地球の舳先から vol.362
尾道編 vol.1
“瀬戸内キロメートル・ゼロ”という
地産地消をコンセプトにしたリゾートホテル、ベラビスタ。
ここでいう「地産地消」は食べ物だけの話ではなく、
デニム(知らなかった広島ブランド)など産業や文化までを含むという。
元々、造船大手の常石造船の迎賓館だったというから、もちろん景色は至高。
海を目の前に、山の上に鎮座するホテルの中をくぐってデッキに出ると、
「多島美」といわれる瀬戸内独特の、美しい小島が続く穏やかな海が広がる。
そのまま海とつながっていそうな、レッドカーペットみたいな水面には
空がそのまま映り込んで、ぐんぐん流れる雲に1秒たりとも同じ景色がない。
陽をよけてソファに体をおろしたら、あとはやることはひとつ
…と思いきや、夏は線香花火もできるそうです。
お部屋は全室オーシャンビュー。そして全室50平米以上。
1室しかない最上級スイートの「ザ・ベラビスタ」には
海を臨む露天風呂があるそう…でも人気でなかなか予約が取れないらしい。
ベッドの上には、デニムのテディベア(連れて帰っていいとのこと)。
遮るものが無いのでいつも陽の光が入って、どこもとても明るい。
相変わらず、広すぎる浴槽の入り方がわからないわけですが
足を伸ばすと頭まで沈むので、だれか正しい入り方を教えてほしい。
浴室には、アロマキャンドルと、瀬戸内レモンの顔用パック。
室内に、ハーブの香りのスプレーがあったのが気に入ってつけていたら
それは蚊よけだったらしい。このあたりのさりげなさがセンスだなあ。
アメニティはなぜかBVLGARI。唯一の謎。
SPAは天然「尾道温泉」もちろんオーシャンビュー!
そして、6時からやっている入り放題の岩盤浴、これが本格的。
湯上り処にはせとうちレモン水やホテル手作りのアイスやビールが
あるらしいけれど、わたしは夜は飲んだくれていたので朝入ったのでした。
そして、オーベルジュリゾートですから。
メインダイニングは珍しいバスク料理。
ベラビスタのラベルがついた(独占なのでしょう~)バスクワインも。
そして、スタッフが楽しい。ラテンの香りがする。
お料理は、瀬戸内の素材を生かした創作。
オープンキッチンというか、キッチンの中に客席があるようで
1品1品シェフのパフォーマンスも食事の内。
旬の夏野菜、地元のお魚に、熟成肉まで!
朝食は日本料理の方へ行ってみたら、
なにごとか朝7時なのにドリンクブッフェ台にシャンパンが…
と思ったら「朝シャン」はここの売りの一つなんだそう(あとから知った)。
すだれのかかった緑のお庭を見渡す席は、茶室にいるようで
20種類もの手のかかった旬のおばんざいに
自然飼育の有精卵「神勝寺たまご」が木箱に入り…
お豆腐も朝づくりのすくい豆腐だったそう。
うんちく好きなので、もうちょっとメニューの説明があったらよかった。
(も一度来いってことか。)
テーブルをいっぱいにしたところで、干物を何にするか聞かれる。
ここから、メインが来るのですか。もう戦いですね。
(↓こちらはメインダイニングの方の朝食風景から。名物はスパニッシュオムレツ)
面白かったのは…ロビー。 1日通して、とっても変幻自在。
昼間はとっても明るくて海を見ながら涼しげに泡のでる飲み物…
午後、6時まで角っこでひとつ300円で売ってるピンチョスは
つまみというボリューム感を越えていて見た目もきれい。
6色マカロンはじめデザートやチーズも出すけど、
夜は尾道ラーメンとカクテルも出す。
ラーメンからチャペルまで。
瀬戸内 しまなみの 旅でした。
地球の舳先から vol.361
屋久島編 vol.4(最終回)
信頼筋が薦めるので、泊まってきた。
泊まってきた、というより、体験してきた、に近い。
予約直後からの、細々した丁寧な連絡に、心くばり。
チェックインの時間は、お客さんが屋久島に来た時間だといって
朝早くなのに、ホテルまでの送迎車を出してくれるという。
トレッキングを予約していたのでレンタル品の問い合わせをするが、
その対応がなんとも、柔軟というか、システム化されていないというか、
「屋久島滞在“全般”において必要なことが無いか、あればホテルがそれを手伝う」
というスタンス。
しかし飾りすぎず、お客様様様様様な過剰なサービスではない。
まだ屋久島に行く1か月も前から、すでにホテルのファンになっていた。
あとで聞いた話だが、このホテルにはマニュアルが無いのだという。
送迎車が着くと、総出でお出迎え。
コック帽の人もいたので、その時間いる人が皆出てくるらしい。
こればかりは、ぎょっとするというかやりすぎというか、あまりうれしくはない。
それ以外は、アットホームな人たちばかりで、リラックスできる。
そして、いつどこへ行っても会うスタッフが皆、客の顔と名前が一致している。
どこでどう共有しているのか、不明。
悪いことできないなと思う。(しないけど)
チェックイン手続きにやってきたスタッフの私の予約メモには
びっしりと何事か書き込んである。そんなに、なんの情報が?!
