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2013/04/27

館山大会の告知をしたままあっという間に時がたち、GWに突入してしまいました・・・久々の更新となりますが、なにはさておき先週のビッグニュースを。

「日本一、深く潜る夫婦」フリーダイビング界のビッグ、もとい、Deepカップルの誕生。(新婦CWT-90m、新郎FIM-53m 合わせて-143m。 byフリーダイバー米田氏の試算)

岡本耕輔(オカモチ)、美鈴(みみずん)結婚おめでとう!

東京フリーダイビング倶楽部の仲間であり、尊敬し敬愛する2人の結婚。自分にとっても、そして多くのフリーダイバーにとっても、ちょっとしたエポックメイキング、とも言える出来事でした。

昨年11月、バハマで世界4番目ともなる90mを達成したみみずん。
ここに至るまで、静かで力強いオカモチのサポートが、常にあったのです。


私は誓約式の「お盆持ち」の時点で自分もウルウルしてましたが、

親戚のおばちゃんごとく、すでに最初から号泣するフリーダイバーも。


ブーケトス!さて・・・この花束は誰の元へ??

ともかく、会場に入りきらないのでは、という位の沢山の仲間が集まりました。

司会もカメラマンもお花も映像も、全てフリーダイバー仲間。日頃は海やプールでしか会わないな仲間の、本業のプロの顔を垣間見るひとときでした。

この日の写真総数、何千枚になっているのでしょう。

世界各地、日本各地の仲間からのビデオレター、そして新旧、色々な世代のフリーダイバーが一同に会し、夜更けまでお祝いしました。

ボーズも女子も、大集合!

(※フリーダイバーは何故か世界共通で坊主頭が多いのです…)

 

最後は二人が出会った、真鶴の海の写真です。

昨年の「真鶴フリーダイビングクラシック」。ベテランの二人は海には一度も入らず、2日間、船の上から選手たちを見守っていました。絶大なる安心感でした。

ともあれ、

みみずん、おかもち、末永くお幸せに!!

そしてますます、深い夫婦になってね。

仲良しジジババになってね。そしてジジババになっても、みんなで一緒に潜ろうね!

photo by フリーダイバーのみんな

2013/03/31

今日で3月も終わり。
今年は既に桜も葉桜になりかけていますが、フリーダイビング界も例年より前倒しで既に「シーズンイン」しています。

桜も満開過ぎましたが・・・

今年はフリーダイビングの世界大会は個人戦の年(昨年は団体戦)にあたり6月にはセルビア・ベオグラードでAIDA World Championship 2013(プール個人戦)が開催されます。これに合わせて実質の日本代表の最終選考会となる「フリーダイビング・インドアカップ2013イン館山」が、いよいよ今週末の4月6日(土)7日(日)に開催されます。世界大会が例年より数ヶ月早く開催される分、館山大会も例年より一ヶ月半早くなりました。(⇨世界大会選考の解説についてはこちら参照)

という流れの中、今年は館山大会の前哨戦として2月半ば以降ほぼ毎週都内のどこかでミニ大会が開催されていたという状況。大会が行われるたびに好記録が続出してランキングが入れ替わっており、セルビア代表枠が誰になるのか、最後まで目が離せないという状況になっています!

<AIDA World Championship 2013(プール個人戦)日本代表選考について>

なお、セルビア大会は世界で現在10位以内に既に入っている選手は「Wild card」として無条件で出場枠が与えられています。日本勢は、人魚JAPANメンバーである平井美鈴、廣瀬花子、福田朋夏の3名がダイナミック・ウィズ・フィン(フィンを履いてプールを並行に泳ぐ距離を競う)と、スタティック(息を止める時間の長さを競う)にワイルドカード入りしています。

<現在の世界大会ワイルドカード>

STATIC(息止め)

 

 

Dynamic with fin(フィンを履いての平行潜水)

 

Dynamic without fin(フィンを履かずに平泳ぎでの平行潜水)

平行潜水は男子だと200mが当たり前、息止めは7分が当たり前、と世界は凄まじいレベルの高さ・・・です。が、日本選手全体もかなりのレベルの高さ。

ワイルドカードをのぞく4枠をめぐり、ハイレベルな戦いが繰り広げられることでしょう。来週末の館山大会で現在の好記録保持者が逃げ切るか、新たな新記録が生まれるか、セルビアへの切符を手にするのは誰か?!

・・・と、白熱する一方、この館山大会は初心者からベテランまで誰でも参加できるオープンな大会。沢山のフリーダイバーに会えるのが楽しみな一大イベントでもあります。というわけで、プール種目が大の苦手な私も今年の大会には2年振りに参加します。代表枠は射程圏外なのでマイペースに・・^^;;;

いよいよ来週にせまった館山大会、選手達は最終調整に入ります。レポートをお楽しみに〜!

 

 

2/17に開催された今年最初の大会(True North Double Challenge vol.2 

 

2013/01/02

いよいよ秋も深まる10月-11月は 真鶴 → バハマ大会 でようやく終了です。

<10月>
●第13回真鶴フリーダイビング・クラシック

10月中旬は東京フリーダイビング倶楽部が主催する恒例のフリーダイビング大会「第13回真鶴フリーダイビング・クラシック」が開催されました。真鶴の海には四季折々の表情があり、10月は透明度も増しながらも水温はまだ高く、潜るには一番良い季節です。私は毎年この大会で一年の集大成を出すべくトレーニングをしていましたが、今年は選手ではなく運営および、セーフティダイバーの任務に専念しました。また、この大会での水底映像「ボトムカメラ」についてはこちらで紹介しています。

<11月>
●冬の真鶴

そしてシーズン最後の11月の真鶴での練習。すっかり海は冬の表情になっていました。いよいよ、今年の集大成であるバハマ大会目前の最後の海洋練習でしたが、このとき「ターゲットダイブ」(自分のmax深度の潜り)が久しぶりだったことに気がつき、少しばかり焦りました。

●トレーニング:辰巳、横浜、代々木公園、シンガポール・・他

実はこのころになると仕事も加速度的に忙しくなって来ました。まとまったトレーニングの時間を取ることなかなかできず、隙間時間でのトレーニングを心がけました。私のトレーニング場所は辰巳国際水泳場・横浜国際水泳場それから出勤前の代々木公園、果ては出張先のシンガポールのホテルのプールなど、でした。

 

