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本日4/22(金)から5/2(月)までの12日間、バハマ・ロングアイランドのDeans blue holeにて、世界中のトップ・フリーダイバーが集結する大会VerticalBlue2016が始まります。
私もトップ選手に混じってひっそりと、昨年この大会に参加しました。この季節のブルーホールは気候も良く、透明度も素晴らしく、毎日毎日の緊張感や感動、フリーダイビングに没頭していた日々を、昨日のことのように思い出して、今すぐ現地に飛んで行きたいくらいです。
(昨年の大会のダイジェストムービー)
10年以上続くこの大会は島のちょっとしたお祭り?のようで、島の人たちもとても親切。今年も日本人選手達は島のロクスレーおじさんにまるで親戚のように面倒を見てもらっている様子です^^
(昨年、みんなのバハマのお父さん、Locksleyを囲んで)
昨年秋にはハリケーンに襲われた島。今でも嵐の爪痕は残っているようですが、現地の選手達の様子をネット越しに見る限り、のんびりとした島の風景はそのままのようで、ホッとしています。
◆最高峰の大会
さて、Vertical Blueは、数あるフリーダイビング大会の中でも特別中の特別。最高峰の大会、と言って過言では無いのではないかと思います。
何故バーチカルブルーが特別なのか??という詳細はコチラをご参照下さい↓
http://www.junkstage.com/yukimuto/?m=201311
【大会の概要と特徴】
・開催地Dean’s Blue Holeは海況が安定しており、年間通して一定のコンディションで競技が可能。
・ひとりの選手が9日間(レスト含め11日間)のうち6回競技出来る。出場種目はCWT、FIM、CNFのいづれかの深度競技から自由に選択。競技前日に種目と深度を申告する。(これまでの競技結果や前日の体調など様子を見て申告が可能)
この条件のうち、最後の「開催時期が11月」というのが、2013年当時の記事からは変わっていますね。4月というのはどの国の選手にとっても完全にシーズン初めの大会・・・だったはずが、もはや皆さん、この大会に照準を合わせて冬の間から調整をしつくして臨んでいるようです。いやーーーすごい。
大会開始の1ヶ月程前から現地入りするのは当たり前、さらにその前に別の場所でトレーニングに励んでから臨む選手も数多い。自由に参加出来る大会ではあるのですが、必然的に選ばれた選手が、大記録を目指して集結することになります。連日ナショナルレコードや、ワールドレコードがズラリと勢揃いします。
加えて大会スタッフも一流揃い。ハイレベルなセーフティスタッフ(本人達もナショナルレコードホルダーだったり、)や、こなれた環境で競技に臨める、ということはシビアな深度を潜るこのスポーツにとって、とても重要な点です。
(安心感抜群のすばらしいセーフティチームに囲まれて浮上)
◆今年の大会
さて、初日のスタートリスト、出ました!
※スタートリストの見方の説明です。左から
Top Time ⇒潜行開始時間(この2分前からカウントが入ります)
Athlete⇒選手名、国籍
Discipline⇒種目名(CWT、FIM、CNFの3種目)
Announced depth⇒申告深度(この深度にロープがセットされ、これ以上深くは潜れない)
Announced dive time⇒申告時間(潜行時間の目安。判定には関係ないけれど、トップ選手ほどこれがとても正確なことが多い)
Record attempt?⇒ WはWorldRecord(世界記録)NはNationalRecord(国内記録)
※CNF、FIM、CWTってナニ?という方、競技説明はこちら
http://www.junkstage.com/yukimuto/?p=575
今回のトップバッターは日本の廣瀬花子選手のCWT88m。公式自己ベストへの挑戦。そして、なんと初日から、驚きの日本記録の申告が2つも!
・木下さゆり選手のCNF(フィンを付けずに平泳ぎで潜る)68m、自身の公式日本記録61mを大きく上回る記録に挑戦。
・福田朋夏選手のCWT(フィンを付けて潜る)93m、これまで日本女子の公式記録90m超えはチャンピオン岡本選手の92m(世界第三位!)のみ。これを越える日本記録への挑戦。
昨年も「SOY POWER」と言われてVBのメダルを総なめした日本人女子。
今年は更にぶっちぎって凄過ぎて、今日本(の一部のフリーダイビングマニア)はビックリざわついております。
◆【VerticalBlueの観戦&応援】
毎度ながら、フリーダイビングはwowwowでもcatvでもネットでも生中継はしていません。毎日、競技前日に選手は申告を行い、スタートリストが発表になります。それをもとに、ネットで該当ページを開いてスタンバイ!これがVerticalBlueの観戦方法です。以前は実況中継、なんていうものもありましたけれどね。
<大会関連ページ>
◆公式/申告&リザルト(VB公式サイト)ほぼリアルタイム更新
http://2016.verticalblue.net/results/?action=days
◆公式Facebook (こちらは写真付きで情報が上がることも)
https://www.facebook.com/verticalblue
◆公式twitter
@vertical_blue
日本との時差は-14時間です。完全に昼夜逆転しますので寝不足ご注意です。。大会期間は今夜22時過ぎから、観戦&応援開始です。
沢山のナイスパフォーマンスを楽しみにしています。
でも私にとっては・・というより、たぶん日本から応援しているみんな大記録よりも、現地の美しい風景、そして何より選手達の笑顔を見ることがもっともっと、
ずーっと楽しみなのです。各選手のページもぜひご覧下さいね!
<日本人各選手の公式ページ>
篠宮龍三
https://www.facebook.com/ShinomiyaRyuzo/
岡本美鈴
https://www.facebook.com/freedivermisuzu/
福田朋夏
https://www.facebook.com/freedivertomoka/
廣瀬花子
https://www.facebook.com/FreeDiverHANAKO/
福本幸子
https://www.facebook.com/sachikojudyfukumoto/
遠く離れていると数字しか見えませんが、VBでは毎日選手ひとりひとりにドラマがあり、その奮闘を応援しています。
(ドラマの一例。)
どうか事故等なく、選手たちが最高の環境で、最高の笑顔を私達に届けてくれますように!地球の裏側から、エールを送りますよ!
