2008.08.29
地球の舳先から vol.88
パリ滞在記録 vol.22

アフタヌーンティーならぬ、アフタヌーンワイン。
やっぱりどこを歩き回っても、いちばん良い時間を与えてくれるのはここのラウンジ。
軽くお腹がすいたので、1杯のシャブリでミルフィーユを注文。
思ったより2倍くらいの大きさにびっくりしつつ、
ここのミルフィーユはカスタードでなくハーブの香りの生クリームで、
イチゴではなくてフランボワーズだった。
生クリームは、泡立て方が特殊なのだろうか、口に入れると「溶ける」というよりは「なくなる」感じ。
この適当で奔放で自由なパリの地に、ゆっくりと馴染んだように
帰国3日前を迎えて、ゆっくりとトーキョーに馴染みつつある。
来たばかりの頃は「ゆっくり過ごす」って言い聞かせていたけれど
そんな呪文もつぶやかなくなり、周りの目も気にしなくなった頃
ふと帰り先を思い出すようになった。
この3週間はもう一度地に足を付ける十分な長さだった気がして
働くこととか、時間を“もつ”ということとか、
自分にとって大事なものや大切な人、どうでもいいもの、そういうことが
わかるようになって、生(き)の自分になって日本で背負った変な憑き物が落ちた20日目。
夜が過ぎるから朝が来るように、
トーキョーに住んでいるからパリに来たくなるんだろう、と思った。
どっちかだけじゃ、やっぱりダメで。
トーキョーには、なんでもあるようでなんにもなくて、
しがらみやら駆け引きやら競争やら不安やらばっかりがあるけど
なにか空をつかむような「目的」とか「目標」とかを設定して依存せずにはいられない
そんな「ひとりっきりのストイックさ」があるんだなあ、きっと。
結局好きな、生きるべきトーキョーと、逃げ出すなら一番に選ぶパリと
その中間に、ふたたび歩き出してる今ここで
ああそういえば帰ったらあれをしたいとかあの人に会いたいとか
すっかりワイン1杯で酔えるようになった頭で思うことは
午後のワインよりミルフィーユより、贅沢な時間
無理をせずに、のびのび生きよう、
とこの地では思ってもきっと帰ったら帰ったで
空輸したマカロンのようにしぼんでしけるのかもしれないけど(笑)
あと2日半。そのまんまに過ごそうと思った。
こんな生活してたら日本で社会復帰できないよ、とか思ってたけど、
むしろ逆なことになりそう。
それではまた明日。
2008.08.28
地球の舳先から vol.87
パリ滞在記録 vol.21

「ライオンキング」が、20ユーロで見られる。との聞き捨てならない情報を得て、
オペラ座近くのMOGADORという劇場へ。
日本でも見られるし…と思い、行くか行くまいか悩んでいたのだが、
仏版公式サイトで流れていたフランス語版の音楽にすっかりハマってしまい
気付くと劇場にいるという“ポニョ現象”。
この音楽での洗脳というのは新手の宗教のような気さえしてくる。
結局バルコニーの真ん中の席にしてしまったので55ユーロ。
ライオンキングといえば、日本でも劇団四季でロングラン中。
それを想像していたので、まず劇場の小ささにびっくり。舞台の広さも小劇場規模。
しかしオープニングのコーラスに圧倒され、姿を現した舞台セットの凄さにまた驚き。
ワイヤーワーク多用で人(動物って設定か)が飛びまくる。
やはり歌がとにかく良く、舞台なのに目を閉じて聴きたいほど。
国によってこんなに違うものかと思うほど、演出も振り付けもフランス流だった。
サイドの2階バルコニーに設置されたパーカッションスペースで演奏するのは、
アフロヘアーをオールバックにしたジャマイカ風の人。
ダンスの振り付けにはRockやHiohopも取り入れ、
キャストはどこかのバレエ団とは違って人種・肌の色が入り乱れている雑多さ。
そして何よりも、舞台上の人たちに「演じている」という感じが全くしないのだ。
キャストが心から楽しそうで、「今の絶対台本にないでしょ」というような動きも。
こんなにコメディだったはずがない、と思いながら、フランス流ライオンキングに心から笑わせてもらう。
途中の15分間休憩ではサロンでシャンパンを。
シアターに来た時は高くてもシャンパン、が日本でもパリでも変わらないわたしの小さな贅沢。