●Vertial Blue:バハマ・ロングアイランド

11月20日から、バハマ・ロングアイランドのブルーホールでVertial Blueが開催されました。私は一年越しでどうしても達成できていない、コンスタント・ウェイト・ウィズ・フィンでの-60mを、この大会で成功させたいと思っていました。-57mが今の自分の公式ベスト記録。-60mは2回失敗していました。「あと少しだけ、息を長く止められる」ようになれば、3mの壁は突破出来ると思っていました。

深度競技の課題のひとつ「耳抜き」に関しては、私は苦労せずとも自然に圧平衡が出来る幸運な体質。また「胸郭の柔軟性」についても、まだ自分の潜る深度で肺に違和感や圧迫感を感じることはありません。なので、自分の課題は「閉息能力(息を止めていられる能力)」に尽きると考えていました。そもそも私は肺活量は人並み以下。フリーダイバーとして閉息能力は高い方ではなく、閉息時間がモノを言うプール競技などが本当に苦手です。そのため、今年はともかくこの能力向上のために地味にトレーニングをして来ました。しかし、バハマ大会では功を奏さず短期間で二度もBlack Outをするという惨憺たる結果に終わりました。

1日目◎成功:CWT -55m white
2日目×失格:CWT -60m red(Black Out)
3日目△減点:CWT-58m(-53m early) yellow
4日目×失格:CWT -58m red(Black Out)
5日目◎成功:FIM -36m white
6日目△減点:CWT -56m(-38m early) yellow

この結果について分析すると・・・(これでも圧縮していますがかなりマニアック。悪しからず)

(1)フィジカル面
●コンディショニング不足
30時間以上の長旅および日常の疲れも取れないまま、事前練習もなく本戦に突入。十分な休息を入れず間髪入れず連日の競技を行ったこと。特に前半は時差ぼけもあったのか常に身体が重くダルかったことを覚えています。冷静な判断力があれば、とてもベストのダイブが出来る状態ではありませんでした。後半は後半で鼓膜に疲労が溜まり、最終日は満足な耳抜きが出来ず申告深度の半分ほどでアーリーターンとなりました。「せっかく遠征に来たのだから」という気持ちを捨て、身体の声を聞くべきでした。
⇨身体あっての競技、コンディショニングは基本中の基本。

●トレーニング不足 
日々の地味な閉息トレーニングの結果、プール練習では少しずつその効果が出ていました。しかし、それも十分なものではなく、そもそも深度練習やフィンワーク練習が圧倒的に不足していた。海に行くのとトレーニングとは別物だ、と沖縄大会で痛感していたはずなのですが・・・あとから映像を見返すとモノフィンのフォームがすっかり崩れ、明らかに無駄に酸素消費をする泳ぎ方をしていました。また、フリーフォールを用いてより酸素消費を押さえる潜り方も取り入れるべきかもしれません。
⇨トータルでバランスの取れたトレーニングを!トレーニングは計画的に。

(2)メンタル面
●戦略不足:
今回の自分の本命ダイブは「-60m」(成功したらそれ以上)と決めていました。が、これをどこに持ってくるかが重要でした。2日目にいきなり-60mを申告した理由は「身体や耳に疲れが溜まる前に目標の本命ダイブを済ませてしまおう」という考えからでした。しかし2日目のBOは心身にネガティブに作用し立て直しが難しくなりました。もう少し心身に余裕のある深度を積み重ね、良い感覚を染み込ませてから本命ダイブに挑めば、違った展開になっていたかもしれません。
⇨これはIFの世界なのでなんとも言えませんが・・。

●暗さへの嫌悪感:
ブルーホールは素晴らしい場所だ、とどのフリーダイバーも言います。しかし今回の私は「ブルーホールではなくてブラックホールだ・・・」「海ではなくてただの真っ暗な穴だ・・」と感じていました。-50mを超えたあたりからの暗さ。ボトムプレートは下からライトで照らされており、それが余計に周りの闇を濃くしているように感じました。大会期間中は自分でそんな考えは認めませんでしたが「今日もあの暗い場所にたった一人で行くのか・・・」という憂鬱にも似た気持ちが芽生えていました。
海は心を映す鏡。こんな時こそメンタルコントロールを意識的に!

●集中不足:
色々やりすぎた2012年後半、バハマ大会は忙しい年末にもあたり「本当に今、行くべきなのだろうか・・」という迷いを抱きながらの遠征になってしまいました。その場に集中するというより、「早く大会をこなしてしまおう」とでもいう、どこか落ち着かない気持ちがありました。その後、帰路に出張でサンフランシスコに降り立った時の安堵感。さらに、成田に帰って来た時の安堵感。やはり自分の気持ちが潜ることに集中しきれていなかった。これは大きなマイナス点でした。
⇨2013年は自分の活動の選択と集中・・!

と、フィジカル、メンタルともに反省点が山盛り。苦いバハマでしたが・・・
結果として、やはりこの大会に参加出来たこと、ここで沢山の課題を得られたことは、あっさり60mを達成する以上に大きな収穫だったと思います。また、トップ選手たちの驚異的なダイブを間近で見られことも得難い経験です。ロシアのアレクセイの世界記録-127m達成、日本人では平井美鈴選手の-90m(世界の女性で4番目に到達)福田朋夏選手の-80m(日本人で男女合わせて7番目に到達)。どれも本当に、素晴らしいパフォーマンスでした。

最後に、これは私が唯一成功した初日の-55mダイブの映像です。

「情熱大陸」にも出演した公式ビデオグラファー二木あい氏が撮影・編集してくれた素敵なムービーです。自分の潜りに関しては修正点やツッコミどころ満載なのですが、ふと考えると、一流のスタッフに囲まれてこんな風に潜れる、こんな最高な機会を何故もっと純粋に楽しまなかったのか?という疑問が浮かびます^^;

ともあれ、ブルーホールは「最高の準備をしてきた人にとっては最高の場所」であると思います。いずれチャンスがあれば、今度こそ最高の準備をして、心から楽しんで「青い穴」に潜りたいと思っています!


