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2010/05/31

地球の舳先から vol.169
ラオス編 vol.6

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飛行機の遅れで、もう乗り継ぎができるかわからない時間に、
ベトナム・ハノイの空港に着いたわたし。
ここから、目的地ラオス・ビエンチャンまでたった1時間のフライトなのに。

うーろうーろ、うーろうーろ。誰かに聞こうにも、ヒトがいない。
一応最大限の努力をしようと「とらんじっと!びえんちゃん!」と叫んでいたら
色々な人に指をさされ、ようやくトランジットカウンターが見つかった。
何人か並んでいるが空気は牧歌的であり、そこまで切羽詰った乗り継ぎ客はいなさそうだ。
が、ボーディングパスを印刷する機械が壊れたらしく、グランドスタッフは
機械を4人で囲み、「あーあ」みたいなことを言っている。
「これだから後進国はよぉ」と、モデル風のおねえちゃんを連れた男性が日本語で毒づいている。
わたしは、相手が日本人であることも一瞬忘れ、彼をまじまじと見てしまった。

…ベ、ベトナムが後進国だと…?

わたしは一瞬耳を疑った。ベトナムが後進国だったら、世界の9割がたが後進国ではないか。
しかし、昨今の東南アジアブームとベトナム=スパとおいしい食事!というテレビの洗脳に惑わされ、「ベトナム=観光立国=しっかりしている!」という勝手なイメージがあったのも確かだ。
今回の旅のタイトルが「ラオス6日間」から「ハノイ6日間」になる、色合いががくんと濃くなる。
…ちょっと待て。
ここでわたしは、最も牧歌的だったのはここまでの自分の言動だったことに気付く。
成田で「ビエンチャンまでの搭乗券を出してもらえないか」ともっと食い下がるべきだった。
少なくとも、わたしが乗り継ぎ客だということを、搭乗した時点で伝えるべきだった。
出発が1時間遅れた時点で、ハノイのグランドスタッフに連絡を取ってもらうべきだった。
最悪でも、着陸してすぐ、一報を入れてもらうべきだったのだ。
空港インフラの強力でない国(後進国とは言わない。意味が違うから。)に旅するときに
当たり前にとる防御術を、省いていたのはわたしのほうだったのだ。

…こ、これもすべてはあのチョイ悪のせいだ…!油断させやがって…!

と見当違いな逆恨みをしながら、わたしのサバイバル危機感にようやく危険信号が灯る。
並んだカウンターの中に向かって「ハイッ!」と効果音つきで手を挙げると、
「ワタシはラオスのビエンチャンに行くので、あと10分で飛行機が出マスっ!」と訴える。
係官たちは一瞬静止し、「Vientien?!」と血相を変えた彼らのバケツリレーは見事であった。
故障した機械は見捨て、白紙のボーディングパスに手書きでなにごとか書き連ねる姉ちゃん。
その間に、トランシーバーでなにごとかを連絡する青年。
ハンコを押しまくっている、偉い人っぽいおじさん。
準備が整うとカウンターからは別の青年が飛び出してきて、
目の前の階段を指さして「Upstairs(上の階)!!」と大真面目な顔で叫ぶ。

おお、とその迫力に気圧されながらもわたしはスカートのすそを持ち上げて、階段を駆けあがる。
あがったところにはまた違うスタッフが待ち構えており、わたしの荷物をぶんどるとX線検査に見事な横入りをして、金髪のおねーちゃん軍団を「オゥ」とか言わせている。
どこまでもニホンジンなわたしは、横入りした列の人々に「アイムソーリー、アイムソーリー、
フライト ディレイ」と繰り返しながら、人の輪を通過してゆく。
荷物係の青年はX線より向こうには行けない決まりらしく、ガラスの壁の向こう側から「Number3!!」
とゲートナンバーを教えてくれた。幸いにも、いちばん近いところ。
また中から人が出てきてゲートを開け、超長い外階段を「ここから降りろ」と言われ…
わたしは最後の乗客として、ぎりぎりで飛行機に乗り込んだのだった。

なんとなくの予感で、スーツケースで来なかったのは大正解だった。
すべて機内持ち込み手荷物にしていたので、相当な時間の短縮。
これで荷物のピックアップがあったら確実に間に合っていなかっただろう。
とにかく、乗った。
最後の乗客になったのは、まだいたいけな10代だった頃はじめてキューバへ行った時、
同行の相方が犯罪者扱いされてメキシコへの便に乗り遅れかかったあのとき以来だ。
そういえばあの時、ヨーロッパ人ばかりの乗客は、息を切らせたわたしたちが機内に到着すると
一斉に拍手と歓声が沸いていたっけ。。

最後のバケツリレーを思い返しては感心しながらも、腰をおろして「あぁ~」とおやじみたいな
ため息をつき、座席に沈んでしばし体力復活をはかる。
たった1時間のフライトなので期待していなかったのだが、ランチボックスが出た。
中を開けると、クロワッサンに生野菜とチーズが挟んである。
「…た、試されている…!」
水/生野菜/乳製品、口にしてはいけない(とJ○Bなどのツアーに乗ると言われる)
三大キケン物のうちふたつが挟まっているではないか。
まずは軽いジョグだな、と思い、腸の強さにはそこそこの自信があるわたしは迷わず平らげた。

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想定外に汗をかいたので、とりあえず着替えようと思い、きょろきょろしていると。
後ろの席からふと、声がかかったのだ。
「あの…ユウさんですよね?」

わたしはまたドびっくりして飛び上がった。
なんだってこう、目的地に着く前から、今回の旅は想定外のことばかり起きるのか?!
さてその声の主とは。

つづく。

2010/05/31 12:20 | ■ラオス | No Comments

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Comment & Trackback

ユウさんこんにちは。お返事ありがとうございます。
あはは、面白いほどというか、あきれるほど似た体験。私もルアンパバーンから成田に戻る途中、ハノイのトランジットで手こずりました。飛行機降りたら、誰もいない。一緒に降りた人たちはほとんどビザのカウンターに並んでいて、私と、フランス人カップルがうろうろするばかり。やがて飛行機から操縦関係とおぼしき人が降りてきたので無理矢理つかまえてカウンターにたどり着きました。フランス人カップルも無言で付いてきたので、ちょっと気分良かったです(笑)。
ハノイの空港って、必要なところには人もサインもなく、不明なところは人でいっぱい。不思議なところでした。
ランチボックスも、同様びびりました。でも、大丈夫でしたね。大体生野菜食べないとなると、ベトナムもラオスも食事できないかも。
って、インドでコレラにかかった自分が言うのもどうかと思いますが。
続きも楽しみにしています。
ゆうさん、本当に文章お上手ですね。もちろんテクニックだけじゃなくて、思ったり、考えたりしていらっしゃることが、深いのでしょう。
ググるとこのコメントがあがってしまうので、前回と名前変えました。

>Keikoさん
今回も読んでくださりありがとうございます!
やっぱり…!これがスタンダードなんでしょうか?!
そしていきなりあのBoxはびびりますよね。
でも、生野菜の料理が、あんなに多いと思ってませんでした。
これを拒否してたら食事ができないよ…と2食目あたりから割り切りました。(笑
っていうかインドでコレラって相当やばくないですか?!初めて聞きました!

Posted at 2010.06.8 11:57 PM by admin
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