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2007/09/27

地球の舳先から vol.23

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浦和レッズ 韓国遠征旅行 vol.2(最終回)

0泊3日の弾丸ツアーで、浦和レッズのアジアチャンピオンを懸けた戦いへ。
相手は前回王者の全北現代モータース。

試合前の諸々の攻防は、コチラから。
■韓国サッカーをぶっ潰せ! 浦和レッズ韓国遠征旅行 vol.1

結果この日、全北は元王者の影も形もなく2人の退場者を出してホームで2対0と敗北したのだが、この試合はあまりにひどく、全世界に韓国のサッカーが何たるかを見せつけることとなった。

レッズの司令塔のポンテは背後からとび蹴りを食らい、
エースの田中達也は完治していない大怪我をした足首を狙われ続けた。
GK都築の頭上には100本のロケット花火が打ち込まれ、
日本代表DFトゥーリオに至っては、顔面殴打で口の中に穴があき貫通。
ゴールとは反対方向の浦和ベンチめがけてオジェック監督にボールを蹴り込み、
2人目の退場者は審判を殴った。

主審の目の隙を狙った確信犯。
しかし、「どこ見てんじゃこのクソ審判が!」と言う愚は犯さない。
やったやつをみんなで指差す。審判がそいつを振り返る。何かがあったらしいことだけは伝わる。そいつは審判にマークされ、次のファウルを取られ易くなる。
血の気の多いトゥーリオがいつキレるか心配だったが、レッズのイレブンは冷静だった。(日本代表の鈴木啓太など、投げ込まれたペットボトルの水を飲んでいたらしい)
後のコメントでトゥーリオはこう言っている。

「あんなのはサッカーじゃない。勘違いしていて腹が立った。
でも、観客にケンカは見せられない」
・・・大和魂! ブラジル人だけどね。

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そのひどさはここからどうぞ。
YouTube―全北現代vs浦和レッズ

肉体的にも精神的にも疲れきっていたが、試合後は、勝利の日には必ず歌うサポーターソング『We Are Diamonds』と、浦和レッズコールで締めた。
誰があげたのか、大型の打ち上げ花火が2発、レッズのゴール裏で舞った。
「今年、花火見るの、はじめて」
もう60歳をゆうに超えたおばあちゃんサポーターが声を詰まらせる。

喜びを分かち合う私たちに、苛ついた韓国語なまりの日本語で場内アナウンス。
「浦和レッズのみなさん、飛行機のことがありますから早く帰って下さい」
ビールを片手にバスへと向かう。地面が濡れていたのは、雨じゃなくてビールをかけてたから。ぼろぼろだったが、みんな最高の笑顔だ。

中でも私が、あの日いちばん嬉しかった光景。
ほぼレッズの勝利は確定し、相手のコーナーキックのときにレッズサポーター側ゴール裏にFWの選手までが戻ってきて守りを固めていたときだ。
相手のコーナーキックを待つすこしの瞬間は、プレイの切れる瞬間の少ないサッカーというスポーツでは、大事な小休止となる。
サポーターもこの瞬間に水を飲んだりひと息ついたりする。
先制ゴールを決めてくれた田中達也が、ドリンクを飲み、すぐに放った後、すぐそばのサポーターが詰め掛けたゴール裏を下から上までゆっくりと眺め、一瞬にっこり笑った後、すぐに緑のピッチの上へ駆け戻っていった。

あの11番の背中は、試合前にサポーターみんなで繋いだ手とおなじくらい、ぐっと来た。サポーター業は、愛と意志と運。

これでもあなたは、言うだろうか?
「試合をするのは選手であって、サポーターなんて無力でしょ」、って。

end

2007/09/27

地球の舳先から vol.22

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浦和レッズ 韓国遠征旅行 vol.1(全2回)

お隣・韓国まで2時間。それなのに0泊3日の弾丸ツアー。

アジア・チャンピオンズリーグ(通称ACL)の決勝トーナメントに、
浦和レッズを応援しに行ってきた。
このACLで優勝し、アジア王者となると、毎年日本で行われる「世界一のクラブチーム」を決める大会への出場権が獲得できる。
W杯は国を挙げて戦うだ、どこの国も国内リーグの方がサポーターは熱狂的。
何年も地元チームを応援してきた者にとって、代表ではなく「クラブチーム」はまさに「おらが街のクラブ」。特別な意味を持つ。

