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2015/01/08

皆さま、明けましておめでとうございます。
とはいえ、もう年が明けて1週間経過しておりますが。。。

昨年12月28日の仕事からゆっくりお休みしまして、2015年の最初のお仕事は6日でした。昨年は2日からもうリハーサルをしていましたから、今年は長めの冬期休暇だったという事になります。

今年最初のお仕事は東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団で、オール・モーツァルト・プログラムのリハーサルでした。モーツァルトの曲はコントラバスにとって(他の楽器もそうかもしれませんが)かなりハードな難曲が多く、年末年始のんびり休んでいきなり弾いたりすると指を壊しかねないので、実家に戻っている間も楽器を連れて帰り、弾かない日を作らないようにし、モーツァルトの曲もしっかり準備をしてきました。

実はシティフィルさん、僕にとっては実に久しぶりの客演。一時は団員さん並みにほぼ毎月出演していた時期もありましたが、ここ10年近く伺っていませんでした。

思えばこの世界は不思議なもので、僕はベルリンに留学している時に、先生から「日本の学生オーケストラで演奏するから一緒に来い」と言われて帰国し、その時ご一緒したNHK交響楽団の方から誘われて同楽団に客演しました。

これは実際に札幌交響楽団に行ってから聞いたのですが、その後N響で僕が演奏している姿をテレビで見た札幌交響楽団の方が興味を持ってくれてN響の団員さんに「彼は誰ですか」と問い合わせ、僕に連絡を頂くようになったそうです。

その後日本フィルのオーディションでファイナルに残ってから同楽団に呼んで頂くようになり、日本フィルでたまたま当時のシティフィルの首席と同じプルト(席)で演奏するご縁があり、「君ちょっとウチで弾いてみない?」とシティフィルに誘われました。

シティフィルでサッカーをやっていた方と知り合い、その方とチームを作った数年後彼が群馬交響楽団に移籍し、僕も群馬に呼んで頂くきっかけとなりましたし、当時一緒に蹴っていた方が東京佼成ウインドに入団されて、こちらも声をかけて頂くようになりました。また、大学の先輩の紹介で神奈川フィルと名古屋フィルに行くようになり、神奈川フィルの客演首席で来られていた東京都交響楽団の方が、僕がドイツの先生の同門と知って都響に呼んでくださったのです。

こうしてオーケストラでのお仕事が増えて少し名前が売れると寄せ集めのオーケストラの首席のお仕事を頂くようになり、スタジオからレコーディングのお仕事が来るようになっていきました。

僕が一度音楽を辞めて復帰に至る経緯となった「のだめ」のお仕事も、今年公開される映画のお話も、元はといえば僕の幼馴染で、祖父の生徒さんだった友人からの依頼でした。

現在活動のメインとなりつつあるシエナ・ウインドオーケストラも、復帰して仕事が無いと思っていた矢先、前述した東京佼成ウインドの方が「シエナがコントラバスを探してる、吹奏楽出身のお前なら適任だからやってみない?」と紹介して頂いたのです。こうした世界からさらに枝分かれして、吹奏楽講習会の講師や個人レッスン、テレビの仕事へと広がっていく訳です。

こうして書いてみると、本当に人の縁で成り立っている業界なんだなあと思います。もちろん、下手な演奏をすればすぐに首を切られる世界です。前述したオーケストラの中には、イップスで手の震えが止まらなくなった頃にお声がかからなくなった団体もありますし、団員以上に出演していたのにオーディションで大失敗して以来呼ばれていない団体もあります。

さらに、僕が1年半音楽を辞め、復帰してからしばらくは呼ばれなかった団体もいくつかあります。例え僕でも、1年半辞めていた人間をすぐに使おうとは思いませんし、きっと、腕が落ちていないか、どの程度この業界で通用するか他の団体で様子を見てから使ってみよう、という事だったのではないかと思っていますが、この2、3年で仕事量は辞める以前よりも増えてきました。

復帰した時に「まずは目の前の演奏会一つ一つ真摯に向かい合おう」と決意し、昔よりもきっちり準備・練習をするようになった事が理由だと思いますし、シエナに関わるようになって吹奏楽関連の生徒さんが増え、改めて人に教えることで自分の弾き方に対する考え方が整理されてきたり、より研究熱心になった事もプラスに働いています。先日テレビ番組でタレントの有吉さんが後輩芸人に対し「仕事を選んでるんじゃねえ、まずは目の前の仕事をしっかりやれ」とアドバイスしている姿を見かけましたが、昔の僕にかけられている言葉のように感じたものです。

何より子供たちの存在も大きいですね。特に息子が僕に対して全幅の信頼を寄せている姿を見ていると、「コイツには変な姿を見せられない」と強く思います。それが僕の仕事に対する姿勢を、より真摯にさせている最大の要因かもしれません。

そういえば今回もシティフィルのリハーサルでご一緒した日本フィルの方から同楽団のご依頼を頂きました。日本フィルも随分と久しぶりの客演。これも「縁」の成せる業ですね。この機会で終わらず、しっかり今後も継続して呼んで頂けるよう、こちらも万全の準備をして臨みたいと思っています。年が明けたいま、手帳が埋まってスケジュールで埋まっている事は光栄極まりない事です。

今年は約1年かけて執筆した教則本の出版も控えていますし、演奏活動に加え、もっともっと吹奏楽の世界で苦しんでいるコントラバスの生徒さんたちの力になっていきたいと思っています。同時に、目の前に控える演奏会の準備を怠らず、勉強と練習を繰り返し、その上で音楽を好きでいられるよう楽しむことも忘れず、人の縁を大切にしつつ、真摯な姿勢で音楽と向き合うつもりです。

