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2012/02/20

地球の舳先から vol.226
マダガスカル編 vol.3(全8回)


(マダガスカル名物、ワオキツネザル。)

何事かと思わせる轟音で明け方に目覚めた。雨だと気付くのに随分かかる。
バケツをひっくり返した、なんて生ぬるい表現では足りない。
ナイアガラの滝の内側にいるようだ。水しぶきで窓の向こう側が見えない。
ホテルの前の川は増水して、砂浜のきれいな沢ガニごとどこかへ流し、
朝から川沿いに張り出したテラスレストランには修復の人が来ている。
ホテルの入り口で飼ってあるカメだけが、動き少なにひょっこり頭を出す。

今日が行動日でなくてよかった。車での移動はままならないだろう。
泥を踏みしめて空港まで移動し、2つめの目的地、フォール・ドーファンへ向かう。
次なる目的地はベレンティー保護区、ここで動物を見てロッヂに泊まるのだ。
べレンティー保護区はとある金持ちが経営している私的施設でもあるため、
指定のホテルで予約をしなくてはならないというルールがある。
なんとわかりやすい囲い込みかただろう。

飛行機は数時間遅延し、待ちくたびれたホテルの迎えの車には5~6匹の蚊。
わたしがもんどりうって車から離れ、蚊よけスプレーをしているうちに、
後部座席には同じホテルへ向かうほかの客が乗り込んだ。
中東かモロッコ系と踏んでいた彼に日本語で話しかけられわたしは二度見する。
トップクラスの観光スポットであるべレンティーへ行く客はみな、このホテルに集結するはずなのだが、迎えの車は私と彼の2人だけを乗せて出発した。
…とにかく、人がいない。
到着してから知ったのだが、この時期のべレンティーは絶賛オフシーズン。
旅は道連れ。わたしは彼と貸切状態のべレンティーをご一緒することになるのだった。

翌朝。
コテージタイプの部屋のドアにたたずんでいる25センチほどのカタツムリのようなものに恐れをなしつつチェックアウトを済ませると、長髪を紫色の布で覆い、サングラスで武装した人がいる。
「…アルカイダみたいですね…」
「なんと。ベルベル族といってほしいな。」
というわけで、わたしは彼のことをベルベルと呼ぶことにした(心の中で)。

緑が生い茂る豊かなトンネルの中を車はひた走る。
この日、12月31日。元日はこの国でもお祭り騒ぎで、マーケットにはたくさんの人。
助手席のガイドが車の窓を開けて結構大きな魚を揚げたようなものを購入する。
このへんで軽食かしら、と思って目が合うと、彼は気まずそうに目をそらし
その魚をサイドボードの引き出しに素早く仕舞って、言った。「…I love fish」
…どうやら自分のおやつだったらしい。わたしも、物欲しそうな顔を引っ込める。

橋を渡り、大きな山をひとつ越えると、見える風景は一変する。
さきほどまでの、雨季の恵みを一身に受けた木々はあとかたもなくなり、
まさに、サボテンの山。天をさしてまっすぐ生えるトゲだらけの森。
さらに、舗装されているのだが地割れを起こしているためにガタガタの段差ができ、
未舗装の道路より走りにくい悪路を行くと、道の両端にサイザル(麻)の巨大プランテーション。
学校の授業では何度も聞いた「プランテーション」というものをおそらくはじめて見た。
道路の両脇に、神経質なまでに等間隔で植えられたサイザルの畑。
その面積、25,000ヘクタール。まったく実感がわかない数字だが。
これだけで一体、何人の雇用を支えているのだろう。

ようやくとべレンティー保護区へ着くと、キツネザルの大群に早速遭遇する。
人に慣れていないと聞いていたのだが、近づいてカメラを向けても我関せずでムシャムシャと葉っぱを噛んでいる。
それどころか、食べ物はないかと人間のロッヂに集団襲撃に来るらしい。
だが、まあ、かわいい。へたりこんでいるおっさんのようなやつも居る。

 もうひとつのマダガスカル名物、「シファカ」という動物もたくさん居た。
横っとびが特徴的で、日本でもCMデビューしている。
その時のCM撮影クルーは3週間ここに滞在したらしいが(広告バブル時代だな)
ガイドは巧みにシファカを追い込んだり指笛を吹いたりして横っとびを見せてくれる。
「来るぞ!カメラを構えて」…嗚呼、よみがえる NO MORE BAOBABの悪夢。

ほかにも、えらい大きいダンゴムシとか、えらい大きいコウモリの大群とか
色々と心臓に悪いものを見たあとでコテージへ帰ると、
網戸に30センチ超の真っ白いムカデの親玉のような多足動物が貼りついていた。
わたしはヘビはイケルが、足がいっぱいあるやつは本当に苦手なのだ。
「ウヒョッ」と悲鳴のような奇声を上げ、この夜を越えられるのか不安になるのだった。

つづく


(シファカと目が合った。というか…見られた…?)

2012/02/20 01:22 | ■マダガスカル | 1 Comment

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