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2007/11/29

地球の舳先から vol.32

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カナダ旅行記 vol.1(全3回)

パッケージツアーは、久しぶりだった。
だれかと旅をするのも、久しぶりだった。

まず、私が行きたいところを言っても、あまり一緒に行ってくれる人がいない。
そんなことを繰り返すうち、1人の気ままな旅が好きになっていた。
他人との旅行だと、よほど気ごころが知れていない限り、朝食に何を食べる、とか、次にどこへ行く、とかそういうひとつひとつの小さな事まで気遣いが生まれてしまうからだ。

今回の旅は、カナダ。
オーロラを見に行くことが目的だった。
12月29日という、最大の繁忙期に出発する。
大学時代のサークルの先輩と、その同期(こちらは偶然にも大学の先輩)と、3人。
よく3人で鍋なども囲む、それこそ「気ごころ知れた」メンツだった。

前評によれば、オーロラが見られる確率は90%以上。
よほどの運の悪い人でなければ、まず間違いなく、…のはずだった。

添乗員までいるパッケージツアーに、知れた仲間との旅は、いろんな緊張を緩くさせる。
カナダへ向かっているのか、ちょっと箱根に向かっているのかすら、よくわからなくなってもくる。
そんななかで待ち受けていたのが、まず行きの飛行機での洗礼だった。

揺れた、のである。

わたしが経験したもっともひどい飛行機体験は、高校2年生の時のノースウェスト航空だった。
乱気流に揺れまくり、隣のガイジンに
「シートベルトを締めないと、天井に頭を強打するよ」
と脅しをかけられるほどの、揺れだった。

しかし、それよりもひどかった。
後で、ツアーの参加者と添乗員の話から知ったことだが、どうも機体を雷が直撃していたらしい。
一瞬だけ写った、避雷針に雷が当たる映像を見たという人もいた。
とにかく何が何だかわからぬまま、機体は上下左右に揺れまくる。
しかもそれが、一時の乱気流とは思えないくらいの間、続いたのだ。

最初は「キャー」とか「フー」とか、悲鳴や歓声に包まれていた機内も、
あまりに続く揺れに、乗客は「これ、マジでヤバいような…」と思い始め、シーンとなっていく。
私には、あの静寂のほうがリアルに恐怖だった。

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やがては揺れも当然おさまり、カナダの地を踏む。
私たちが向かっていたのは、陸の孤島だった。
オーロラは、たとえどんなに遠くだとしても街の明かりが届くようなところでは綺麗に見られないのだという。
完全な闇の中で観測するため、ツアー客を乗せたバスは未開の地を切り開くようにして街から離れていく。

「東京は、夜でも雲が白いんだね」
そういった、いつかの友人の言葉を思い出した。
東京は、常に光が絶えることがない。
だからその光を反射して真夜中でも雲は白く見え、完全な真っ暗闇というものがないのだという。
そんなもんか、と、それを聞いて感心したおぼえがある。
「白い雲」が当たり前になっているトーキョー人は、やはり何かしら異常なのだろう。

ぽつんぽつんと住宅があるうちは、クリスマスの名残りを楽しんだ。
家々の庭が非常に広いので、ちょっとした遊園地のように庭全体をクリスマスの装飾が覆っていた。
天使がいたり、マリア像があったり。家や木々を模したイルミネーションが続いた。
そのうち、バスはだんだん、徐行運転になる。
それもそのはずだった。
外灯もなく、道なき道のようなところも通っていく。雪も徐々に深くなっていた。

ふと明かりが見え、大きな道路がひらけた、と思ったとき、ホテルが1棟、そびえていた。
オーロラを見に来る観光客のために、町にひとつ建てられた大型ホテルだった。
吹き抜けのアトリウムにはジャグジーと小さなプールもある。

何もない街で、とりあえずは時差ボケを是正するため、しばしの睡眠にありついた。
つづく

2007/11/29 07:46 | ■カナダ | No Comments

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