***

2012年海の旅のまとめはこれにてやっと終了です。真鶴、三陸、エジプト、尖閣諸島、八重山諸島、沖縄、葉山、ニース、御蔵島、バハマ・・私としては数年分に匹敵するぐらい、色々な場所で色々な経験をしました。緑、青、水色、コバルトブルー、群青、濃紺、黒・・様々な色の海に潜りました。そして海を通じて日本各地・世界各地で沢山の出会いがあり、仲間と一緒に素晴らしい時間を過ごすことができました。仕事とフリーダイビングが両立出来る環境、ハードスケジュールに耐えた自分の身体に感謝します。

ただ・・私には一年間ではとても消化しきれないほどの経験でした。撮りためたビデオを一度も見返していない、読みたい本を買い漁って積んである、授業を受けて復習していない、そんな感じがしています。2013年は少し落ち着いた年にしようと思っています。そして2012年の沢山の経験をゆっくりと消化して、血や肉にし、何かを実らせていきたいと思っています。

まとめ、終わりです!

photo by Tomohiro Noguchi
Tetsuo Hara
movie by Ai Futaki

2012/12/31

夏本番8月−9月の海は 葉山 → フランス・ニース → 御蔵島です。

<8月>
●葉山:一色海岸

夏本番の8月、さぞ色々な海に繰り出したのでは?と思われそうですが、私は一通り各地を飛び回って一段落したところ。そして何より、この月から正式に新しい仕事を開始したので、東京に腰を据えた一ヶ月でした。

けれど遠くに行かなくても、どこもかしこも夏、というのが8月です。
そんな夏を満喫するのに最高の場所は、葉山の一色海岸。ちょうど今年はフリーダイバー仲間の結婚式が真夏の一色海岸で行われました。これがほぼお祭り。「結婚式幹事の打合せ」と称した謎の集まりが毎週のように招集されては、昼間は暑いからと各自勝手に海に入り、夕暮れになるとビーチでジャンベやらディジュリドゥーやらの魅力的なライブが始まってしまい「打合せ」の進展が何も無いまま毎回流れ解散、という具合。なのに本番は最高に素敵でワイルドなウェディングになったので真夏というのは不思議なものです。

さて、こんな「正しい夏」はいつまでも続くような気がしてしまうのですが、
葉山の友人達に言わせると、正真正銘の夏は8月の始めまでで、それ以降は少しづつ「秋」が混じってくるとのこと。確かに夏はナマモノで一週ごとに少しづつ空気が変わって来ます。でもそんな短くて凝縮された日本の夏が、どんな常夏の国よりも、私は大好きです。

 

 

<9月>
●AIDA Team World Championship 2012:フランス・ニース

2年に一度の世界大会団体戦がフリーダイビング発祥の地、フランスのニースで開催されました。私も日本代表チーム人魚ジャパンの一員として、行って参りました。「補欠選手」という立場での参加ですが、幸い大会中メンバーにトラブルなどなく、私は大会開始後は完全にコーチとして全力投球することになりました。ただし練習期間中は選手と一緒にトレーニング。4ヶ月前のマルセイユでのささやかな夢はすぐに実現し、南仏の海で潜ることが出来たわけです。ニースは、そもそも空が真っ青なので、海の中も青インクを溶かしたように真っ青です。ただ、30m位を過ぎたところでサーモクラインがあり、急に水温が下がる、というのが特徴的でした。

大会会場はヴィルフランシェ・シュル・ラ・メールという舌を噛みそうな名前の、とんでもなく素敵な場所でした。しかし、大会期間中の選手の生活はまさに合宿所。1ベットルームしかないアパートメントに7人が泊まり、もう屋内はぎゅうぎゅうでした。私は殆どの時間はジャージ姿で大会本部テントに居座り情報収集や交渉に費やし、(ぼーっとしているとチームの練習場所や移動手段が確保出来なかったり、翌日の競技時間の情報を入手出来ないので大変なのです)このおかげで様々な国の選手やスタッフと親しくなりました。また、競技中はチーム全選手と一緒になって緊張したので、ある意味、大会を隅々まで満喫した気がします。笑。

この大会で印象的だったことといえば、フランスはフリーダイバーの層が厚い、ということ。配車係のドライバーのおじさん(やけにダンディ)が、実は映画「グランブルー」のエンゾと競い合っていた往年のチャンピオンだったり。こんな方がごろごろとおり、彼らが全く偉そうではない役割で、実に楽しそうに大会運営側に回り、大会を盛り上げていました。

また、代表選手一人一人の違った強さにも毎度感動していました。
その一つが大島俊選手のエピソード。私はちょうど彼の海洋競技のサポートに着いていました。競技開始直前、これから82mを潜るという2分前のカウントが始まった後で、ラニヤード(既に事前の安全チェックにパスしていたもの)を無理矢理交換させられる、というトラブルがありました。彼は一瞬抵抗したもののそのまま競技を始めるしか無く、十分な呼吸ができないまま潜水開始。結果-79mでアーリーターンとなりました。完全に集中が途切れてしまったはず。普通の選手だったら運営側にクレームしてもおかしくないのですが、彼は浮上後にひとこと「俺、あの時一瞬カッとなっちゃたから駄目だったんだな。」と呟いたのです。自分の集中を乱した他人を責めるのではなく、集中を乱されカッとなった自分を自省する。成長する選手は違うな、と感心した一件でした。また、どんなトラブルも自分のこととして受け入れる、ということは、自然相手のスポーツをする選手にとって最も重要な資質のような気もしました。

ほか、この大会のエピソードはここでは語り尽くせないほどあるのですが・・・
これ、「まとめ」だったことを思い出しましたのでこの位で^^;

結果、この世界大会で日本女子は圧倒的な強さで優勝、「金メダル」二連覇を達成しました!(参考:Numberの記事http://number.bunshun.jp/articles/-/280414、他メディア掲載多数)さらに嬉しいことに、日本チームは「ベストチームワーク賞(ルイック・エフェルモ賞)」を授与されました!人魚ジャパンを心から誇りに思います。人魚ジャパンを盛り上げ、日本から応援し続けてくれた一人一人に、感謝します。2012年、この場に居られたことは一生の宝です。

 

●ドルフィンスイム:東京都・御蔵島
さて、ニースから無事帰国した週末。どうしても我慢出来ずに行って来ました。
毎年数回は必ず訪れる、私のパワースポット。東京・竹芝桟橋から船で7時間、野生のイルカが生息する御蔵島です。黒潮の当たる生きの良い荒々しい海に囲まれた小さな島です。今年はさすがに忙しすぎるので諦めるつもりでしたが、このまま一度もイルカと泳がずに夏を終わらせるわけにはいかないでしょう・・・と、もう一人の自分の声が・・・

この夏はニース大会補欠として日々欠かさず地味にトレーニングをしていたおかげか、イルカと水中で一緒に泳げる時間が以前よりずっと長くなっていたように感じました。フリーダイビングをやっていて良かったと一番強く思うのは、実はイルカと泳ぐこの瞬間だったりします。

(今回お会いし撮影いただいたyagoさんのムービーです。イルカの泳ぎを眺めているだけでも、幸せになります!)

