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2010/07/12

地球の舳先から vol.174
ラオス編 vol.11

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主目的地、ラオスのルアンパバンに着いたわたしは、自分の異変にようやく気づいた。
38度のヴィエンチャンが暑かっただけではなく、どうやら軽い熱射病になったらしい。
体が内側から熱くてくらくらするこの感覚は、東ティモールでなったときと同じ感覚。
あのときは、同じホテルに滞在していた国連軍の皆さんが大量に水を届けてくれたっけ。

今回は本気で、フライトが遅れたことを言い訳にして食事を一回抜こうと決心する。
予定よりも早く着いたのでガイドはまだ来ていないだろうと思っていたら、すでに居た。
夕食のことを申し出ると「ユー、それはプロブレムだよ!」と大反対に遭う。
なんでも街で一番高くて美味しいレストランを予約してあるのだそうだ。
「20ドルだよ?!」とガイドは血相を変えて説得してくる。
20ドル…現地の物価に慣れきるには、ラオス入り2日目は浅過ぎた。
いや、いいんだけどそんくらい…とまだラオスの物価に馴染めないわたしは思いつつ、その価格帯はもしかしたら、飾らない大衆的フランス料理で有名な「Elephant」かもしれない、と思う。
ラオスはフランス統治下が長かったためにフランス文化が多く入ってきており(首都の凱旋門もそう)、このレストランはいわゆるカッコつけの「おフランス」ではなく大衆的なホントのフランス料理を出す、というので、パリ好きの私はすこし気になっていたのだった。
「大丈夫!You can! Try it!」とガイドに根拠なく励まされ着いた先は、やはりElephantだった。
うれしいやら呆然とするやらで微妙なわたしを湿気と熱気が容赦なく襲う。
それでも、本能的にお腹が鳴るのだから、ゲンキンなものだった。

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硬くなりすぎず、フランスパンをすこしだけ素揚げしたようなクルトンが浮かぶ魚のスープ。
バゲットはバターもオリーブオイルもいらないくらいしっかりした味がついている。
メインのチキンは丁寧に皮をはがしてカタマリで焼いたトマトソース添え。
中には糸引くモッツァレラチーズが仕込まれている。
マッシュポテトはバターの臭みがなく、ミニトマトはオイルで形を崩すぎりぎりまで煮てある。
「うーーーーーむ……………………」。…素直に、感動。
見た目のキレイさとか細工とか、ホントはそういうのがフランス料理なのではない。
(芸術品のような懐石料理より、地産地消の一汁三菜がホントの和食で美味しいのと一緒だ)
キチンとした素材を、キチンと食わせる。そして豪快かな量も食わせる。
だから、ホントに大衆的フランス食堂では、むしろお酒がほしくならないくらい、なんだよな。

と言いつつも熱射病の気配が止まらない。いやな汗のかき方。
ホテルへ帰ったら冷房をたいて水風呂に入って洗濯をしよう…と思っていたのだが、
帰りに寄ったマッサージ店(ラオスにはたくさんあってとても安い)で全身をほぐしてもらっていたら、気持ちよすぎて途中で陥落し、1時間たつ頃には体がふわりと軽くなって、妙な熱の気配が止んでいた。
おそるべし癒し国家ラオス。

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目抜き通りから離れた、メコン川沿いのホテルは、ただ静か。
コンセプト別に6棟もあり、入り口で靴を脱いで部屋まで階段をあがる。民家のよう。
天井に回るファン。テレビはおろか冷蔵庫も無い部屋の大きな窓からは、メコン川が見えていた。なにもなかった。
そして、現代でなにもない場所を探すことの困難を思う。
「東京は愛せど何もない」と歌った嬢がいたが、ここにはその反対のものがあった。
風にゆれる川沿いの木々の音のほかには、自分が動く音しかしない、静かな夜だった。

2010/07/12 01:34 | ■ラオス | No Comments

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