やはり演劇に規模は関係ない、というか、
この地であらためて小劇場の魅力がどこにあるかを実感した気がする。
本来、この2倍の大きさの舞台でやってもいいであろうはずの公演。
しかし小さすぎる舞台に多すぎる人と大きすぎる音の組み合わせは、異常な臨場感を生んでいた。
身ひとつでは受け止められないくらいの凄まじい熱。
オペラグラスやブラウン管を通して観るものではなく、
自分の視覚だけに、そして五感に飛び込んでくるリアル感。
役者の息遣いどころか、流れる汗まで見える、手の届くところにある舞台。
ショーを “Spectacle”(スペクタクル)と称するフランス語の感覚を実感した。
すっかり熱にあてられて、帰りは道を間違えて遠回り。
パリの夜遊びは、夜が深い。
この公演も20時開始(休憩込みで約3時間)、
先日のカテドラルでのコンサートも20時半開始、サッカーの試合は21時開始と、
だいたいエンターテイメントが終了するのは23時過ぎ。
昼間や朝とはまた違うパリの街を歩いて帰るのも、楽しみのひとつ。
それではまた明日。
2008.08.27
地球の舳先から vol.86
パリ滞在記録 vol.20

滞在も最後の週となり、今日は買い物へ。
といっても、パリにある人気店ってほとんど日本にあるのでそうレア感もなく。
ただ外装がかわいかったりするので、いろいろめぐってきた。
で、またしても足が棒になる。
パリの街がちいさくて、ほんとによかった。
<<サン・ルイ島>>

空港とかに売っていないようなちょっと変わったお土産を探すならサン・ルイ島がおすすめ。
(左)サン・ルイ島によくある雑貨屋さん。
ここでしか買えないものや面白雑貨いっぱい。見ているだけで楽しめる。
(右)チョコレート屋さん。
自家製チョコを使ったアイスクリーム、エクレアも絶品。
<<マレ地区>>

おしゃれ通りのマレ地区(同性愛者が多い地区でもある)には、日本でも人気のブランドショップ多数。
(左)言わずと知れた紅茶ブランド、マリアージュフレール。
キロ買い・ティーバッグなどはなく、購入には敷居が高いかも。ティーサロン併設。
(右)こちらも言わずと知れた化粧品ブランド、ロクシタン。
ユーロ高なので価格的にそんなにお得感はないが、日本未発売商品が多い!
<<シャンゼリゼ通り>>

有名店のパリ本店が多く、内装も外装もすべてがフォトジェニック。見ているだけで楽しい。
(左)ラ・メゾン・デュ・ショコラ、本店。日本人スタッフもいる。
小さい2個入りトリュフやマカロンなどパッケージも素敵。
(右)最後の砦といわれていたが銀座三越にとうとう出店してしまったマカロンとティーサロンの名店、ラデュレ。シャンゼリゼ本店はサロンはコスト兄弟によるデザインで名作と言われている。
<<その他>>

とにかく見た目に美しい専門店が多い。パテの店、調味料のお店、オリーブ専門店…
(左)ワインのデパート、ラヴィニエ。
シャンパンをはじめ、ありとあらゆるワインは5000種もあるのだとか。
(右)フォアグラ専門店
缶詰から、野菜と混ぜてペーストにしたものなど色々。
パリはディスプレイもどこも綺麗で、街歩きも楽しい。
けど、やっぱりとくにここで買わなきゃいけないようなものはなかったり…。
シャンパン買いました、シャンパン。うまく持って帰れるかな。
でも前述のワイン屋さんラヴィニエよりも、巨大スーパーMONOPRIX(モノプリ)のほうが1~2割程度安かった…。
以上、たまには情報アーカイブでした。
それではまた明日。
2008.08.26
地球の舳先から vol.85
パリ滞在記録 vol.19

