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2009/04/21

地球の舳先から vol.120
ベリーズ編 vol.2(全6回)

さて、こうして資本主義と砂糖と油のかたまりを堪能したわたしは、
あらかじめ調べておいた在グアテマラ・ベリーズ大使館にビザを申請しに行くこととなった。
手にしたのは地●の歩き方。タクシーに乗って住所を差し出すと
「大使館か?大使館は引っ越した」といかにもあやしげな運転手が言う。
ああ、何度同じ手に引っかかっただろうか。
「その店は今日定休日だから違う店に連れて行ってやる」
「そこは閉鎖して住所が変わった」といってタクシー代をぼったくる連中。
わたしは覚えたてのスペイン語で「いいからここへ行ってくれ」と、毅然と言い返す。

……。

世の中は悪い人(=観光摺れした国)ばかりではないことを知る。
大使館の扉に張られた引越し先住所を大きすぎるため息とともにメモり、日本の方向に向かって
「ち●ゅうのあ●きかたの、ばっきゃろー」と叫ぶ。運転手さん、ごめんなさい。
ふたたびタクシーで新・大使館へ。営業時間は終了、下がるシャッターに「うごごごごご」と突っ込み
「スイマセン。どうしてもビザを」と嘆願。
ち●ゅうのあ●きかたを出して、「引っ越してたから、だもんで」と言い訳。
警備員みたいなマッチョな担当者はうなずいて、ビザ(ベリーズの場合はパスポートに1ページ分の大きさのスタンプを押すタイプ)に日付を入れてくれた。
なんと融通の利く!!!!!!と、キューバの共産主義社会主義(必要以上ニ働キマセン)に慣れきったわたしは感動しきりである。
「グラシアス(ありがとう)」を連発し、日本人が経営する民宿にて夜を明かす。
1階は駐車場と大量のイヌ、しかも番犬っぽいデカいコワそうなイヌが。
「泥棒が多いから、夜ここ来ないようにね、食べられちゃうから」と笑うマダム。
いやワタシ的には泥棒よりもこいつらのほうが怖いんですけど……

ドッグフードになることもなく1泊で民宿を失礼し、ベリーズとの国境のあるフローレスという町へ。
まるでさびれた湘南のような、ビーチ沿いにぽこぽこコンドミのような宿泊施設が立ち並ぶ。
大量の蚊と、ヘヘンという刺すいやな虫。…蚊とヘヘンと戦う、初の陸路での国境越え。
途中で大きなバスに乗り換え、さらに途中で乗ってきたこれまた怪しいおじさんが、
「外貨両替をしてやるぞ」と札束を手に言う。レートも手数料の提示もなにもあるわけもない。
しかし当然わたしはベリーズのお金など持っていないので、ほかの観光客と同じように
おじさんをじろじろ不信の目でみつめながら、エリザベス女王の肖像の入った紙幣を手に入れる。
偽札じゃなかろうか…と一抹の不安が過ぎる。

belize_boader.jpg

そして、国境へ。日本人には未知なるもののひとつが、この「陸の国境」である。
北朝鮮と韓国の国境である「38度線」へ行った時もびっくりしたのだが、
国境といえど鉄柵がそびえているわけでもなんでもない。
38度線は駐車場のクルマ止めみたいな高さ十数センチのコンクリだったし、
ここの国境も、プレハブみたいな掘っ立て小屋がぽつねんと建っているのだった。
目に見えない線。あっち側とこっち側に、本来なんの差もないというのに。
どうして地球じゅうは、こういうシステムになっているのだろうか。

バスは客をおろすとふたたび爆音で「あちら側」に走り去り、所定の駐車場らしき所に停まった。
乗り遅れては、と列にならぶわたしに、しきりにモノを売りつけようとする人たち。
ちょうど荷物もカバンからはみ出していたので、特にかばん売りがわたしに群がる。
グアテマラの色とりどりの糸で織られたドラムバッグを1つ購入した。
もう値切らないことにしていた。余裕があるわけではないが、モノの値段は作った人に決める権利
があり(なんでもそうである)、売る人間は「買う人間」を見ている。
グアテマラ人に売る値段の10倍をふっかけたとしたら、彼らにとって日本人とはそういうものなのだ。
あとは飲み物を買い、うまくグアテマラの硬貨をつかいきる。

掘っ立て小屋や周辺の露天にはそれでも、誘拐された子どものチラシなどが所狭しと貼ってあり、
ここが線であることをわたしは再認識し、すこし気を締める。
なんたって、わたしの旅の一番の関門がこの入国管理なのだから。
いつもの鉄則。嘘を言わない。笑顔を振りまかない。こぎれいにする。
「どちらから?」の質問に、
「グアテマラ、キューバ、メキシコ、アメリカ、日本。キューバで踊りの勉強をしてる」。
「ベリーズへは何をしに?」の質問に、
「キューバで知り合った日本人が、キーカーカーが素晴らしいって言うから。」
…突破。ほっとして掘っ立て小屋を出ると、さっきまで乗っていたバスがエンジンをかけ始めた。

うだる暑さ。となりの欧州人がくれた、半分とけたチョコレートバーで空腹をつなぎ、
バスは国境の町から最大都市、ベリーズシティへと向かった。
ビーチリゾートの楽園であるというふれこみのキーカーカーまでは、まだ心理的に遠い。

つづく

2009/04/21 11:05 | ■ベリーズ | No Comments

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