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2007/11/08

3度目の大手術を受けた下地さん。しかし、3回目となるこの時は、過去にないほどリハビリに苦労することになります。症状が胴体の下部まで及んでいたので、歩けなくなる可能性があったからです。

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後援会員(以下、後):体調が落ち着いてくるとリハビリですね。
下地(以下、下):目が覚めたのが12月の19日で、22日からリハビリが始まりましたね。リハビリの先生が来てくれたんですけど、最初は、「こんなの意味ないですよ」なんて思ってたんですよね。ところが腕を数回動かすことすら出来ない。自分でも「え?」と思いましたね。足のリハビリもやりたかったんですけど、先生には「まだ早いから」って言われて。実際には自分で動かせるのは足首だけだったんで、ずっと自分で動かしてましたね。
後:その頃は何をするのも大変だったでしょうね。
下:足のむくみが凄かったですね。太股とふくらはぎが同じくらいの太さになっていて、それが痛むので夜になっても眠れないんですよ。そしたら二人の男性看護士の方が毎日、足のマッサージしてくれて。3時間とかやってくれるんですよね。その看護士さん達にも約束したんですよ。「絶対に歩いて退院するから、お願いします」って。毎日のようにマッサージやストレッチしてくれましたね。
後:リハビリは順調でしたか?
下:フラストレーションが溜まりまくりですね。リハビリ2日目でまずは「ベッドから起きて座りましょう」って事になったのですが、起きられないんですよ。腹筋がなくなってるから。以前は腹筋を連続600回とかやったんですよ。で、体を起こしただけでめまいがしてきて、白目をむいて吐いちゃったんですよ。もう呆然として、「自分はもう終わった」と思いました。
後:リハビリの先生にもお世話になったそうですね。
下:はい、この先生じゃなければ僕は2度と歩けなかったかもしれませんね。リハビリは本来1日1回なんですが、この先生は1日2回、僕のリハビリに付き合ってくれたんですよね。
後:寝たきりの状態からのリハビリの大変さは「リアル」(※1)でも描かれていますが、本当に大変なんですね・・・。
下:3日目も起きあがったんですが、5分もすると気持ち悪くなってきて。一度横になってからまた起きあがって。そこで僕が「立ってみたいです」と言うと、先生にこう言われたんですよ。「下地さん、申し訳ないけどこれだけは言っておくよ。あなたは歩けるかどうかも分からないし、もう立てないかもしれないんだ」って。「なんスかそれ?」って思いましたね。「僕は立つし、歩くんですけど」って思って、「とりあえず立たせてください」って言いました。
後:ところが実際に立ってみると・・・。
下:感覚がないんですよ。裸足で床に立っているのに、冷たい感覚がない。自分で足を触ってみると、冷たいんですね。「もうダメだ・・・」って思って、午後からのリハビリの予定も自分で断りました。リハビリなんて意味ないんで、「もういいです」って。翌日、4日目のリハビリの時に僕が先生にこう言ったんですよ。「もうリハビリなんて意味がないからやめます」って。僕自身、相当イライラしていたんですよね。そしたら先生に初めて怒られましたね。「下地さん、何を言ってるんですか!苦しいのは自分だけだと思ってるんですか?苦しんでいるのはあんただけじゃないんですよ!」って。それで目が覚めましたね。ちょうどその時ですね、みなさんに折ってもらった万羽鶴とメッセージが届いたのは。それを見たらもう大泣きしましたね。主治医の先生も「下地さん、これだけ心配してくれる人がいるじゃないか」って言ってくれて。でも、主治医の先生は分かっていたんですよ。もう僕の足が動かないって。でも僕は絶対に歩くつもりだったんですよ。だから、万羽鶴の数が1万8000羽と聞いたので、毎日足首を1万8000回動かしましたよ。これが良かったみたいなんですよね。「動かそう」という意識が、神経に刺激を与えたみたいで。毎日、動かないなりに「動け!動け!動け!」ってやってました。これが結構苦痛なんですよ。苦痛というか、泣きたくなるんですよね。ほとんど動かないのに、こんなの意味あるんだろうかって。それでも毎日続けましたね。汗だくになって看護婦さんに怒られたりしながら(笑)。
後:そして、やっと集中治療室を出ることが出来たんですね。
下:一般病棟に行くのは不安だったんですよ。集中治療室みたいに看護婦さんとかが付きっきりじゃないんで。でも、ここでも皆さんによくしてもらって。担当の看護婦さんがいたんですけど、毎日のように同じ質問をしてましたね。「僕、大丈夫ですよね?」、「下地さんなら絶対に大丈夫だって!」って、これを毎日のように繰り返して(笑)。
後:立つことは出来たんですか?
下:5日目からですね、先生に「1日1回立たせてください」ってお願いして。「僕は必ずこれを治して、同じ症状の人に勇気を与えたいんです」って言ったら、先生も分かってくれて、リハビリに付き合ってくれましたね。その日の朝ですね、立ってみたら足の感覚があるんですよ。床が冷たいって感じる。先生に言ったら驚くんですよね。「ホントか?」、「ホントです、冷たいって感じます!」って言ったら看護婦さん達がみんな拍手してくれて。先生に「明日から歩く練習をしましょう!」って言ったら、「いや、それはさすがにまだ無理」って(笑)。
後:そりゃそうですね(笑)。
下:10日も経つと3分くらい立てるようになったんですよ。物に捕まってフラフラしながらですけどね。次は歩きたいんですけど、足が前に出ないんですよ。でも、横には動かせる。先生に、「先生、僕歩いてますよ!」って言うと、先生も驚いていて。「じゃあこれを左右5回ずつ、10回やってみよう」ということで「イチ、ニ、・・・」ってやってみたんですけど、これが疲れるんですよ。これだけで息が切れるくらいですね。
後:10日で歩けるようになったんですね・・・。
下:ところがこれが結構負担だったみたいで、次の日は高熱を出して寝込んだんですよ。僕は「なんで?」ってかなりへこんだんですけど、これが逆にいい休養になったみたいなんですよ。そこから回復のペースが上がりましたね。10分くらい立てるようになったし。お正月はリハビリも3日間お休みだったんですけど、自分でいろいろ動かしたりして。リハビリの先生も宿題を出してくれたので、それを頑張ったりしてましたね。

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※1 ・・・ 「リアル」、井上雄彦の描く車いすバスケット漫画。障害者を取り巻く厳しい環境や、リハビリの過酷さなどが克明に描かれている。


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目が覚めたのが11月ですか???

Posted at 2007.11.9 3:29:22 by take

訂正しました。

Posted at 2007.11.9 7:22:26 by 後援会員
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