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2013/03/10

2013年3月9日(土)「第一回流氷カップin知床」が開催されました。
世界でも流氷下をウェットスーツで素潜りしたことのあるダイバーは少なく
貴重な体験。 どんなに忙しくとも、この機会を逃す訳にはいきません!
というわけで行って来ました世界遺産・知床。「流氷の下で素潜りをする」
というだけのために、日帰りで。

●女満別へ
朝一の羽田発・女満別行きのチェックインカウンター。
スノボやスキーを預けるたくさんの搭乗者の中、私が預けるのはロングフィン。
チェックイン時に真っ黒な長細い荷物(フィンケース)を預けるといつもの通り
「お荷物の中身は何ですか?」と怪訝そうに聞かれます。
「ダイビング機材です」の答えにますます怪訝そうな顔をされましたが・・・
そんなことより不安なのはボードに書かれた「条件付き運行:現地吹雪のため、羽田に引き返すか、釧路空港に到着の可能性があります」というインフォメーション・・・。

一抹の不安を抱えながらも搭乗するや即爆睡。
一瞬で無事女満別空港に到着しました。
ここ数日暖かかった東京とは全く別世界。白く凍てつく世界。
キリッとした空気を胸一杯に吸い込みます。

女満別空港からさらに車で2時間かけて、いよいよ一路知床・ウトロへ。
途中立ち寄ったコンビ二では各自「油物」を調達してこれからのダイブに備えました。
通常フリーダイビングの競技前には胃にもたれるものや油物を食べることはまずありませんが、今回は別。唐揚げやコロッケを潜る前に食べるのは寒さ対策として効果的なのです。
(という、主催者野口君のアドバイスに素直に従ってみました)

<ここは知床世界遺産!「オシンコシンの滝」>

<流氷がびっしりです>

●ウトロ到着、流氷ダイブへ!

そして、昼過ぎにウトロへ到着。
ウトロ在住のフリーダイバー和田唯ちゃんと、東京海洋大現役&OB3名の頼もしいスキューバダイバー君達が準備万端で待っていてくれました。

すぐにウェットスーツに着替えると、大会会場である「ウトロ漁港」の堤防の先へ直行。
漁港、といってもどこもかしこも凍って雪に覆われています。陸も空も海も真っ白な世界。どこが陸地でどこが「海」なのか、判別もつきません。
液体はマイナス下では個体になる、そんな物理的法則を目の当たりにし「さっき唐揚食べておいて良かったなあ・・」としみじみ思ったのでした。

そんな寒さの中、全員でテキパキと堤防から「海」へと荷物を降ろし
会場に向かって歩きます。たいした距離ではないのですが足先の感覚が冷たさで
麻痺して来たため、かなりの距離に思えました。

堤防を超えると・・・・いよいよ流氷がどーん、と見えて来ます。
テトラポットが凍っています。確かに、「海の上」にいる、という実感。

そして、ごつごつと凹凸がある一面の流氷の中、
一カ所にぽっかりと「穴」がありました。

ここが大会会場。
数日前に皆が空けてくれた「アイス・ブルーホール」です。

●流氷下へダイブ!
まずはセーフティにスキューバダイバーが潜り、つづいてフリーダイバーが潜ります。
水深−15mほど。水温はマイナス0度以下だそうです。海水は0度では凍らないからです。コップの中の氷水よりも冷たい「水」。私のこれまで体験した最低水温は3℃前後なので、未体験ゾーンにいよいよ突入です。


いざ・・!

呼吸を整えて・・集中。

・・・ちゃぽん。

この日最初は太陽が出ていなかったので水中はほぼ真っ暗です。
何も見えず、何の音もしない世界。
が、ロープ沿いに少しだけ潜り、5mほどで上を見上げると・・・

氷の下から見上げると緑色の薄ぼんやりとした穴が見えます。静かな不思議な世界。
海水温は実は水面近くの氷の近くの方が冷たいようです。海が液体でいる以上は、地上よりは暖かいことになります。とはいえ、零下というのは十分な冷たさなのですが、

6.5mmのウェットスーツを着ていると水中では不思議と冷たさは感じません。何より、興奮しているせいなのか、少しだけでも動いたせいなのか、ほぼ感覚がなくなっていた手足まで血が巡って来たのが本当に不思議です。

「ああ、ここまで来て良かった〜」と嬉しさを噛み締めながら、ゆっくり浮上。そして

満面の笑みで「アイムオッケー!」のつもりが
・・・・顔、こわばってました。

最初は1本で十分だと思っていたのですが、風が吹きすさぶ陸上にいるよりもむしろ海中の方が静かで暖かく、せっかくなので数本潜りました。真っ暗なボトムまで行く気にはならず、少し潜っては見上げて氷の下の不思議な光景に見とれていました。
そして、途中から太陽が顔を出すと、流氷下の世界は一変。
丸い氷の穴から見えた青空の不思議さ、忘れられません。

<太陽が顔を出すと風景は一変。キラキラして来ます>

それにしても、潜る前にマスクを水で洗うと、一瞬で凍ります。
自分の髪の毛についた海水も、すぐに氷の塊になってしまいます。
外気温は-8〜10度だったようです。

クレイジーな・・いえいえ、勇敢なダイバーズ!お疲れさまでした!
スキューバダイバーのみんな、ドライスーツといえど極寒の中ありがとう!

そして、元来た道を戻り、機材撤収。ダイビング機材、すべて凍っていました。

本当は一泊し、翌日はゆっくり世界遺産知床を堪能したいところでしたが、
翌日は吹雪の予報。飛行機が欠航して帰れなくなると大変なので、そのまま
トンボ帰りすることになりました。

大急ぎで温泉に入り凍った身体を解かし、美味しい海鮮丼を食べ
またも車で2時間かけて、女満別空港へ。

そして一瞬で羽田へ。羽田に到着したとたん、花粉の洗礼、くしゃみ連発の私・・
いつもの世界です。なんだか、夢のような1日でした。

●海が液体として存在する、ギリギリの温度
沢山の海に素潜りして来たつもりですが、流氷は特別。今でも興奮が去りません。
海水が凍る温度は塩分濃度によって異なるものの、-4,5℃ほど。。
北極や南極の海水温も、液体でいる限りは変わらないそうです。
流氷下の-3℃のまさに海が液体として存在するギリギリの温度の海に潜ったのです。

この環境では、人間が泳いだり潜ったり出来る時間はほんの僅かです。
でもその僅かな世界を垣間見て、またひとつ、海の新しい魅力を発見してしまいました。

それにしても日本は流氷から珊瑚礁まで、本当に色々な海に囲まれているんだなあ、
という誇らしい思いを新たにした、日帰り弾丸流氷素潜りツアーでした。


次回はもっとゆっくり、のんびりと世界遺産を堪能しに来ます!

Thanks &  photo by  
Tomohiro Noguch, Yui Wada,Tetsuo Hara,
Masatsugu Tamai
, Kazeta Hashimoto,Yoichiro Nitta,

2013/03/10 11:32 | その他, 写真、映像 | 1 Comment

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