« | Home | »

2010/09/26

地球の舳先から vol.184
パリ(2010)編 vol.4

dscn1166.JPG

週末が始まった。今日はすこし遅起き。
土曜日にもなると、メトロの地下通路には様々なアーティストが現れる。
アコーディオンにホルン吹き、5人組のブラスバンドから、
マイクとスピーカーを列車のなかにまで持ち込んで歌う人も。
路上パフォーマンスは日本でもよく見る光景だが、このメトロの路上アーティストは定期的に
オーディションが行われているのだそうだ。(むろん、無認可も多いが。)
とにかく、ヘタなのはいないので、美しいBGMで移動ができてトクした気分。

まずはオペラ・ガルニエ(オペラ座)へ向かう途中のレペットというバレエ用品店へ。
もとはローラン・プティという天才振付家のお母さんが始めた店なのだが、
婦人靴に手を出したらこれが大ブレイク。今となっては靴屋同然で連日女性でにぎわっている。
はじめてポワント(トゥシューズ)を買ったお店なのに、もはやバレエ用品はあまりない。

そして目と鼻の先のパリ・オペラ座、ガルニエへ。
日本からこの日の公演のチケットを押さえておいた。座席指定まで完璧にできたオンラインシステムな割に、発券は非常にアナログで、初日に泊まったホテルに郵送で送られていた…
早めに行ったのはわけがある。
ナポレオン3世時代からの歴史を持つガルニエは、その建築と内部装飾で見学だけでも価値があるのだが公演の日は一般観光客は立ち入れない。舞台の観客のための貸し切り状態となる。
先頭を狙って入場すると、2階の広間に直行し、4年ぶりにその姿を目にした。
筆舌には尽くしがたい。息を呑むほどの絢爛さ。

dscn1151.JPG

さて、肝心の公演といえば、わたしはトラディショナルバレエ(シンデレラとかパキータとか)
が見たかったのだが、ちょうどこの時期はモダンバレエの公演期間だった。
とはいえ最近のパリ・オペラ座はモダンやコンテンポラリーへの執着がすごいという噂。
「ローラン・プティ」と銘打ち、その3作品が上演された。技巧はさすがである。
バレエダンサーの踊るコンテンポラリーを見てしまうと、コンテンポラリー専門のダンサーとはやはり比にならないくらいの身体のつくりこみかただなあ、と思う。
オペラ座の団員ダンサーは、定年40歳の国家公務員。このへんも、さすがの土壌だ。
帰りに売店で、3月に控えている舞台の勉強になればと、スワンレイクのDVDを購入。

dscn1163.JPG
(舞台の天井壁画はシャガール。ちょっとかわいい。)

この日はこのあと、近くのブラッセリーで外食する予定でいたのだが、
すっかり踊りたくなってしまってまたマレのダンスセンターへ行く。
「ビゼー」とか「モーツァルト」とか1つ1つのスタジオに音楽家の名前がついているのだが
中では柔道着まとったマッチョなオッサンとか、ヘイヨーな感じのヒップホップだったり。
でも中庭に面した一番大きいスタジオはクラシックバレエ、と決まっているらしい。

そこでようやく、フレデリック先生と再開。
2年前いたときにほぼ毎日通っていた先生。というのもバカンス期だったので、センターにはフレデリック先生くらいしか残っていなかったのだ…
相変わらず、ピアノに合わせて真剣に熱唱するためピアニストもメジャーでノリのいい曲を選び、結果、生徒も鼻歌うたいながらやるという。
なんかのびのびしちゃって、いつもより軸がブレなかった。
そしてなにか注意をするときは「ウィー、ムッシュ!」って合唱させるのがお好きのようで(笑)
昨日受けたオペラ座の先生の、指揮者みたいな荘厳さじゃなく、まさに楽しい音楽の時間♪という感じ。笑いの絶えない空気に、すっかり楽しんできてしまった。

カラダもすっきりしたところでスタジオを出ると、そこらへんじゅうの建物がビリビリ震えているくらい響く重低音が。「と、倒壊する…」とちょっと本気で心配しつつ音のするほうへ行くと
オテル・ドゥ・ヴィル(パリ市庁舎)の広場で野外コンサートをしていた。
この建物背負ってDJ付きのクラブミュージックですか…?と思いきや、すっかり溶け込んでいる。
この呑み込み方が、パリらしいというか。

dscn1194.JPG

そのまま帰ればいいものを、地図をぼーっと眺めていたら聞き覚えのある単語を発見。
「Folies Bergere」
わたしもすごく好きな映画『NINE』で、映画監督の主人公グイドのよき友人であり、ジュディ・デンチ演じた衣装係が若かりし頃修業したのがパリの「フォーリー・ベルジェール」…
設定かと思っていたので実在するとは思っておらず。どうしても気になって見に行ってきた。
寒空の下、かつてパリのナイトシーンの栄華を極めたのであろうその建物は古く、
いくつかポスターは貼ってあるものの光が灯っておらず、ひと気もなかった。
しかしまわりの建物に照らされてその巨大さと存在感は群を抜いて堂々と鎮座している。

ムーランルージュでロートレックが夜な夜な描いていた
フレンチ・カンカンの絵が最初の広告美術といわれたように、
パリの長い歴史、そのなかで交差してきた文化と営利と(ときにアングラな)場所というものが
こうしてこの街には至るところに存在して、遺産になったり復活したりしていくんだろう。

dscn1204.JPG

夜のメトロには、また音楽があった。
ゲージュツ、なんて高尚なモノじゃなくて、
気づかなくてもあるし、気づけばそこにあるもの。

あしたへつづく。

2010/09/26 07:31 | ■パリ , ■パリ(3rd/2010) | No Comments

Trackback URL
Comment & Trackback
No comments.
Comment




XHTML: You can use these tags:
<a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong> <img localsrc="" alt="">