こうして、ようやく夏が終わりましたが。まだ武者修行は続きます。

photo by Tetsuya yamamoto
                  Den CG.
movie by Tetsuo Yago

2012/12/31

続いて6月‐7月は 台湾 → 尖閣諸島 → 八重山諸島 → 沖縄本島 → 気仙沼 へ。

<6月>
●台湾:

<上:OMDC 海人與海潛水訓練中心の店内。 下:寧夏夜市!>

フランスから帰国した翌週、台風の乱気流に乗って台北に到着しました。
新しい仕事の関連で台北で開催されたIT関連の展示会COMPUTEX TAIPEIに参加しつつ、
台湾のフリーダイバー、Jayさんのお店、「OMDC 海人與海潛水訓練中心」を訪問しました。蒸し暑い台湾でしたが、すーっと静かな空気に包まれた、川沿いのお店です。ダイブショップというより博物館のような素敵な場所。色々なフィンのコレクションや、写真集を見せて貰ううちに、・・あっという間に時間が経ちます。
とっぷり日が暮れた後は一緒にトレーニング・・・の代わりに、夜市へ繰り出しました!夜市はどこもエネルギッシュで大好きですが、私のお気に入りは「寧夏夜市」というとてもローカルな場所です。

Jayさんはその後、AIDA TAIWAN立ち上げに奔走し、10月には来日して沢山の日本人フリーダイバーとも繋がりました!日本と台湾はお隣の国同士。今後のアジアネットワークの広がりが楽しみです。台湾の南東にある「緑島(GREEN ISLAND)」で、いつか潜ってみたいと思っています。

 

●尖閣諸島:

<厳かな日の出と魚釣島>

縁あって、尖閣諸島に行く機会が訪れました。くしくも台湾の翌日。地理的には台湾と石垣島はすぐ隣なのですが、目に見えない国境・・・台湾から石垣島に直接渡ることが叶わず、深夜に一度羽田に戻っての石垣入りとなりました。

石垣島港から漁船に乗ること7時間(と書くと簡単ですが・・船に慣れていない人には往復14時間、地獄の船酔いの旅のようでした)尖閣諸島に到着しました。日の出とともに、荘厳な魚釣島が見えてきました。それまではニュースで見る地図の上で「東シナ海の碁石」という記号のように思えていた魚釣島。実際に尖閣諸島の海域で、私が感じたことを敢えて正直に書くと・・・「これは、人間が取り合うものではない」という感覚。海鳥が飛び交う豊かな豊かな海。「守る」という言葉すらおこがましい。ひたすら神々しい、絶海の孤島。
この時、海に入ることはもちろん叶いませんでしたが、もうこの海域にいるだけで、深く海に潜ったとき以上の圧倒的な「自然」の存在を感じたのです。太古からの自然崇拝がすっと、理解できます。人にとって、「祈り」の姿勢とはとても自然なものなのだ、と感じました。・・・今年一番の一番圧倒的な経験でした。

●石垣島&八重山諸島

<育江さんと、海を一望できる前庭>

その後は石垣島および八重山に気の向くままに滞在。
世界各国を旅した2012年ですが、石垣島ほど「帰りたくない・・」と思った場所はなく、実際予定より長く滞在してしまい、台風が来たので泣く泣く帰京する始末でした。鳩間島では手作りの銛で漁をし、念願の西表島では達人のスピアフィッシングを目の前で見て感動し、数年ぶりに竹富島にも寄ってしまいました。・・・海、珊瑚、滝、泡盛、三線・・・・帰りたくない要素ばかりで困りました^^;

石垣島では移住した友人たつさんと秘密の素潜りポイントに毎日潜り、そして、フリーダイバー大先輩の益戸育江さん(芸名:高木沙耶さん)のお宅に訪問しました。
育江さんは女優でありながらフリーダイビングの海洋競技で日本記録を達成したことでも話題になりましたが、現在はフリーダイビングの競技からは引退しており、石垣島で自給自足の生活を送っています。超がつく、素敵な人です。ホーリーバジルという草のお茶をご馳走になりながら、色々なお話をしました。育江さんは地球共存スタイルを産み出す「虹の豆」というステキなプロジェクトを推進中です!

 

<7月>
●沖縄大会DEEP WATER CUP OKINAWA

<左:私の潜行の様子(igor liberti 撮影) 右:かなりうねっていた真栄田沖の競技会場>

7月半ばに沖縄本島で開催された「DEEP WATER CUP OKINAWA」。今年9月の世界大会の最終選考会を兼ねており、多くの国内のフリーダイバーが参加しました。私ももちろん参加しました。ここまでの段階でまだ東京は梅雨すら開けていないのですが、例年以上に海に漬かっていて私は既に全身真っ黒に日焼け。体はすっかり海仕様、になっていたつもりでした。

が、この大会で私は思うような結果は出せませんでした。この大会は全部で3日間で構成され、初日は海洋競技のみ。二日目と三日目は海洋競技とプール競技の総合得点を競うものでした。私は初日は-58mという、昨年楽に成功した深度でブラックアウト(失格)。ここではじめて、自分の身体がトレーニング不足であったことに気が付きました。この反省から2日目、3日目は大分抑え目で安全圏でのホワイトカードを狙い立て直し。幸い総合3位に入ることが出来ました。しかし、やはり競技で結果を出すためにはしっかり地道にプールトレーニングをしたり、小さな国内大会で集中と緊張に慣れておいたり、ということが大切だということを痛感したのでした。

 

●Sanriku UMI-BIRAKI in Oshima:(気仙沼・小田の浜)