※写真は全て昨年のVB2015のものを使用しています。
■DAY2 57m
さて、例によって悩みに悩み、DAY2はついに-57mを申告しました。
-57mは、4年前のギリシア大会で出した公式自己ベスト記録と同じ深度。そして58mでブラックアウトの経験があります。55mは何度も潜っていますが、ここから先の50m代後半に、突如として壁が現れます。
私の場合、耳抜きが障壁になることはほぼありません。申告したボトムまでは行こうと思えば行けてしまいます。問題は「息が持たない」という点なので「行けるか行けないか」ではなく「きちんと往復して帰ってこられるか」という帰り道が課題。浮上途中で酸欠になれば非常に危険なブラックアウト(失神)をしてしまいます。これを自己ベストゾーンで潜行の段階で見極めるのはかなり難しいのです。
これを考えるとどうしても申告をためらってしまいます。でも最後はもうこれ以上は逃げられない、57mしかない・・と消去法的に決定。前日はしっかりごはんを食べた後、早々にベットに潜り込みました。
さて、当日の朝・・・いつもの青空を見て深呼吸、と部屋の窓を開けると。
毎日抜けるような青空の中で生活していたので、太陽の無い茶色の風景には驚きです。まあ、曇りの日くらいあるか・・
ともあれ、ストレッチと軽い朝食を済ませて、ボート乗り場へ。途中まで同室の諏訪恵選手が一緒に来てくれましたが、この時何となく息苦しく「これ、光化学スモッグかな??」と言い合ったのを覚えています。
沖に出ると、空気がどんどんくすんできました。海はとても穏やかなのですが、空気が茶色・・沖から見渡せるはずの街並は一切見えず、海の中より空気中のほうが透明度が悪い。
こんな不思議な空の下、-57mに向けて淡々と時間が迫ってきます。ウォーミングアップを終えて競技ゾーンへ。この日既に競技を終えた木下選手&廣瀬選手が2人でサポートのために待っていてくれました。二人のサポートは可愛くて面白くて、競技直前まで気持ちを和ませてくれました。
ここ何年も、55mをしつこい位何度も潜っていたお陰で、57mは頭の中で十分イメージすることが出来ました。40m頃から始めるフリーフォールですが、いつもより、2秒多くカウントすると目の前にボトムプレートがありました。
「よし、ぴったり!」そしてあとは浮上するだけ、、とはいえ、私にとってはこの浮上が一番の課題。途中で意識を失ったりしないように、体全体をリラックスさせながら、でも気持ちは引き締めながら浮上と同時にロープの高い位置を掴んでしっかりサイン。そして・・
「ホワイトカード!」
今大会最初の公式記録は自己ベストタイ。この日のダイブの感触の良さは格別でした。全てイメージ通り。酸欠感は全くなく、身体にしっかりと血液が巡っている実感。浮上してロープを掴んだ瞬間「もっと深く行ける」そう確信しました。
この後、環境は悪化します。茶色い空気は、アラビア半島からの砂塵でした。なんと、10年に一回のレベルの砂塵だったようです。お隣のレバノンやイスラエルでは、砂塵の影響で病院に担ぎ込まれる人が出たり、外出禁止令が出た程の酷さです・・
<当時のBBCニュース>
Middle East dust storm puts dozens in hospital
キプロスはヨーロッパというより、地理的にはほぼ中東ですからね。
翌日はまたレスト。砂塵はどんどん酷くなってきました。私は喉が苦しく、咳が止まらず、一歩も外に出られない、そんなオフを過ごすことになりました。この翌日は一番砂塵が酷く、砂塵が気管支や肺に入ることを恐れてトレーニングに出ない選手もいました。
■DAY3 60m
プレ大会の最終日。この日私は、60mを申告しました。
しかも今回の申告は1秒も迷うことなく。一大決意をしたわけでもなく、他の選択肢を検討する余地もなく決まっていました。1mで迷う私が、+3mで何故迷いもしなかったのか不思議ですが。
「こうしたい」という自分の意思というより「こうすることになっていた」とでもいう感じ。人生にはそういう時って、ありますよね^^;
60mは私にとって4年越しの壁。57mまでは4年前にサクッと到達出来たのに、その後のたった3mがどうしても突破出来ませんでした。60mを目指して本当に色々な奮闘をしてきました。フィンワーク、閉息トレーニング、陸上トレーニング、肺活量訓練、体幹トレーニング、試行錯誤しました。が、結局到達出来ず。
私が悪戦苦闘している間に、いとも簡単に70m,80mと潜る選手が増えてきました。けれど、3年前のバハマ大会でも、2年前のギリシア世界大会でも、60mは失敗。私は万策尽きて、もう私の身体はこれ以上は無理なのだ・・といわば諦めの境地に達していました。そしてもう、60mを「目指す」ことはやめていました。ただ、今年はキプロス大会に向けて、ベストを尽くそう、と粛々とトレーニングし、食事や鍼灸で身体を整えていました。(そして結果、ブラックアウトしやすさの原因の一つと考えられる低血圧が改善しました!)
そして「この日」は、やってきました。
まだ砂塵が残る中、マスクとサングラスをして船に乗り込みます。少し咳も出ています。海は穏やかで青くてトロンとしていました。
バージ船の上でストレッチと呼吸、ビジュアライゼーション。
ゆっくりウェットスーツに着替えて、ウォーミングアップはいつも通り。顔つけ5分、そして10m、15mのフリーイマージョンを1本づつ。
開始15分前、待機場所に行くと前回と同じくdeepダイブを終えた木下選手・廣瀬選手がサポートに来てくれました。全ていつも通り。淡々と進んで行きます。
カウントの声が聞こえ、潜行開始。
-20m地点はサーモクラインですぐにわかります。急に水の温度が3-4℃下がり、ひやっとします。薄目を空けると、水中カメラマンたちがこの地点で浮上をし始めるのが見えます。
さあ、ここからはひとりぼっち。
30mを過ぎ、40mまで、ゆるやかにキックを緩めながら進みます。そしてフリーフォールに突入。このあたりで圧力はもの凄く増しているはずなのに、何故か感じる安堵感。すーっと加速しながら落ちて行くのが心地よい。
50mを過ぎてもまわりは明るい青。キプロスの海はどこまでも明るい青。目をつむっていてもわかります。
いつもより5秒長くカウントし、目を開けると目の前にボトムプレートがありました。「よし!ピッタリ!」
60mまで「来たこと」は何度もあります。でも浮上を失敗していました。これまではボトム地点で「ずいぶん深くまで来てしまった」と感じていました。ところが今回は「あれ、もう着いてしまった」とあっけなさに笑ってしまいそう。
浮上はいつもより軽快に感じました。50m…40m…30m…ここで1stセーフティダイバーが水中スクーターでお出迎え。このあと20mでさらに2名のセーフティダイバーやカメラマンが出迎えてくれます。
そして浮上。絶対に水面で失神等しないように、思い切り、高い位置を掴みました。そして、しっかりとサイン。
取って来たタグを見せながら、顔が笑ってしまうのがわかります。
「ホワイトカード!」
長年の壁をついに突破しました!
