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2007/04/30

■音楽用語裏辞典 【お金の計算】

前回紹介させていただいた「さらう」は演奏家が頻繁に使用する業界用語の一つですが、同様にクラシック音楽の世界で日常的に飛び交う特殊な業界用語に、お金の数え方があります。

いきなり本題に突入してしまうと、例えば演奏家は「1万5千円」を「ツェーマンゲーセン」或いは「ツェーゲー」と言います。

なんの事かさっぱり分からないでしょうが、実はこの数え方は音楽用語に由来しているのです。

クラシックの基礎でもある音階の「ドレミファソラシド」はアルファベットで「CDEFGAHC」と表記し、その音階をドイツ語では「ツェー・デー・エー・エフ・ゲー・アー・ハー・ツェー」と読みます。

そしてこれを数字の順番に置き換えると・・・

ド =C=ツェー=1
レ =D=デー=2
ミ =E=エー=3
ファ=F=エフ=4
ソ =G=ゲー=5
ラ =A=アー=6
シ =H=ハー=7

などと、まるで数式のような定義が生まれ、そこから上記の「ツェーマンゲーセン」のような特殊な用語へと変化を遂げている訳です。

ちなみに、「8」にあたる音階はないので、「オク」という単語を使用します。例えば、1万8千円であれば「ツェーオク」といった表現をします。これが8つの音から形成される音階を示す「1オクターブ」に由来するのか、八人で演奏する「八重奏」を意味する「オクテット」からきているものなのかは定かではありません。今回の記事を書くにあたり何人かの演奏家に取材をしましたが、はっきりとした理由を知っている人は残念ながら存在しませんでした。いずれはっきりしたらまた公開させていただきたいと思います。

では「9」はどうするのか?

…不思議な事に「9」を表す業界用語を聞いたことはありません。

演奏家は豪快な人柄が多い事もあってか、例えば飲み代が一人頭4900円なら5000円出しとけ、的な感覚が当たり前である為に、「9」はめったに使わない数字である事も原因の一つかもしれません。もしかしたら存在するのかもしれませんが、私は10年間の演奏生活で耳にしたことがありません。こちらもはっきりしたらまた追加させていただきたいと思います。

ですから、演奏会帰りにホール近くの居酒屋やバーで会計時に「すみませ~んゲーセンオールで!」という台詞が聞こえてきたら、それは決して「二次会は徹夜でゲームセンター行くよ!」などという意味ではなく「今夜の飲み代は一人5000円ですよ」という意味なのです。

この金銭計算の業界用語、実は芸能界の一部でもよく使用されていますが、やはりこれもスタジオミュージシャンが使っているのを耳にした歌手たちから広まったものかと思われます。

しかしながら、この数え方を小節数などには使用せず、金銭計算でしか使わない理由は定かではありません。もしかしたら、金銭を数字で表すと妙に生々しいと感じた、繊細な演奏家ならではの妙案だったのかもしれませんね。

男性の皆さん、合コンで女性にバレないようにその日の飲み代を伝えるには、最適な方法だと思いませんか?ぜひご利用してみてください! 笑

  

2007/04/30 08:14 | 音楽用語-裏辞典編- | 1 Comment

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私が若い頃は9をナインスと呼んでました。
チェー、デー、イー、エフ、ゲー、アー、ハー、オクトーバー、ナインス、って感じです、8と9は縮めた言う事も有ります。

Posted at 2020.03.31 1:11 AM by 仁
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