その上で何か面白い事があれば紆余曲折伝と併せこちらの記事にしていきたいとも思っていますので、これからも皆さまどうぞよろしくお願い致します。

皆さまのご健勝とご多幸をお祈りし、今日はこの辺で筆を置きたいと思います。

2014/11/10

僕は普段オーケストラとレッスンを中心に活動している訳ですが、オーケストラの曲を練習するにあたり、どうしても楽譜が必要になります。今回は、その楽譜をどのように準備するか、というお話。

オーケストラの楽譜は、通常「ライブラリアン」という方が管理しています。多くの場合ライブラリアンが事前に楽譜を入手し、プレイヤーが音を止めること無く演奏出来るように譜めくりをし易く工夫して下さったり、指揮者の指示を書き込んでくれたりしています。

その楽譜が置いてあるライブラリーはだいたいオーケストラの練習場や事務局内にあります。どの楽団もコンサートホールなどと提携してそちらを本拠地としており、そこへ行けば楽譜が手に入ります。例えばNHK交響楽団は泉岳寺の専用練習場、東京都交響楽団は上野の東京文化会館、東京交響楽団は川崎のミューザ川崎シンフォニーホール、新日本フィルは錦糸町のすみだトリフォニーホールなど。楽譜は公演別・パート別に整理されており、演奏者はそこから必要な楽譜を抜いてコピーし、原譜を元の場所に戻す手順になっています。

ですから、オーケストラの楽員さんは所属楽団のリハーサルついでにちょっと先の楽譜を入手出来るのですが、我々フリー奏者はそうもいきません。よく演奏される有名な曲ならば過去に使用した楽譜が自宅にあるので、わざわざホールに行ってコピーする必要はなく、自宅で練習しておいて対応可能ですが、普段あまり演奏した事のない曲や過去に演奏経験のない曲については楽譜が無いと練習出来ません。そこで、各ライブラリーに行って楽譜をコピーする必要が生じてきます。

最近は無料でオーケストラスコアやパート譜を閲覧出来るインターネットサービスもあるので、緊急時にはこちらで音符だけ確認する事もありますが、弦楽器の場合は「弓順」が決まっており、オーケストラによって微妙に変わってくるので、万全の準備をするなら事前にその楽団の楽譜を見ておきたいのです。それに、著作権に関わる楽譜はネットでも閲覧出来ません。

しかし、いきなりライブラリーに行ったところで楽譜の用意が無い場合もあります。そうした時間の無駄を無くすために我々は事前に事務局に電話を入れます。名前、パート、そして公演名を告げると先方が楽譜の所在を確認して下さり、あると分かればコピーに向かいます。まだ準備が無ければ何時頃揃うか一応聞きますが、そうした場合楽譜がレンタル譜(著作権が切れておらず、出版社が貸し出す楽譜)の場合が多く、ここで正確なお返事を頂けることはあまりありません。こちらとしても他のリハーサルの合間に練習時間を確保するので、だいたい公演1ヵ月前には楽譜を入手しておきたいのですが、困ったことに事務局が平日のみ、17時までしか開いていない事も多く、こちらのスケジュールと噛み合わなくて楽譜がなかなか手に入らない時などは本当にやきもきします。

いざライブラリーに到着してからの手順はオーケストラによって異なりますが、基本的に原譜をコピーするという手順はどこも同じ。ただ、その場にあるコピー機を使わせていただける場合と、建物外のコンビニなどにコピーしに行かなければならない場合があります。ライブラリーのコピー機でやっていれば、順番待ちをしているのは同じ演奏者なので気が楽ですが、コンビニなどでコピーする場合、順番待ちしている人はこちらの目的もわかりませんし、これがオペラの楽譜なんかだと100ページくらいあるので、気まずさは半端じゃありません。だいたいその場は「お先にどうぞ」と譲って、また再び延々とコピーを繰り返す事になります。

こういった作業を毎月行うので、コピーの知識・技術はかなり豊富かもしれません。中途半端なサイズの楽譜でも「これをA4にするには81%縮小だな」なんてのが見た感じで分かるようになります。ちなみに、コピー紙の質が良いのはセブン・イレブン。この知識、他に特に活きる場所が無いのが辛いところですが・・・・

こうしてコピーに行くのが1団体ならいいんですが、僕は普段5~6の楽団を行ったり来たりしているので、そうなると楽譜を入手するのも一苦労。だいたい月初めに丸一日何箇所か周る「コピーの日」を作り、まとめて入手するようにしています。そして痛いのが交通費。全て自腹なんです。楽団によってはコピー代も自腹。電車に乗って移動する時間も正直勿体ないですから、出来たら楽譜をpdf化して、楽団ホームページで出演者専用にpwを設定して公開してくれたらタブレットにDLしてもっと早く練習に取り掛かれるし、さらに楽団のお力にもなれるのになあと思いますが、劇的に時間と手間がかかるので、きっと実現は難しいでしょうね。

ちなみに、僕がよく客演しているシエナ・ウインドオーケストラや札幌交響楽団は楽譜を郵送してくれます。シエナはともかく、東京以外のオーケストラの場合はさすがに楽譜をコピーしに行けませんからね。ライブラリアンさんは大変でしょうが、こうするとこちらも準備が早目に出来ますし安心感と余裕を持って練習に臨むことが出来ます。

