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地球の舳先から vol.114
日本編 vol.9(全10回)
実は今回の旅は、お金がなかった。
わたしにとって旅はライフワークであるので、毎月生活費とも貯金とも別に旅行資金というのを積み立てている。
が、今年はわたしは秋に本気でイエメンに行きたい気がしている。
マサさんの連載「幸福のアラビアだより」が気になりすぎるのだ。
航空運賃はまだ発表されていないが、今年は9月に奇跡のような大型連休があるので料金は吊り上がるはず。
つまり、今回の「国内」旅行に、金を使っている場合じゃないのだ。
しかしくさっても「旅」。エビやウニに指をくわえてコンビニのパンなど食べるわけにはいかない。
そしてもうひとつの誤算は、わたしがこれまた勝手に「トーホクは物価が安いはずだ」と決め付けていたことだ。
たしかにサカナは安かった。肉も安かった。
しかし旅館も星野リゾート様とはいえ2泊で4万円近くしたし、驚いたのはタクシー。
八食センターから八戸駅まで、10分足らずのタクシーが1500円もしたのである。
(道が広くて空いているので、かかる体感時間よりも実際は結構な距離を走っているらしい)
わたしが2つ目の今回の旅目的に挙げたのは「寺山修司記念館」の訪問だった。
しかしどう少なめに見積もっても、記念館までは直線距離でも10キロはある。
さすがに歩くわけにもなあ、と吹雪事件を思い出しながら逡巡しているとき、三沢駅前のある店が目に留まった。
「ニッポンレンタカー」。立ち止まってしまったわたしがいた。
わたしは去年の11月の終わりに免許を取ったばかりである。
5回も卒業検定に落ち、仮免許の有効期限が…というときに、
色々、$&×+α∴⇒┏ц≧∞┃ч¬な手段をつかって免許を取ったとき、
「こんなこわいもの絶対にもう一生乗らない」と心に誓った……のだが。
店員はウエンツのようなハーフ系美少年。
「東京にいてすっごく可愛いんだけど自分のこと可愛いと思ってないなんて人いないでしょ」という誰かの言葉がよみがえる。
この人、たしかに東京にいたらニッポンレンタカーの店員なんてやっているわけがない。三沢おそるべし。
「免許とったばっかなんですけど」
「初心者マークは貸し出しありますよ」
「……雪ですべりますか?」
「スタッドレスですからね」
……スタッドレスって何? なんかタイヤのCMで聞いたことある気がするけど。
横浜ゴム?織田裕司?ああ、思い出せない。
「チェ、チェーンとか、つけたことないんですけど、やってもらえるんですか」
「……あ、だから、スタッドレスなので。」
……だから。スタッドレスって何?!
いかん。ここであまり店員の恐怖を煽っては、クルマを貸してくれなくなるかもしれない。
「あっそうか、そうですよねーハハハ」
などと適当に話をあわせ、なんとなく予約することになってしまった。
不安すぎる。でも、あのやくざな運転をするタクシーがいっぱいいる246や明治通りを走れたのだ。
100万人いたら99万9993人くらいが常に急いでイラついている東京の街を煽られまくりながらも走れたのだ。
と自分を勇気付けるが、教習車以外で走ったことも、つまり教官や補助ブレーキなしで走ったこともない。
もはやアクセルが右だったか左だったかも覚えていない。ていうかシビックにしか乗れない。
左手でガチャガチャするやつは、DかRにしか入れたことがない。
ハンドブレーキは何のためにあるのかいまだに知らない。
でも、道広いし、車少ないし、人優しそうだし、案外大丈夫かも!
「クルマの大きさは、どうしますか」
「ちっちゃいの、ほんとちっちゃいのにしてください。」
「じゃ、禁煙車、ナビ付き、1000cc、予約しときますから。」
と、ウエンツは予約票をわたしに渡す。トーホク、やっぱ半端ない。
1000ccってクルマだよね?ナナハンってあの暴走族のよく乗ってるやつ、あれ750ccってことでしょ?
ってことはバイクとそんなに変わらないな!よし、大丈夫!
「ガソリンは満タンにして返してください」
ガ、ガソリンスタンド行ったことない。セルフじゃ絶対ムリだ。
でも、何事も経験だ!みんな最初は初めてだ!
「レ、レギュラー?ですよね?」
「……はい。」
なんだその間は。不安に思われたか?だってハイオクはトラックでしょ?軽油は業務用でしょ?ちがったっけ??そんなん、ガッコウデオソワッテナイヨ。
大丈夫、「レギュラー満タン」って言えばいいだけだよね。ああ、言ってみたい!
当然、朝から飲むわけにいかないので、この日はよく地酒を飲んでふらっと寝ることにした。
ウェンツの写真はないんですか…w?
>晶子さん
うん、運転してるあたしが怖いくらいだから・・・orz
>ベルさん
ないって!! 汚しちゃいけません。
本当に、あなたの運転だけは乗りたくないです…
絶対に。
何があっても。