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2013/06/11

 

窓のカーテンを開けたとたんに、

彼女の表情は一変した、

瞬きもしなければ、

まったく身動きすることも出来なくなったらしい、

窓の外一面に広がる初夏の森、

小鳥のさえずり、

しかも2階の窓から森を見下ろす景色、

彼女が生まれて始めて味わった光景かもしれない、

いつまでも森に見とれていた彼女、

『ロッティ』、

ママが呼ぶ声でやっと気がついたのだろうか、

彼女はやっと一つ瞬きをした、

これが今自分がいる世界、

そんな事を考えているのだろうか、

彼女は生まれてからというもの、

狭い部屋と、

冷たい檻の中、

そして歩道に咲く草花、

そんな世界だけを見て育った彼女、

今、自分の目の前に広がっている世界、

どこまでも森が続く世界、

自分がこんな世界に生まれていた事を、

あらためて気がついたような、

顔つきだった、

 

ロッティが私たちの家に引き取られてから3週間が経ち、

ロッティの正式譲渡も終わり、

晴れてロッティが我が家の家族となり、

彼女の週末の森の生活が始まった、

昨夜は車に乗せられて夜の街を走り、

眠りについた暗い森をの中を走り、

いつもとは違う小屋に連れて来られた、

ドアを開けて小屋に入るなり、

しばらくの間小屋の中の隅々まで臭いを嗅いで、

ここが自分に取って安全な場所なのか、

身体全体で感じ取ろうとしていた、

ここがどこでどんな場所なのかも知らないまま、

新しい家族の布団の上をジャンプしながら遊んで、

そして皆と一緒に眠りについた、

朝日が部屋の仲に射込むと、

ママが窓の方にロッティを呼ぶと、

彼女の目は窓の外の世界に釘付けになった、

あまりにも感動的な森が目の前に広がっていた、

ママと一緒に森の中を散歩してみた、

草は朝露に練れて足元を濡らしたが、

フカフカの土の感触、

朽ち果てた古木の臭い、

気のほこらには今まで嗅いだ事のない獣の臭い、

空からは今まで聞いた事のない鳥の鳴き声、

食べれそうな草を見つけては、

口でちぎって食べてみた、

小さな虫が足元を歩いているので、

前足で叩いてみた、虫は動かなくなった、

なんだろう、ここは、

私の中で沸き上がってくるこの感情はなんなんだろう、

食事を済ませると、

今度はママが芝生のある広い場所に連れて行ってくれた、

私は力の限り走ってみた、

自分の足がどこまで動くのか知りたくて、

ただひたすら走ってみた、

誰にも怒られる事のない場所、

自分が自由になれる場所、

草の臭いが身体中に絡み付いて来た、

とても心地良い臭い、

とても楽しくて私は走り続けた、

立ち止まって空を見上げると、

蝉の声が聞こえていた

ママの顔を見上げると、

『リッティ、これは春蝉の声えよ!!』と、

ママが教えてくれた、

ママの笑顔を見ていると、

私は自分が今、

とても幸せになれた事に、

気ずき始めていた。

2013/06/11 02:56 | 未分類 | No Comments