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2010/07/19

地球の舳先から vol.175
ラオス編 vol.12

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夜が明ける。
乾季でゆっくり流れる川を一望する屋外に、ホテルの朝食スペースがセットされていく。
昨日と同じガイドが迎えに来る。いままでに接した外国人の中で、もっともキレイな英語。
彼は8人兄弟のモン族出身。ここでは「city」の反対語が「mountain」なのだと知る。
英語を学ぶために教師養成の大学へ行ったが、薄給の教師になる気は元々なかったとか。

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(まさに屋外、なレストランスペース。)

朝8時。いつもは起きてもいないような時間に、貸切のスローボートに乗り込んだ。
スローボートとスピードボートがあり、タイまではスローボートなら2日、スピードボートなら6時間で着くという。ただ、水嵩の少ない乾季はスピードボートは浅瀬でクラッシュする事もあり危ないらしい。

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2時間ほどで酒造の村へ立ち寄り、50度のお酒をなめて、一大景勝地のパクウー洞窟へ向かう。
大小入り乱れたブッダの像が所狭しと並べられているようすは、遺跡・寺院系に興味のないわたしでもポカンとして眺めてしまう。
ここへブッダ像を預け、1~2年してふたたび家に持って帰る人もいるそうだ。
その数、1000(オリジナル)、1000(寄付)というから壮大。
そして同数程度が、盗まれてもいるという。
石段を上がって別の洞窟に入ったが、ここは入り口すぐのスペースががらんどうだった。
なんでも、タイの窃盗団がかっさらっていったんだとか。なるほどね。

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ふたたび船に乗り込みながら、ゆったりと景色を眺める。
ごみになったペットボトルを活用して魚をとる網をたてている親子、洗濯をする女性。
すこし大きい集落では男性陣が泥だらけになって土木工事のようなことをしている。
ここは現代の、しかも同じアジアなのだろうか。
日本にいると「戦争」にも現実感はもちにくいが、こうした暮らしの方がさらになにか現実離れした光景に思えた。ガイドがラオスの説明をしてくれる。
山の標高が高いところにモンゴル系の「モン族」、中腹にカンボジア系の「カム族」、平地にラオス人が住むこの国は、70%が仏教徒、30%がスピリチュアル系。
寺院や遺跡をさしては「中国人が破壊した」と言い、結構な反中の気も感じた。
ルアンパバンの観光客の人数は1位がタイ(日帰りの需要も多いそう)、次いでフランス、オーストラリア、アメリカ、イギリス、日本と続く。冬の雨季は緑がキレイで、避寒地として欧州人が来るそう。
逆に、隣国ベトナムや、中国からの人々はだいたいがビジネス目的なのだという。

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街で出会う僧侶の格好をした人のなかにはまだ幼い少年も多く、代々、家が寺院とかの子どもかと思っていたのだが、今は、教育上、一定期間寺に入る学生も多いのだという。
そして寺で修行生活をしたあと、普通にカレッジに行ったりするそうなのだ。
しかしそういう人たちに限って、戒律を守らなかったり…要するに飲むわ打つわTVゲームはするわでけしからん、と言う人も多いとか。風紀を正せ!ってハナシらしい。

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船を下りるとまた大量の食事。次から次に出てくる料理に、これストップとか言わないと一生出てくるシステムなんじゃなかろうか、と思う。
ルアンパバンの中心部は小さくまとまっていて、道も目抜き通りのメインストリートを挟んで、メコン川沿いの通りと、もうひとつのナム・カーン川寄りの通りでこと足りる。
メインストリートにはレストランやマッサージ、お土産物屋が所狭しと並び、メコン側沿いは勿論リバービューのホテル街。ナム・カーン川側は一転してコロニアルで瀟洒な建物と細い路地が続く美しい町並み。

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夕刻には名物の小高い丘、「プー・シーの丘」まで300段ほど急な階段を昇る。健脚な一日。
ふたつの川に挟まれた、緑豊かな町並みが夕暮れになずみ、太陽はやがて最後の強い光を放ちながらメコン川へ消えていく。
ラオスのこの素朴さがわたしに与えてくる印象の根源――
自然に寄り添い、同調しているその有り様こそが美しいのだった。
ルーツが呼ぶのか奥の奥の血が騒ぐのか、そこに一抹の畏怖と羨望もないまぜになって。

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夕暮れを見届けたらまたしても食事である。
ラオス舞踊を見ながらまたしてもフルコース。そろそろ麺類とかでいいのだが…
途中で停電になって、1本のろうそくの炎でデザートのプリンを食べた。
筋肉痛防止に、この晩もマッサージ屋へ寄ってから宿へ帰る。なにもない宿へ。

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(演出ではない。停電したって、停電用自家発電ライトで踊るのだ。暗いけど…)

2010/07/19 12:22 | ■ラオス | No Comments

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