2008.12.28
Old man taking 005
2008年最後となる更新は、残念ながらネガティブな話題です。
・SEIBUプリンスラビッツ(アイスホッケー・アジアリーグ所属、創部1972年、今季限りで廃部、売却先を交渉中)
・オンワードオークス(アメフト・Xリーグ所属、創部1980年、チーム解散)
・TASAKIペルーレFC(サッカー女子なでしこリーグ所属、創部1976年、今季で休部、リーグ退会)
・・・はい、ご存じの通り、企業スポーツの衰退が止まらないという話です。「100年に1度」と言われる大不況に巻き込まれつつある日本の企業活動に於いては、億単位の支出があるとも言われるスポーツ活動への意義が改めて問われています。
そう、「改めて」というのは、以前にも似たような状況が日本にはあったからですね。バブル経済崩壊後のいわゆる「失われた10年」とその前後の時期に、日本では多くの企業チームが廃部、休部、活動停止といった憂き目を見ることになりました。
具体的な数字としては、1993年から2002年までの間に活動を停止または廃部、休部したスポーツチームは251もあります(スポーツデザイン研究所の調査による)。社会人野球、バレーボール、陸上競技、ラグビー、ハンドボール、スキー、卓球、etc・・・。競技を問わず数多くのチームが姿を消していきました。この時期を前後すると300以上のチームが休部したという数字もありました。
バスケットの世界にもその影響は大きく及び、簡単にピックアップしただけでも下記のチームが思い浮かびます。
・いすゞ自動車ギガキャッツ(2002年廃部)
・ボッシュブルーウインズ(2002年休部)
・大和証券ホットブリザーズ(2000年休部)
・三井生命ファルコンズ(1999年休部)
・NKKシーホース(1999年休部)
・ジャパンエナジーグリフィンズ(1998年休部)
・住友金属スパークス(1998年休部)
・熊谷組ブルーインズ(1994年休部)
いずれも日本のバスケットシーンを様々な場面でリードしていたチームです。これらのチームは、もう記憶の中にしか存在しません。
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ところで私は日本海側の新潟という地方都市に住んでいますので、これらの動きを直接的に感じる場面はあまりありませんでした。地元新潟でアルビレックスというチームが動き始めてから、初めて身近に考えるようになったかもしれません。
※今思えば、2002年の日本リーグファイナルが新潟で開催された時(アルビ対OSG)、いすゞギガキャッツの存続を願う署名運動をやっていた人達がいた記憶がありますが・・・。
そこで、まずは当時の月刊バスケットボールを読み返す事にしてみました。見つけたのは、94年の熊谷組、そして98年の住友金属、ジャパンエナジーがそれぞれ休部した時です。
まずは熊谷組。当時のメンバーには日本人初のプロバスケ選手である外山英明、現アルビBB監督の廣瀬昌也、新潟出身の祐木毅、他にも後藤敏博、渡辺信宏、加賀谷寿らが在籍。あ、UNLV出身のモーゼス・スカーリという外国人選手がいましたが、彼は後々の帰国後に刑務所入りしたとかなんとか・・・。なお、コーチはこれまた新潟出身の倉石平でした。当時の日本リーグでも人気のチームだけだっただけにこのニュースは注目され、カラーを含む10ページ近くを割いた特集となっていますが、「なぜ休部しなければいけないのか」という点にはほとんど触れられていません。
これは98年の住友金属、ジャパンエナジー休部の記事においても同様で、チームを惜しむ声、そして選手達の涙のコメントが中心となっています。しかし、記事の扱いは白黒で各2ページと大幅に小さくなっています。
ちなみに住友金属にはこの年の新人王である庄司和広(現bj埼玉)、往年の名シューター池内泰明(現拓殖大学監督)、佐藤信長(現能代工業監督)、浦上幸二郎(現アルビBBアドバイザリーコーチ)、新潟出身の本間弘明らが在籍し、またジャパンエナジーには新潟出身の村越直幸、長谷川誠と一時代を築いた天野佳彦、石橋貴俊(現bj富山ヘッドコーチ)らが在籍していました。外国人選手には、後に新潟と契約しながら怪我で結局チーム入り出来なかったダナ・ジョーンズの名前も。
上記の記事に於いてもまだ「企業スポーツへの危機感」というものがほとんど感じられません。それが感じられるようになったのは、やはり2002年のいすゞギガキャッツの廃部以降のような気がします。佐古、南山、高橋マイケルといった人気選手を揃えたリーグの顔とも言えるチームがあっけなく消滅してしまったのですから。
ちなみに、現在のJBLは8チームですが、1967年に第1回日本リーグが開幕した時もやはり8チームでした。そして、1988年から1999年までは2つのディビジョンがあり(クーガーとタイガー)、12チームが争っていたという事を覚えている人はどれだけいるでしょうか?そのうち現在でも存続しているのはパナソニック、東芝、トヨタ、三菱電器、日立、アイシンの6チームだけです。