<少し肌寒かったけれど・・・子供たちは元気いっぱいでした!>

7月21日(土)宮城県気仙沼大島「小田の浜」 で気仙沼大島観光協会が実施した海開きイベント「Sanriku UMI-BIRAKI in Oshima」。震災で壊滅的な被害を受けた海水浴場ですが、復興に向けた第一歩として県内で唯一営業を開始しました。ここで、「海に関わる各ジャンルのスペシャリスト」として子供達とのアクティビティ」を企画して実施したのが、Sanriku Ocean Rescue Diversと、オーシャンアスリート鈴木一也氏が率いるNPO法人erthlysoul。ダイビングやスノーケリング、アウトリガーカヌーやビーチフラッグスといった様々なプログラムを開催し、気仙沼の子供達に、もう一度海に帰ってきて、海を学び、海の遊びを体験してもらおう、というイベントを実施しました。フリーダイバーも、女子チャンピオンの平井美鈴選手を中心に多数参加しました。

私は準備段階で大島を訪れた際に観光協会の方が言われていた「果たしてどの程度の子供達が集まるか・・。少なくとも大人でももう海に入りたくない人は沢山いる」という言葉が印象的で、当日まで、一体子供たちが来てくれるのか・・・非常に不安でした。果たして、当日は多くの子供が殺到・・とはいきませんでしたが、それでも来てくれた地元の子供達は皆屈託なく海で遊びました。坊主頭の中学生二人組が、寒さに震えながらももっともっと潜りたい、と素潜りに夢中になっている姿を見て、こちらが元気を貰ったのです。

・・・続く。

2012/12/30

私の2012年を振り返ると、多分自分の人生で一番色々な海で潜り、たくさんの時間を海で過ごし、フリーダイビングのために一番沢山の時間を使った一年でした。昨年の今頃は、こんな一年になるとは想像もしませんでした。人生何があるかわからないものです。

しかしフリーダイバーとしては・・・競技開始以来初めて、海洋競技の記録をただの1mも更新出来ない一年でもありました。なので費用対効果という面では最悪です。ともかく、転職のかたわら、海に関してやりたい活動(競技・ボランティア・遊び・広報・・・)にどんどん手を出し首をつっこんでいたので、少々欲張り過ぎだったかな・・と反省しきり。

にもかかわず、今こうして一年間潜った色々な海、海を通じて出会った人たちの顔を思い出すと「やっぱり、すごい一年だった!」と、思わずにいられません。沢山の海で、最高に素敵な経験を沢山したことは確かです。

昨年は年末にフリーダイビング界を振り返り「10大ニュース」を書きましたが、今年は個人の振り返りでいっぱいいっぱいにつき、私的な武者修行まとめです。ご容赦のほど・・

それでは、今年潜った色々な海を写真と共に振り返っていきます!
まずは1月から5月まで。 真鶴 → 三陸 → エジプト → マルセイユです。

<1月>
●初日の出:(陸前高田・黒崎仙峡)


祈りと共に2012年が始まりました。
3.11から1年が経とうとした三陸の静かな日の出を見ていて、改めて胸が締め付けられました。3.11は私にとっても特別な一日だったからです。この時には、まだ、真冬の三陸の海に自分が潜ることになるとは思いませんでした。

 

●初潜り:(真鶴・琴が浜)


そして初潜りは1月3日。真鶴の貴船神社に初詣して、今年一年の海での安全祈願をしてから、3㎜のウエットスーツで潜る冬の海。真冬にフリーダイビングの練習をしたのは、今年が初めてでした。年末から風邪をひいて声も出なくなっていたのですが、潜っているうちに治ってしまったという不思議な初潜りでした。

●フリーダイビング初めて講座第一回目開催:(新木場)


海ではありませんが・・・
フリーダイビングを始めたくてもきっかけがない、という人のための初心者講習会「フリーダイビング初めて講座」を開催。これをきっかけにフリーダイビングに足を踏み入れたひとも何人か^^第三回目は来年1月に開催します。

<2月>

●SORD訓練:(真鶴・琴が浜)

三陸の海での瓦礫撤去プロジェクトSanriku Ocean Rescue Divers(SORD)が真冬に始動。
ロープワーク、海底サーチの事前シミュレーションを真鶴で行いました。
ほぼ全員にとって未体験となるため、念入りにあれこれと議論をしながらの訓練。
身体は凍えながらも、熱い気持ちのウェットスーツ野郎でいっぱいの琴が浜でした。
見た目はまるで悪の軍団。でも正義の味方たちなのです!

●SORD始動:(三陸・崎浜漁港)


そして、いよいよその2週間後が本番、水温3度の海に潜りました。震災からほぼ丸一年たった海中はまだ沢山のものが沈んでいました。東京では、既に過去の出来事に思えていた震災が目の前にはまだ現実として未解決のまま残っている・・・そのことを目の当たりにしました。そして同時に、自然の生命力を感じることも出来ました。リアス式の美しい三陸海岸が大好きになりました。

 

<3月>

●SORD活動:(三陸・気仙沼湾内)


そして3月は気仙沼湾内に潜りました。またも水温は3度。前回は冷たくとも透明度の良い海でしたが、今回は冷たい上に視界も殆どなし。これはまた新たな体験でした。素潜りでできること、スキューバで出来ること、を試行錯誤しながら、漁師さんと一緒になっての作業となりました。

 

<4月>
●セイリング:(東京湾・横浜ベイサイドマリーナ)

今年の自分の一番の大きな出来事「転職」にあたり、この月は10年間勤めた職場でのラストスパートの大切な一か月でした。というわけで、今年唯一海に潜らない月でしたが、4月の最後に久々に、知人のヨットで海に出ました。ゴールデンウィークの始まり、長い有給休暇の始まり、これから始まる新しい仕事、自分の人生の船出のように感じたセイリングでした。

 

<5月>
ここから、怒濤の武者修行(無茶修行?)が始まりました。

●アプネア・アカデミー:(エジプト・シャルムエルシェイク)

長い休暇のはじまりは紅海での武者修行です。アプネア・アカデミー インストラクターコースで丸一週間フリーダイビング漬けでフリーダイビングの原点から学び直しました。

●マルセイユ

エジプト帰りに、マルセイユのフリーダイバー、グレッグ&ちか家に居候しました。
本当はマルセイユのフリーダイビングチームmessilia sudに混ざって海洋練習出来る予定でしたが、あいにく北風ミストラルが吹き荒れ海も大荒れ。一度も潜ることは出来ませんでした。そのかわりプール練習会に参加したり、海岸沿いをランニングしたり・・ひたすらに青い南仏の空と海を眺めながら。いつか絶対南仏で潜る!!と決心しました。

