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2009/06/01

Webメントレ
このコーナーは、読者やJunkStageメンバーからのご相談に対して、
スポーツドクターである辻秀一が回答をしていく連載です。

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今回の質問者:柏環樹(音響デザイナー)
セルフマネージメントとパフォーマンス向上について。

「辻先生初めまして、音響デザイナーの柏と申します。
現在、音響デザイナーとして「音響」というジャンルの仕事をさせて頂いておりますが、元々はステージに立つ事を目的に楽器演奏をしておりました。その中で、裏方の楽しさに目覚め現在の世界に飛び込む事となったのですが、現在は裏方として日々<ファッションショー>や<舞台>、<ライブ>など音にまつわる仕事をアーティストのサポートなども含めて活動をさせて頂いております。

今回、辻先生にお伺いしたい内容としまして「自己のパフォーマンスを引き出す、セルフマネージメント」が如何に自身の仕事のパフォーマンス高められるかという事と、その方法についてです。
自己をコントロールするのはやはり難しいなと感じるのですが、例えば自分の目標の到達点をイメージする事によってそれが具現化出来るといったセルフマネージメントが有ると思うのです。そのようなイメージを描くという事が本当の意味で自己のパフォーマンスを引き出す方法となるのか?と辻先生のご意見を伺えればと嬉しく思います。

又、舞台などの仕事をする時に若いスタッフ達が「緊張」をする場合が多いのですが、適度な緊張は自己のパフォーマンスを高める事に繋がるとは個人的に思うのです。しかし、過度の緊張は逆にパフォーマンスを下げてしまいかねないなと常々感じるのですが、そこをマネージメントする意識的な方法などは有るのでしょうか?」

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回答:辻秀一より
知識をスキル化していくのがメンタルトレーニングです。

御質問ありがたく存じます。まさにご質問いただいたことに対してサポートしているのがわたしの仕事です。わたしは応用スポーツ心理学を使って、パフォーマンス・エクセレンスということを専門にしています。心の状態を良くする脳のトレーニングを行うことで、個人や組織のパフォーマンスをより素晴らしいもの、すなわちエクセレンスにするのがわたしのライフワークです。クライアントはジャパネットたかたやANAのような企業から、スポーツ選手やチーム、受験生、最近は音楽関係者まで多彩です。心の状態を揺らがず・とらわれずの“フロー状態”がどんなパフォーマンスであれ、そのパフォーマンスを最大化する心の状態であることには変わりないので、いろいろな人のメンタルトレーニングを日々行っております。

さて今回のご質問、「自己のパフォーマンスを引き出す、セルフマネージメント」について、すべてをお答えするのはこのスペースではとても足りないのですが、パフォーマンスの最大化は心技体の向上にあります。技や体は比較的鍛えている人がいますが、心を鍛えるとは何か、心を鍛えるにはどうすればいいのかはわかりにくいからでしょう。
パフォーマンスを最大に自分らしく発揮させる心の状態をフロー状態と呼んでいます。揺らがず・とらわれずで機嫌のよい状態です。このフロー状態は、通常、環境や経験や他人によって影響を受け決定されていきます。それを自分自身で創出できることがセルフマネージメントという領域です。これは自分で自分の機嫌を取れる力のことです。自分の心をフロー維持するために、脳を最大限に使って、思考・表情・態度・言葉を選択して使用できるように鍛錬していきます。状況や出来事に関係なく、自分の心をフローにするべく、どう考えたらいいのかを考える力です。どういう言葉を使いどんな表情でいて、どんな態度でいれば自分の心はフロー状態に傾くのかを考え選択し実行させる脳力です。
ほとんどの方はそんな脳の使い方をしていません。ただ環境・経験・他人に任せて自分の心がフローかノンフローに決められてしまって、それを思考、表情、態度、言葉に表しているにすぎないのです。全然、脳を使ってません。なぜならその方が楽(ラク)だからです。

次に、イメージを描く事によりパフォーマンスが引き出せるかどうか、というご質問についてです。
イメージをすればするほど人間をそれを実現化しやすくなるという法則があります。しかし、最も難しいのはそのイメージをすること自体ができないという場合です。イメージ、イメージと単にことばで言っただけでイメージなどできるはずもありません。いいイメージを持つことを阻害するのは周りの状況ではなく、自分自身です。人は、過去の経験をもとに解釈・意味付けしながら生きています。その解釈と意味付けができない理由を過去から見つけ出し人を支配しています。そこで大事なことは、自分自身が過去の経験に生きているということを知り、それに解釈や意味付けをしていることを“知っている”ということです。それができると初めてフローを形成するためのポジティブな考えができるようになるからです。つまり、イメージをするには過去への解釈や分析とは関係なく、思うという力を養う必要があるのです。そこにはさらに今に生きるというライフスキルが要求されてくることでしょう。具体的なコツの1つは、日々チャレンジ精神でいることです。いつもの自分のパターンにはまらないような思考や行動をあえてやる習慣です。そのチャレンジには結果は問われません。ただ日々そんなチャレンジを繰り返すことが脳力をアップしてくれるのです。

最後に緊張とパフォーマンスの関係ですね。
緊張することは決して悪いことではありません。なぜなら緊張するというのはうまくいきたいという意欲の現れだからです。緊張すること自体よりも、緊張していることはダメだと考えることがパフォーマンスを落としてしまうのです。緊張している自分に気づけただけまずはOKと自分に言うことが大事です。それをセルフトークといいます。
また緊張は思考が未来のことを考えすぎるときに起こります。これから起こる出来事はわからないし、コントロールできないので、緊張が起こるのです。まずは今いまイマと自分にセルフトークし、思考を今に集中させます。今するべきことをする、でいいのです。緊張は周りの目を気にすることからも起こります。なぜなら周りがどう思うとか評価するとかは自分ではコントロールできないことなのにそれに目を向けてしまうからです。そこで、自分のできることとセルフトークすることがお勧めです。セルフトークの習慣を高めていくと、それが自然に意識化されトレーニングにもなるので一石二鳥です。

メンタルトレーニングの入口を柏さんの質問に答えながら行いましたが、ライフスキルも楽器のスキルと同じように繰り返してはじめて自分のものにできるのです。知識だけでピアノを弾けないように、ポジティブやフローと知っているだけではフローを実現することができません。あくまでも練習あるのみです。新しい脳の領域を繰り返しのトレーニングでスキル化して使えるようにしていくのがメンタルトレーニングです。ですからメンタルトレーニングに終わりなどありません。ピアノや楽器のスキルとまったく同じです。だから、タイガーウッズは今でもメンタルトレーニングをつづけているのですね。

2009/06/01 11:41 | ■Webメントレ! | No Comments

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