そうなので、このあたりでやめておこう。

なお、当然のことながら、ウイリアム王子とキャサリン妃との間の2子も、大変に長いお名前をお持ちだ。2013年に生まれた長男・ジョージ王子は、Prince George of Cambridge (George Alexander Louis)、2015年に生まれた長女・シャーロット王女は、Princess Charlotte of Cambridge (Charlotte Elizabeth Diana)、とそれぞれ名付けられた。

そして、2016年4月16日、今年2月に生まれた、ブータン国王夫妻の初めての子ども、将来の国王となる王子の命名式典が執り行われた。この式典は、17世紀にブータンを始めて統一したシャブドゥン・ンガワン・ナムゲルを偲んで毎年行われている祭事「シャブドゥン・クチェ」のなかで行われることが、以前から発表されていた。
というのも、今年は、そのンガワン・ナムゲルがチベットからブータンを訪れてから、ちょうど400年目に当たる節目の年。おそらく、縁起が良いという理由で、その日が選ばれたのだろう。

その結果、王子は、ジグメ・ナムゲル・ワンチュックと名付けられたことが発表された。まさかの、現国王のお名前から「ケサル」を取っただけ、という、なかなか意外?なネーミング。ブータンでは、基本的に名前は僧侶が決めるものなので、様々な祭り事の結果によるものなのだろうが、今後、父親と区別するのがちょっと一苦労しそうだ。
一応、英文表記を書いてみると、His Royal Highness The Gyalsey (Prince) Jigme Namgyal Wangchuck とこういうふうになる(はずだ)。


以上、ブータンとイギリス王室、そしてブータン近代史を交えたコラムをお届けしました。ごめんなさい、専門外のことをやるもんじゃないです。もうやりません。

2016/04/17 12:00 | fujiwara | No Comments