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2009/09/21

皆さん、お久しぶりです。
前回の対談以来随分と間が空いてしまってすみません。

この期間も、演奏活動にレッスンに、そしてマネージメントにチラシやプログラムのデザイン業など忙しなく動きまくり、プライベートでも来月には年内2度目の引越しが決まるなど変動がありました。今回は、その引越しに纏わるお話。

実は、我々演奏家が困るのがこの新居探しなんです。
楽器は想像以上に大きな音がしますから、通常のマンションやアパートでは当然他の部屋の入居者に多大な迷惑をかける事になります。当然、不動産屋でも楽器を演奏出来る物件は数が限られてきます。部屋を探す側には音大生やプロの演奏家などの立場に分かれてきますが、今回は私たち演奏家の場合についてお話しましょう。

まず、演奏家といってもフリーなのか団体に所属しているのか、或いは部屋を買うのか借りるのか、いろいろとパターンがあります。どちらかに所属しているのであれば安定した収入も得られるしオーケストラの練習場も決まっていますから、さらなる移籍を視野に入れていなければ本拠地の近くに絞って家を購入してしまえば良い訳です。一軒家を購入すれば周囲とのご近所付き合いさえしておけば問題は起きません。友人の中には、日常の練習はオーケストラの練習場付属の個室を使用し、自宅では一切楽器を弾かないなんて人もいます。そうなったら別に普通のマンションや戸建に住めば良いのですからいくらでも良い部屋を探せます。

ところが、私のようにフリーの立場だと話は一気に厄介になります。

4~5日のサイクルで通うホールは変わる、つまり固定した仕事場が無いので購入を考える事は後回し。何より購入を考えたとしても、どこにも所属していないというだけで、収入に関わらず銀行からの信頼も薄くローンを組む際に圧倒的に不利になります。

そして賃貸を考えたときに、まず「音出し可能」「楽器演奏可」と謳っている物件が圧倒的に少ない事に気づきます。そもそも「楽器演奏可」の8割は<ピアノなら><趣味程度のレベルまで>という条件つき。趣味程度というのはつまり、毎日は弾かず、弾いても1日2~3時間の演奏程度までにして欲しいということ。
そして演奏可能物件にきちんと防音設備が施されているものはほとんど無く、「隣りの部屋の練習も聞こえる代わりにアナタも演奏して良いですよ」というのが当たり前で、都心なら音を出せるのは9時~21時が相場。演奏会が終わって帰宅したらもう練習なんて出来ません。まあ本番後に練習するなんて滅多に無いんですが。

ちょっと音楽に詳しい方なら「ピアノが良いなら他の楽器だって良いじゃないか」と思うかもしれませんが、ほとんどの大家さんには楽器の知識が無く、「ピアノ程度なら聞こえても耳障りにならない、BGMになるだろう」という認識のようです。実際に音量だけ取ったら本気のピアノに勝る楽器は無いと思うんですけどねえ。

私はもう4~5回の転居を経験していますが、毎回面倒いのが<コントラバス>という楽器の認知度の低さからくる不動産屋の質問の数々。「金管楽器ですよね?」「楽器大きいから音も大きいんでしょ?」などの質問にいちいち答えるのが面倒で、最近は物件を探す段階で「弦楽器で、ジャズとかにも使うヴァイオリンの一番大きいヤツです。音は低くて階下に伝わりやすく、ピアノや金管楽器に比べたら遥かに静かです。何でしたら大家さんの前で演奏もします」と伝えてしまいます。これでだいぶ楽になりました。

そうそう、今書いたように、コントラバスの場合(おそらくチェロも)、「エンドピン」という楽器を支えるピンを床に突き刺して演奏する事で音の振動がもろに床に伝わるので、両隣よりも階下の部屋に音が響くようです。そして音響学的に低音を防ぐ事は非常に難しく、ちょっとした防音カーテンなどでは到底役に立たないとのこと。実際、知り合いで音出し可ではない通常のマンションに無理矢理入居して演奏した人がいますが、防音カーテンを吊るし床にも防音材を詰めたにも関わらずあっという間に苦情が来て退去しなければならなくなったそうです。そもそも、「楽器演奏不可」の物件は規定上「楽器を持ち込むこと自体禁止」という意味を含んでいますから、部屋に楽器があった時点で契約違反となるのです。
 