ホテルマンたちは皆どこかしら洒脱な身のこなし。
このホテルで働きたくて県外から来るらしい。
水平線を眺める目の前に広がる一面の海・・・
は、そこが海であることが判別できないほどの大雨に見舞われ
プールで泳いだりプールサイドのテラスでごろごろすることは叶わないが
ライブラリーに置いてある本のセレクションがまさに絶妙で
ドリンク類(ビールも)フリー。何時間でもいられそう。
ライブラリーラウンジでチェックイン手続きをするが、このときは
地元の素材を使ったウェルカムドリンクを作ってくれる。
当然泡々したものを期待したが、これからトレッキングに行くことを
把握されているため、梅ジュースである。しょぼん。
全室が棟建てのヴィラで、一番狭い部屋でも大きなリビングに
マッサージベッドまでが完備されている。お茶は8種類。
バスルームは大きな鏡に、バスタブのほかにシャワールームも別にある。
アメニティはTHANN(ブランドのセレクションが、また絶妙)で
バスルームとシャワールームにそれぞれ香りの違う2種が用意されている。
浴槽に入れるハーブのマッサージボール。
ホテル謹製のスキンケアセットと、石鹸には持ち帰り用のバッグ。
冷蔵庫内の飲み物はもちろんフリー(ビールも ←しつこい)、
ターンダウンサービスには、木の葉に添えたチョコレートがつき
キャンドルで焚かれたアロマの香りが漂う。
(ターンダウンが不要の場合は、ドアの前に亀の置物を置いておく仕組み)
徹底して、色々なリゾートホテルの名物サービスを研究してきている。
この日は天候による欠航便も多く、お客さんの数が減ったからなのか、
よく飲むやつと踏まれたのか、上階のフレンチへアップグレードされていた。
オープンキッチン、その先に広がる屋久島の濃い緑がだんだん更けていく様は
ここがどこだかわからなくなる静謐さ。
料理は勿論屋久島の素材を沢山取り入れて、ペアリングはブルゴーニュ中心。
なんにも言わなくても、ペースと反応をソムリエさんがちらちら見ている。
最初のシャンパンから、某有名メーカーの、珍しい銘柄。
白とリースリングを往復して、お肉にはピノ。
チーズはワゴンサービスみたいに、7種類から好きなものを好きなだけ選ぶ。
ようやく口を開いて、白の重いめを頼んだら、安定のムルソー。
あー飲み過ぎた。知ーらない。ってなる。
でも、悪酔いをしないのが高いワイン。熟睡。
朝ごはんは、卓上でブッフェが展開される。ご自慢のパンは、7種類も。
「取りに行く方式のブッフェ」を、きっとホテルは絵的に嫌ったのだろう。
パンは、バターやジャムを塗って食べるもの以外は包んでもらった。
ちなみにわたしはこの日の昼も、競技後の夕食も、その翌日の朝も、
このパンだけで過ごした。このホテルさえあれば、もう何もいらない。
チェックアウト後に続く行程も、スタッフがこまごまと調整をしてくれる。
お土産にホテル謹製の パウンドケーキ型のオレンジブリオッシュを持たされ
空港まで送られた。
絶対また来ると思う。