ある楽団に所属している僕の友人は「僕はエキストラを頼むのに、例えそれがオペラであっても、自分で楽譜をコピーして送るようにしてるよ。だって、『ウチの楽団に来て演奏して頂く』んだから。客演ってそういうことでしょ。『呼んでやってる』という感覚でいる人が信じられない」と話していました。彼は管楽器なので人数の負担が少ないとはいえ、エキストラにとってはありがたいお話です。

持ち帰った楽譜は「製本テープ」で一冊にまとめて練習します。「製本テープ」という商品名で売られているものは少々値が張るので、僕は薬局などで「不織布テープ」を購入して使っています。なぜセロテープじゃないのかというと、質が固いので綺麗に楽譜を捲れないのです。この製本のやり方にも僕は拘りがあって、高校吹奏楽部時代に恩師から教わって以来20年以上経験を重ね、かなり美しく出来るようになりましたが、文章で伝えるのは難しいのでここでは省略させて頂きます。

さて、このようにして入手した楽譜でどのように練習するか、それはまた別の機会にしようと思います。

2014/10/23

昨晩は王子にある北とぴあ・さくらホールという会場で演奏会本番でした。

演奏はシエナ・ウインドオーケストラ、指揮は世界的なサックス奏者須川展也さん。

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須川さんといえば吹奏楽界では東京佼成ウインドオーケストラのコンサートマスターを長年務められ、サックス界では超有名人。昔、とあるタバコメーカーのCMに出演していた事でも知られています。

今回は吹奏楽でも有名な演目が中心でしたが、前半の最後に「シナモン・コンチェルト」という、須川さんの為に書かれたサックス協奏曲がありました。今回、その曲を須川さんの吹き振り、つまり指揮者無しでやったのですが、これがなかなか大変でした。

通常「協奏曲」というのはソリストの様子を見ながら指揮者がテンポやタイミングを合わせていくもの。クラシックのように、派手にテンポが揺れ動かないジャンルなら、オーケストラがある程度ソロを知っていれば指揮者無しでもそれほど合わせるのは難しいことではないのですが、今回の曲は思い切りジャズ仕様。特に第2楽章はかなりソロが自由に歌いまわすので、神経を研ぎ澄まし耳でいろいろな情報収集をしながら演奏する必要がありました。

もともとクラシックにどっぷり浸かっている僕は、こうしたジャズテイストの曲を演奏する際、1週間くらい前からジャズばかり聴くようにして身体のビート感を変えるよう準備していきます。とはいえ、この1週間は東京交響楽団でルトスワフスキの曲などを演奏していましたから、脳はかなり混乱していたと思われますが。もちろん、この曲が収録されたCDを購入して聞くこともしましたが、ソロパートの楽譜が無いので、音符はある程度想像しながら予習する訳です。

そして迎えたリハーサルは2日間。

まず須川さんから「指揮者がいなくてテンポの維持が難しいかもしれないので、今回ベースアンプを通してほしい。君が指揮者のつもりでテンポを作ってほしい」との要望がありました。こちらとしてもアンプを通すことで指の皮がボロボロにならずに済むので、この提案は歓迎でした。但し、テンポを作る重責については多少プレッシャーとなりましたが。

初日はとりあえずソロ無し、まずは曲の雰囲気を掴もうと須川さんが全編指揮をして通しました。この時は何の問題もなく、じゃあソロを入れてやろうと2度目に通したら、さあ大変。拍の勘定が出来なくなり、混乱する場面が続出したのです。ただ、何となくこうなるのは分かっていたので、いろいろありながらも楽譜にメモを記し、この日は帰宅して音源を聞きながら頭を整理しました。

リハーサル2日目はほとんど通して終わり。演奏する場所が打楽器と離れていた関係からか少し打楽器にテンポを引っ張られるような感覚があり、僕は確固たる自信まで至っていませんでしたが、「もう問題無いでしょう」という須川さんの言葉と、バランスや時差はゲネプロ(本番前の会場練習)でいいという考えもあったので、特に「もう一度お願いします」とは言わず練習を終えました。リハーサル終了後、何人かのプレイヤーに意見を聞くと「ちょっと後ノリに感じる」という意見が多かったので、本番は多少突っ込むくらいのつもりでやろうと決心。

本番当日、ゲネプロで通してみると、金管楽器セクションから「ベースとパーカッションに時差があり、どちらに付けて良いか迷って吹きにくい」との指摘。コンサートマスターと相談した結果、僕がひな壇に上がり、打楽器群の真ん中に位置することになりました。試しに数か所演奏してみたところ、処々の問題が解決されたので「これでいこう」と結論が出たのでした。ゲネプロ終了後は客席で録音したICレコーダーで演奏を確認、ベースの音が後から膨らんで聴こえるので、思ったより早めに音を出す必要性を感じ、さらにまだ自分が後ノリな印象だったので、本番はかなり突っ込んでも良いと判断したのでした。

そしていよいよ本番。

曲が始まった瞬間に気付いた事は、「距離が離れ、目の前にトランペットやトロンボーンが並んだことで音の壁が生まれ、ソロがほとんど聞こえなくなった」こと、そして同じく距離により時差が生まれ、「木管楽器が異常に遅れて聴こえる」ということ。瞬時に「迷ったら全体が崩れる、俺の音を聞いて合わせて貰えると信じて、自分のテンポを貫こう」と決意したのでした。リハーサルで自信がなく、どんなに不安を抱えていても、本番ではある程度の開き直りと「俺についてこい」と思い込む「演技力」が必要だと思っていますが、まさにその心境でした。経験上、だいたい本番は開き直ったほうが良い結果に繋がります。

