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イエメンに行くより前に予約のリクエストを入れていたフィンランド。
これが、チャイナ・エアーと永久決別したわたしが見つけた、旅を安く上げる方法。
旅行会社にリクエストだけ前々から入れておき、金額が発表になったらすぐに押さえてもらう。
気の向くままに、おもむくままに、とはいかないけれど。
ヘルシンキに着いたのは、15時半。太陽はすでに翳っていて、一面が青かった。
1日中太陽が沈まない「白夜」に対し、1日中太陽が出ない「極夜」がフィンランドには1~2ヶ月あり、
これは「カーモス」といって第5の季節と呼ばれている。
わたしは極夜といえば一日中真っ暗なのだと思っていたのだが、これは誤解で、水平線すれすれのところに太陽がくるために、あたり一面が「青く」なったままになるのだそうだ。
まさにヘルシンキ空港の夕方がこの「青い」状態で、ビール片手にスタンディングバーで相席したフィンランド人のご夫人にわたしは「これが1日中続くのがカーモス」と教えてもらった。
こちらから聞けば喜んで親切に流暢な英語で答えてくれるが、それ以上ぺちゃくちゃお喋りしまくってこないのがフィンランド人のようだ。
北の最果てで空港を降りて、文字通りわたしはひとりになった。
年末というのはむしょうにいろいろなものを整理したくなるものらしい。
スパホテルだというホリデイクラブ・サーリセルカで荷を降ろし、死んだように眠った。
のもつかの間、時差ぼけで数時間ごとに目を覚ましながら、朝を迎える。
暗闇から一転して、カーモスの青色に染まった町へと繰り出したわたしを待っていたのは、
息を呑むほど美しい、この世のものとは思えない光景だった。
淡い青色に染まった街。外套のオレンジの光が、一面の白い雪に反射する。
木の風情を生かした建物と、樹氷のなかを一歩一歩、降り積もっては跡を消していく雪を踏みしめ、また新たな足跡がスノーブーツとこすれて音をだす。
ざっく、ざっく、という定期的な自分の足音しか聞こえない一本道。
道路といっても車道と歩道の境もなく、少ない車通りは、歩行者をみつけるとなんとなく止まる。
「これがカーモス…」
わたしは文字通りすっかり空気に呑まれながら、サーリセルカという、日本人旅行者にはおなじみの北極圏の街を歩く。
寒すぎるからあんまり長時間散歩はできないかな、と思っていたのだが、1時間もあれば街の中心部がぐるっと回れてしまうコンパクトで便利なところ。
大きな主要ホテルが目印のようになって道がつくられている。
ホテル街を抜けるとスーパーマーケットにショッピングアーケード。
そのとちゅうに、可愛い雑貨屋さんがこぢんまりと佇む。
街の入口である小さな協会に着いて、サーリセルカ一周は終了。
大きなホテルに併設してあるアクティビティツアーの受付で、トナカイぞりとスノーモービルを予約し、一旦暖をとるために帰った。