新しい週になり、語学学校は2人の新メンバーを迎えた。
1人はポルトガル人でリスボンから32時間かけて車で来たロイ。
クリスチアーノ・ロナウドに似過ぎ。ポルトガル人はみんなこんな顔なのか。
もう1人はハリウッド在住アメリカ人数学教師のジェーン。
良くも悪くも主張の国民、そして国自慢が凄い。アメリカ人はみんなこうなのか。
リュテスラング、やたら濃いインターナショナルっぷり。
学校帰りに両替所に行ったら、手数料を合わせると1ユーロ300円で、倒れるかと思った。
本日は夜景を見に、セーヌ川を越えてシテ島へ。
「Ce soir(今夜)」という看板に近寄ると、ノートルダム大聖堂でコンサートが行われるそう。
さっそく行ってみた。
ミサが行われるような並びの椅子に、ステージ。奥には十字架。
曲は賛美歌中心に12曲ほど。バッハ、モーツァルト、ビヴァルディ、メンデルスゾーン。
わたしは、インドでの一件以来、神とわたしが呼ぶにはおこがましいとしても
なんらかそれらしき見えざる力というのは働いているのだと信じているのだが、
十字架の後光を背負って響くその音色は
最新の音響設備などないはずなのに、ゆうに500人を収容したカテドラルに荘厳に響き
照明は淡い粒子が飛び交うのが見えるのではないかというくらいの神々しさだった。
真ん中のソプラノとメゾソプラノの歌手を見ながら、賛美歌はほんとうに神のために作られた曲なんだろうと思う。
カトリック教徒でもないのに、ちょっとだけ、うるっとくる。
わたしは、(だから小劇場演劇が好きなんだけれども)こう、人が全身全霊をかけて舞台に立つ姿の圧倒感に弱い。
両足を地につけて“立っている”その生きている感に、リアルな人間を感じるのだ。
あっという間の2時間が過ぎ、徒歩1.2キロほどの岐路につく。

(帰りに渡ったセーヌ川)
今日のメトロ、chatelet駅近くは、あまり治安の良くない雰囲気が漂っていた。
警戒しながら、早足で帰る。
この「警戒感」が結構大事で、警戒オーラを出していれば危ない目に遭う確率は低くなる。
もちろん、薬を飲まされただ、いきなり路地裏に連れ込まれて刃物を突きつけられただ、男3人に囲まれただという、狙われたら最後やられるしかない、人為的というよりは不運な事故ととらえるしかない類のものもあるけれど。
「ヤバイ」の空気がわかる人だけが、「ヤバくない」もまたわかるのだと思う。
ちなみに知り合いのバックパッカーは、ナイロビの空港に降り立った瞬間「殺られる」と思ったらしい。
ナイロビは、渡航者に聞くとみんな顔が暗くなるくらい、ほんとうにやばいところらしい。
海外においては、「怖がらないこと」はすこしも勇気ではないという話。
で、わたしはバックパック旅などしたことがない(=綺麗なとこに泊まってラクして旅したい)ヒヨッ子というかヒヨコなので、
ヤバイなと思っても大した対策もなく
右を見たり左を見たり後ろを見たりとにかく首をブンブン振りながら
バッグを前で抱えて、6ユーロで買ったぺたんこ靴で小走りするくらいのモンであるが。
無事帰宅。最後の週が始まりました。
それではまた明日。

(今日のごはん)
・10種の野菜入りトマトリゾット
・昨日のタルタルソースでパスタ入りポテトサラダ
・デザートは赤いプルーンと白いプルーン
2008.08.25
地球の舳先から vol.84
パリ滞在記録 vol.18

(メトロのソルボンヌ駅。エリアのイメージに合わせて工夫しているメトロの駅も多い)
風邪から1晩で復活。朝起きたら、お天気もピーカン。
よかった、よかった。
今日は、Alesiaのバレエクラスの先生と映画を観に行く。
「バレリーナ」という、その名の通りのドキュメンタリー。
こちらの映画館でも、1日1回しか上映されず、日本では公開しないのかも…
朝一番(といっても11時)の会なので、料金は割引の5ユーロ!ラッキー。
ロシア語、フランス語、英語入り乱れる、字幕フランス語の映画でしたが
前の「WALL-E」ほどではないにせよドキュメンタリーなのでかなりわかる。
加えて文法や単語がスペイン語と似ているので字幕があるときはさらにわかる。
そのあと、サンミッシェルにガレットを食べに行きました。
クレープより茶色い生地で、中に具を挟んで四角に折りたたんであるもの。美味。
そして食前酒にいただいたシードルも美味しかった。
そっか、パリには白ワインだけじゃなくてこれもあったぞ。
ちなみに先生は、フランスのバレエ教師国家資格を取得された方。
フランス人の子供にバレエを教えたり、ダンスカンパニーでも活動中らしい。
学校を卒業してすぐ2000年からこちらにいるとのことで、フランス語もペラペラ。
「フランス人っぽく発音しようとしないで、カタカナ発音でもはっきり言ったほうが通じる」とのアドバイスをいただく。