実は1楽章が始まってすぐ、アンプがミュート状態になっているのに気付き、指の力で無理やり音量を上げるというハプニングはあったのですが、これは休みの間に修復。その後、本番中は、正面に見える須川さんのソロの音を何とか拾うよう耳を傾け時差を計算して少し早目に音を出すよう意識しつつ、同時に楽譜を見ながらも、常に右にクラリネット、左にサックスという普段コンサートマスターを務める2人の身体の動きを視野に入れ、さらには真横の打楽器セクション、目の前のトランペットの呼吸を聞いてタイミングを計り、さらに少し前に居る鍵盤楽器の音を聞くことで「彼らがこのタイミングでこのテンポで演奏しているという事は、今あの位置には自分のテンポがこう聞こえている」と判断しながら微調整、さらに後ノリにならないよう自分が思っているよりコンマ数秒早めに刻む事を意識しながらの演奏となりました。

こうして文字に起こしてみると、エライ数の情報を瞬時に集め、判断しているんだな、と我ながら感心したくなりますね 笑 おそらく本番は集中力も一層増すので、リハーサル時に聴こえなかった音まで拾うこともよくあります。良い演奏家は全ての音をリハーサル時に聞いているのかもしれませんが、その意味で僕はまだ未熟なんでしょう。

演奏がどうだったのか、それは自分が客席で聞くことが出来ない以上一生分かりませんが、少なくともシエナの皆さんには「ブラボー」と声をかけて頂きましたし、普段コンサートマスターを務めてらっしゃるクラリネットの方にも「完璧!!」と言って頂いたので、多少は力になれたのかな。ともかく、昨晩は久しぶりにグッスリ眠りました。

ただ何となく演奏しているように見えて、実はいろいろな事を考え、計算し、判断しているんですよ、というお話でした。

2014/09/24

先日、東京芸術劇場にてシエナ・ウインドオーケストラの第38回定期演奏会が終了致しました。

このコラムを読んでいらっしゃる皆さんはおわかりかもしれませんが、シエナ・ウインドオーケストラは僕の演奏活動の中心となっている楽団の一つで、テレビ朝日「題名のない音楽会」で司会を務めていらっしゃる指揮者・佐渡裕さんが首席指揮者に就いている吹奏楽団です。

吹奏楽というのはコントラバスとハープ以外のほとんどが管打楽器で構成されており、クラシックのみならずポップスやジャズ、タンゴ、ミュージカルなどあらゆるジャンルの曲をレパートリーとする世界です。僕は音楽大学を卒業し、オーケストラの本場ドイツで生まれ留学経験を持った純・クラシックな人間ですから、他ジャンルの音楽を演奏する時はそれなりに準備が必要だったりします。演奏する曲だけではなく、そのジャンルの有名な曲をなんとなく耳に入れて雰囲気をつかむようにしていたりするのです。

さらに、吹奏楽のコントラバス奏者には一つ大きな問題が生じてきます。それは、「エレキベースとの関係」。

世の中には「コントラバスを弾ければエレキベースも弾けて当たり前」と感じている方が非常に多いのですが、これはとんでもない誤認識と言えるでしょう。世界中のオーケストラのコントラバス奏者にアンケートを取ったって、「エレキベースも人並みに弾ける」という回答は2~3割しか返ってこないと思いますし、逆にエレキベース専門に活動しているスタジオミュージシャンのほとんど、そしてジャズベーシストの多くは弓を扱う事に慣れておらず、彼らがモーツァルトやベートーヴェンを演奏する事は大変な困難を伴います。こういった事情から、どちらも弾きこなせる奏者は、かなりの少数派と言えます。アマチュアレベルで通用しても、プロの世界でどちらも高いレベルで両立するというのは容易ではありません。

さて、僕はといえば、このシエナ・ウインドオーケストラで演奏するようになるまで、いや、正確には最近までエレキベースに触ったこともありませんでした。はっきり言えば「興味もなかった」が正解かもしれません。ですから、楽譜に「エレキベース」と指定があった場合、コントラバスにピックアップマイクを装着してアンプを通すか、或いはエレキベース専門の奏者を別に手配してもらっていました。

そんなあるとき、ディズニーの曲を演奏した際に、コントラバスではどうしても演奏困難な箇所にぶち当たり、代役を依頼する時間も無かったので、仕方なく僕が9,800円程度の「エレキベース入門セット」を購入して練習し、何とか本番を乗り切った事がありました。本当に書いてある音をただ弾いただけの本番でしたが、この時改めて「コントラバスとエレキベースは全く違う」と痛感したものです。右手の指の感覚、アンプの調整、音量バランス、何もかもが未体験ゾーンでした。

ところが、これを機会に「エレキベースも弾いてもらえませんか」というご依頼が増えました。僕としては全く自信はありませんが、フリー奏者としてはこれでチャンスが増えるかもしれない、この経験がコントラバスにも還元されるかもしれないという理由で「書いてある音をただ弾くだけで良いなら」という条件付、さらに1度の演奏会に数曲限定でお請けするようになっていきました。1年もすると、今度は他の団体からもエレキベースで依頼が来るようになりました。

こうなってくると、どこかで歯止めを効かせないと、いつか大きなミスをすると思い始めていました。僕は基本的なノリがクラシックで、他のジャンルに関しては全く雰囲気だけを真似しているだけ。さらにはコード譜、タブ譜が読めないという、エレキベース奏者としては致命的な弱点があるのです。もちろんジャズやスタジオの専門用語もあまり知らず、スラップを始めとした高度な技術も持ち合わせていませんから、万が一指揮者にレベルの高い要求をされた場合に対応出来ない可能性がある事も、自分では分かっていました。特に、サックスの須川展也さんや作曲家の宮川彬良さんといった、いわゆるクラシック以外の分野への造詣が深い方々とお仕事をしたときには、「このままではいけない」という焦燥感に強くかられたものです。

