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2012/07/06

■フリーフォール
トレーニング最終日。いつもと変わらず、朝から海、プール、レクチャーがびっしりと詰まっていましたが、夕方の海トレーニングは「行っても行かなくても自由」と言い渡されました!残り少ないシャルムの海、私は早々に泳いでブイに辿りついたのですが、この日は人もまばらでした。白人は耳も身体も頑丈で疲れ知らずかと思っていましたが、皆やはりしっかり、疲れていたようです。

さて、自由とはいっても、インストラクターは勿論付き添います。私は期せずしてチェコの女子チャンピオン、アレーナ(Alena Zabloudilova)から、マンツーマンでフリーフォールの特訓を受けることになりました。フリーフォール(Free Fall)とは、深度競技のテクニックのひとつ。海の中で、ある程度の深度まで達すると浮力はマイナス方向に働き、何もしなくても自然に体が落下していく状態になります。フリーダイバーはこの作用を利用します。

例えばフィンを使って自力で潜るコンスタントウェイト・ウィズ・フィンで50mを潜る時には・・・
 ・最初の15mほどはプラス浮力があるので力強くキック
 ・その後は次第に緩やかにキック
 ・30mを超えたら何もせず脱力してもそのまま落下

という具合に自然な落下に任せることで、酸素消費を押さえることが出来る、これがフリーフォールです。ところが、実際には深い水深で体の動きを止めるというのはなかなか抵抗があるもので、私はいまだに最後までキックし続けてしまいます。今後さらに深く潜るために効果的にフリーフォールを取り入れる、ということが課題でした。

浮力はウェイトの量によりコントロール出来るので人によっては最初から重めにウェイトを付けたりもしますが、その分、今度は浮上するときにもマイナス浮力がかかるので、この調整は個人の適性や好みで様々です。私は通常の競技では浮上時が楽な方が良いのでウェイトは一切つけないのですが、この時は浅い深度でフリーフォール状態を作るために、重めのウェイトをつけてトライしました。10mあたりからどんどん沈んでいく感覚。最初は少し怖い気もしましたが、この状態での体勢の作り方、脱力の仕方などを、じっくり学びました。 

ロープを占有してのマンツーマン特訓なので、アレーナが常に水中まで付き添って潜ります。そして落下しながら、水中で、色々なことを教えてくれます。時には水中で2分近く・・・私が息が苦しくなっても、アレーナは平然としているのでさすがです・・浮上して少し休憩してまた落下、というのを繰り返しているうち、私はもうすっかりヘトヘトになったのですが、何となくコツがつかめてきました。

アレーナも私も英語が堪能ではないので、水上でつい出てくる言葉は間違った英語やらチェコ語やら日本語やら・・・。でも、フリーフォールという、言葉では説明しがたいテクニック、水中落下の感覚と心身コントロールという微細な感覚は、言語を越えて、しっかりと私に伝わりました。水中ではゼスチャーも交えていたものの、それだけでは伝わらないはずのものも・・テレパシーとは言い過ぎですが、水中でのコミュニケーションには言葉などいらないのかもしれません。共通言語は「フリーダイビング」そのものなのかもしれない、などと思いました。

■合格発表
さて、夕刻海から上がるといよいよ合格発表です。発表は、レクチャールームに一人つづ呼び出されるという物々しいもの。ウンベルトを中心にずらりとインストラクターが並び、その対面には生徒がひとりづずつ、さながら生贄のようもポツンと佇みます。レクチャールームはガラスの扉で囲まれているので、声は聞こえなくても、悲喜こもごもの様子が外で待つ全員に丸見えです。

 
私はスタティックと授業中の居眠りがネックで不合格だろう、と覚悟していましたが、なんとか合格でした。合否は一つ一つのテストの結果や成績だけでなく、全体的な態度などが総合的に判定されるとのことでしたが、私自身は「アプネア・アカデミー・インストラクター」を名乗るにはまだまだ足りないものが沢山あります。この短くも長くも感じる濃い8日間で貰った合格証は「ひとまずは頑張った。でも君はこれからその方向に、さらに精進せよ」というものだと、感じました。

それぞれが合格証書とAAインストラクターの真新しいTシャツを纏って様々な思いで胸がいっぱいになりながら、この後の夜のパーティがどんなに賑やかだったかは、押してはかるべし、です^^;

 
■これから
アプネア・アカデミーで得たもの。このコラムで6回書いても、まだ書ききれません。
その一つは何といっても、「フリーダイビング」という共通言語で繋がった、世界各国の仲間です。世界大会でも世界中からフリーダイバーが集まりますが、このコースはやはり一味違いました。同じ目的で同じ課題をこなした「同志」の集まり、アプネア・アカデミーはまるで大きなファミリー。ウンベルトという強力なリーダーはすばらしい同士の輪を生み出しました。また、韓国、日本、シンガポールという、アジアのネットワークも生まれそうです。
 

そして、私にとってはこれからフリーダイビングを続ける上で改めて大切なものを改めて学ぶ機会となりました。人間と海との関わり方、ウンベルトの教えや哲学、こうしたものを自分自身でも深く学び、正しく伝えていきたいという気持ちが益々強まりました。単に競技や記録を伸ばすことよりも「体の中にある内なる海」を見つめるような、そんなフリーダイビングの奥深い世界とじっくり長く付き合っていきたい、と思うようになりました。

というわけで、この夏はアプネア・アカデミー・ジャパン(アジア)のインストラクターの見習いとして、修行を続けることになりました。早速来月、以下の講習にアシスタントインストラクターとして加わります。初中級者対象ですので、ご興味のある方はぜひお問い合わせください!

★アプネアアカデミーJAPAN公認/レベル1&2、プール・学科集中講座(7/31~8/2)
http://blog.mimidive.com/?day=20120605

[完]


Photo by Andrey Metlyaev

2012/07/06 02:02 | トレーニング, 海外遠征 | 1 Comment

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