(サンミッシェル近くの、シェイクスピアの名がついた古本屋さん)
その後、JunkStageでライターとしても活躍されている原田和英さんのお友達で、パリ近郊にお住まいのパリジェンヌをご紹介いただきデート。
時間に正確で思慮深い、パリの人とは思えないすごく素敵な美女。
ルーブル美術館のピラミッドを出発して、セーヌ川沿いをエッフェル塔まで。
それからアンヴァリッドを通ってサン・ルイ島、シテ島(共にセーヌ川の中州の島)、
パンテオンという圧倒的な建築が連なる区域を抜けてソルボンヌ大学地区まで、
多分10キロくらい歩く。
わたしは時間さえあれば自宅の渋谷近辺から新橋、銀座あたりまでなら徒歩で行きたい派なのだが、彼女も散歩好きでよかった。
カフェに入るでもなく、パリの街をくまなく歩きながらいろんなことを話す。
エッフェル塔の見える16区は、家賃が18平米で24万円くらいすること。
ストライキが多くて、先日3週間電車が動かなかったときの定期の払い戻しはたった10ユーロだったこと。
フランスでは第1外国語を中学生のときに選べること(英語を選ばなくてもいい)。
ヤギのチーズはクセがあるが、ワインと一緒に食べるととても美味しいこと。
(ちなみにこちらの人はいわゆるブルーチーズはあまり食べないらしい。
ロックフォールが好きだと言ったら「クレイジー」と言われた。笑)
彼女はフランス人、第1外国語ドイツ語、第2外国語英語。
わたしは日本人、第1外国語スペイン語、第2外国語英語。
お互い英語が得意でないので、いろんな国の言葉が入り混じるが、
なにを口にしてもたいがい通じるという事もわかる。
しめて、5時間で4ユーロ(途中で買ったシャーベット代)のデート。非常に楽しかった。

(サン・ルイ島のチーズ専門店。いっぱい!安い!)
さすがに足が疲れていたが、明日は日曜日で店という店が閉まるのでスーパーへ。
今日の第一目的はもちろん、昼間に飲んだシードルだ。
「シードル」と言っても通じず、「シードっ」とか「シーっルっ」とかいろいろ言ってみるが首を傾げられる。
スペルもわからないので筆談もできない。しかしここで負けるわけには。
ここからがサバイバルフランス語の腕のみせどころだ。とやる気になり、ひらめいたのは。
野菜売り場からリンゴを拝借してきて、ワイン売り場に戻り、
「Vin de Pomme?」(りんごのお酒)。
「アーッ!」と店員は叫び、「Cidre!」と。 フゥ、今日も通じたぞ。
わたしは日本でニッカの出しているホントにちっちゃい瓶で300円するシードルが好き。
でも財布のなかには10ユーロしか入ってないけど、他の食材も買わないと餓死する。
値段を見ると、もちろん750ml入りのボトルでわずか1.4ユーロ!
ますますパリ住みたい病と日本帰りたくない病がうごめき出す。
「Merci beaucoup」(どもありがと)と言うと、件の店員さんに
「ドウイタシマシテ」と日本語で返された。ウィンク付き。
だいたいバレエスタジオと語学学校(さぼりがち)でしか人と交流がないので、
今日はよく喋った一日だった。充実!
それではまた明日。

(今日のごはん)
昼間外食だったから軽めにサンドイッチ。(パンでとじる前)
タルタルソース作って、エビアボカドサンドイッチ。日本みたいだ。笑
2008.08.24
地球の舳先から vol.83
パリ滞在記録 vol.17

