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2015/03/04

地球の舳先から vol.354
東北(2015)編 vol.6

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「行きたいけれど、行けないところ」というのがある。
「行きたいけれど、行っても仕方なさそうなところ」というのも、ある。

前者は、治安や情勢、政治的な問題でいま物理的に入れない、ないしは
そこへ入るための責任や覚悟や知識やスキルが、自分を上回っている場所。
わたしにとっては、今のコーカサスや南イラク、リビアやスーダンがそれに当たる。
(わたしは、どこへでも飛ぶ軽率なやつだと思われているが、違うのだ)

後者は、単独で足を運んだとしても、専門家や現地の人のガイドが無ければ
行ったとしても結局、その地を堪能満喫するに足らないと思われる場所だ。
この筆頭株が、わたしにとっての「岩手県西和賀町」だった。

まずは、『東北食べる通信』のこの特集をちらりと見てほしい。※クリックで拡大
(同誌とわたしのつながりについては、過去の記事をどうぞ)

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この、壮観としか言えない美しい写真の数々に、わたしは完全に心を奪われた。
「絶対にここへ行く」と発作的に思ったものの、その写真たちは、雪や山の歩き方を
完全に心得た人のみが立ち入りこの目で見られる景色であることを語っていた。
しかし一度焼き付いた写真の景色は、いつもわたしの頭のどこかに居ては
「次はどこへ行こうか」と考えるたびに、激しく主張してくる存在だった。
…そして、あまりに悶絶するので、もう行くことにした。

なんと、食べる通信で地元と読者をつないだ瀬川さんが案内してくれるといい
しかも!あの写真の数々を撮ったという瀬川さんのお父さんにも会えることに。
勇んで「ほっとゆだ」駅に到着したわたしは、外を見てまず面食らう。

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(クリックで拡大、してももはやこれらがどういう事なのかよくわからない)

ブルドーザーだかショベルカーだか、とにかく黄色い重機が道路を走っている。
車は、走るそばからの豪雪を集め、ナンバープレートすら雪で隠れている。
家の高さくらい雪が積もっている。というか、雪の中に家がある?地面はどこだ。
家の屋根の形が、皆おかしい。一直線だ。ハの字じゃなくて、/こんな形。
そして、駅の売店には、なぜかとてつもなく長い大根が売っている。
なんだか変な王国に来た!というのが、第一印象だった。

「いや~今日はなんだか、暖かくて」となぜか残念そうに言う瀬川さん。(氷点下です)
「雪の上を歩く」とは聞いていたが、次にわたしが目にしたのはスキー板。
スキーと言えば、小学校の時に両腕を折ってから雪に乗っていない。
○十年ぶりにスキー板とストックでへっぴり腰の散策が始まった。
ちなみにこれはクロスカントリースキーで、つま先部分のみを固定するので
歩きやすいらしい…? 確かに、長靴で雪の中を歩くよりはいいのかもしれない…
が、素人のわたしは明日の全身筋肉痛を覚悟した。

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履いているのはクロカンだが、整備されたクロカンのコースがそこにあるわけもなく…
道なき道を、瀬川さんが前日にロケハンしてくれていたという…!
雪に覆われた湖(わたしにとっては雪山)をどんどん入っていく地元民3人。
ズサーっとコケるわたし。を起こす皆さん…
雪は鮮度が高いからなのか積もりたてでフワフワしてコケても痛くないのだけれど
コケるとひとりじゃ起き上がれないのが困る。唯一うまいのはターンだ。どやっ。

そして、この雪に閉ざされた世界で逞しく生きている命を発見。
…ではなく、瀬川さんお父さんに教えてもらって気づく。さすが西和賀のプロ。
わたしは自分の足元でいっぱいっぱいである。

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帰った山小屋のお家がまたなんとも素敵だった。
人力で丸太で建てたのではと思うようなお菓子の家みたいな山小屋には
ひと冬分割られた薪が積み上がり、室内にはやかんをのせたストーブ。
お母さんが、魔法瓶の水筒からお茶を注いでくれる。
何から何まで、おとぎの国みたい。

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ちなみにお父さんの瀬川強さんはプロのカメラマン・プロのガイドで
Facebookにはものすごい写真がたくさん上がっているので必見。
しかし、本当にお気に入りの写真はFacebookにはアップしないとのこと。
現地でその秘蔵お宝写真を見せてもらったのは、言うまでもない。

発想の貧困なわたしは、雪国に住まう一家と言えば
無口で怖い頑固親父と、おしんのような物静かで忍耐強い妻…
のような家庭を想像していたのだが、まったくもって逆の
西和賀愛に溢れるのびのびとあたたかい瀬川さん一家のファンにもなり
再訪を誓ってこの地をあとにしたのだった。

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(帰りは駅前で名物の納豆汁であたたまる。)

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(後日、西和賀町にふるさと納税をした。選べるギフトより湯田牛乳ギフトセットを頼んだら、その量にたまげました。ふるさと納税の西和賀町のページはこちらから。)


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