もうこの後は狂喜乱舞です^^;
ジャッジのロバート・キングにハグ!みんなにハグ!!
60mは、世界大会では全然深い深度ではありません。でも間違いなく、この喜びっぷりは今大会ベスト3入りしたのではないかと思います。木下選手・廣瀬選手、二人とも私よりずっと深く潜ったばかりなのに、自分のことのように顔をくしゃくしゃにして喜んでくれました!
そして、この場にはいない沢山の人たちも、私を支えてくれていました。ありがとうを1000回言っても足りないくらい、感謝の気持ちでいっぱいになりました。早く戻ってこの感謝を伝えたい、という気持ちと、このままずっと水の中にいたいという気持ち。
申告から潜り終わるまで、身体が勝手に動いていたように感じた、とても不思議な一日でした。
この日のダイブは、一生忘れないでしょう。
この先、もっと深く潜れる日が来てもきっと忘れない日です。
それにしても、よく考えると、あらゆる努力をして、わざわざ60mも潜るなんて、相当馬鹿げていますよね。クレイジーです。そして越えられなかった壁とは何だったのでしょう?本当にそんなものがあったのでしょうか?
でも・・私は浮上後ロープにぶらさがり判定を待ちながら、もっと馬鹿げたことを思ったのです。
「もっと潜りたい・・・そうだ、70mに行こう!」
何年かかるかわかりません。でも私の次の目標はこうして、決まってしまいました^^
photo by Daan Verhoeven , Soteroula Tsirponouri
大分間が空きましたが、プレ大会のお話と合わせて深度競技での「深度申告」について。
キプロスでは、本大会の前に「Pre Competition」(プレ大会)が開かれました。順位やメダルなどはありませんが、本番と同じ競技環境・ジャッジ陣で実施され、この大会での記録は公式記録として認定されます。
世界大会の本番は各種目1回だけのチャンスなので海況や体調が合わなければそれまで。でもプレ大会では1日おきに3回競技のチャンスがあります。というわけで、ここで記録更新を狙う選手(National recordやWorld Recordに挑戦する選手も!)もいれば、練習試合と位置づけて調整がてら参加する選手、プレ大会には出場せず合間のトレーニングにだけ参加し本大会にピークを持ってくる選手、と様々です。ちなみに私は練習がてら参加することにしました。
■競技船
プレ大会前日。ようやく大会本番の競技船でのリハーサル・トレーニングです。
見たことも無い装備、巨大なバージ船から鉄の棒が突き出し、そこからロープが垂れています。ウォーミングアップロープが6本、本番ロープが3本。ちょっとロープ同士の間隔が狭すぎるのではなどと思いました。
競技船の甲板には屋根も無くてひたすら眩しい、また、船から海に降りる段差が急すぎる等も発覚。一番この日のトレーニングはまるで「バグ出し」のような状況でした。
■毎回悩む「深度申告」
私は夏の間Deep練習が出来ていなかったので、プレ大会前の4日間の練習は身体慣らしから開始。30m、45m、50m、55mとじょじょに深度を上げ、気持ちと身体がだんだん海に馴染んでいきました。始めはすこぶる調子が悪かったものの、3日目には自分の中で、ようやく大会に臨めるコンディションになったと感じることが出来ました。
そしていよいよプレ大会前日。「深度申告」の時間がやってきました。私はこの「申告」を毎回かなり、悩みます。
海洋競技はルール上、申告深度にボトムプレートとロープがセットされます。つまり、申告した深度が潜れる深さの上限になります。
□申告深度に到達すれば成功(ホワイト)
■途中で引き返せば減点(イエロー)
■ボトムまで到達しても浮上時に失神などしてしまうと失格(レッド)
本番で「もっと浅くしておけばよかった」となればボトムまで行かずに引き返せばよいのですが、イエロー、減点になります。逆に「もっと深くしておけばよかった」と思っても、それ以上は潜れません。
これを潜る前日に決めておかなければなりません。プールの大会は競技の最中に自分の上がり時を見極められますが、海洋競技の場合はこの「申告」から既に競技がはじまっている感じです。
体調、メンタル、海況・・・明日を予測しながら、ベストを尽くしながらも確実にホワイトが取れる「浅すぎず、深すぎず、ちょうどぴったりの」申告をしたい・・と思うとたった1m(往復2m分)の申告を決めるのにも迷うことがあります。1mなど誤差の範囲だということがわかっていても、悩みます。
申告深度はメンタルには大きく影響し、リラックス出来たり緊張してしまったり、あとちょっとのところで耳抜きが出来なかったり。また流れなどの海況によっては往復数mの差が成否の分かれ目になりかねないのです。
■たかが申告・されど申告
今回、私は本番大会はCWT,CNF,FIM3種目の出場でしたが、プレ大会では3日とも本命種目のCWTだけに絞って出場する、ここに迷いはありませんでした。ただ、初日の申告深度を
・55m
・56m
・57m
どれにするか?で大いに迷いました。どれも同じに見えますが私にとっては「自己ベストゾーン」なので、1mの重みはとても大きいのです。
事前練習では55mまで潜り、今年4月のバハマでは56mの記録もありました。「もう一度55mで様子を見るか」「いや、初日だからこそフレッシュに挑戦すべきか」等々・・延々と一人ブレスト。潜っている感覚を頭の中でシミュレーションして、紙に3つの数字を書き出して、結局、一番しっくり来た「-55m」に決めました。「ここから本番まではまだあと2週間。前向きなメンタルを保つことも重要なので、まずは確実にホワイトカードでスタートしよう。」そう考えての、いわば守りの数字。実際申告したとたん安心感に包まれ、ああ、これで良かった、と思ったのです。
・・今から考えると、何故ここまで迷ったのか、と可笑しいくらいなのですけれど。。今回の大会中一番迷ったのが最初のこの申告だったかもしれません。長期の大会では、一つのダイブが次のダイブに影響もするので、最初はより慎重になります。
