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2012/12/05

地球の舳先から vol.257
イスラエル(旅の準備)編

思えば、イスラエルは本当に遠かった。

何はなくとも、出国審査に5時間かかることもザラというイスラエル。
日本人(連合赤軍)が過去にベングリオン空港で銃乱射テロをやらかしたりしていて、
日本に対する関係もすこし特殊。
真っ先に心配したのは、今年の5月に行ったイランの出入国スタンプだ。
イランのアフマディネジャド大統領(←早口言葉ではない)が「イスラエルを地図から抹殺する」
とか言ったというのはアメリカの記者の誤訳だというが、敵対国の筆頭株には変わりない。

「えー、えー、わたしは今年イランに行きましたがイスラエルに入れますか。
 えー、それはですね、アブソルートリー・ノー・ポリティカル・リーズン(ズ)でして、
 えー、…」と、たどたどしい英語で、在日イスラエル大使館にメールを書いた。
わずか2時間後、美しい日本語でメールが返ってきた。
「お問い合わせの件ですが、基本的にアラブ諸国を旅行された方々の、
 イスラエルへの入国を拒否することはございません。」
・・・あ、そーですか。

それから先が、大変だった。
とかく、「地上手配」と呼ばれる、現地の移動やガイドの手配が高額すぎる。
車と、ドライバー兼ガイドを借りて「1日」10~15万円などという法外な見積り。
ボッタクリだろう、とタカをくくって複数社を当たったが、ほぼ横並びでその料金。
それでなくとも航空券だって高いのに、3日もいたら破産する。
その「相場感」にしびれつつ、ようやく良心的な旅行会社と、行程の工夫を発見するが
ここまでに1カ月以上を要し、十何社もと、疲れきるほどメールのやりとりを行った。
航空券を押さえていたので後には引けないし、かといってわたしが行きたいと思っていた場所は
どこも、個人旅行で公共交通機関でふらりと訪れるようなところではなかったからだ。

正直な話、わたしはイスラエル「という国」が好きではない。
今だって、それは変わっていない。
様々な事情や理由があるにしたって、イスラエルのやる「殺し方」はちょっと異常の様相を感じるし、その原動力が過去の追憶とトラウマ(ホロコースト)であるにしたって、同情は禁じえないけれども、国民総集団神経症のような暴力には、どうしたって共感しない。
だから最初、現地の旅行会社からの「Shalom」(ヘブライ語でHello)という書き出しのメールに
同じように返すことができなかった。
「アッサラーム」(アラビア語)とは抵抗なく言えても、「シャローム」という響きは、全身が断固拒否した。
なんでそんな拒否反応を起こすような国に行こうとしているのだ、と、当然ながら自問自答した。

しかしメールの相手はいつも明晰にして臨機応変。かつ涙ぐましい調整努力。
いつしか、ディスプレイ1枚だけを通した「向こう側」を、実感を持って「同じ人間」と思うようになっていた。
「人」と「国家」は別物。そんな原点にも、あらためて立ち返った。
いよいよほぐれてきて、初めてディスプレイの向こう側に「Shalom」と返したのは、何度目のメールだっただろう。
向こう側からの返事は、「Dear Ms.XX」から、「Hi Dear Yuu-san!!」に変わった。
…そんなもんだ。人間なんて。

なんとか希望通りの、国境沿いをゆく行程が組めそうな算段がつき
ほっとひと安心してツアーの海外送金も済ませたところに、この空爆騒ぎである。
日増しに更新される外務省安全情報のホームページからは、希望など見出せない。
ここまでやりとりを重ねた徒労感に、もはや別の「プランB」の計画を練る気力もなく
わたしは、久しぶりにフルアテンド、もしくは団体ツアーの別案を当たり始めた。

執念深くまだつづく

2012/12/05 01:46 | ■イスラエル, □旅の準備 | No Comments

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