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私はここで改めて「現代に於ける企業スポーツとは・・・」と考察するつもりはありません。それは既に語り尽くされている事であるからです。
曰く、「地域に於けるクラブ活動が活発だった欧米と違い、スポーツの受け皿となる環境のなかった日本では企業チームがその役割を大きく果たしながら発展していった」こと。そして、「企業の発展に伴ってマスメディアに注目され、それが広告宣伝活動、更に社員の士気高揚、企業連帯感の醸成を目的としてより多くの期待を集め、企業もより積極的に企業スポーツという物を意識するようになった」ことなど。現在に於いてはこれらに加えてCSR活動(企業の社会的責任)として注目されているのはみなさんご存じの事かと思います。
個人的には「企業スポーツは過去の遺物である」と決めつけるつもりはありません。その発祥が1920年代、つまり100年近くその形態がこの日本で存続しているのは、それだけの理由があると考えるからです。
例えば日本を代表する企業であるトヨタ自動車。JBLにもアルバルクという男子バスケチームがありますが、実はトヨタには30以上の運動部があります。それらは「重点強化部」、「強化部」、「一般部」の3つに分かれ、バスケは4つしかない重点強化部の一つです(ちなみに女子は強化部。なお、本文中トヨタに関する資料はいずれも2007年時のもの)。
伝統的に運動部に「社員の一体感醸成、従属意識の高揚だけでなく人材育成の場」としての役割を求めるトヨタにおいては、従業員の「応援の促進」と「選手との接点増加」という取り組みを続けています。
例えば、社員の試合観戦を無料にするだけでなく、社員が観戦するための無料バスの配車や試合会場での応援の工夫、その他のPR活動を行っています。また、スポーツ部員と従業員との接点を増やす努力をしており、選手達は社内の各種イベントに参加するだけでなく、例えば男子バスケ部では嘱託社員だけでなく一般社員として採用することにより、従業員との接点を増やす努力をしています。これは、特に男子バスケ部は選手の大半が嘱託社員で占められているからで、強化部である女子部に於いては、選手の1/3を社員選手とする編成としています。同様に、運動部の応援に駆けつけるチアリーダーも一般社員から編成することで、従業員との接点を増やす努力をしています。
これらの結果として、2005年にトヨタ社内で実施されたアンケート調査によれば、「企業スポーツが従業員の労働意欲に影響を与えるか?」という項目に対して、「チームが勝利すると意欲が高まる」という結果が出ています。企業スポーツが労働意欲を高める、つまり人事労務管理施策として、一定の効果があることがこの調査からも分かっています。
何より、日本トップリーグ連携機構の副会長でもある張富士夫氏(トヨタ自動車株式会社会長)がこのように言及しているのですから、企業価値を高める意味としての企業スポーツもまだ十分な価値があると認めているという事でしょう。
「CSR活動という役割としての企業スポーツでは株主、投資家を納得させるのが難しくなってきているが、職場のチームワークによって最高の品質を確保する我々にとって運動部員は我々の代表であり、企業スポーツは他に変えがたい労務施策である 。」(2005年のトップリーグセミナーより要約)
しかし、そのトヨタでさえ創業以来の赤字に転落するのが今回の大不況です。
J.L.lucasとR.A.Smithの言葉を借りるならば、「スポーツは刻々と変転する社会を映し出す鏡」という事になります。世界経済は我々の想像を超えたスピードで変化・・・この場合は悪化ですが、誰もが経験したことのない局面へ進もうとしています。
それは間違いなく、スポーツ界にも影を落とすことになるでしょう。そう遠くない未来に。
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ここまで読んで「あれ?」と思っていただけると幸いです。なぜなら、これらは全て企業側の論理だから。その是非ではなく、立場として違うのです。企業のスポーツと、我々が一般に言うスポーツでは。
しかしこの財布の口が固いご時世ですから、「スポーツの世界では云々・・・」というのはあまり意味が無いような気がします。結局は余暇の一つであり、エンターテイメントの一つである事には変わりはないから。
私自身もバスケに限らずいろいろ見に行ったりします。大相撲の新潟巡業は2年連続で。全日本のラグビーも見に行きましたし、バドミントンの日本リーグも初めて観戦しました。スエマエを見たかったんですが、予想以上にみなさん「男前」で驚いたり(笑)。マジック革命セロなんてのも行きましたが、以前見たカッパーフィールドより面白かったかな。あ、バイオリンの葉加瀬太郎は良かったです。感動しました。「この楽しい時間が終わって欲しくない」と思ったのは久しぶりでした。
彼の演奏を聞いて、「心から楽しんでもらおう」という思いは伝わるものだと感じました。本当に心動かす物であるならば、本当に人に伝わる何かがあるのであれば、これから続くであろう長い淘汰の時代でさえも力強く生き抜くことと思います。
願うならば、私の好きなバスケットもそうであって欲しいと思います。
