かといって、コードの勉強や技術面の練習を始めてみると、今度は本職であるコントラバスの練習が足りないような気持ちになり、ここでも強い葛藤にさいなまれる日々がこの数年続きました。

そんななか、今回のシエナの定期演奏会のご依頼を頂きました。
指揮は前述の宮川彬良さん。

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大ヒット曲マツケンサンバ、或いはNHK Eテレ「夕方クインテット」への出演などでもその名を知られる作曲家で、これまた日本を代表するプロ吹奏楽団、大阪市音楽団のアーティスティック・ディレクターを務めていらっしゃいます。

誤解のないように述べておきますが、僕は宮川彬良さんの練習や音楽作りが大好きです。楽曲解説なんかは「音大でこんな授業を受けたかった!!」と悔やむほど勉強になりますし、「聴衆を楽しませる為に何をすべきか」という事を常に考えていらっしゃる姿勢、楽しい中にも厳しさを忘れない練習の進行など、尊敬するべきところが多い。だからこそ、僕は彬良さんと音楽をするにあたって、高い次元で応えたいと思っていましたし、自信のないエレキベースは担当するべきではないという考えを持つようになっていました。さらに今回は新曲もあって、楽譜の完成が直前になるかもしれないとのこと。いくつかの理由から、最初僕は事務局に「高い次元で対応出来ない可能性がある、専門のエレキベース奏者を手配して欲しい」とお願いしました。

一度お断りしてちょっとホッとした数時間後、携帯の電源を入れたら事務局からの着信履歴。どうしたんだろうとかけ直すと「宮川さんが、あなたのベースが良いと仰ってる」と言われました。そう言われても、プロである以上いざ練習になって弾けないなんて言えないし、フリーで活動している以上、守ってくれるところはなく、責任は全部自分で背負わなければなりません。1日考え、やはりリスクが大きいとお断りしました。すると今度は数分後、再び電話がかかってきて「一度一緒にやって腕は分かっているから、今から君に電話して説得するって仰ってる。宮川さんと直接話しますか?」と言われ、観念せざるを得ない状況となりました。きっとお話したところで説得されてしまうだろう、と思ったのです。ただ、この時点で僕に拘る彬良さんの気持ちが全く分かりませんでしたし、その期待に応える自信も皆無でした。

それからの1週間、本当に重圧と緊張のなか過ごしました。新曲の練習をしたくてもオーケストラの演奏会に地方への出張レッスンに、ほとんど自分の練習時間が確保出来ず、仕方なく帰宅してから夜な夜なヘッドフォンを耳に練習を続けたのでした。

リハーサルは2日間。その初日の最初の時間に、新曲をやる事になりました。大変な緊張感のなか何とか弾き終わり、自分でもどうだったのかよく分からないまま休憩時間も練習をしていると、彬良さんが近づいてきて「やっぱり君で良かったね」と仰って下さいました。そこで僕は意を決し、やるやらないの騒動をお詫びしたうえで「何で僕なんですか、僕で本当に大丈夫なんですか」とお尋ねしました。すると返ってきた言葉は

「小手先の技術じゃない、あなたの音楽は居心地が良いんだよ。自信持って大丈夫だから」

というものでした。非常に抽象的な表現ではありましたが、何だか感動して震えました。音楽を支えるべきベース奏者にとって「居心地が良い」は最高の褒め言葉だと思います。同時に、「技術じゃなく音楽そのものを受け止めてくれていたんだ」という発見も、僕の大きな喜びでした。

2日間のリハーサルそして演奏会本番を終え、改めて最後に楽屋にご挨拶に伺うと「お疲れ様!良かったよ、やはりあなたの音楽は楽団を包む器がある。僕は以前にご一緒してあなたの音楽を分かっていたから、最初から信頼していたよ。これからもっと違うジャンルの勉強もしてごらん、きっと良い事があるから」と仰って頂きました。

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まだ自分で欠点や弱点も分かっていますし、音楽は生涯勉強だと母からも言われていますし、こうして信頼して下さった方からの助言は大切にしたいと考えているので、ちょっとこれからしばらくは、クラシックバカから「音楽バカ」になっても良いのかなあと思った数日間でした。

またさらなる成長を目指して、頑張ろうと思います。

2014/08/20

昨晩の公演で、佐渡裕×シエナ・ウインドオーケストラのツアーが一旦終了致しました。

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「一旦」というのは、この後も同じプログラムで富士山河口湖音楽祭や東京でのテレビ収録が残っているからなんですが、ツアーとしては昨日で一区切り。この先ソリストが変わるので、チェロの宮田大君も昨日が最後でした。宮田君、昨晩の越谷公演はまさに「集大成」とも云える鬼気迫る雰囲気で、最後は涙を流しながらの演奏でした。「ツアーが終わると思うと寂しくて」というのが理由だそうですが、その感情が我々にも伝わってきて、なんだかこちらも泣きそうになってしまいました。いや、実際泣いている奏者も何人か居ました。デ=メイ作曲のチェロ協奏曲「カサノヴァ」、本当に名曲です。

