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2010/11/22

地球の舳先から vol.197
カトマンズ編 vol.2

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(カトマンズにほど近いパタンの旧王宮、ダルバール広場)

カトマンズについては、チベットと同じだけ滞在するにも関わらず
チベット&ブータンの存在感が大きすぎて、若干前調べ不足。
その割にガイドも何もいないので、移動から食事から宿泊から自由行動まで
すべてを自分で決めなければならないという矛盾。
結果、「なぜカトマンズまで来て」と自問しながら動物園に行き、
サイの醜さを目の当たりにしたり、ゾウに揺られたりしながらすごすことになる。
ほかにも、神様として祀られている生き神の少女・クマリを見たり(「しかるべきお布施」が
必要なのだがちょうど団体観光客と居合わせて、窓から顔を出す生き神様を見ることができた)、
ハトだらけで気分が悪くなるお寺を見たりして、それなりにウキウキと歩く。

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(左:インドで乗り損ねたゾウにようやく乗れた。 右:これが全部ハトである…)

パタンという、カトマンズ近郊の美しい町へも寄った。
旧王宮ダルバール広場は世界遺産になっており、区画に立ち入るのに入場料が要る。
公道に面した屋外なのに入場料を取るというのがいかにも気に食わないが、郷に入っては…だ。
それでも、普通は入れない改修中の工事現場に入れてもらったり、
歩き疲れたというよりは移動疲れで入ったカフェの2階からの絶景を堪能しては
一挙に違う文化圏に来たのだということを認識させられる。

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緩んでいたのは気ばかりではない、この日は高級ネパール料理屋に往復タクシーで行き
美味しいコース料理とお酒を楽しむというお財布事情を考えない暴挙に出たために
残り1泊2日、いや1泊と1日半を残して千円ちょっとしか現金がなくなった。
スコールの襲った雨季のカトマンズを、パンツのすそを持ち上げながら
買い出したビール瓶を手に「あ~お金がないよ~」とぼやきながら泥水のなかを歩く。

しかし、お金がないからといってじっとしていることなど絶対にできない。
翌朝になると、「モンキー・テンプルへ行く」と頑として決断。
モンキー・テンプルは正式名称ではない上、敬虔でないわたしはその寺院の名称を忘れたのだが、とにかく、カトマンズの中心地から5キロほど離れたところにある有名な寺院である。
人を襲って物盗りをすることに味をしめた猿が大量に居るため、このような別名を持っている。
ネパールの寺院に共通した「目」がついた塔は、なんだかアニメキャラのようにしか思えない。
もう今日はろくなものが食べられないかも知れぬ、と、ホテルのレストランの食事を流し込み
「5キロとか、余裕じゃん」と、歩き出したのだった。

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(これが、目指すモンキー・テンプルだ)

果たして、5キロ先には確かにソレがあった。
その、寺院が山頂にある、超・急な階段の一番下の段が。

…マジかよ…。

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(左:麓。ここはまだ階段は緩やか。 右:小猿のらんらんとした目がイラつく。)

が、5キロも歩いてここで引き返してまた5キロ歩くなんてそれはそれでいろいろ無理である。
そもそも、なんだかあの「山の上」がモンキー・テンプルなのではないかと
歩いている途中から懸念はあったのだ。宗教に修行はつきものらしい。無信教なのに…。
結果、山を登り、何百段あったのかわからない階段をのぼり、
背中に子どもをのっけた猿にロックオンされて慌てて目をそらして逃げ、
あやしいバングラディシュ人にせがまれて一緒に記念撮影をし、ようやく山頂へ。
結構曇ってはいたが、疲れを癒すだけの市街地の全景。

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(左:カトマンズ市街地。 右:山頂寺院のマニ車。回しながら旅の安全を祈る。)

再び下山すると、麓にはバイクタクシーが控えている。
くそぅ足元見やがって、と思いながら涼しい顔をして通り過ぎ、また歩いて戻る。
昼食は「エベレスト・モモ・センター」という怪しげな日本語の看板がかかった店。
モモとは、ネパールやチベットなどの名物料理で水餃子のようなもの。
ぺらっぺらのアルミの皿、パセリか何かが浮かんだ濃厚なスープにモモが10個で、30~40円。
モモは昼食には十分な量で、しかも美味しい。当たり前に小汚い店のジャーのお水は遠慮する。
この国になら、今ある貯金だけで20年くらい暮らせる、という計算がふと頭に浮かんで、消す。

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(左:えらそうに休憩するウシ様。 右:モモ、大量生産中。)

この日の午後は大雨のなか、山間のナガルコットという村へ向かう。
悪天候で、期待したような景色はそこにはなかったものの、山あいの村独特の澄んだ空気と
静かでありながらぱりっとした空間がうつくしく、オフシーズンも手伝ってひと気のない
木のコテージには、自然に生きる動植物がたてる音しかしない静寂さが横たわる。
わたしは基本的には都会が好きだけれども、そういえば風の音というのを久しぶりに聴いた。
十分肌寒かったが、乾季や厳冬にここから見るヒマラヤは、きっと畏しいほど美しいのだろう。
一瞬だけ止んだ雨に、高地ゆえ掴めそうなほど低い雲霧が夕焼けに染まっていく光景と
その後の暗闇は、なんだかチベットよりも「外国に来たぞ」という気がしたのだった。

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ちなみに、お金がないので夕食はレストランの価格表とにらめっこをし、
翌日カトマンズ空港へ着く頃にはほんとうになけなしの小銭しかなくなっていた。
逆に言えば、両替した現金を極限までうまく使いきったともいえる。
わたしは海外へ行くとその国の小銭をいろいろ集めてよろこぶ趣味があるのだが
そんな趣味を忘れるほど、ほんとうにお金がなかったことをよく覚えている。

勇敢なバックパッカーには、なれそうもない。

2010/11/22 11:33 | ■ネパール | No Comments

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