« | Home | »

2010/09/16

地球の舳先から vol.180
ブータン編 vol.3

306.JPG
(トリからウシまで、放し飼いで動物王国)

旅の行程ものこすところ数日となり、2泊ほどするブータン・パロへ移動。
ここでは、ホテルではなく民家でファームステイをすることになっていた。
ブータンでは1日200ドルの政府公定料金を払うと、宿泊、観光、移動、食事に
まつわるすべてのお世話のほか、こうしたちょっとしたアレンジも料金内でしてくれる。
ガイド、ドライバーも同じ民家に泊まる。文字通り寝食をともにする運命共同体なわけで、
つくづく、うちはガイドがイケメンでよかっ……(略。

着いた農家の家は豪邸といってもさしつかえないほどの大きな家。2階の客間も4部屋もある。
ファームステイといってもあくまで客人扱いなので、田植えや洗濯をさせられるわけではない。
家のお姉さんが広大な敷地内を案内してくれた。
猫に犬が5匹(これが夜になると戦闘を開始する。ときに水際で縄張りを守り、
時に役割分担して敵地へ遠征する攻守自在な軍編成だ。5匹だけど。)
鳥小屋と牛小屋もあり、つながれていないので、朝ねぼけて
「ん?犬1匹多い?っていうかデカい?」と思うと、牛が混じっていたりする。

301.JPG 302.JPG
(2泊した、客間 / 2階の真ん中にあった仏間)

あとは広大な水田。このあたりの灌漑技術は日本の支援によるもので、
国王から栄誉ある「ダショー」の称号を与えられたほどブータンの農業の改良発展に
貢献した日本人、西岡氏はその像がブータンにつくられるほど。
畑には、この国では香辛料ではなく野菜として取り扱われるトウガラシに、
カボチャ、トウモロコシ、ナス、トマト…とふんだんなラインナップが続く。
りんごの木もあり、これは国内で売るほか、バングラディシュへ輸出するのだそうだ。
夕暮れ、りんごの実の選り分けと輸出用箱詰め作業をしているテントにも立ち寄った。

310.JPG 304.JPG
(出たな!トウガラシ / リンゴの輸出作業テント) 

また、家にはドツォと呼ばれる石風呂がある。
ちょっとした小屋の中には6つほど、木でできた浴槽が並び、
浴槽のなかは入浴スペースと石を入れるスペースが区切られている。
何時間も焼いた石を入れると、じゅーじゅーとおそろしい音を立てお湯になっていくものだ。
小屋の外から水を足せるようにもなっていて、ばかをしなければ火傷などはしない。
が、わたしはばかをして、石が入っているほうに足を突っ込み「あっっっつぃぃぃ!!!」となった。
(やけどはしていない。熱かっただけ。)
ただしこのお風呂はさすがに手間がかかりすぎるので、普段はシャワーだそうだ。

305.JPG 308.JPG
(右写真、煙があがっている小屋がドツォ。石を焼いている。)

家の中心には広い仏間。色とりどりに飾られたそれは、どんな若い新婚家庭にもあるんだとか。
もって行ったお土産は、その説明もそこそこにまず仏壇に供えられた。
教科書は英語、学校の授業も英語でおこなわれるというブータン、
会話に不自由はしないが、年配の方々は地元語であるゾンカしか話さない人も居る。
この家のお母さんもそうだったが、ジェスチャーでどうにでもなる。
夜はさっそくの手料理。かまで炊いたご飯に、おかずが4品。
かならず出てくるのはトウガラシのチーズ煮込み、というか限りなくトウガラシそのもの
である「エマダツィ」。トウガラシだけをそのまま、なんて…と思うが意外と食べられた。
あとは日によって、ジャガイモのチーズ煮込みとか、牛肉、アスパラ炒め物、ナス煮物、スープ、春雨料理など。
全体的に非常に美味しい。味付けが濃いので、ごはんもすすむ。
デザートにはもちろん畑でとれたりんごやトウモロコシ、それから地酒焼酎「アラ」である。
高地でアルコールが結構早くまわるので、少量で酔っ払い。
307.JPG 312.JPG

公の場(学校、職場など)へ出るときはかならず着る必要のある、民族衣装も着せてもらった。
たんすの中にはあらゆる色、柄の衣装がしまってあり、現代風にアレンジされたものから
代々引き継いでいるというものまで沢山。
コーディネートも大変そうだが、さすが「着道楽」と言われるブータンらしい。
制限があればあるほど、創意工夫というものが生まれるらしかった。
丁度、この時期は農作物が豊かだったのだが、冬に備え屋根でナスを干したりもしている。
が、概して農家は豊かなようで、何人か居る子どもたちも海外へ留学に出ているといい、
案内してくれたお姉さんも学生時代に色々な国を旅行した写真を見せてくれた。

ブータンは新旧の融合した不思議な国である。
(すくなくとも、いち旅行者の目には)順応しあって融合しているように見えた。
ほんの10年前にテレビもネットも解禁された、ついさっきまで鎖国をしていた国でありながら
家族のみなさんと撮った写真を送るね、といったところ教えられたのは
住所ではなくFacebookのアカウントだったり……(汗
この家のお姉さんにしてもイケイケで世界中を飛び回って悠々自適学生生活から、
いまはこうして実家に戻って農作業と家事をこなしている。あたりまえのように、不満そうでもなく。
家族はいつもみんなにこにことしていて、彼女もよく笑いよく喋る肝っ玉系なのだが
そのわりに博識で英語がぺらぺらだったりするから、なんかいろんなことが
よくわからなくなる国だった。

それは、古い街と出会ったときに感じる「こんな国がまだあったんだ」とか、
自然と共存した村々にきたときに感じる「つましく清貧なまでの美しさ」とも違っていて、
ただひたすら、生まれてこのかた見たこともないものをみる気持ちだったのだった。

309.JPG
(泊まった家。一般的な規模感らしいです…)

2010/09/16 06:58 | ■ブータン | No Comments

Trackback URL
Comment & Trackback
No comments.
Comment




XHTML: You can use these tags:
<a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>