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「ライオンキング」が、20ユーロで見られる。との聞き捨てならない情報を得て、
オペラ座近くのMOGADORという劇場へ。
日本でも見られるし…と思い、行くか行くまいか悩んでいたのだが、
仏版公式サイトで流れていたフランス語版の音楽にすっかりハマってしまい
気付くと劇場にいるという“ポニョ現象”。
この音楽での洗脳というのは新手の宗教のような気さえしてくる。
結局バルコニーの真ん中の席にしてしまったので55ユーロ。
ライオンキングといえば、日本でも劇団四季でロングラン中。
それを想像していたので、まず劇場の小ささにびっくり。舞台の広さも小劇場規模。
しかしオープニングのコーラスに圧倒され、姿を現した舞台セットの凄さにまた驚き。
ワイヤーワーク多用で人(動物って設定か)が飛びまくる。
やはり歌がとにかく良く、舞台なのに目を閉じて聴きたいほど。
国によってこんなに違うものかと思うほど、演出も振り付けもフランス流だった。
サイドの2階バルコニーに設置されたパーカッションスペースで演奏するのは、
アフロヘアーをオールバックにしたジャマイカ風の人。
ダンスの振り付けにはRockやHiohopも取り入れ、
キャストはどこかのバレエ団とは違って人種・肌の色が入り乱れている雑多さ。
そして何よりも、舞台上の人たちに「演じている」という感じが全くしないのだ。
キャストが心から楽しそうで、「今の絶対台本にないでしょ」というような動きも。
こんなにコメディだったはずがない、と思いながら、フランス流ライオンキングに心から笑わせてもらう。
途中の15分間休憩ではサロンでシャンパンを。
シアターに来た時は高くてもシャンパン、が日本でもパリでも変わらないわたしの小さな贅沢。
やはり演劇に規模は関係ない、というか、
この地であらためて小劇場の魅力がどこにあるかを実感した気がする。
本来、この2倍の大きさの舞台でやってもいいであろうはずの公演。
しかし小さすぎる舞台に多すぎる人と大きすぎる音の組み合わせは、異常な臨場感を生んでいた。
身ひとつでは受け止められないくらいの凄まじい熱。
オペラグラスやブラウン管を通して観るものではなく、
自分の視覚だけに、そして五感に飛び込んでくるリアル感。
役者の息遣いどころか、流れる汗まで見える、手の届くところにある舞台。
ショーを “Spectacle”(スペクタクル)と称するフランス語の感覚を実感した。
すっかり熱にあてられて、帰りは道を間違えて遠回り。
パリの夜遊びは、夜が深い。
この公演も20時開始(休憩込みで約3時間)、
先日のカテドラルでのコンサートも20時半開始、サッカーの試合は21時開始と、
だいたいエンターテイメントが終了するのは23時過ぎ。
昼間や朝とはまた違うパリの街を歩いて帰るのも、楽しみのひとつ。
それではまた明日。