深度を考え過ぎて最後はもうサイコロで良い、と思ってしまうこともあります。人によっては「この数字が好き」ということでサクッと決めたりということもあるでしょう。団体戦はコーチやチームで綿密に計算のもと申告数字を決めるし、NationalRecordやメダルを狙い「数字ありき」で勝負をする選手もいるでしょう。フリーダイビングは数字と密接で、毎回申告を考えるたびに、数字ひとつひとつに、「色」のようなものがあるように感じます。最終的には浅いか深いかよりも「その数字がそのものがしっくり来るか」という感覚で決める、そういった部分もあります。
さて、こうして申告が出揃うと、その夜「スタートリスト」(申告深度とそれを元にした競技時間の表)が発表されます。たかが数字の羅列ですが、この数字のひとつひとつには、各選手の色々な想いや葛藤がたぶん、秘められています^^
■DAY1 前日、55m
これだけ迷って迎えた大会初日。
競技場までの送迎ボート乗り場につくと、送迎船は影も形もなく、船頭のオジさんから、のんびり「1時間遅れになったよ」と告げられます。
炎天下で1時間も待つのはちょっと・・と、いったんホテルに戻り、ロビーのソファでウトウト。。
そしてまたボート乗り場に。大分混雑したボートに乗り込むと、オジさんの携帯に「大会中止」と連絡が入りました。1時間Delayの挙げ句の中止・・そしてDAY1は翌日に延期となりました。
海況不良による中止はよくある話なのですが、今回は競技海況の安全装置のセットの調整が上手く行かなかったようです。これで大幅に時間がずれてしまったため、競技は中止になりました。その代わり、トレーニングで潜るのはok、ということになりました。
周囲は何となく気が抜けてワサワサした雰囲気でしたが、それは気にしない。今日は予定通り大会と思い、-55mを潜り、無事タグを持って来ることが出来ました。一部始終をゆっくり観察しながらのダイブ、良い感触です。そして「多少のことがあっても平常心で潜れる申告」にしておいて良かった、と思いました。
トレーニングなのでジャッジはいませんでしたが、、自分の中では「よし、プレ大会DAY1、ホワイトカード」ということになり、ガッツポーズでした!
この後、本来1日おきにあるはずだった大会はスケジュールがずれ、翌日が正式に”DAY1”となりました。その後のスケジュールは延びないので、DAY1, DAY2が連続2日間の競技日になります。
<プレ大会スケジュール>
6th September – プレ大会DAY1⇒中止
7th September – プレ大会DAY1 & 公式トレーニング
8th September – プレ大会DAY2
9th September – 公式トレーニング
10th September – プレ大会DAY3
これまでの経験から、本番は一日ずつ休みを入れながら潜ると決めていたので、自分の中ではDAY1は既に終了したこととして、翌日の競技はキャンセル。まずは良いダイブをした感触とホッとした気持ちと共に、DAY2に向けてゆっくりレストすることにしました。良いダイブの次は潜るのが楽しみになります。長期戦でのこの「また潜りたい気持ちでのレスト」、大事です。
というわけで悩みに悩んだ55mの申告は成功でした^^
photo by Daan Verhoeven , Soteroula Tsirponouri
二年に一度開催されるフリーダイビング海洋種目個人戦世界大会、
2015 AIDA Depth World Championshipsがまもなくキプロス共和国のリマソール(Limassol, lemesos)にて開催されます!私にとっては二年ぶりの世界大会です!
私は昨日現地入りしました。毎度ながらの大荷物で羽田を深夜に出発!今大会が初世界大会となる諏訪恵選手と一緒です。
乗継ぎはカタールのドーハ。ドーハからキプロスのラルナカに向かう便では、キプロス国境の警備にあたる国連平和維持軍の方達と一緒で、旅客機の周囲8割方が迷彩服に埋め尽くされるという何とも奇妙な気分でしたが・・・数年前まで南北情勢が不安定でしたが、現在は情勢は非常に安定しているそうです。
こちらが上空から見たキプロス島。真っ青な地中海に浮かぶ島国です。
日本との時差は-6時間。ここまでの道程、日本から一回乗り継ぎで空港からも近いので、他の大会に比べると身体の負担も少なく、相当スムースでした。
各国から28カ国、150名以上の選手が集結する大きな大会になります。
この大会の競技種目は3つ。(大会種目の詳細はこちら)
- コンンスタント・ウェイト・ウィズフィン(フィンをつけて海に潜る競技)
- コンスタント・ノーフィン(フィンをつけず平泳ぎで海に潜る競技)
- フリーイマージョン(フィンをつけず、ロープを手繰って海に潜る競技)
今回は私は3種目に全て出場することになりました!
夏の間十分がトレーニング出来ず、調整は現地入りしてからとなりますが・・・
体力気力を維持しながら、頑張ります^^
【世界選手権・大会概要】
大会名:
2015 AIDA Depth World ChampionshipsAIDA
フリーダイビング世界選手権 2015 海洋種目・個人戦
日程:2015年9月11〜20日
開催国:キプロス共和国
都市:リマソール
種目:コンスタントウエイト withフィン、コンスタントウエイトwithout フィン、フリーイマージョン
主催者: FREE2DIVE FREEDIVING SCHOOL ・SAVVAS SAVVA
公式HP:http://www.freedivingcyprus.com
後援: AIDA キプロス・AIDA インターナショナル
ジャッジ: KING Robert・GESSMANN Ute
参加国数:28カ国
参加選手:150人以上(日本選手11名)
<日本代表公式FACEBOOK>
⇒大会の情報を随時update。ぜひ「いいね」をお願いします!