パリに秋がやってきたらしい。
ここのところ5日くらい、雨続き。そして毎日寒い。コートが欲しいくらい。
ということもあって、今日の最低気温は11度、最高気温は18度(でも日中16度までしか上がらなかった)。
わたしはエッフェル塔の下で突然の大雨に降られて風邪っぴき。
ビタミン飲んで、風邪薬飲んで、暖房炊いて、ホットワイン飲んで寝る。
あまり食欲も沸かないので、今日はごはんにお味噌汁。
鍋でごはん炊くのは相当難しい。「こげるよーこげるよー」と大騒ぎ。
むかーしのタイプの電気コンロなので、温度調節がうまくできないのだとか。
散歩か探索に行きたかったけど、雨のなか歩いたらまた悪化しそうなので自粛。
日曜日いっぱいまでは雨らしく、短期の旅行者には気の毒な週末。
それでも傘をさして観光用二階建てバスは今日もお客でいっぱいだから、ほんと観光客はストイックだ。
かく言うわたしも、一昨年4日間旅行にきたときはタオルを頭に載せて観覧車乗ったけど。
今日はAlesiaというダンスセンター(パリでバレエ情報は帰国後アーカイブします)へ。
呼吸と疲労度で、昨日と比べて体調がどうなったかすぐわかるので、今日も踊る。
昨日よりはまし。昨日はシソン(とにかく前上に飛ぶやつ)飛んだら意識まで飛ぶかと思った。
余談だけどバレエはホントに体にやさしいスポーツである。(ハードだけど)
骨格が矯正されてホルモンバランスも整うから、「バレエをやってると妊娠しやすい」という論文も出てるらしい。

写真はAlesiaのダンスセンターの隣にあるパン屋さん&ケーキ屋さん。
ダンスセンターと同じ敷地内にキッチンがあるので、建物を出るとバターの香り。
かわいいひとくちケーキ盛り合わせ。よし、これで糖分を取ろう。
9個盛って7ユーロ(1000円くらい)。エクレアやフルーツタルトやチョコケーキ。
ちゃんと箱に入れてくれる。
「C’est tout?(これで全部?)」と聞かれ、ついマカロンも買ってしまう。
こちらのマカロンはてのひらサイズ。おなかにたまるので、昼食ならマカロン1個でわたしは十分。
パリは雨で、わたしは風邪で。
しばらくはおとなしくしていよう。
そうだ、外に出られない今のうちに、映画や演劇を見ておこうっと。
それではまた明日。
2008.08.23
地球の舳先から vol.82
パリ滞在記録 vol.16

ユーロスターに乗りたいとわめく母を連れ、一路ロンドンへ。
パリ→ロンドンは、乗る前にパリの北駅にてフランス出国&イギリス入国審査。
EU圏以外の人間は、イギリス入国審査でやたら質問される。
のか、わたしの複雑なパスポートがそうさせたのかはわからないが…
ユーロスターは快適。とくに見るものもない田園風景を抜け、2時間弱で定刻ロンドンへ。
わたしはとことん美術館やらお城やらお寺やらというものに興味がないので、
10メートル歩くごとに写真を撮る母とは違い、今日のいちばんの楽しみは
最高級ホテル「Dorchester」でピアノの真後ろの席を予約しておいた、
本場イギリスのアフタヌーン・ティー。(写真)
ピアニストが男性だったのが意外。日本だとこういうシチュエーション、ほとんど女性よね。
ピアノはクラシックではなく、センスのよいジャズ。雰囲気最高。
紅茶は20種類以上のなかからセレクトでき、最初に出てくるサンドウィッチは食べ放題。
サーモン、シーフード、タマゴ、きゅうりとクリームチーズ、チキン、など6種ほど。
次にお口直しのレモンジュレ&ムースがでてきてから、鳥かご(笑)登場。
1人分はスコーン2つにケーキを3つ。
わたしはイチゴのタルト、カフェシュークリーム、オペラをチョイス。
こちらに来てびっくりしたのが、パンやケーキ類の味の違い。
湿度が違うから、同じ食べもののはずなのに全く食感が違う、とは聞いていたけれどその通り。
とくにパリで食べたマカロンにはたまげた。
手土産には躊躇されることからもわかるように、日本では嫌いな人も少なくないマカロン。
わたしも得意じゃなかったのだが、友人が「モノが違うから絶対食べてきたほうがいい」とあまりに勧めていたもので食べてみたら、「フォンダンショコラですか?!」と思うほどの外側サクッ&内側とろーり。
世界は広い。広いのだ。
で、ここのスコーンも、なんかスコーンじゃないみたいであった。