さて、今回のツアーは名古屋→鈴鹿→清水→長岡→水戸→越谷と移動日・休息日無しの6日間連続弾丸ツアー。佐渡さんは練習でも手を抜きませんし、本番になると演奏者の持つ力を100%以上引き出す方で、シエナと佐渡さんの演奏会は毎回「熱狂」という表現がぴったり当てはまるコンサートになります。連日キャリーケースと楽器を持って(僕は楽器を団のトラックに乗せてもらえますが)移動し、毎晩ハイテンションで演奏会をこなすので、それだけ演奏者にはかなり過酷な環境ではありますが、それでも頑張れるのはやはりお客さんのおかげと言えます。このツアーも6日間全公演完売、満員御礼。終演後の拍手を全身に浴びると「ああ、また明日も頑張ろう」と感じられるのが演奏者の活力の源だと改めて気付かされるのが佐渡×シエナツアーなんです。

シエナの8割~9割の公演に出演している事もあって、僕はよくシエナの団員さんと間違われるんですが、僕はただの客演奏者(エキストラ)です。「もう団員みたいなもんだよ」とメンバーからも言って頂く事も多く、もちろん心情的には嬉しいのですが、団と何の契約も交わしていない以上、この言葉は僕の立場に全く何の効果ももたらしません。ですから、いつ呼ばれなくなっても、誰かに取って代わられてもおかしくない立場な訳です。そんな自分の立場をわきまえ、僕はどんなオーケストラでも、全ての本番を「この団体での最後の演奏会」と位置付けて、自分に悔いが残らないよう徹底的に準備をして緊張感を保ち演奏会に臨むよう心がけています。幸い、シエナに関しては参加させて頂くようになって既に8年目になりますから、多少は「積み上げた信頼」があるのかな、とも思いますが、むしろ、それまで築いたものが崩れ去らないよう強く心がけています。

シエナに出演するようになって最初の1、2年はかなり遠慮して様子を見ていた部分もありますが、3年目くらいからは「音楽的にプラスになる」と思えば意見も発するようにしましたし、自分が不安なところはどんどん質問をするようにもしています。こうして話し合いによって音楽を構築していこうとすると「話し合うなんてアマチュアっぽい、音で通じ合えばいいんだよ」と批判する方もいるのですが、これは「以心伝心」の気持ちを重んじる、実に日本人的発想だと思います。プロだからこそ、ベストの演奏を提供するために奏者同士の意思疎通は欠かせませんし、音だけで通じ合えない部分は言葉をもって解決するべきだと僕は思っています。

そして、最近僕がシエナなど吹奏楽の団体で心がけているのが「視覚的にリードする」ということ。

吹奏楽において、コントラバスは手の動きでテンポや音の変わり目、入るタイミングを周囲に伝えられる数少ない楽器のひとつです。コンサートマスターはサックスやクラリネットの奏者が務める事が多いのですが、やはり管楽器は見た目で音の入り、変わり目が予測し辛いんです。ですから、僕は「ちょっとテンポが前に行き過ぎだな」と思ったら弓を多めに使ったり頭、身体を大きく振ったり動かしたりして周囲に警鐘を鳴らします。コントラバスもそんなに楽器を振り回さず演奏するのが理想だとは思いますが、身体の軸がブレなければそれほど音に影響はありません。それに、オーケストラではかなり自制していますが、僕は曲に入り込むと動きが大きくなってしまう性質でもあります。

どうしても吹奏楽のコントラバスというと「目立たない、聞こえない」という先入観があるからでしょうか、最初は全く存在を認めてもらえない感覚がありましたが、最近はだいぶ見てくれるメンバーが増えてきました。普段から積極的にコミュニケーションを取るように心掛けていることも、多少は関係あるかもしれません。そう考えると、やはりエキストラでも、単発で呼ばれるよりは定期的に呼ばれる方が音楽的にもやり易い環境を築く事に繋がりますね。

特にコントラバスとティンパニは同じタイミングで演奏する場面が多く、その一発で曲の雰囲気を決めてしまうこともありますから、僕は常にティンパニとの関係性は重要だと思っていますし、常にティンパニを意識して演奏するようにしています。海外のオーケストラではコントラバスとティンパニの関係性は常識として浸透しているところが多いように感じます。今回ゲストで参加されているティンパニ奏者の方は、先方から「大変タイミングが分かり易いよ、ピチカートも良く聞こえてくるし、素晴らしい」と仰ってくれました。これはコントラバス奏者にとってはこれ以上ない賛辞の言葉だと言えますし、普段から意識していた事をちゃんと気付いてくれていると分かると、演奏会本番でも安心感、遣り甲斐が増すというものです。

また、吹奏楽でコントラバスが苦労するのが音程。管楽器は口で息を吹き込みますから、疲労してくると口が締まって音程が高くなりがちです。これはプロの楽団でも同じこと。オーケストラでは弦楽器が多いので、管楽器奏者は弦のピッチを聴きながら修正可能ですが、吹奏楽ではコントラバス、ティンパニ、ピアノ、ハープなどハッキリ音程を聞きとれる基準となる楽器が少ないので、管楽器同士の相乗効果によりどんどん音程が高くなっていきます。ですから僕は「音程が上がってきたな」と感じると、コントラバスが裸になる(目立つ)場所であえて音程を低めに取ったりして、周囲に警鐘を鳴らす事を意識的に行っています。よく「コントラバスは弾いていると弦が緩んで音程が下がる」と言われますが、ちゃんと管理して日常からこまめに調弦をしていれば、そんなに下がるものではありません。中学・高校吹奏楽部によくあるような管理状態の楽器だと確かにピッチが変わり易い事は多々ありますが・・・・。