https://www.facebook.com/cyprus2015japanteam
<大会公式サイト>
http://www.freedivingcyprus.com/wc-2015
【日本代表選手】
コンスタントウェイトノーフィン(フィン無し垂直潜水)
9月14日
男子:後藤修一、岡本耕輔
女子:木下紗由里、廣瀬花子、武藤由紀
コンスタントウェイト(フィン有り垂直潜水)
9月16日
男子:後藤修一、児島光宏、大星太郎、三上知久
女子:岡本美鈴、廣瀬花子、木下紗由里、武藤由紀、諏訪恵
フリーイマージョン(ロープを手繰り垂直潜水)
9月19日
男子:後藤修一、岡本耕輔、児島光宏、竹之内通
女子:木下紗由里、岡本美鈴、廣瀬花子、武藤由紀
【大会スケジュール】
11th Friday: 選手受付・開会式
12th Saturday: 選手受付・公式練習
13th Sunday: 公式練習
14th Monday: 【競技日】 コンスタントウエイトwithout フィン
15th Tuesday: 公式練習
16th Wednesday: 【競技日】 コンスタントウエイト with フィン
17th Thursday: 予備日・休日・練習可能
18th Friday: 公式練習
19th Saturday:【 競技日】 フリーイマージョン・閉会表彰式
20th Sunday: 予備日
エルニーニョの影響で今年は台風の当たり年とか・・・いや、そんなことは無いはず!と言いたいのですが、本当に台風はフリーダイバー泣かせです・・(サーファーの人たちは大喜びですけれどね)
7月初めに予定されていた国内最大の海洋大会である「沖縄フリーダイビングカップ2015」は、観測史上13年ぶりという3つの同時発生台風によりいったん中止、そして8月に延期となりました。
何と言う集中攻撃・・・ここまで来たら諦めつくよね・・。
沖縄で大会が開催されるのは3年ぶり。そして今年は2年に一度の海洋競技世界大会の年でもあるので、最終代表選考試合でもあるこの大会に向けて全国の沢山の選手が練習に励んできました・・
そしてオーガナイザーである沖縄チームメンバーは昼夜奮闘して大会準備に奮闘していました・・
が、自然には勝てないということを、いともあっさりと見せつけられてしまいました。こんな時にフリーダイバーは「あー仕方ないね」と比較的すんなり受け入れることが出来るのです。自然相手のスポーツの宿命ですからね。
さて、私は事前トレーニングの為に早めに沖縄入りし、那覇空港に到着したとたんに「大会中止」の連絡を受けたので、最初から「トレーニング合宿」として臨みました。台風は確実に沖縄に向かっているものの、まだ影響が出るまでには時間があったので3日間、船でのトレーニングに参加することができました。ラッキー!
塩谷漁港。空がとても広い。
早朝の海。真っ青な海!!この青さは絶品です。
初日の練習後は、かつて事故で伊豆の海で亡くなった先輩ダイバーの「献花の会」を沖縄の海から。二度と事故を起こさず、安全に潜れますようにという祈りを込めて。
2日目、3日目とも、ウネリと風は強かったもののターゲット(自分のmax深度へのアタック)練習をすることが出来ました。
私は5月のバハマ大会以来、殆どdeep練習が出来なかったので、初日は身体慣らし、3日目に55m、ここから先が私の正念場、、というところで、4日目からは海が荒れてしまいました。私の記録はここで停滞してなかなか伸ばせずにいます。それでも少々流れのある海で安定してこの深度を潜れたことは、トレーニング合宿はとてもありがたい機会でした。
沖縄の写真家の卵、石田君にこんな素敵な写真を撮ってもらいました!
そしてトレーニング後には大会のスポンサーさんである「エンゾ」で美味しいイタリアンランチを食べたり。
灯台マニアの岡本美鈴選手につれられて残波岬灯台に行き
32mの高さにおののいたり・・・(-32mは軽く潜っているにもかかわらず・・)
いよいよ台風が来る、という直前には、もう翌日トレーニングはないので、ゆっくりコンドミニアムでパーティ。
そして翌日のオフではやんばるの森に入って
今帰仁までドライブして、オーガニックで美味しいランチを食べました。
いつまで話しても話がつきません。海や山にかこまれて、仲間とこんなゆったりと最高の時間が持てたの台風のおかげかな・・と台風にちょっと感謝です。
もう永遠にこの時間が続けば良いのに・・と思ってしまいましたが。。。
いよいよ台風が接近し暴風域へ、どんどん欠航が決まり始めてしまったので私は欠航直前に帰京しました。実際留まったったメンバーは停電やら断水やら大変なことになったらしいのですが・・
さて、大会オーガナイザーの面々。左からさゆる、あいちゃん、こーへー。なぜか関西弁が飛び交う。いつも漫才しているみたい。公式練習でも最高のホスピタリティでみんなのサポートをしてくれました。さゆること木下さゆり選手は、日本記録を2つ保有し、破竹の勢いで成長しているダイバーですが、今回はオーガナイザーに専念。
私が今回感動した一つが、大会のタグ。ボトムロープの一番下につけて、潜った証として取って上がってくる為のもので、普通は真っ黒だったり真っ白だったり何の愛想もありません。海底では所詮細かいものはなにも見ないですからね。
でもこのタグには全部小さな模様がついています。沖縄の伝統工芸『ミンサー柄』だそうです。『沖縄の海に足しげくお通い下さい、必ずまたタグを取りにきてね』という気持ちを込めて、手作りてくれています。
さて、今回の大会は中止ではなく「延期」となり、8月22日(土)23(日)に開催されることが決定しました!私は参加出来ませんが、今度こそ最高の海が迎えてくれるのでは、と思います!
参加する選手のみんな、そしてオーガナイザーのみんな、
最高の大会になりますように、応援しています!
◆沖縄フリーダイビングカップ2015 公式facebookページhttps://www.facebook.com/okinawa.freedive.wc2015?fref=ts
只今、セルビア・ベオグラードでは2年に一度のフリーダイビング世界選手権 (プール種目、個人戦) 「Individual AIDA Pool World Championships
Belgrade 2015」が開催中です!前半の予選が終了し、あっという間に今日から後半の決勝に入りました! 2年前の大会と同じく終盤戦のレポートになりますがご容赦くださいませ。
大会公式サイト⇒http://www.aidapoolworldchampionships.com/
フリーダイビングのプール競技とよく間違われるスポーツに、オードリー春日選手の活躍でも最近話題の「フィンスイミング」があります。同じ大きなモノフィンを着けてプールを泳ぎますが、こちらは速さを競う競技なので、距離や閉息時間を競うフリーダイビングとは少し違います。でも、全く同じフィンを身につけるて泳ぐという点ではちょっと親戚みたいなスポーツなので、何にせよ盛り上がるのは嬉しいことです^^)
セルビアのフリーダイビング世界選手権でもオードリー選手に負けず魅力的な選手達が頑張っています!
■セルビアってどこ?
さて・・セルビアってどこ?と 聞かれて即座に正確に答えられる日本人がどのくらいいるでしょうか?