私も演奏不可の物件にこっそり2度ほど入居しましたが、いずれの時も楽器にはミュートをつけ(ほとんど意味はない)、床には新聞紙と防音材を敷き詰めた上にウッドカーペットと絨毯で床下をガードし、さらには練習するときは最小限の音量で弾くという細心の注意で臨んでいました。おかげで苦情は一度もありませんでしたが、その代わりオーケストラのリハーサルなどに行って大きな音で演奏する際に違和感を憶えるようになり、演奏の技術に多少の支障をきたした感は否めません。

こうした演奏可能物件を探していると気づくのが、「音だし可物件密集地域」があるということ。この特徴として「近くに音楽大学のあるエリア」が挙げられます。例えば東京芸術大学ならJR上野、東京音楽大学がJR池袋、桐朋学園大学は京王線の仙川、武蔵野音楽大学は西武池袋線の江古田、そして国立音楽大学は西武拝島線・多摩都市モノレールの玉川上水。

この中でも、池袋や上野は「中心地+音出し」の条件で賃料が跳ね上がりますし、玉川上水になると交通の便が悪すぎる。そんな理由から自然と練馬・江古田地域に音楽家は集まります。実際、今私が住んでいるのも板橋区と練馬区の境目で周辺は知り合いだらけ。よくいろんなオーケストラで出会う奏者が実は隣りのマンションに住んでいた事が先日判明し、「やっぱりあの辺になっちゃうよねえ」と話していました。ちなみに現在は2DKで家賃10万円、周辺のマンションからは声楽やトロンボーン、サックスの音が漏れ聴こえてきます。演奏の事を考えなければ同じ金額で3LDKが本来妥当なところなんですよね・・・・・・
 
 
こうした物件を探す苦労はこれでだいたい理解して頂けたかと思いますが、今回の私はさらに「ファミリー物件」「子供可」という2つの条件も加わりました。こうなると音大の近くでもそんなにありません。先ほど挙げたエリアは学生向け、1Kがメインになります。楽器が2本・エレキベースやアンプもある・もうすぐ子供も産まれる・幼児の泣き声の問題も出てくる・子供が成長したらその子供から楽器を守る事も考えなければならないなど、多くの問題を考えると3部屋は欲しいところ。

そこで私は都内を外れ、東京近郊~埼玉・神奈川エリアを中心にネットで探し回り、10箇所近い不動産屋にメールで連絡して相談を持ちかけてみました。不動産屋に相談するときにはこちらの条件をきっちり伝えることが大事です。譲れないところと妥協点をはっきりする。今回の私は「3LDK以上、楽器演奏可(楽器はコントラバス、音量は金管楽器よりも小さい、大家さんの前で演奏も可能)、子供可、BT別、沿線は気にしないが駅から徒歩15分以内、築年数は気にしないが出来れば15年以内、初期費用は●●円以内(これも予定より安めに伝える)、家賃は10万まで」と条件を提示しました。

その結果、ある不動産屋からのメールで外観を気に入った物件があり、実際に内見に行ってみました。場所は所沢ですが西武池袋線の急行なら池袋まで30分程度、物件は駅から徒歩10分くらいで専有面積は今の倍近い広めの3LDK、家賃も今より1万安く、楽器も子供も可能という素晴らしい条件でした。そして何より嬉しかったのは実際に話した大家さんがクラシック好きということ。「今は指揮者とオーボエ奏者が居るけれど、出来ればこの建物全体に演奏家に入ってもらって、夏には我が家の庭でちょっとしたコンサートをやってもらうのが夢」と話す大家さんでしたからこれは助かります。その場で申込み、あっという間に審査を通り、しかも入居を2ヶ月近く待っていただけるという幸運にも恵まれました。
 
 
という訳で皆さん、来月30日に引っ越します。12月1日には待望のジュニアも誕生予定ですし、引越し作業なども含めまた更新が滞る危険性はありますが、対談第2弾も終了しており近々掲載出来ると思いますので、ぜひ今後ともよろしくお願い致します!!
 
  
*ちなみに、演奏可物件を探すにあたり力になってくれるサイトをいくつか紹介しますね。

・音楽賃貸ネット
・楽器可・ピアノ可賃貸物件NET
・楽器を弾く為のお部屋探し
・音と部屋

部屋を探されるかた、頑張ってください!!
 
 

2009/09/21 12:00 | 居酒屋トーク | No Comments

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