その他のロンドンは、ダイジェストにて省略。
テムズ川をクルーズし、時計台があまりに有名なビッグ・ベン、
チケット購入まで含めると2時間弱並んだ、新名物スポットとなっている360度ガラス張りの観覧車。
(これが高い。15ポンド=3000円。所要時間1周30分でロンドン一望。)
そしてバッキンガム宮殿と、おなじみの格好をした衛兵さん。
門の外側からしか見なかったので衛兵が豆粒のように見え、母は
「あれ、中にヒト入ってるの?」とおかしな発言をしていた。着ぐるみじゃないよ、多分…。
ロンドンは緑も多く、都会のようでありながらほのぼのとしている。
歴史的な建物も多いのだが、とくに保護されているというよりは普通に建物として使用されていて、
不思議に景観と馴染んでいた。
最初は日帰りでロンドンなんて無謀だなあ、と思っていたのだが
見るべきスポットが割と固まっているので、ロンドンだけであれば1日でもじゅうぶん楽しめるかも。
もちろん、本場ブリティッシュパブでフィッシュ&チップスも忘れずに。
そしておそらく、日本人には気質的にこちらのほうが合う。
駅のエスカレーターも「歩かない人は右に寄って!」とうるさいくらい書いてあるし、日本と近い。
ちゃんと並ぶし、空気を読むし、全体的にきちっとしている印象。
すくなくとも、エスカレーターを1段ずつ詰めて乗ると上のほうで玉突き事故状態になるパリよりは。
そういった意味ではストレスを感じずに過ごせそうではあったが、“東洋人”に対する視線と対応を見ていると、パリという街の珍しさもあらためて感じてしまう。

自分でも感動した本日のベストショットがこちら。
ハイドパークに居たリスさん。
走り回る彼(?)を追いかけカメラを向けると、ちょうどドングリ両手のすごい写真が撮れてしまった。
ちなみに今回の滞在、わたしはあんまり写真を撮っていない。
いつも写真を撮ることばかりに躍起になりすぎてしまって、景色をみるときもアングルを考えてしまい、
「こんなことしてたらカメラになっちゃう」とか思ったためである。
加えて、2台持っていったカメラが2台とも不調で、写真の読み込みが正常にできない状態。
これにはさすがに一瞬青くなったのだが、最近のカメラはとても優秀で、
家の中の無線LANを拾って、何もしなくてもWebサイト内のピクチャーフォルダにデータを転送してくれている。すごいですよ。Nikon/COOLPIX(ブロガーモニターでの頂きもの)。
さて帰りのユーロスターは、奮発して1等に。
シャンパンのアペリティフから始まり、盛りだくさんのコース料理!
最後はカフェ&チョコレートで。ワインともども堪能し、本日5食目。
家に帰ると、観光疲れとエッフェル塔のしたで夕立大雨に降られたのがたたって熱がでていた。
明日は寝て過ごそうっと。
それではまた明日。
2008.08.22
地球の舳先から vol.81
パリ滞在記録 vol.15

日本から、母が来仏中。
ガイド役のわたしは、あっちこっち目が回るくらい案内しておりました。
ひとりでは行かないような観光地もひととおりまわれたので、それはそれでよかった。
生粋の日本人の母にはやはりフランス人の適当と勝手具合が馴染まないらしく
やたらと「ロンドンに行きたい」と言っているので、明日はユーロスターでロンドンに連れて行く予定。
それでも、50歳半ばにしてひとりで日本からやって来る母は、この母にしてこの子あり、とひとには言われるのだが。
今日は、「安くて美味しい」と評判のムール貝のチェーンレストラン「Leon」へ。
このユーロ高のご時勢、1人20ユーロ程度でたらふく飲んで食べられる稀有な店。
シャンゼリゼ店は混雑するというので、川向こうのMabillon駅近くにある店へ。
「ムール貝をバケツで食べる」
「1年分くらいのムール貝を食べた」
との評判通り、数えてみたところ1人前のムール貝は1バケツに45匹ほど。
味は塩味、地中海風、ロックフォール(チーズ)味、プロヴァンス風(トマト煮込み)など色々。
最初はびびって1バケツ分にするも、これが非常に美味ですぐに追加。
案外、ぺろっと食べてしまえるクセのなさと、スープの美味しさ。
結果、ふたりで90匹のムール貝を完食!
付け合せのポテトフライとパンは食べ放題なのと、
ムール貝が出てくる前におつまみで出てくるプレッツェルを食べ過ぎないように。
ワインも3ユーロ台からと非常に良心的。
ひとりでも気軽に入れるお店で、
日曜日には片っ端から店が閉まる商売っ気のないパリでも日曜に開いているので重宝しそう。
目の前のモニターでは、ムール貝の捕獲から調理までが
ドキュメンタリービデオになって上映されていて、これが結構おもしろくて
口を開けてみてしまう。
下記はムール貝でご満悦のわたし(母撮影)。

