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2012/12/10

地球の舳先から vol.258
イスラエル(旅の準備)編

 
    (before)                 (after)

 

常に不安定で、今回大規模空爆が行われたガザ地区だけでなく
そこから離れた、首都機能を置くテルアビブで爆弾テロと思しき事件が起きたのが、
わたしのイスラエル行きが黄色信号から赤信号へと変わった瞬間だった。
自爆テロは止められないし、停戦を迎えたとしても政局と関係なく起こる。

代わりの行き先も、そう頭を働かせずに、短時間で決めた。
しかし、出発1ヶ月前の11月30日を、リミットと決めて
わたしはイスラエル行きのチケットをホールドした。
どうせ、ここまで来てしまったら、72時間前までキャンセルフィーは変わらない。

9割方、心の中でキャンセルを決めていたものの、
現地の旅行会社に連絡をしたのは、ずいぶん経ってからだった。
Shalomというヘブライ語にすら抵抗を持っていたのに、あたりまえにメールの冒頭に
状況と彼らの身の安全を案じる文章を連ねている自分に驚いた。

向こう側の対応は誠実極まりないものだった。
わたしが行こうとしている場所は「基本的に」、治安に問題はない。
しかし不安はもっともだし、こういう状況なので全額返金で対応する。
が、あと48時間以内に状況が落ち着くという説もあるので、もう少し待ってはどうか―

単純に、心が痛んだ。
彼だって、ひとりの人間として、イスラエル・パレスチナ関係に思うところだってあるだろう。
大口顧客でもないのに何度となく面倒なやりとりを重ねた日本人に「危ないから行きたくないっ!」とある日突然いわれても、「あなたがどんな決断をしてもそれを尊重します」と言う、いや、言わざるを得ない、現代イスラエルという場所で観光業を生業にする人間の立場。

意地や情で、判断能力を失ってはいけないのはわかっている。
しかし、彼のオフィスとこの手配に関わってくれた5人ものスタッフ。
会った事もない人から、「彼らの国」へ行きたい、という気持ちが生まれていた。

ただ、たとえ今行っても、巻き込まれ事故を起こさないために、
公共交通機関の利用はかならず避けなければならないし、
カフェやレストランなどの現地の人が多く集まる場所も避けねばならないかもしれない。
どこへ行くにも「セキュリティ」の名のもとに尋問されたりして、嫌な思いも沢山するだろう。
しかし、それが今のイスラエルであることに変わりはないし
多少、情勢が変われど、短期間でかの地が根本的な問題の前進や解決を遂げるとは思えない。

つまり、わたしは、「最初から、そういう国へ行こうとしていたのだ」。

右手には、キャンセルすべき手配内容のリスト。
(航空券、トランジットのパリのホテル、イスラエル滞在中のホテル、送迎、現地ツアー…)
左手には、それはそれで十分に魅力的なプランBの行き先と、
「年にせいぜい2度しかない長い休みを棒に振るのか」という勿体ない気持ち。
この頃、すでに、イスラエル・パレスチナ間では、停戦の合意がなされていた。

そして、自身で一線を引いたリミットである11月末日のその日。
外務省は、騒動前のレベルまで、イスラエルの危険情報を引き下げた。
なんというタイミングだろうか。

旅行会社だけでなく、知人の伝手も辿って、現地から情勢に関する情報の裏取りをした。
ひとしきり世話になっている旅行会社に、ティベリアスという北部の町から
バスで帰ることをやめてエルサレムまで専用車を手配したらいくらかかるか聞いた。
路線バスが自爆テロ標的の筆頭、というのは、イスラエル人には常識である。
「テロ」という単語を出さずとも、わたしのそのリクエストの意図は正しく理解された。

「マネージャーと相談しましたが、エルサレムまでの車を追加料金なしでお付けします。
 これは我々の会社のサービスで、喜んですることなので気にしないでください。
 我々は、あなたのイスラエル滞在が素晴らしい体験になるよう、責任をもってコミットします。」

・・・えっ。

運と、縁と、タイミング。
一時、そのすべてに見放されたかに思えた「旅の三種の神器」は、手の中に揃った。

結論。
・・・行こう。イスラエルへ!

2012/12/10 08:00 | ■イスラエル, □旅の準備 | No Comments

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