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みなさまこんにちは。ラオスから帰国でややボケ気味。いや完全に浦島太郎なうえ
日本語がうまく出てきません。蛍光灯を指さして「キリマンジャロ」とか言ってます。
さて、いろいろ感慨深かったラオスのレポートは近々から開始するとして
今日は、興味深いプロジェクトを発見したので、閑話休題的にご紹介。
ワタシはけしてヒューマニストとかソーシャリストとかそういうんじゃないけども、
なんとなく、社会人になったらそうする、と決めていたので、毎月少額ながら
MSF(国境なき医師団)、PlanJapan、WorldVisionの3つの国際支援団体に寄付をしてる。
(ユニセフは…事情があって2年前に止めた。それを書くと炎上しそうなのでとりあえず略。)
で、今回そのPlanJapanが、ワールドカップイヤーに寄せて新たにプロジェクトを開始した模様。
>>サッカープロジェクト|ボランティア・寄付で途上国の子どもを支援。国際NGOプラン・ジャパン
内容は、パラグアイでのサッカースクール開校支援と、カメルーンでのサッカー大会開催支援。
ワタシはこれでも元超絶縦社会浦和レッズサポーターであり、僻地をいくつか旅をしたなかで
サッカーと世界の関係についてはいろいろ考えるところがあったので、備忘録も兼ねてまとめ。
(そういえばわたしの初ひとり海外は高校生の時のオランダだったんだった。写真は当時小野伸二が所属していたフェイエノールト・ロッテルダムのホームスタジアム。小野目的じゃなかったんだけど、引っ込みがつかなくなって行った)
■FIFAの加盟国(協会)は、国連の加盟国より多い。
ただいま世界208協会。なぜなら独立国だけでなく、地域ごとの加盟が認められているから。
たとえばイギリスはベッカムが有名な「イングランド」代表以外に、「スコットランド」、「北アイルランド」、「ウェールズ」と4国扱いになるので、サッカーファン的には「イギリス」という国名にひどく違和感を感じたりもする。
ほかにもFIFAは、香港、マカオ・台湾、グアムなどにも独立加盟の認可を出している。
イギリス4地域が統合すれば相当強いぞ、とかお気楽島国日本人的には突っ込みたくなるけれど、そこは当然オトナの政治のお話。
とにかく、一番にワールドワイドスポーツであることに変わりはない。
(東ティモール、首都のディリの難民キャンプにて。こんなところでだって、子どもたちは毎日サッカーしてる。東ティモールでは今回紹介したPlanJapanのクルマをいっぱい見たなぁ。)
■サッカーはなぜか人をナショナリストにする。
日韓W杯で日本戦へ行った知り合いのフランス人は、びっくりして卒倒しそうになったという。
「みんなが日本日本って叫んで、左胸に手を当てて君が代を歌って。あんな日本人初めて見た」
確かに日本は自国帰属意識が病的に希薄なわけで、このフランス人の感想は至極もっとも。
Jリーグ派のわたしはアンチ日本代表なのだが、Jリーグ上位チームが日本のリーグ代表として
アジアの各国内リーグチームと戦う大会「ACL」なんかは、やはり異様に燃える。
2007年、初出場したそのACLで浦和レッズは日本のチームとして初めて制覇を成し遂げた。
アウェー会場のシドニー、韓国などの弾丸ツアーへわたしも強行参加したが、
代表チームとは異質に熱狂的なサポーターを抱えていることもあって
敵地の会場は、体が震えるほど、狂気に満ちた鋭った風が吹いていた。
(ACLのチケット。韓国・仁川空港からスタジアムへ移動する車中で。)
■先進国の風景
イタリア、オランダ、フランスの各地で、わたしは国内リーグサッカーの試合を観戦した。
イタリアに行ったときは中村俊輔がセリエにいたし、オランダへ行ったときは小野伸二がいた。
環境も非常に整った、サッカー先進国である。けれど、いわば芸能界のような代表チームと違って地域に根ざしたクラブチームは、とにかく、観光で行くと見えない現地人の本性が垣間見える。
オランダの僻地に、元浦和レッズのペトロヴィッチ選手を訪ねて行った高校生のわたしをチームスタッフはグラウンドの中に上げて見学をアレンジしてくれたし、観光客なんか来ないその地のタクシードライバーは日本人だと告げると「オノか」と言い、いやおたくのチームのペトロを見に来たと言うと心から嬉しそうににやけていた。
泊めてもらったフェイエノールトサポーターの家では一家総出でフェイエの歴史のビデオを夜通し見せられ、父ちゃんはだんだん興奮して放送禁止用語を連発し、まだ6歳の息子はレプリカユニフォームにチームの旗を持って突っ立ったまま気絶したようにテレビに見入っていた。
外国人と接するとき、両者ともにどこか気取ってしまうのだけれども、サッカーが刺激するアドレナリンは、そういうものを悉く砕いてしまう。
使い古された日本語ではあるけれど、やっぱりサッカーは「世界の共通言語」なのだ、とやたら感心したものだった。
(フランス、パリ・サンジェルマンのホームスタジアム、Parc de Princes。派手さはないけれど、その分昨今の欧州サッカーにつきまとう利権や金がらみじゃなくて地域と人に深く愛された、ヨーロッパの昔ながらの古き良きサッカー文化の空気がした)
■途上国の風景
ヨーロッパにおいては、いわば国民病ともいえるサッカーだが、わたしがこのスポーツの真の凄さを見せつけられたのは途上国においてであった。
何がすごいって、このスポーツは、ボール1個あればできてしまうのだ。が、第一にそのボールが途上国においては、”丸くない”。竹で編んだ鞠のようなものや、ところどころつぶれた布製のものも見た。それでも子どもたちは一心不乱にサッカーに興じているのである。
道具がやたらと必要な野球は論外として、バスケだとしてもおそらくこうはいかないだろう。バスケのボールはきちんと跳ね返ってくれなければ話にならないし、砂の上では出来ない。
日本ではなんだかちょっとおハイソなイメージのサッカーは、実は相当庶民のスポーツなのだ。
イエメンで会ったマサさんは、赴任その日に現地の子どもたちにサッカーを挑まれ「負けてなるものか」と本気でサッカーして高地で倒れそうになったらしいし、東ティモールの難民キャンプでは3人集まれば広場へ出てサッカー。先日行ったラオスは、僧侶が寺院で洗濯を干しているそのなかで子どもたちがサッカー。
そういえばこうしてあらためて考えてみると、どこの国へ行っても、子どもがサッカーをしている光景に出会わなかったことはないような気がする。
(ラオス、かつての首都ルアンパブランの寺院にて。世界遺産と僧侶に囲まれてサッカーする少年たち。)
話を戻して、今回PlanJapanがサッカープロジェクトの対象としたパラグアイとカメルーンは、どちらも今年のワールドカップ出場国であるし、強いイメージもある。
それでも日本のように、サッカーにおける環境も教育も整ってはいない。
このサイトには、やたらシブいキャスティングの対談とか、それぞれの国の代表チーム情報なんかがあってなにかと玄人好みなので、
「何をしているんだか日本代表は・・・」とかイラつく代わりにぜひ訪れてみてほしいページ。
…と、いろいろ(というか98年にならって岡田監督の鬱状態が)心配な、
日本代表メンバー発表日に記念エントリでした。