そのいつかは4か月後に早速やってきましたが^^;

・・・続く。

2012/11/18

来週11月20から30日まで、カリブ海の国、バハマのDean’s Blue Hole(ディーンズ・ブルーホール)にて、今年最後のフリーダイビングの世界大会”Sunnto Vertical Blue”が開催されます。

この大会には21か国から50名以上のフリーダイバー参加します。大会エントリーは既に4月で締切り。この大会に照準を合わせて年初から調整をしているトップダイバー達も多い、今シーズン最後の大会です。既に数週間前から多くの選手が現地入りをし、現在最後の仕上げをしています。9日間にわたり各選手6回ダイブのチャンスがあるためナショナルレコードや、ワールドレコードも誕生する可能性が高い大会です。

なぜ多くの選手がこの大会に賭けているかというと、まさに「ブルーホール」が「フリーダイバーの聖地」だからです。百聞は一見にしかず・・・・

Deans-Blue-Hole beaches.uptake.comより

こんな場所なのです。まさに、海の一部がぽっかりと、青い穴のように開いていて、その深さはなんと-200m。通常、他の場所で行われるフリーダイビングの競技エリアは、深度を確保するためには船で沖合に出なくてはならないことがほとんどで、そのため潮流の影響などを受けやすいのです。しかし、ここは見ての通り、「池」のような場所。まさにフリーダイビングのための場所と言っても過言ではありません。

私も今年最後の武者修行として、この大会に参加します。私は3年前の”AIDA Freediving World Championships2009”という初めての世界大会でここで潜ったので、今回が2回目のブルーホール。またあそこで潜れる、と数ヶ月前からワクワクしていました。

●バハマ、ロングアイランド

バハマは中米カリブ諸国の北の方に位置しています。 大小たくさんの島から成り立っている国で、ロングアイランドはそのうちの一つです。その名の通り縦に長細い形をしている島で、「バハマ」という地名のリゾートな響きからはかけはなれた、ワイルドな場所です。

日本からここにたどり着くのは、果てしなく遠く、私の場合はこんな旅程。

・昨夜遅くに羽田を出発、まずロスアンゼルスに到着。
・一回目の乗り過ぎでアトランタへ ←今ここです。
・二回目の乗継ぎでバハマの首都ナッソーへ。
・三回目の乗継ぎで、ナッソーから小さなローカルエアに乗り、ロングアイランドへ。

ノンストップで行ってもトータル30時間近くかかります。大抵はどこかで一泊することになり、片道だけで丸2日かかります。フリーダイビングの大会は日本からは容易にたどり着けない場所で行われることが多いのですが、バハマの場合はフリーダイビングが盛んなヨーロッパの選手にとっても超遠隔地です。にもかかわらず、世界中から沢山の選手が集結するというのは、まさに「ブルーホールの魔力」だなあ、、(そして、フリーダイバーは本当に命掛けで物好きな集まり・・)と思います。

さて、私は今、その魔力に導かれるままに、聖地に向かう道半ば。アトランタ空港の長い待ち時間にこの文章を書いています。私の場合は仕事の都合上早めに現地入りして調整することが出来ないため、到着した翌々日からすぐに本番です。私のこの大会での目標は、得意種目のコンスタント・ウェイト・ウィズ・フィン(CWT)での自己記録更新。私の現在の公式記録は昨年9月のギリシア世界大会での-57mですが、一年以上、一度も記録を更新出来ずにいます。今大会、各選手は大会期間中6回潜るチャンスがありますが、私は大会を途中で切り上げるため、潜れるのが5回。今シーズン海でのターゲットダイブが殆ど出来ていないので、最初は調整を兼ねたダイブになると思います。自分にとっての本命ダイブは1本かもしれませんが、それでも十分な贅沢な機会です。ブルーホールに身体を馴染ませながら、どこまで行けるかは、身体と海のみぞ知る・・・。

ともかく、風邪も引かず、体調を崩すこともなく、ここに来られたことが十分ありがたいことです。

まもなく、三回目の搭乗時間なので・・これにて!

羽田を深夜にたち、ずっと夜でした。ようやく夜明け!

 

@Atlanta Hartsfield Jackson International Airport

 

 

2012/08/31

ロンドンオリンピックの熱狂も去り、もう8月も終わり。
でも海はまだまだこれからです!むしろ、これから秋にかけてが、
本格的なフリーダイビングシーズン、となります。
というわけで武者修行が立て込みなかなか修行記が書けていない状況ですが・・・^^;

ともあれ、いよいよ世界のフリーダイバーにとっての一大イベントがやって来ます。

AIDA Team World Championship 2012

2年に一度の世界大会団体戦がフリーダイビング発祥の地、フランスのニースで開催されます。

コンスタント・ウェイトウィズフィン/ダイナミックアプネア・ウィズフィン/スタティック
の総合得点の上位者が代表として選ばれ、3人一組のチームで他国とこの3種目の総合得点
を競います。フリーダイビング大会の中ではオリンピックのような位置付け、と言える大会です。

残念ながら日本ではマスコミでの報道などはほとんどされませんが、前回2010年の世界大会は
沖縄で行われ、女子が金メダル、男子が銀メダルという快挙を成し遂げました。(詳細はこちら)

今年の日本チームは名付けて「人魚ジャパン」 

素敵なマークが出来ました。
フェイスブックで応援団が立ち上がり、400人近くの温かい声援を頂いています。

私は今回、補欠選手としてこの大会に参加してきます。
団体戦はチーム力が勝負。サポートや情報戦というと部分でも、
チームの一員としてコーチ・選手と一丸となって戦ってきます!

◎日本チームメンバー
男子チーム 篠宮 龍三 大島 俊 古川 博之 
女子チーム 平井 美鈴  廣瀬 花子  福田 朋夏
女子補欠  武藤 由紀
コーチ   山本 哲也、竹下 実由

すでに現地入りしている選手もいますが、他の選手も日本での最終調整中。
私も来週にはニースに出発します。

「人魚ジャパン」、応援をよろしくお願いします!

 ◎人魚JAPAN応援グループ
https://www.facebook.com/groups/209542685838430/

◎人魚JAPAN応援サイト
http://ningyojapan.jimdo.com/

 

2011/12/30

2011年フリーダイビング10大ニュース、後編は夏以降の出来事です。
シーズンも半ばをすぎると、トピックスも盛りだくさんですので早速行きます!