この音程に関しては相当悩んだ時期もありましたが、あるとき佐渡さんに「本番はお客さんもいるし、音程がズレて聞こえるより、こちらが管楽器に寄った方が良いですか」と質問したら「いや、その音程は基準の音程であるべきなんだから、高い方に寄るのは違う」という返答を頂き、気持ちが楽になりました。それでもやはり本番では合わせに行ってしまう事はありますね。
まあ、そんなこんなでいろいろと苦労はありましたが、シンフォニア・タプカーラも、シンフォニア・ノビリッシマも、そしてカサノヴァも、中身が濃くて楽しい曲ばかりでした。もう一度富士山河口湖音楽祭では同じプログラムを演奏しますし、気合いを入れ直して楽しんできたいと思います。

2009/02/14

初夏を思わせる暑さのなか、東京駅から新幹線で沼津へ。

実は昨夜から今回の依頼書が見当たらず、衣装が分からなくなってしまいました。「きっと燕尾服だろう」と謎の確信を持って(こういう時が一番危ない)燕尾服をキャリーに詰め込んだのですが、ちょっと不安になり家を出る際、メールで知り合いに確認。返事が来たのは池袋駅に着いた時でした。

「黒タキシードって書いてありますよ」

やっちゃいました。

時既に遅し。
三島の友人に借りる事も考えましたが、彼からの返信は「俺いま那須」。まあシャツとズボン、靴はそのまま使えるし、黒の蝶ネクタイとジャケットはあれば今後も使えるだろうと思い、現地調達を決心して新幹線に乗り込んだのでした。

幸い、強風による遅延なども考慮して一時間ほど早めに家を出たので、衣装調達の時間はありました。新幹線も急遽ひかりで小田原まで出て、そこから東海道線を熱海で乗換えて沼津と、その時間で考え得る最速の移動手段を選択。
 
さらに携帯で探したら、ありました庶民の味方ドンキホーテ沼津店。駅からタクシーで直行、ところが蝶ネクタイはあったものの、都内のドンキホーテに比べて服が少ない!黒スーツは上下薄いラメが入り微妙にグレーがかったものしか無い。無いよりマシと購入しましたが、ズボンが微妙に長い。洋服のお直し店で「明日の昼までなんて無理」とあっさり断られてしまい、夜ホテルに戻りアイロンを借りて自ら裾直しするハメになり散々でした。
 
それにしても、気温26℃という異常な暑さのなか走り回ってクタクタです……

さて、ゲネプロは17時から明日の本番会場沼津市民センターにて。

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明日のチケットを購入した方の中から先着300名に公開されたのですが、聴衆のほとんどは中高生。さすがブラバンの星シエナってところですね。

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今日はレッドラインタンゴにロデオ、祝典序曲と風紋のみ。
よく響くホールとあって、聖響さんはしきりに低音を抑えるよう指示されていました。ベルリンフィルかぶれとしてはこんなホールでこそブリブリ弾きたいんですけどね 笑

リハーサルの最後に聖響さんから「じゃ~今夜は飲み過ぎないように!風邪ひかないように!」と話がありましたが、低音セクションで「軽く一杯」という話になり、ホテルの人に薦められた居酒屋へ入ったら、その聖響さんやコンサートマスターの新井さんもいらっしゃってビックリ。

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結局我々低音隊は一足先に失礼し、ラーメンを食べてホテルへ戻ったのでした。

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このラーメン、「一代元」というお店なんですが、「酸っぱ辛い」スープが何とも癖になります。

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ホテルに戻る途中、こんなお店が。
地方に行くとたまにこんな発見がありますよね。
 
 
で、部屋に戻ったは良いのですが、どうも隣りの部屋はどこかのセクションの部屋呑み会場のようで、ガハハガハハと笑い声が聞こえてきます。
 
 
早く寝たいな……
 
 

2009/02/13

シエナのリハーサル二日目。

正午からのリハーサルという事でゆっくり食事をしてから外出。それにしても2駅の為に電車2本乗り継ぐのは何とも不経済な気がします。かといって歩いて迷ってリハーサル遅刻したら洒落にならないし。

今日のリハーサルは「祝典序曲」以外の作品を取り上げ、約2時間で終了。
聖響さんは自らの音楽を押し付けるのではなく、基本的にはオーケストラの音楽を大切にし、ポイントだけをしっかりまとめるので、リハーサルに無駄がありません。

個人的に昨日苦しんだ「レッドライン・タンゴ」も、今日はリハーサル前にスコアを見せて貰い多少余裕が生まれ、やっと他のパートを把握する事が出来ました。

この曲、昨日弾きながら「変拍子でも簡単な方なのに何故弾きにくいんだろう」と思っていたら、今日原因を把握出来ました。おかしな休符が多いのです。
他の楽器は変拍子をずっと音が埋めているからさほど迷わないのですが、コントラバスはその一部しか弾かないから、僅かな休みの間に分からなくなってしまう。そう理解して、リハーサル前に頭に叩き込んだ他のパートを歌いながら(もちろん声には出してないですよ…)弾いてみたら何てことはありませんでした。これなら本番も無事にこなせそうです。
 
 
しかし!
 
 
この「レッドライン・タンゴ」、バルトーク・ピチカート(弦を目一杯引き絞って「バチーン!と指板に当てる奏法)が多すぎる!

