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2009/12/11

地球の舳先から vol.148
イエメン編 vol.10

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(国内線のフェリックス航空の機内から。終始この調子で低空飛行だった)

とりあえず何事もなかったシバームだが、胃の底の重いものは拭いきれない。
2分遅刻して行った朝食の場で、日本人研究者のキクチさんが話をしてくれる。
イエメンの一番の問題は教育と医療だという。
コネが無ければろくな医者にもかかれないし、女性の識字率は50%以下。
そういえばマサさんも、「お知らせを出しても字が読めないから」と言っていたっけ。
でも、少ないながら大学に進学する女性は本当に凄まじい努力と決意のため、成績優秀者はほとんどが女性だったりもするという。
女性は女性しか診れないので、女医さんの需要は結構あるそうなのだ。
(白衣の下はやっぱりアバヤの黒装束らしい…動きにくそう。)

しかしほとんどのイエメンの人は1次産業以外の働き方を知らないのだという。
外資系企業もイエメンに進出しているものの、イエメン人を雇おうとしないそうだ。
トヨタも含め、外国人を雇ったほうが住居などの面倒も見なければいけないため5倍の人件費がかかるといわれているのだそうだが、それでもイエメン人以外を雇ったほうが割に合ってしまうのだという。
大企業も、社長や重役には外国人を招致するのだそうだ…。

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(国内線の搭乗券。手書き。そして全席自由席。かえるぞサナアに)

いろんな人に心配されながら、そしていろんな人に守られて、行って帰ってきたシバーム。
サナアの空港へ着くといちばんに、マサさんに電話をした。
「無事かえりました」
「ああよかった、おかえりなさい」

今晩、ユウさんリツさんの来イエメン歓迎パーティーを用意しています、とのこと。
国連や世界食糧計画や青年海外協力隊など、イエメン在住の日本人オールスターが集結するらしい。
普通じゃ考えられない、濃くて貴重な旅をさせてもらっている、とまた実感する。
午後はサナアを散歩して、夕焼けのアザーンを聞きながら、オールドサナアからすこし離れたところにあるマサ家へ。
このマサさんという人だが、かなり類稀な人である。
少なくともわたしはいままでの短いながらの人生の中で、これほどまでに情熱を持ち、真摯で誠実で、かつ他人への思いやりに溢れたやさしい人に会ったことがない。
とくに政府機関とか、NGOの人たちというのは、なんだか妙な「自分はなんでも知っている」もしくは世の中を「下に」みている人が多かったり、あるいは理解されないゆえに卑屈になっていく人にも会ってきたのだが、マサさんの思考はとてもバランスに富んでいる。
国境とか社会とかだけではない「世界」の広さや、白人とか黒人とかだけではない「人種」の多様さとか、そういうものを一切合財うけとめている懐の深さがあるのだ。
マサさんに日本で会った際に一緒だったJunkStageスタッフ松本さん、酒井さん、そして今回同行したリツさん、立花さんも一様な印象を持ったようで、たびたびマサさんを形容することばとして「聖人君子」ということばが出たのも、あながち言いすぎではない。

…んが。そんなマサさんも私たちとおなじ人間だったのだ、と思ったのがこの日である。
マサさんおよびユニセフおよび日本国の名誉のためにすべて伏せるが、「マサ家のXXXXXはこちらです」という張り紙とか、ドバイからXXXXXしたXXXXXがあったりとか、海岸都市アデンの海でカニを追ってXXXXXXXXとか…一連のマサさんの武勇伝を知ってしまった…。笑

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そんな和やかなパーティーを彩ってくれたのは、マサさんの家に週何回か通いで来てくれているというメイドさんのこれまたおいしいお料理!食べ過ぎはまたも進行していく…
数日前に拾ってきたという猫はすでに人になついていて、その場に居た人たち片っ端から膝の上で寝ていた。まだ生後数ヶ月なのではないだろうか、非常に可愛くて萌え死にそうになる。
JICA(青年海外協力隊)の隊員の女性が作ってきてくれたケーキもとても美味しく、お茶受けに、マサさんがヤカンで緑茶をいれてくれる。

会は進むうち、その場のメンバーの属性もあり、イエメンの政治情勢の話に。
特に、何が起きているかわからない、部族間紛争の起きている北部事情について。
国境なき医師団までもが足止めを食らい、一部には虐殺が行われているという説もある。
マサさんが尊敬して止まないという、同じユニセフで働く日本人のTさんは、何カ国をも巡ってきており外国人との子どもを日本に残してきている方。
そのTさんが自らの経験を語りつつ、つぶやいたことがある。

「やっぱり、死体は見たくないよ…」

当たり前すぎるその言葉は、あまりに現実味を帯びていて、そしてあまりに、深かった。

報道の妙、もある。同じくTさんが話してくれたことだが、日本の学生運動全盛期、カメラは制止する側について報道を行ってきた。そこにうつる学生たちの姿は、無秩序で、暴力的で、「とんでもない」という世論をつくるに至った。
がしかし、一旦学生側から撮った映像にはとんでもない機動隊の“事実”が写っていたのだという。
どこから、何を見るのか。それで“真実”さえ、姿を変えてしまう。
なにをもって真理とするかなんて、所詮個人の「思い」もしくは「見方」に過ぎない。

わたしたちの目には、何が映っているだろうか?
それが真かどうかなんて永久にわかることはないのだろうし、そもそも「真」というものが存在しないものなのかも、しれないけれど。

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2009/12/11 11:32 | ■イエメン | 1 Comment

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[…] とがある。 「やっぱり、死体は見たくないよ…」 当たり前すぎるその言葉は、あまりに現実味を帯びていて、そしてあまりに、深かった。(イエメンにて http://www.junkstage.com/yuu/?p=520) […]

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