レッズは日本勢で史上はじめて、決勝トーナメントへ駒を進めていた。
準々決勝の相手は前回王者の全北現代モータース。
私は、浦和レッズを応援して、今年でもう9年目になってしまった。
2部に降格し、戦っても戦っても勝てなかった不遇の時代を知っている私にとって、レッズの世界挑戦なんて、いまだに夢物語のように感じられる。

レッズサポーターの乗ったチャーター機は3500人を韓国へ運んだ。
飛行機の中はお祭り騒ぎ。機内サービスを飲み放題と勘違いし、
危機を感じたフライトアテンダントは「こ、これ以上お酒は出せません!」

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全北現代のスタジアムは、ソウルから車で5時間。
応援用の旗の支柱になる棒類は持ち込み不可なのに、どうやら火気の持ち込みはいいらしい。発炎筒の赤い煙に出迎えられた。懐かしい匂い。
前日に正体不明のGメン達がわれらが浦和レッズの宿泊ホテルをクルマで囲み、警察まで出動したため、この試合に駆けつけた機動隊員は100人。

チープに発炎筒を振り回す全北サポーター。焚き方もしらないその姿に同情する。
火気持込OKらしいので、遠慮なく私たちも赤い煙の出るものを披露させていただくことにした。(どうやって持ち込んだのかなんて、知りませんとも)

平常心。水を打ったように静かに相手ゴール裏を見つめる。
自分の体の重心を移動させる音までが聞こえて来そうになるまで異様な静寂が包むのを待って、いつものオープニングの応援歌がはじまる。
それが終わると、1箇所に集中して大量の発炎筒を炊いた。
火が消え視界がクリアーになる頃を見計らい、誰の指示でもなく“いつものタイミング”で掲げていた真っ赤なタオルマフラーを下ろすと、そのまま見ず知らずのサポーター同士、隣の人としっかり繋いだ手を空に突き上げる。

どこの国にも、熱狂的なサポーターというものはいる。
しかし、平日の外国での試合に3500人が駆けつけるクラブチームが、果たして、セリエAにもプレミアリーグにもあるだろうか?
誇り高く、レッズを世界に見せつけるときが、やってきたのだ。
世界一のサポーターに、「アウェー」という言葉はない。
集中力とひとつになった意思。統一感に鳥肌が立つ。
全北側のブーイングは、いつの間にか止んでいた。
満を持しての、「浦和レッズ」コール。
いつもの応援が響き渡ると、そこはもうホームスタジアムと何も変わらない。

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蓋を開いた前回王者のサッカーはといえば、
「喧嘩サッカー」というより、ただの喧嘩だった。
反則技のオンパレードに、ワンアクションごとに主審が笛を吹くほど。
この日の主審が浦和寄りの判定を繰り返したことも事実だが、それも戦略のうち。
サッカーには、どうしても判定がホーム側に傾く「ホームアドバンテージ」と呼ばれる現象がある。だから、「アウェーゴール方式」といって、アウェーで挙げたゴールのほうが得点価値を高くする試合形式を取っている。
が、私たちが掲げるのは「アウェーって何?」。品のない選手も、品のないサポーターも、審判からは嫌われるということを、私たちは知っている。審判だって人間だ。それも含めて戦略立てをするのもサッカー。

私たちのとった、この日の”戦略”。
試合前、全北サポーターはスタジアムを一周する審判団をあからさまに挑発。
対するレッズサポーターは、拍手で迎えて「審判、審判、審判」とコール。
誰かが「日本語じゃわかんねーよ」というと「レフリー、レフリー、レフリー」と手をたたいて歓迎した。
審判団は笑顔でそんな私たちを指差して笑い、しまいには試合前にレッズサポーターをバックに記念撮影。
審判に媚びるサポーターの図。
「なんでもやるんだよ!勝つためだったらな!」だれかがそう叫んだ。

おまけにこの全北サポーター、試合開始早々、やめときゃいいのに審判にペットボトルを投げ、選手のひとりはなんと主審に向かって中指を立てた。致命的。合掌。

さあ、そのひどさはここからどうぞ。
YouTube―全北現代vs浦和レッズ
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つづく