ココです!東欧バルカン半島のど真ん中です。バルカン半島といえば教科書で習った複雑な民族紛争の歴史がまず思い浮かんでしまいますが・・、ベオグラードの市内にも空爆で破壊された建物の史跡などが残っているようです。でも現在は独立国家となりヨーロピアンな美しい街並、そして親日家も多く、東西文化が混じった美味しい料理が食べられるとても素敵な国だそうです!
フリーダイビングはヨーロッパで盛んで、特にプール競技はロシアや東欧諸国の選手がガチで強い!ので中央に位置するこの国は、多くの選手にとってとても便が良い国、なのです。国境を越えて車でやってくるヨーロッパの選手達も多いようです。今回も各国から170名以上の選手が参加している最大級のフリーダイビング大会です!
■プールの世界大会で競われる種目
この大会で競われる種目は3種目です。
・ダイナミックウィズフィン(フィンをつけて水平に泳ぐ距離を競う種目)
・ダイナミックノーフィン(フィンを着けず平泳ぎで水平に泳ぐ距離を競う種目)
・スタティック(水に浮かんで息を止めている時間を競う種目)
フリーダイビングには海洋種目とプール種目がありますが、どちらかというと「スポーツ的」な要素が強いのはこのプール競技なのではないかと思います。
一つのプールの隣り合わせのレーンで選手が競技を行い、何と言ってもその様子を全て観戦することが出来ます。予め決めた申告深度に挑戦する海洋種目と異なり、プールの場合は最後の最後まで結果が分かりません。思わぬ大記録が出る場面を目の当たりにすることもあるのです。
競技結果はコンマ1秒、1m刻みで勝敗がつきますがその様子は本当に手に汗を握るものです。観戦しながら思わず息を止めてしまいそうになり苦しくなります^^;
ちなみに私はプール競技が苦手なので選手全員すごく尊敬しています。
■世界大会のプールはこんなところです。
50m×25mの広いプール、透明度は50mオーバー、つまり端から端までクッキリ見えるようです。そして何と深さは2m以上。
現地の選手によると「晴れれば海のようにキラキラで透明度抜群で最高に気持ち良く、塩素の匂いが全くしないので、おそらく限りなくピュアウォーターなのかな?そんなお水で泳ぐ素晴らしい開放感。水温22~24℃で超寒いけど、シャキッとします。」とのことです。んーこんなプールで泳いでみたい!
■チームJAPAN
日本からは男女10名の選手が参加しています。
【日本代表選手 種目別一覧】
・DNF ダイナミック・アプネア・ウィズアウト・フィン
男子 / 守屋滋記、飯伏教文、後藤修一、大井慎也
女子 / 石田美弥子、市原由利子、丸山さわ子
・DYN ダイナミック・アプネア・ウィズ・フィン
男子 / 飯伏教文、守屋滋記、大井慎也、後藤修一
女子 / 石田美弥子、市原由利子、丸山さわ子、草地ゆき
・STA スタティック・アプネア
男子 / 飯伏教文、大井慎也、後藤修一
女子 / 丸山さわ子、草地ゆき、印牧未央
ベテランからフレッシュな新人選手まで、バラエティ豊かなメンバー、得意種目も様々です。プール種目は国内でも沢山の大会が行われ、日本人選手のレベルもグングン上がっていますが今回は特に世界大会が初めて、という新人選手も多く参戦し、健闘しています!
競技前日の申告.ホワイトカードがとれますように。
日本のみんなからのメッセージが書かれた日の丸をプールサイドに掲げて。
こちらはスタティックのローテーション表ですね。専属のコーチがいるわけではない日本選手団は、選手同士お互いサポートしあい助け合いながら頑張っています!特にスタティックはサポートと二人三脚ですからね!
■予選を終っての結果はこちら
そして前半3日の予選を終えての結果がこちらです。
<ダイナミックノーフィン>
女子
http://media.wix.com/ugd/c88612_b0683e554af24ef8830b74c52716fe1d.pdf
男子
http://media.wix.com/ugd/c88612_f2c3d7afdc454c35915a6b6e50e1be91.pdf
<ダイナミックウィズフィン>
女子
http://media.wix.com/ugd/c88612_83439f435816493382a9ff59e45c248e.pdf
男子
http://media.wix.com/ugd/c88612_9cde0b1749094854a475435ddf89af19.pdf
<スタティック>
女子
http://media.wix.com/ugd/c88612_f894e5acb44d4469aa778600b78f03fa.pdf
男子
http://media.wix.com/ugd/c88612_850b0f7efb5e4b6ca42feed3e944c023.pdf
なんと最終日のスタティック決勝には新星、草地ゆき選手がAファイナル決勝に残りました!メダルにも手が届く位置に着けています!!
それにしてもいやあ・・・決勝のレベル高さには驚きました。
決勝通過ラインは
・ダイナミックウィズフィン 男子 200m 女子 173m
・ダイナミックノーフィン 男子 153m 女子 130m
・スタティック 男子 6分34秒 女子 5分10秒
残念なことに、日本選手の数名はあと数メートル、数秒の差で決勝に残ることが出来ませんでした。。ダイナミックウィズフィンの石田選手、スタティックの丸山選手とも17位(決勝進出は上位16名)というギリギリラインでした><)
石田美弥子選手は前回のセルビア大会では堂々決勝に残り、さらに176mの日本歴代2位という記録を叩き出した「本番の女王」。今回彼女はたったの1位差、あと5m差で決勝を逃してしまいました・・現地の石田選手とはチャットで会話しましたが、
「事前に強豪選手の過去データから決勝のラインを徹底的に分析して、168-170mと読んでいた。予選では余力を残して169mで上がった。結果は17位。16位の選手は173m。あと5m足りなかった。ジャッジのエカテリーナには完璧なホワイトと褒められたけど、こんなに悔しいホワイトカードは無い。でも泳ぎの内容は過去最高だった」
とのことです。さぞかし悔しいと思いますが、冷静な自己分析はさすが。こんな風に、細かな読みや戦略が渦巻くのも世界大会ならでは、ですね。
でもみんな実力を出し切った、とても良い顔をしています!
さて、残りの決勝、日本との時差は-7時間です。
■リアルタイム中継はこちら↓
https://www.facebook.com/IndividualAidaPoolWorldChampionshipsBelgrade
■日本チームの応援ページはこちら↓
https://www.facebook.com/freediving2015pool
世界の強豪選手がどんな大記録を叩き出すのでしょうか?またとんでもない世界記録が出るのでしょうか?