■平井美鈴、-82m日本新記録で銅メダル獲得@ギリシア(9月22日)
ギリシャ・カラマタで9月15日~25日に開催された、海洋競技の世界大会
AIDA Individual Depth World Championship 2011にて、日本女子のエース
平井美鈴選手が見事、銅メダルを獲得しました!潜った深度はなんと-82m。
彼女自身が塗り替えた、日本新記録でもあります。花形種目であるコンスタント
ウエイト・ウイズ・フィンで、はじめて日本人女子が表彰台に立った感動の瞬間でした。

私もこの大会には選手として参加していました。ちょうど平井選手とはホテルで同室。
競技直前まで私が引いていた風邪を親愛なるコーチでもある彼女にうつしてしまい、
彼女はこの日本記録達成直後にダウンして以後の競技は全キャンセル、という笑えない
オチがありました。というわけで、私の記憶には表彰台の颯爽とした平井選手よりも、
部屋のベッドで猫と一緒に猫のように丸くなって寝込んでいる姿が印象に残っています
けれど。。ともあれ快挙の銅メダルでした!

野田幾子「Apnea Report」
http://apneareport.tumblr.com/post/10557858896/cwt-competition-01

■ラ二ヤード事件@ギリシア世界大会(9月24日)
同じくギリシアの世界大会で起こった出来事。幸いにも大惨事ではなく珍事件として
終わりましたが世界のフリーダイバーの間で話題になりました。フリーダイビングと
安全管理というものについて、大いに考えさせられた一件です。
深度競技では、選手の安全のためにロープと選手の体をつなぐ「ラ二ヤード」という
ケーブルを装着しますが、これが途中で外れてしまうアクシデントが起こりました。
この選手は-80mの深度を越えたところで、自分が水中で独り、どこにも繋がっていない、
ということに気が付いたのです。言葉で説明するとちょっとマニアックになってしまいますが、
見れば一目瞭然の、何とも不思議な映像が残っています。
この大会でジャッジをしていた北濱淳子選手のブログをご覧ください。

「ラニヤード事件ー違うロープに!」
http://freediving.blog.so-net.ne.jp/2011-10-30

■篠宮龍三著「心のスイッチ」(竹書房)発売(10月14日)
プロフリーダイバー、篠宮龍三選手は、-115mの深度の記録を持つ選手です。
100mの深度を越えて潜る選手は、世界でもまだ数人しかいません。
100mとは、凡ダイバーの私にはちょっと別次元の世界。想像するしかないその世界を
垣間見ることができる本が、「心のスイッチ~ジャック・マイヨールを越えた唯一の日本人~」です。フリーダイビングは肉体的な鍛錬はもちろん必要ですが、メンタル面が大きな比重を占めるスポーツ。「心の旅」ともいえる深海の世界へのダイブは、競技そのものを知らない人が読んでも興味深いはずで、生きるために必要な沢山のエッセンスが詰まっています。

ちなみに、私は、ごく初心者のころに篠宮選手の講習を受け、そのマジックのような
指導で初めて-20mの深度に到達しました。その喜びが大会に出てみよう、という
モチベーションになって、今に至っています。「スイッチ」入れられてしまったんですね。

新刊「心のスイッチ」10/14発売(篠宮選手オフィシャルブログ)
http://ryuzo.number-blog.bunshun.jp/archives/51418032.html

■廣瀬花子、スタティック6分32秒日本新記録で銅メダル獲得@イタリア(10月16日)
こちらは10月7日から16日まで、イタリアのリニャーノで行われたプール競技の
世界大会「EUROPE EVOLUTION CUP/WORLD CHAMPIONSHIPS INDOOR 」
プールで潜水の距離や息止めの長さを競いました。この大会で、日本人の
廣瀬花子選手が、息止めで6分32秒という日本新記録で見事銅メダルを獲得しました!

6分というとカップラーメンが2回出来てしまう時間です。そんなに長い間息をしないで
いられる彼女は、野生のイルカの群れが生息する伊豆諸島の御蔵島出身。
天然で可愛いギャルですが、きっと魚かイルカの血が数滴混じっているに違いない
と思っています。私は彼女とは2年前のバハマの世界大会でそれはそれは面白い日々
を過ごしたので、その話もいづれ書きたいと思います。

フリーダイビング世界大会出場、銅メダル獲得!(PADI News)
http://www.padi.co.jp/visitors/news/pn11103.asp
 
■海も愛も国境を超える!グレッグ&ちか結婚(10月18日)
グレッグはフランス人フリーダイバー。ちかちゃんは日本人フリーダイバー。
この二人が出会ったのは1年半前、遠距離での交際を続け、めでたく今年10月に
結婚に至りました!海を愛する二人に言語の壁は関係なく、周りにいる全員が
祝福したくなるような眩しいラブラブぶりでした。二人の新居は南仏マルセイユ。
フランスはフリーダイビングが盛んな国なので、二人が日仏の架け橋になって
くれるでは、と楽しみです。実はフリーダイバーの同士の国際恋愛は珍し
い話ではないらしく、来年はこのあたり、大いにリサーチしたいところです。

彼ら以外にも今年のフリーダイビング界は結婚ラッシュ。気が付くと住所や
名前が変わっている人があっちにもこっちにも、という状況でしたが、これは
震災効果の一つなのでしょうか?

・・と、めでたい話の一方で。「女子が-60mに近づくと縁遠くなる」という
誠しやかな噂もまた流布しており、現在公式記録-57mの私はその信憑性の
高さに怯えています。どうか、ただの迷信でありますように。。

■ジャック・マイヨール没後10年(12月23日)
映画「グラン・ブルー」のモデルにもなった、伝説のフリーダイバー、ジャック・マイヨール。
1976年に、前人未到の100mの素潜りを成功させ潜水の神とも、ホモ・デルフィナス
とも言われた彼は、ちょうど10年前のクリスマスイブ前夜、自ら天に召されました。

日本好きだった彼と親交を持つフリーダイバーは多く、私にとっては伝説でありながら、
現実の人でもあったのだなあ、と不思議な気持ちになります。実は私もかつて、自分が
フリーダイビングを始めるとは思いもしない時に、一度だけ、彼とは不思議な出会いをしま
した。その話は、いずれまた。

さて、これで10個となってしまいました。
楽しいこと、悲しいこと、辛いこと、嬉しいこと・・・まだまだ書ききれない
色々なことがありましたが、今年一年、事故なく海に潜れたことに感謝しながら
独断と偏見によるフリーダイビング10大ニュースはこのあたりで締めくくりとします。

フリーダイビングや海を巡って、来年もきっと沢山の出来事があるでしょう。
「人魚の武者修行」では、来年からは原則隔週で色々なことをレポートして
いきたいと思います。

それではみなさま、良いお年をお迎えください!