貝の中身は赤身っぽいのと白身っぽいのがある。
どちらも美味しい。小さい貝の貝殻を使って、むしゃむしゃする。
いつの間にか、会話も少なくなってゆく。笑
ムール貝といえば、スペイン料理でパエリヤに彩りづけ程度に3~4匹(匹って数えるのだろうか…)乗っているのを食べたことがあるだけなので、
こんなにムール貝だけと1対1で向き合う(笑)のは初めて。
おそらく1年分、いや5年分くらいはムール貝を摂取したのかもしれない。中に何匹か入っているまだ貝を閉じたムールをナイフと両手でムキになってこじ開け、
付け合せのパンを残りのスープに浸して食べる。
ちなみにこれが、パリ滞在10日目にして初の外食。
そういえばエスカルゴも食べていない。
(サザエみたいで、美味しいのである)
フランス料理ではなさそうだが、1軒目としては合格な店であった。
しかし今日は牛肉の赤身を買ってきたので、明日からはやっぱり清貧自炊生活。
余談だが、わたしがパリから日本に出した絵葉書が、土日をはさんで中4日で着いているらしい。
(わたしは旅先から好きな人やお世話になっている人に手紙を書くのが趣味というか習慣である)
8月中には着かないだろう、とこの国のゆるさを考えて思っていたのだが
さすが、締めるところは締めるフランスのやることである。
明日は日帰りロンドン旅行。
それではまた明日。
2008.08.21
地球の舳先から vol.80
パリ滞在記録 vol.14

パリの人は、テキトーである。
パリの人は、あまのじゃくである。
パリの人は、自分勝手である。そしてヒトのことにあまり興味を示さない。
たえず誰かの目を気にする、マーケットとしての東京とは大違い。
バレエスタジオへ行っていても、タイツが破けてようが下着がはみ出してようが
おなかの肉がはみ出してようが気にせずのびのび幸せそうに踊っている。
(そしてこっちのひとは下着をつけずにレオタードを着用するので、
男女一緒の更衣室で男性陣と談笑しながら上も下も全裸着替えである)
その勝手さを、嫌うひともいれば、
自分以外の目などを気にせずわが道をゆき
仕事も一生懸命せず自分のために生きる彼らとフランスという国を愛するヒトもいる、のだ。
フランス人の国民性を考える際に、タイタニック号のパロディで、こんな有名な話がある。
沈没しゆく船。
船長はなんとか旅客を説得して、船外に退避させなければならない。
そんなとき、なんといえばきちんと退避してくれるか。
対ドイツ人 : 「法律で決まっているので、逃げてください」。
対アメリカ人 : 「生き残ったらヒーローになれるぞ!」。
対日本人 : 「みんな逃げてるから逃げてください」。
対フランス人 : 「ここから逃げないでください」。
フランス人は、あまのじゃく。 というのは、定評らしい。
そして、だいたい日本が大好き。
日本人を乗せただけで、タクシーの運転手はやたらニコニコしているし、
「日本人の彼女がほしいから」と日本語を勉強するパリジャンも少なくない。
つねに“アジア人”というフィルターで見られるヨーロッパにおいて、これは珍しい。
古くはフランスの著名な画家が日本画を狂信的に愛したことや、
新しくはシラク大統領の親日政策などもひと役買っているのだろう。
ここでは、「中国人か?」と間違われることも、なかった。
わたしのスタジオの先生はメキシコバレエ団出身でラテン気質なのだが、
日本人(大抵クラスに1~2人いるかいないか)を見るとやたら日本語をしゃべりたがる。
「ヒザ ヲー ノバスー」 「マチガイナシ、オネガイシマス」。
そして、聞いてくる。「ミギー」「ヒダリー」「マエー」「…et?」
「う、うしろ…?」
「ウシロー!!」
そして、みんなにリピートさせる。「ウシロー!」「ウ、ウシロー……。」
そんなん、パリジェンヌの生徒さんたちは、覚えたってなんの得にもならないだろうに。
専属のピアニストのピアノに合わせて、レッスン中にタンゴは踊るわテノールは披露するわ。
とにかくマイペースで、せこせことストイックに生きるのがばからしくもなってくる。
このフランス病にやられて、日本で社会復帰できなくなった友人も知っているが…。
今日はセグウェイ(小泉首相が乗っててニュースになったので、ご存知の方もいるかも)
に乗ってパリの街を一周するツアーに参加。
セグウェイおもしろかった。
今日の写真はそんなセグウェイ中に撮ったセーヌ川の夜景。満月でした。
それではまた明日。