そして最終日6/27(土)STA決勝での草地選手の健闘を祈ります!ぜひみんなで応援しましょう!!
photo by Tomoyuki Ishida & Tean Japan in Belgrade
今年も行って参りました、流氷フリーダイビング。
フィンを背負って、ビキニを鞄に詰め込んで、
ユネスコ世界自然遺産登録10周年を迎える
極寒の地、北海道知床半島斜里町ウトロへ!
流氷をウェットスーツで素潜りするというエキセントリックな「流氷フリーダイビング」ですが、早いもので今年で3回目となりました。(2013年、2014年の様子はこちら)
フリーダイバーの中でも選りすぐりのモノ好きが集って仲間うちでひっそりとはじめたこの企画。究極の過酷なチャレンジです。今年は参加メンバーも増えましたが、地元の皆様に多大なる協力を頂きながら、これまで以上に入念な準備と徹底した安全管理体制の元に実施しました。また参加者自身のコンディショニングも大切。このために冬の海でトレーニングを積んだり、数ヶ月かけてしっかり「身体を作り込んだ」(=体脂肪を増やした)選手も^^; どうぞこの先は真似したいなどと決して思わず「へぇーよくやるな・・」と呆れながら読んで下さいませ。
■流氷はどこへ?
豊かでダイナミックな大自然に溢れる知床。毎年冬に遥かオホーツク海の北からやってくる流氷も見所のひとつです。が・・今年は少し様相が異なっていました。
流氷が・・・ほとんど無かったのです。
↓今年の様子。
毎年、この場所から見えた海は、「大海原」ではなく真っ白な「大平原」でした。波の音などなく、コチコチに固まり、しん、と静まりかえっていました。
ところが今年は、暖冬の影響か流氷が固まらず、耳を澄ますと「ゴォー」っというかすかな轟音が聞こえてきます。目をこらすと、氷を乗せたシャーベット上の海が、ウネウネとうごめいています。まるで生き物のように。そして海の様子は刻々と変わります。
こんな状態でどうやって潜ろうか・・・。本当はこんな風にがっちり凍った氷の上に穴を空けたいのですが
・・今年はこのありさま。シャーベット上の氷では足場を確保しようにも、流氷が動いてしまったり、柔らか過ぎて危険です。なにしろ、出口がいつのまにか塞がれてしまうことにもなりかねません。
安全に潜れる場所を探すためにドライスーツを来て流氷の様子を探索したり
それでも刻々と流氷の様子は変わっていきます・・・うーん、ここで潜れるかな・・。
・・・・・
そして迎えた大会当日。夜のうちに吹いた風の影響か、前日予定していた場所から、見事に氷が無くなってしまっていたのです。そこで、氷が安定して残っている別の漁港のに実施場所を変更。氷が移動してしまわないように、氷に杭を打って港に係留して潜ることになりました。
水深は5-6mと浅かったので、例年行っていた「コンスタント・ウェイト(垂直に潜る)」は中止し「ダイナミック(水平に泳ぐ)」種目だけの開催となりました。
これは知床観光協会の方が港から撮影してわかりやすく解説をつけてくれた画像です。氷の下の並行潜水は途中で浮上することが出来ないため、ショートコースとロングコースを設け、無理ない距離を潜れるようにしました。
また昨年のヒヤリハット経験から、ラニヤードは使わず、ロープに手を添えて潜ることになりました。
今回スタートとゴール地点には氷と氷の間が塞がらないように、地元の漁師さんたちの知恵で、こんな木枠を設置しました。
水中はほの暗く、おおきなヒトデがいました。そして見上げると
空に浮かぶ雲・・ではなくて、海に浮かぶ、氷。
一瞬だけど、長くも感じる時間。ゴールの木枠が氷の海にぽっかり浮かぶ、窓枠のように見えました。
アイムOK!のサイン。満面の笑顔・・がこわばっています、若干。
なにしろ、水温は-1℃。正真正銘、氷点下ですからね・・。直接海水と接触する顔は冷たいを通り越してピリピリと痛みを感じる程です。
体が冷えすぎないように、氷から上がったら暖かい豚汁。至福の時ですね。こんな準備も3年目の経験値ならでは、なのです。
ともあれ、こうして無事に大会は終了しました!
そして、氷上人文字でウトロに感謝を込めて!
浴衣姿で、感謝を込めて・・
■減少する流氷
オホーツク海から北海道に接岸する流氷は、多くの栄養分を運び世界自然遺産知床の大自然を育む重要な役割を担っています。でも近年地球温暖化の影響で年々減っているそうです。今回私たちはそのことをまさに肌で感じることになりました。
勿論年によって波があり、今年がたまたま暖かかっただけで、来年はまたがっちりとした流氷が見られるかもしれません。でも長期的には減少傾向にあるそうです。季節の移り変りと同様に、地球規模の気候変動もまた、ある日を境に突然変わるものではなくて、緩やかに変化していくものなのかもしれません。
そう思うと、ますますとても流氷が愛しいものに思えてきます。「豊かな生態系を育むオホーツクの流氷の海がこれからもずっと続くように」そう願わずにいられません。
氷、海、雲、雪。
全て水が形を変えたもの。
水は様々な姿で私たちを圧倒します。そしてこの凍てついた地でほんの一瞬だけ、水に入ることで、自分の存在はとても小さく、でもこの大きな自然の一部だと、確かに感じることが出来るのです。
※今年の流氷フリーダイビングは様々なメディアで取り上げていただきました!
詳しくは「流氷フリーダイビング」、世界で話題に?!へ
Photo by
Tomohiro Noguchi, Jay Hung, Shuji Hosoda,
Yui Takagi, Hiroko Murakami
バハマ・ロングアイランドのDeans blue holeにて、
世界中のトップ・フリーダイバーが集結する大会
VerticalBlue2014が11/27(木)から始まりました!
(大会開始のトレーラー映像!カッコいい!公式カメラマンDaanによる今大会の映像も早速登場)
日本からは人魚ジャパンの岡本美鈴、福田朋夏、廣瀬花子選手始めトップ選手も多く参加しています。
毎年、この地で開催されるVertical BlueはDean’s Blue Holeという巨大な池の様な穴で開催されるため、年間を通して安定した環境で競技を行うことが可能です。既に大会3日目にして、各国でナショナルレコードが続出しています!
