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2015/03/05

最近、楽器の話が多くなって、トンガとは全く関係なくなってきてますが、ご了承ください。

今回はトランペットの調子のことを。調子と言っても「今日は絶好調だぜ~!」「だめ、最悪…orz」と言った調子ではありませんのでご了承を。

トランペットはB(ベー)管と呼ばれるトランペットが最も一般的な楽器でして、そのB管で「♪ド~」と吹くと、ピアノの「シの♭(フラット)」の音が出ます。日本では音名をドイツ語で呼ぶ慣習があるので、ドイツ語でシのフラットのことをB(ベー)と呼ぶことから、B管トランペットと呼ばてれます。英語でB♭(ビーフラット)管でも、日本語で変ロ調でも構わないんですが、普通ベー管ですね。

ちなみにドレミ~をドイツ語ではC(ツェー)D(デー)E(エー)F(エフ)G(ゲー)A(アー)H(ハー)C(ツェー)と呼び、フラットがつくとCes、Des、Es…という風に-esが付き、シャープだと-isが付き、Cis、Dis、Eis…という風になります。

実はトランペットにはC管もあれば、D管もあります。ちょっと特殊管扱いになってしまいますが。D、Es、F管辺は比較的、「その筋」では見かけます。B管と同じように、例えばD管で「♪ド~」と吹くと、ピアノでは「♪レ~」なんです。僕の知っている限りをあげてみますと、A管、B管、Ces管、C管、D管、Es管、(E管)、F管、G管という存在は知っています。何でこんなにあるんですかね???

理由はその昔、楽器の単純な作りで、ピストン機巧が施されていなかったから。ナチュラル・トランペットという、管を巻いただけの楽器です。トランペットを始めとする金管楽器と言うのは唇や舌、息のスピード、圧力と言った要素を駆使して、「倍音」という周波数上のツボみたいなところがありまして、そこを当てて複数の違った音を吹き分けています。なので、そのツボから外れた音は出ない、もしくは楽音として使えません。

倍音を列挙してみますと、基音がドとしますと、一オクターブ上のド(通常ここから金管楽器の範疇)、その上のソ、更にオクターブ上のド、ミ、ソ、シ♭、そしてその上のド(通常はここまで出せれば、大抵の楽曲は音域的に演奏可能)、レ、ミ、ファ♯、ソ、ラ、シ♭、シ♮、そして更にその上のド…以下延々と続く来ます。

という訳で、結構音が飛び飛びなんですね。もしピストンがなくて、音階的な楽曲が吹きたければ、ものすごく超音波みたいな音域で吹かないといけなくなってしまう…。僕には無理です。

なので、オーケストラで一般的にトランペットが登場してくるのが18世紀のバロック時代ですが、19世紀半ばのピストン付きの金管楽器が発明されるまで、ナチュラル・トランペットがオーケストラでは使われておりました。

トランペットがド、ソ、ド、ミ、ソ、シ♭しか音が出ないから、すべての曲をハ長調で作曲するしかないか…、作曲家が妥協してくれるわけでもなく、ハ長調の曲もあれば、イ長調もあれば、ヘ短調もある。でも、トランペットは使いたい…。どうすれば…。

「楽器の長さ調整して、ラ、ド♯、ミが出る楽器作って、お願い。今度そんな曲吹かないといけないんだけどさ…」

と楽器職人さんにお願いする羽目になります。もっとも、フルートなどの木管楽器でも似たような状況はありましたで、それが一般的だったようです。なければ作る。

そんな感じでいろんな調の楽器が出現します。楽曲に合わせて。

で、もっと細かい音程を出せないか?ということで、楽器を大きくして(管を伸ばして)、基音を低くすることによって、だいぶ可能に。

更に、この楽章はハ調だけど、次の楽章はへ調、次の曲はト調…となった場合はそれぞれの長さの楽器を準備する必要があったわけです。持ち運び大変そうですねぇ。というか、僕なら、途中で間違った調の楽器を演奏してしまいそうですが。いや、絶対そういうミスした人はたくさんいるはず。

なので、ロマン派までのオーケストラ曲のトランペットとホルンのパートは、楽譜の中で「ここはB管で」「ここはEs管で」「ここはD管で」という指示が出され、楽譜上はド・ミ・ソだったりします。ちなみにトロンボーンは、トランペットで言うピストンの組み合わせを、スライドで網羅できてしまうため、調の指定はありません。

なので、わかってたことなんですけど、一昨年日本の地元でアマチュアオーケストラに参加して、もらった楽譜が殆どド・ミ・ソだけ(笑)。こりゃ、ティンパニの和音構成員だな、と言わんばかりに。

というわけで、3本のピストンの発明で、一本の金管楽器で半音階が、それほど問題なく演奏が可能になったと言うのは、かなり画期的な発明なんですね。19世紀のフランス人楽器職人さん、ありがとう。

そんな流れで、使いやすい調や流行り(?)から、現在はほぼB管に集約されてしまったというお話です。ただ、ピストンと倍音の関係上どうしても音程を殺してしまう側面も残り、やはり開放管を使いたいということで、コンチェルトや、ソロでは、殆ど見かけない特殊管を使ったりもします。オリジナルに近いですから。

現在、ほぼB管、あとオーケストラではC管の二本に淘汰されてしまいましたが、残る問題は演奏者の移調演奏技術。僕はB管しか持ってませんでしたので、オケでは「ここはF管のド・ミ・ソは実音でファ・ラ・ドだから、B管でソ・シ・レ…」とか、「えっ!?いつの間にD管指定???」「A管指定ををB管で吹くと、半音下げか、超めんどうくせぇ…」と言った演奏者泣かせになります。E管、F管は上から読んでも移調しても、下から移調しても、中途半端に面倒くさい…。20世紀以降は大抵F、B、Cのどれか、第二次大戦後はほぼBかCに作曲者が特殊管を要求しなくなりましたので、助かりますが、時々恐ろしい演奏技術を要求してくるので、ありがたくないです。オケではBとCの二本準備して、指使いの関係から♭系はB管で、♯系はC管で…と持ち帰る人が結構いますが、僕はB一本で、時に死にそうで、これは無理と判断した曲はPCで楽譜を書き直したりしてました。音大出てるくせに…。

音大のオーケストラスタディーの授業で、各調子のリストを紙に書いて、それを参考にしながら演奏してましたら、トランペットの教授に見つかって「こんなの使っちゃダメだよ~」とビリビリに破かれたのを思い出しました。

そんなわけで、いろんな調子のトランペットのお話でした。

2015/03/05 12:26 | 音楽 | No Comments

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