2011/12/30

激動の2011年もあと残りわずかですね。
というわけで、まだ連載第2回目ではありますが、年末につき、
2011年のフリーダイビング界の出来事を振り返ってご紹介したいと思います。
フリーダイビングの前知識のない方にとっては、聞いたことのない用語や人物が
いきなり出てくるかと思いますが、どうぞご容赦下さいませ。

それでは、独断と偏見による、「2011年フリーダイビング10大ニュース」時系列でスタート!

■二木あい、メキシコの洞窟でフリーダイビングでギネス記録達成(1月7日)
メキシコにセノ-テという、美しい水中洞窟があります。マヤ族の聖地であるこの場所で、
新年に日本人の二木あいが「The Longest Distance in cave with only ONE breath」
(洞窟の中一番長い距離を一息で泳ぐ)というギネス記録に挑戦し、見事成功しました。

 ・フィン有り… 100m (1分52秒) 世界で女性初の記録
 ・フィンなし… 90m (2分 02秒) 世界で人間初の記録

確かにフリーダイビングの技術や能力を生かしてはいますが、いわゆる競技としての
フリーダイビングとはちょっと異なる、とても独創的なチャレンジです。
彼女が追及するものは数字ではなくてあくまで「美しさ」。
水中映像や水中表現を通して海の美を探求する彼女、
人類というより魚類に近いのではないかという雰囲気で、
国籍不明、年齢不詳、不思議な魅力を持つ女性です。
来年どんなことをしてくれるのか、楽しみな一人でもあります。

詳しくはFaust Adventurers’ Guild 記事へ
「永遠の海の美しさを求めてセノ-テでのギネス記録挑戦」
http://www.faust-ag.jp/interview/interview027.php

■東日本大震災(3月11日)
日本人にとって、全ての価値観を覆された忘れられない出来事でしょう。
フリーダイバーにとっては、津波や放射能物質の海への流出などを通じて、
「海」というものの存在を改めて大きく感じる出来事でもありました。
都内のフリーダイバーがフィンを履いて練習が出来る貴重な場所である
東京辰巳国際水泳場は、震災の影響で3か月以上も閉鎖されました。
私自身、震災後しばらくは、またフリーダイビングを普通に出来るように
なるとは思ってもいませんでした。

でもこの出来事は、全国各地・世界各国にいる、海の仲間達の絆を改めて
強めてくれました。4月に海外遠征に出ていた選手は、世界中の選手からの
暖かいメッセージでいっぱいの国旗を持ち帰ってくれました。震災後すぐに
被災地支援活動を始めた沖縄チームのメンバーの奮闘で、前向きな活動に
目を向けることが出来ました。秋のイタリアの世界大会では代表チームが
沢山の募金やメッセージを集めました。

ちなみに、私は5月からこんなチャレンジを始めました。
「目指せマリアナ海溝!10,000m素潜りして復興支援」
http://justgiving.jp/c/6460?locale=ja_JP
私自身はこれをきっかけに、東北の海の復興活動を行う様々な人たちと出会いました。
来年はもっと色々なことを企んでいます。

■フリーダイビング・インドアカップ2011イン館山、開催(5月21日、22日)
毎年恒例、5月に館山で開催されるフリーダイビングのプールの大会が、
今年も予定通り開催されました。予定通り、ですが、今年に限っては、
大きなニュースでした。この大会のエントリー開始は4月半ば。
震災後、自粛ムードもあり沢山のイベントが中止される中、
「今年も開催します」
この日本フリーダイビング協会会長のひとことが、どれだけ明るく響いたか!
まだ通常営業していないプールも多い時期。選手たちは何とか練習場所を見つけ、
動き出し、2011年のフリーダイビング・シーズンが始まりました。

しかも蓋を開ければ今回の参加選手は過去最多の43名。
最年少は19歳・最年長は66歳。北は被災地宮城、南は広島、フランスからの
参加もあり、大いに盛り上がりました。この大会の好記録で世界大会にデビュー
する新人選手も生まれました。

2012年も5月19日、20日の2日間で館山大会は開催されます。
今度はフランスの世界大会団体戦の選考会でもあるので、
どんな熱い戦いが繰り広げられるのか、楽しみです!
あ、私も出場する予定です。(プールの競技は苦手なのですが・・・)

■沖縄大会(Deepwatercup2011 OKINAWA)、台風で中止(7月16日、17日)
沖縄で開催を予定していたこの大会、9月にギリシアで行われる世界大会の
最終選考会を兼ねていました。日本で行われる海洋大会は年に数回しかなく、
この大会の記録次第で、日本代表になれるかどうかが決まります。
まさに「ギリシアに行きたいかー?!」という盛り上がりで、多くの選手が
この大会を目指し、まだ冷たい初夏の海で練習に精を出していました。
私自身、当時の自分の記録は、ギリシア大会に行けるか行けないかの
ギリギリのポジションだったため、練習や調整を重ねていました。

ところが大会数日前、南鳥島沖に突如、超大型台風「マーゴン」が発生しました。
そして無情にも沖縄に向けて直進、確実に週末に沖縄を直撃するという予報。
大会5日前の夜に、主催者から「大会中止」の無念の通知がなされたのです。
選手も、主催者も、皆それぞれにショックでした。
でも、安全管理上やむを得ないことでした。
これが海という自然の中で行う競技の宿命なのです。
海の前では、人間は小さな小さな存在。自然には逆らうことなど出来ない。
ただ、受け入れるものだ。
そんな原点に気づかせてくれる、貴重な出来事でした。

私は既に渡沖前夜だったため、そのまま沖縄入りして、練習は出来たのですが、
ここで大きな教訓を得ることになりました。これもおいおい書いていきます。

さて、10大ニュース、ここまででまだ4つなのですが、ひとまず前編は終了です。
続きは後編で!