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2015/06/30


広告人・佐藤達郎氏の場合

-動き続ける。世界も、人も。

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真ん中を退き、参謀に回った佐藤さんが、よく言っていたという言葉がある。
「僕が理屈を考えるから、きみはとにかくおもしろいものを書け。」

今、佐藤さんが教えている学生にはグラフィックデザイナーの卵が多い。
「学生の自由な発想は強い。美大生はやっぱりセンスも高いし、
すごくひねってるクリエイティブでもすぐ理解する。」

随分と時代は変わったが、逆に
「80年代は、今思えば本当につまらなかった」という。
「枠の中で技を競う。新しいチャレンジもしにくい。テレビCM全盛期の頃、
広告でスマホを宇宙に飛ばそうなんて、誰も考えなかったじゃない。」
※筆者追記 Samsung GALAXY S II「Space Balloon プロジェクト」

「たしかにものすごく動いてるけれど、大騒ぎする必要はない。
もともと、伝統芸能をやりたいような人が来るところじゃない。
20世紀の後半が変わらなさ過ぎた。10年変化のない中にいると
もう変わらないって思ってしまう。本当に危険なのはそのこと。
歴史を振り返っても、それまで命かけて新聞広告作っていたのが、
50年前にいきなりテレビが出てきた。
それで、映画や映像出身の人が業界に入ってきたりして、俄然面白くなった。」

佐藤さん本人が、気づいているのかいないのかは、わからない。
しかし、佐藤さんが「広告の話」をしているとき、それはいつもかならず
「広告の仕事をしている“人”」の話をするのだった。
登場する後輩たちの名前につく形容詞はだいたい、「スーパー優秀」。

大学教授になった、というと、どうしても現役引退を想像するが、
今も含めて、クリエイティブから離れたと思ったことはないという。
「今も、論文を書くとき、タイトルからしてコピーワークしている。
それで研究費も決まったりするから、真剣ですよ。
相手がどう思うか、どう言えば伝わるのか。インサイトも分析してね」
結果は、上々だそうだ。さすがコピーライター、と思うが
佐藤さんは、しばらく前から「いちコピーライター」の枠の中にはいない。

「コピーだけやってて、成功してたら、谷山雅計になってるよ」
そうしたら、組織の活性化も美大生の講師もやっていないだろう。

「でも、コピーはいまでも好き。
世の中を騒がせるような一言じゃなくても、生きてて言葉を抽出することって
すごく大変で、すごく大事じゃない。」

“職業”。
それは社会の中で分担する“役割”ではなく、人の生き方そのものであるようだった。

佐藤達郎(さとう・たつろう)
株式会社アサツー ディ・ケイ、博報堂DYメディアパートナーズ社を経て、2011年4月より多摩美術大学教授。専門は、広告論/マーケティング論/メディア論。コミュニケーション・ラボ代表、コンサルタント、クリエイティブ・ディレクター。
2004年、カンヌ国際広告祭フィルム部門日本代表審査員。著書に『教えて! カンヌ国際広告祭 広告というカタチを辞めた広告たち』他多数。
最新著書『「これからの広告」の教科書』2015年6月10日刊。

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Special Thanks to MR T.SATO

2015/06/30 12:00 | vol.9 佐藤達郎 | No Comments

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