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2010/02/12

地球の舳先から vol.155
フィンランド編 Vol.4

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さて、話は戻るが、サーリセルカの話をしよう。
前回、サンタ村の話を先に書いたのは、クリスマスから遠のけば遠のくほど
サンタクロース村の価値が下がるような気がしたからである。

青く淡んだ街、いや、「街」というにはあまりに小さいサーリセルカ。
オーロラも犬そりも目的ではない(両方カナダでトライ済みのため)わたしが、
日本人のフィンランド旅行者の間ではオーロラ観測ならまず選ばれるこの地を組み込んだのは、
「ラップランド(北極圏)に居たい」という情緒的な理由だけである。
かわりにわたしはヘルシンキをすっ飛ばし、国内線をすぐに乗り継いで北極圏へ到達。
気温はマイナス15度から20度の間を推移しているが、湿気がないので体感温度はそれほどでもない。しかし風が吹くと、風速4メートルごとに1度体感気温が下がるのでぐっと冷え込む。
とはいえ、各アクティビティ会社が貸し出している防寒具をレンタルすれば、
暑いということはあってもまず寒いということはない。…動いていればの話

実際わたしは日本でなにも準備と予約をしてこなかったので、サーリセルカに着いた翌朝から
当日参加できるアクティビティを探すことになった。
街いちばんのスパホテルを取っていたので、当然のことながらホテルのフロントの隣にはコンシェルジュがいてツアーの予約を請負い、日本語対応ツアーは割高に設定されているもの…というわたしの想像はもろくも外れた。
「あの、トナカイぞりは」と言っても、アクティビティ会社のパンフレットは見せてくれるが予約もしてくれないし、コンシェルジュデスクなんてものは存在もしないらしい。
「意外と…」とひとりごとを言いながら「雷鳥」という名のホテルに併設されているアクティビティ会社まで出向き、「トナカイ乗りたいです」と主張。その場でお金を払って、予約をした。
ちなみに夜は、スノーモービルで雪山をひたすら走りまくるというツアーを予約した。

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そう、ソリ。自分は動かない。これが盲点であった。
トナカイは犬ぞりのように疾走するわけもなく、ぽっくぽっくと歩くのみ。
その割にラップランドの自然の森をぐるーりと一周するので、防寒具を着ていてもブルブル。
たまにデカいトナカイが振り返ったりすると、「ヒィィ」とおそろしい。
そうトナカイの顔は意外にもスゴク怖いのである。
おまけに、草(エサ)をあげないと威嚇してくる始末だ。
鼻もぜんぜん赤くない。どうなっているんだ!と憤慨しながら結局2時間もトナカイに揺られた。
「絶対今晩食ってやる!!!!!」となぜか戦闘モードに入るわたし。

寒すぎるのだが、絶妙のタイミングで、ホットベリージュースなるものが供される。
文字通り、ベリーのジュースをあたためたものなのだが、こちらではかなりメジャーなようで、
ティーバッグの商品もたくさん出ているよう。
ベリージュースをテントの中でサーミ族(現地原住民)のおじさんにジンジャークッキーと共に出され、心は和むのだが、体温を取り戻すには至らない。
ここで、マイナス15度の世界で何が起きるかを記録しておきたいと思う。

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1)バナナで釘が打てる。
これは試していないので知らないが、凍ったものが相当な強度を発揮することはよくわかった。

2)凍傷になる。
上述のとおり、あまり体感温度が下がらないので、「なんだこんなもんか」と見くびっていると気づかないうちに凍傷になったりするらしい。
地肌の肌色に白い斑点が浮かんできたら要注意だそうだ。怖っ。

3)カイロが効かない。
サーリセルカからサンタ村へ行くバスを待つため、15分ほど前にバス停へ行った。
どれほど遅延や早着があるのかわからないのと、1本逃すと長距離バスは次の便まで4~5時間ということも珍しくないので、賢明な判断だったとは思うのだが…
防寒具を返し、サーモインナー2枚とスウェット、ヒートテックのハイネック、ジャケット、スキーウェアでも所詮日本製は日本製。
地面に接した足からとにかく凍ってくる。スーツケースをあけてカイロを出し、足裏に装着。
ところがカイロはものの1~2分で完全沈黙。どうやら、有効な気温層を下回るとまるで使い物にならないらしかった。これも盲点であった。

4)鼻水が凍る。
わたしは、後述の5)の反省から、つねに顔まわりを覆っておくことにしたのでこの被害には遭わなかったのだが、乾燥しているため、「鼻血が凍る」ということが多く起きるらしい。
で、もぞもぞするから鼻に手を突っ込んで引っ張ると、完全に自分の鼻の形に固形化した鼻血が採取できるらしい。
鼻の内部の形など、なかなか見ることがないため、なかなかに感動する経験らしい。

5)睫毛が凍る。
これはほんとう。フェイスマスク(いわゆる目出し帽)をかぶるのは、外気に顔の地肌が触れないためと思っていたのだが、もうひとつ意味があった。
とにかく、自分の吐いた息というのがいちばん温かいので、それが瞬時に蒸気となって凍るのである。
そして、位置関係上、吐いた息の蒸気は睫毛につく。で、瞬時に凍る。
このとき、マスカラをつけているとそのまま睫毛がボキッと折れるらしい。
とわたしは聞いていたのでつけなかったのだが、息をすると睫毛が凍り、次いで下睫毛も凍り、まばたきをすると上睫毛と下睫毛が凍ってくっついて目が開かなくなる。
というなんだか物凄い体験をした。「目ッ、目があーッ!」と、ひとりパニックに陥るニホンジン1名。

6)カメラが結露する。
これはトラベラーにとって一番痛い。
フィルムカメラと違って、デジタルカメラは色々なICチップや電子回路でいっぱい。
ここに水分が入ると当然、電子機器は死亡。
冷たいところに居る間はカメラは意外と丈夫なのだが、あたたかい室内に持ち込んだ瞬間蒸気が発生してカメラを壊す。これがおそろしい、「結露」という現象だ。
わたしも、マニュアル通りに冷たいところから持ち込むときはタオルで巻いてジップロックに入れて最低数時間、できればひと晩かけて室内温度に慣らす、ということをしていたのだが、それでも1台は壊れた。北極圏へ行くなら、予備のカメラは必須。
加えて、寒いとバッテリーの消耗が激しいので、いつでも充電をできる環境に無い旅中では、電池で動くものがベター。

と、以上のようなことがわたしが北極圏で学んだことである(えっへん)。
次はフィンランドの食事特集でもしようと思う。

2010/02/12 11:59 | ■フィンランド | No Comments

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