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2009/07/03

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時計に目をやるとすでに午前2時、
カウンターしか無いこの狭いバーに入ってすでに3時間、
先程から私達の相手をしてくれている瞳ちゃんは、
年齢22歳前後で色は浅黒く唇は少々厚めだが、
唇の厚い人は情が深いと言うがこの店に入ってからずっと、
我慢強く私の隣で相手をしてくれている、
以前は建築現場の鉄筋工だったと言うが、
今でも肩の筋肉は私よりも盛り上がっている。
彼女がなぜこの店で働き始めたかは聞いた事は無いが、
とにかく明るく普通の女性と話しているよりは遥かに面白い、
最近、特に六本木の俳優座裏の路地におかまバーが増えた理由が分かるようだ、
小一時間程彼女との会話を楽しみ店を後にする。
外に出てアマンドのある交差点に向かう頃には、
周りは何となく白々と明るくなり始め、
こんな時間にこの場所にいる自分に、
何となく優越感だけを感じていた気がしていた。

昨夜は仕事から帰るのが遅くなり、
自宅を出たのが午前2時を回っていた、
日の出前には山に着きたかったが願いはかなわず、
山道で車外が白々と明るくなり、
不思議と25年前に六本木で見ていた、
白々と明るくなって行く街を思い出してしまった。
山道から脇の道に入り込むと、
麦わら帽子をかぶった老人が鍬を肩に担いでこれから畑に向かうのだろうか、
明るくなり始めた朝靄の中をとぼとぼと一人で歩いている。
車のスピードを緩め老人の脇をすり抜けると、
彼は首を横に向け通り過ぎる私達に軽く挨拶をしてくれた、
まるでスローモーションの映像を見ているかのように、
目と目を合わせて挨拶してくれた、
私も自然に会釈を返したが、
なぜかその老人がとても格好良く見えた。
25年前に六本木の道路に止まったポルシェから、
こぎれいな金持ち風の中年親父が出て来るのを見て、
格好良いいと思っていたが、
今、朝靄の中で鍬を担いだ老人を見て格好良く見えるようになったのは、
私が歳をとったせいなのか、
時代の格好良さが変わって来たのか良く分からないが、
きっと何かが変わり始めているような気がする。
森の中に入る前にバックミラーで後ろを見ると、
まさに日の出前の不思議な色合いに山並みが染まっていた。
車から降りてまだ寒い朝靄の中でしばらく、
日常では見る事の出来ない、
景色を見ていると向こうの森の中から、
鳥の鳴き声が聞こえ始め、
私達は森の鳥達に誘われるように、
いつもの山小屋のある森に、
吸い込まれて行くような気がした。

2009/07/03 07:54 | 未分類 | No Comments

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Comment & Trackback

はじめまして。ご紹介ありがとうございます!たどり着けましたよ。とても素敵です。
そう、年を重ね 自分自身でかっこいいと思うことが変わったりしますね。

街での時間と 森での情景との重なりの空間を とても新鮮に感じました。ありがとうございます!!

Posted at 2009.08.4 1:56 AM by Achazo

Achazo さんへ
無事に辿り着いてありがとうございます。
若い頃は、
誰かに凄いと思われたい、
皆よりも一歩でも先にいたい、
そんな事ばかり思っていました、
あまり自分がどうしたいか聞いた事がありませんでした、
山の生活を初めて、
誰にも会わず一週間を過ごすと、
いつも気になるのは自分がどう思っているか、
自分がどうしたいのか、
そんな事にたどり着けた感じがしています。
ちょっと気が付くのが人よりも遅かったような気もしますが!!
街にいてふと花を見て心が森に行ってしまったり、
森で作業をしている時に、
昨日の仕事の会議でなんで彼があんな意見を言ったのか、
スコップを持ちながら気になったり、
人はどこにいても不思議な事を考えるもんだと、
つくずく思っています。
今後とも宜しくお願い致します。

Posted at 2009.08.10 1:56 PM by author
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