(今日のごはん)
・赤身の牛肉を4時間ひたすら煮込み、トマトシチューもどき。
・そのへんのパン屋さんで買ったプルーンの入ったパイ。
2008.08.20
地球の舳先から vol.79
パリ滞在記録 vol.13

次の約束まで、4時間あまり。
そろそろ家で引きこもり、にも終止符を打ちたい。
しかしルーブルは過去のトラウマがあるし、要所の観光スポットは制覇済み。
ということで選んだ暇つぶし先は、「グラン・パレ」のなかにある博物館。
グラン・パレ、プティ・パレは隣接する2つの展示館なのだが、
グラン・パレの正面入口とは逆側の、Franklin D Roosebelt通り沿いの入口から
博物館に入れるらしい。
博物館なんて、これまた小学校の自由研究だか夏休みの宿題だか以来。
そもそも博物館って、なにがあるところなんだっけ…と思いながら向かう。
わたしのお目当ては、1日3回上映されるプラネタリウム。
08年8月のスケジュールは、 11:30、14:15、16:00の3回。
プラネタリウムの時間を待ちつつ館内を歩き回ってみると、これが…
とてつもなく面白い。自然科学、化学、物理、地学、生物など幅広いのだが
とにかく“ナマモノ”が多いのだ。

アリの卵が孵化するところは、隣の水槽のライブカメラで顕微鏡でのぞけるし、
よく理科の教科書で見た「ラットの学習能力」(ネズミが迷路をくぐってくやつ)の実験は
実際にラットを連れてきて、ガラスケースのなかで見せてくれる。
コオロギの鳴き声の種別解説にはやっぱり隣のケースで生きたコオロギの声を
リアルタイムで拾っていてそのまま聞くことができるし、
その他水槽の中で津波を起こす実験、地震震度体験ジェットコースター、
マグマ内の気泡を再現した巨大水槽、揺れつづける「フーコーの振り子」、
ソーラー発電実験、テコの原理がわかるブランコ、
北極画家Remy Marionの作品集、目の錯覚を利用した様々な絵図…
と、とにかくリアルで飽きない。
20近くある実験プレゼンテーションルームでは、時間ごとに
さまざまな実験を見せてくれている。
結局、4時間をそこで過ごしてもまだ足りないくらい、
ひさびさにワクワクする気持ちがみなぎってきた。
不思議な感覚なのだが、この博物館はそのもの自体が“ふしぎなもの集”。
なんでアリは女王バチのために働くの?
なんで心臓はこんなヘンな鼓動を描くの?
なんで宇宙は存在するの?
そういう“なんで”を、極力わかりやすく、実体験をもって知れる場だった。
説明されてもわかんないことは山ほどある。
わたしはいまだに「月面着陸」も「他惑星の存在」もあんまり信用していないし、
こんだけ旅をしながらも、「空の上を鉄のカタマリが飛んで時空を超えることが出来る」
なんて、うそっぱちじゃないかしらとかも思う。
不思議すぎるし、なんだか実感として理解できないから。
だから、教科書やニュースや世の中で語られるものじゃなくて、
目の前でアリを、ラットを、電流をみて、「おぉぉ」となった。
こんな博物館が、日本にもあるといいのに。
時間ができたら、もう一回行っておきたい場所。
ちなみに興奮しすぎて、肝心のプラネタリウムは寝椅子&ロマンチックな音楽&
子守唄にしか聞こえない何言ってるかわからないフランス語解説のおかげで
45分間のうち半分以上、すやすや。
語られるなにかより、なんだかわかんなくてもそこに生きたカエルやらタコやらが
いたほうが、わたしにはいいんだなあと思った。
それではまた明日。

(今日のごはん)
・オムレツ。 中身はコンソメで煮たじゃがいも&にんじん&たまねぎと、エダムチーズ。
・付け合せはお気に入りの、モッツァレラチーズの生ハム巻きジェノベーゼソース。