この1年シエナや佼成といった吹奏楽の仕事で指を鍛え、やっと皮が剥けなくなったところなのに、今回のバルトーク・ピチカートの乱打で再び血豆が出来ました。この奏法は楽器にも傷がついて痛むし、出来る事なら作曲家の皆さんには書くのを控えて貰いたいもんです。打楽器で同じような音出せないんですかねえ。
 
 
ま、いろいろありましたがとりあえず明日は沼津へ移動、公開ゲネプロです。
 
  

2009/02/12

蕨市民会館にてシエナのリハーサルでした。

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蕨駅といえば我が家から武蔵野線と京浜東北線を乗り継いで2駅。
地図上で見たら5km、一瞬歩こうかと思いましたが楽器も運ばなければならないので電車を選択、結局45分くらいかかりました。バイクなら10分で着く距離ですね。

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蕨市民会館はよくある地方の市民会館という趣で、なかなか良い味を醸し出しています。

今回は15日に沼津で開催される「第2回ブラスの祭典-NUMAZU音楽祭-」というイベントで演奏するもので、プログラムは「キューバ序曲」や「ロデオ」など昨年末のツアーでやった演目に加え、ショスタコーヴィチ「祝典序曲」や「レッドライン・タンゴ」、「風紋」など曲目多数。

この中でも個人的にちょっと心配だったのが「レッドライン・タンゴ」でした。

シエナの皆さんは昨年本番をやっていますが私は全く初めてで聴いた事もなく、新しい作品なので音源は見当たらず譜面は何やら音符で埋められて変拍子がそこらに見える。楽譜を見た瞬間「やってみなきゃ分からないな」と、多少細かい部分を確認しただけで今日のリハーサルに臨みました。

いざやってみると何となく付いていけるものの、細かい部分は消化しきれずじまい。練習はあと2日間ありますから、本番までには曲の理解度を深めたいと思います。

リハーサルは聖響氏の提案により11時開始でランチを抜いて14時には終了。明日も12時からと開始が遅くなったので朝はゆっくり出来るかな。
 
 
 

2009/02/04

初台の新国立劇場リハーサル室にて東京交響楽団のリハーサルでした。

新国立劇場に行くのはかなり久しぶり。
「確か結構入り組んだ構造だったはず」という記憶があった為迷わないように早めに向かいましたが、身体は何となく覚えているもので、意外と迷う事なく楽屋口を通過しリハーサル室へ。

今日のリハーサルは18時からでしたが、本日東京交響楽団はオペラの練習とダブル。到着した17時前はまさにオペラのリハーサルが終わったところでした。どちらも出番の楽員さんはかなりキツかったでしょうね・・・

今日のリハーサルはブルッフのヴァイオリン協奏曲から。
降り番かな?と思っていたらコントラバスは5人、私はギリギリ3プルトで1人寂しく演奏する通称「ハミプル」(ハミ出したプルトの意)での乗り番となりました。

協奏曲のソリストであるソネンバーグさんはちょっと「情熱の女流ピアニスト」アルゲリッチのような外見、雰囲気を持った女性。イタリア・ローマの生まれで、ジュリアード音楽院ではあのドロシー・ディレイ女史に師事したそうで、何と自らのレーベル「NSS」という会社も起ち上げている行動派だそうです。

彼女の演奏はダイナミックスの幅を大きく取り、ppでは掠れんばかりの弱音が緊張感を誘い、クライマックスではこれでもかと歌い上げ独特の個性的な世界を構築しています。大きくテンポが揺れるので伴奏にはかなり神経を使いますが、聴衆受けしそうなソリストですね。

その後序曲、そして交響曲と進み練習は21時にピッタリ終了。
それにしてもブラームスの交響曲は、手を抜こうとしても気付くと目一杯弾いてしまう魔力を持っています。ゲネプロは意識して脱力しないと、本番前に燃え尽きてしまうかもしれません。

その本番は7日新宿オペラシティ、8日ミューザ川崎です。

  
  

2009/02/04

お昼からミューザ川崎にて東京交響楽団のリハーサルでした。
昨晩友人たちと呑み過ぎてしまい、多少頭痛に襲われながらホールへ。

今回のプログラムは前半がドヴォルザークの序曲「謝肉祭」にナージャ・サレルノ・ソネンバーグさんをソリストに迎えるブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番、メインがブラームスの交響曲第1番、指揮は秋山和慶氏で7日東京オペラシティ、8日ミューザ川崎で本番です。

このメインのブラームスは私が大好きな作曲家。
4つの交響曲どれも好きなんですが、1番は冒頭から一気にその世界に引き込まれます。随所に感じられるブラームス独特の気持ち良い緊張感がたまりません。

そういえばベルリン留学中、ベルリンフィルの音で聴くブラームスに魅了され、アッバードやバレンボイムの指揮など幾つか演奏会に通いましたが、中でも素晴らしかったのはアーノンクールの指揮による一夜。粘着質になりがちなブラームスを比較的淡泊に、しかし劇的に表現した演奏とコントラバスセクションの熱演に感動、思わず翌日も演奏会に足を運んでしまったものでした。

ちなみにこの演奏会、私が一時帰国した時にたまたまテレビで放送され、今でもDVDに記録して保存してあります。実は今回もその映像でテンションを上げてからリハーサルに向かったのでした。

ドヴォルザークの序曲「謝肉祭」は音大最後のオーケストラ定期演奏会で初めて演奏した曲ですが、これまた序曲ながら聴き応え・弾き応え満点で、躍動感溢れる冒頭とロマンティックな中間部が魅力的な一曲。

今日はヴァイオリン協奏曲の練習は無く、このブラームスとドヴォルザークのみ。
最初の2時間は公開リハーサルで残り1時間は非公開、3時間の密度の濃い練習となりました。

明日はブルッフのヴァイオリン協奏曲から、これまた好きな曲の一つなので楽しみです。

 
  

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