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2012/01/18

 ジャズの魅力は、何と言っても「即興性」です。
ソロでもアンサンブルでも、1曲の譜面という土俵の上で
織り成す真剣勝負。相手の音に瞬時に反応して、時には
先回りして、その場に最もふさわしい音を美しい音色で
紡いでいく・・・反射神経と運動能力も必要な格闘技とも
言うべき音楽です。
 私がもうひとつ取り組んでいる「作曲をする」という行為は、
即興性とは対照的に「構築性」が要求されます。でもジャズと
いうジャンルはこの二つが見事に融合することができる、いや
その融合を目的とした、とも言える、すばらしい音楽だと思うのです。

 与えられたテーマと、それに続くアドリブの世界、全く予想の
つかない世界に飛んでいくこともできるのに、いかにも必然性の
あるような音を出す演奏をすることができたら・・・それが
ジャズミュージシャンとしての喜びだと思います。
 でもそれは容易ではなく、アドリブの世界での無意味な音の
羅列、過去の名演を焼き直しただけのジャズの雰囲気だけを
持ってきて生み出された楽曲、人との共感ということを忘れた
自分勝手な演奏の世界、、、そんな演奏に陥ってしまう危険性が
あるのもジャズです。
 
 一晩の演奏の中で、まるで自分の意思とは別の生き物のように
指が動いたり音がつむがれたり、共演者と奇跡的な調和が生まれ
たりすることがあります。でもそれは毎晩のように起こることで
はありません。
 以前

 『マイルス・デイビス(tp)は「一晩のギグの中で神様が舞い
降りて来る瞬間は4小節ほどだ」と言ったそうだが、それを聴いた
ゲイリー・ピーコック(b)は「4小節もあればいい。1小節でも
やっとだ」 と言ったそうだよ』

 というお話を聞いたことがあります。

 楽器や楽曲、共演者と真摯に向き合う。自分の音に常に集中して
ベストを尽くす。。。それでもそんな瞬間は簡単には訪れません。

 その一瞬を体験したいから、どんな辛いことがあっても苦しくても
ジャズの世界にいるのかもしれません。

2012/01/18 06:13 | ジャズのお仕事, 雑記 | No Comments

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