« | Home | »

2015/02/06

地球の舳先から vol.351
東北(2015)編 vol.3

東北旅の振り返りを始める前に、すこし前置きしなければならないことがある。
色々な地で色々な方にお世話になったが、その多くが「食べる通信」を通じたご縁だった。
この「食べる通信」について、最初にご紹介をしておきたいと思う。

「東北食べる通信」からはじまったこの「食べる通信」というシリーズは、
表面的にだけ一言でいうと、定期購読専門の、食べ物つきの月刊誌。
震災後の2013年初夏に発刊したばかりの試みだ。
毎月、ひとつの地域や生産者を取り上げた雑誌と、あくまで付録としての
食べ物がついてくる。帆立とか、短角牛とか、山菜とか。

普通じゃないのは、その情報誌が大変に素晴らしいハードボイルドドキュメンタリーなこと。
流通を介しては絶対に見えない生産者の日々、一次産業の問題などが深く
クローズアップされるのだが、とにかく「人」の魅力に満ち満ちている。
自分の口に入るものを、どこか他のでも同じ人間が作ったのだろうという事は
考えればわかっても、肌感としてはなかなか湧かない。

「今日は漁が不調なので発送を延期します」ということだって当然にある。
生産者がFacebookのコミュニティに登場し、読者がレシピや料理を投稿していく。
相手が見えなかったのは生産者の側も同じなようで、濃いコミュニケーションが交わされる。
生産者が食べ物を持って東京にやってきて交流会をすることもあれば、
生産現場に読者が手伝いに行くツアーが開催されることもある。
車を出すからあの人に会いに行こう!と言い出す読者がいる。
そうして人に惹かれ「CSA」という、生産者との直接契約を結ぶ人がいる。
地域や生産者が気に入って、CSAの立ち上げに手を挙げる読者もいる。

創業者の東北食べる通信編集長の高橋さんは、グッドデザイン賞のプレゼンでこう言った。
「私たちがデザインしているのは、雑誌ではなくて関係性」
(全文の書き起こしがこちらで読めるのでぜひ。ものすごく素晴らしいプレゼンテーション。)

稲刈りに際し不測の事態におちいった生産者の米農家さんがHELPを訴えたところ、
全国各地からのべ200人もの読者が駆けつけたこともあった。
農家さんに負担をかけないよう率先して皆の行程をとりまとめる読者が現れる。
違う号の生産者や、行けない読者からも次々に差し入れが届けられ
大自然の中でみんなで稲刈りをしたそうだ。

インターネットは革命だと言われて久しいけれど、
「ソーシャルメディアって、こういうことだったのか」とようやく真に思った。
「食」と「インターネット」から、小手先のテクノロジーではなくて、
何か大きなものが変わろうとしている。
たぶん、価値観を経由して、生き方そのものが。
いや、最近の何十年かのほうが、きっとクレイジーだったんだろう。

食べる通信は、クラウドファンディングで資金を得て、全国リーグ制に拡大。
私が向かったのは、姉妹紙の「東松島食べる通信」で知った東松島市。
次回は東松島について、書いていこうと思う。


こちらは東松島食べる通信<2014年秋号>のお米とイクラ。
冒頭のの写真は東北食べる通信<2014年5月号>の西和賀町の蕨です。


Trackback URL
Comment & Trackback
Comments are closed.

[…] « ■『東北食べる通信』との出会い | Home […]