Vertical Blueについて(昨年VB2013年の記事)http://www.junkstage.com/yukimuto/?p=2646
さて、今回のVB日本選手に関してはCNF(コンスタント・ノーフィン:フィンを使わずに深く潜る競技)で既に男女とも日本記録が更新されています。
・各種目でアジア記録を保有し、日本人唯一の100m超えダイバーでもある
篠宮龍三選手が日本記録-65mを達成!
・期待のホープ、海洋競技はデビュー公式戦となる、大型新人
木下 紗由里選手が日本記録-53mを達成!
関連記事はこちら
Vertical Blue 2014 Update – 10 National Records in 2 Days
https://www.deeperblue.com/vertical-blue-2014-update-10-national-records-2-days/
昨年のVerticalblueは大会開催期間中の事故により残念ながら中止となりました。
フリーダイビングは、人体の限界に挑む過酷な競技ですが、決して命をかけてはいけないスポーツです。深い海の中、たったひとりで自分自身の心と身体に向き合い、そしてその先の何かを選手の一人一人がつかんで、水面に持ち帰って来ます。
まだ大会ははじまったばかり。今後の選手の活躍を日本から応援します!そして選手全員が安全で満足なdiveが出来るように、心から祈っています。
十分にトレーニングを積んだ選手達が成果を発揮出来ますように!そしてみんなの笑顔&ホワイトを願って、日本からエールを送ります!
<大会公式info>
■Verticalblue2014公式サイト(リアルタイム経過報告)
http://2014.verticalblue.net/results/?action=days
■Verticalblue2014 Facebook
https://www.facebook.com/verticalblue?fref=ts
いよいよ今週末、毎年恒例の東京フリーダイビング倶楽部主催の記録会、第15回目「真鶴フリーダイビング・クラシック」開催です。
毎年恒例のこの記録会は、一年のしめくくりとして、そのシーズンの練習の成果を記録しよう、という主旨で開催されます。今大会の最大深度は-95m。真鶴・尻掛沖の100mの地点でアンカリングして競技を行います。
日本のトップ選手から初心者まで、そしてTFCメンバーだけでなく、八丈島、小笠原、関西、と色々な地域からのフリーダイバーが大集合します!
海上セッティングは「世界大会仕様」です。
この時期の真鶴、水温は21-22℃まで下がりますが、透明度は時に-20m以上にもなります!
今年は新型ボトムカメラが登場。そしてプロカメラマンに水中で写真・映像を撮影いただけるので、とても楽しみです。
今年の記録会では、私は実行委員長を任命され奮闘しています・・私よりもベテランメンバーに助けられ、真鶴の皆さんに助けられながら。。真夜中にメールが飛び交いskype 会議したりと大変ながらワクワク準備を進めています。
今年の3大コンセプト
1)ともかく安全第一!
⇒フリーダイビングのリスクを熟知した医療スタッフが陸上にもスタンバイして安全管理を徹底。
2)地元真鶴のみなさんともっと身近に交流!
⇒岩のロッキーマリンさんからは初めて&念願の「見学船」を出していただくことに!そして観光協会から、地元広報誌にも掲載頂きます!記録会後の懇親会には真鶴町の皆さんに参加頂きます^^
http://ameblo.jp/rocky-marine/entry-11944269164.html
(ロッキーマリン島田えりさんのブログ。見学船のテスト出航の様子です。実際にはもっと大きな船を出して頂く予定)
3)みんなで潜って、みんなで運営
⇒運営委員会メンバーも潜ります!私も2日目には潜りますよ!
先週末にはロープ計測も終えて準備万端!
週末のお天気は少し心配ですが、あとは海にゆだねるばかり。
みんなのホワイトカード、笑顔を楽しみに、行ってきます^^)
東京フリーダイビング倶楽部
http://www.freediving.jp/
https://www.facebook.com/tokyofreediving
フリーダイビング世界大会、人魚ジャパンの結果は2位、銀メダル!
惜しくも金メダル三連覇はならなかったものの堂々の世界2位!!輝くシルバーメダルを獲得した皆の笑顔、キラキラに輝いています^^)
負けず嫌いの人魚たちはきっと一位で無かったことが悔しいと思いますが・・悔しさは次回への糧、成長の種。これからの進化に益々期待出来る、ナイス・フィニッシュだったと思います!
■最終種目、ダイナミック・ウィズフィン
スタティック、コンスタントを終えた3種目目のダイナミックウィズフィンは、綿密な計算に基づいて、3人とも相当余裕を持った137m,138m,139mという距離を泳いでの着実な銀メダルでした!
<女子最終結果>
1位 ロシア 773.70 point
2位 日本 653.40 point
3位 チェコ 635.70 point
それにしても・・今回の金メダリストのロシアですが、流石に人魚ジャパンも完敗の強さでした。特に、ダイナミックウィズフィンで237 m(25メートルプール約10往復を息継ぎ無しで泳ぐ・・)というワールドレコードを叩き出したナタリア・モルチャノバ選手・・!団体戦の最終種目、着実に点数を獲得することが重要な局面で、ぶっちぎりの世界記録を叩き出しての金メダル。これは見事と言わざるを得ませんね。いやはやロシアの最終兵器。本当に凄いです・・
ナタリア、日本人に包囲されるの図!普段はとっても気さくで優しい、ロシアの肝っ玉母さん。そして肩幅がみんなの倍・・!(昨年のギリシア世界大会個人戦にて)
ともあれ、こんな強豪揃いの世界大会での銀メダル獲得は、やはり素晴らしいのひと言です。
人魚ジャパン、おめでとう!そしてお疲れさまでした!
フリーダイビングはまだまだ日本ではマイナーな競技ですが、人魚ジャパンを通じて、少しずつ、競技をやりたいという人や、フリーダイビングに興味を持つ人、ファンが増えて来ていることはとても嬉しいことです!日本は世界でも有数の素晴らしい海に囲まれた国ですからね!
さて、次の世界大会団体戦は2年後の2016年。次回はどんなドラマが待っているでしょうか?SNSやインターネットでだいぶと現地の様子は把握できますが、次回はもっと沢山の人とライブ感を味わいたい!!と思っています。
あ、今回も出来なかった・・次回は是非パブリックビューイング、やりたいですね^^)
photo by Megumi Matsumoto, Ikuko Noda