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2009/06/19

今、輝いている女性に会いたい、お話を聞きたい――そんな思いからJunkStage女子スタッフが各界をリードする女性にインタビューをする企画が始まりました。
記念すべき第一回目のゲストは和楽器界の若き第一人者、吉永真奈さん
5歳より日本の伝統楽器である「箏(こと)」を習い始め、2004年には和楽器ユニット「Rin’ 」(注1)としてavaxよりメジャーデビュー。伝統的な音階に歌を載せたスタイルで活動し、日本にとどまらず全米デビューも果たしている実力派です。
現在は待望のソロ活動に専念している吉永さんに、箏についての思いや仕事とオフ両立の秘訣についてお話を伺ってまいりました。

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▲穏やかな表情でお話をしてくださる吉永さん。

■奏者・吉永真奈になるまで

――吉永さんは5歳から生田流箏曲を始められたそうですが、なぜ数ある楽器から箏を選ばれたのですか?

吉永:私の母が、幼いころから三味線や箏を習っていたんですね。それで小さかった頃は姉と一緒に母の稽古についていっていました。それで、あるときに今の師匠(注2)が「真奈ちゃんもやってみる?」って聞いたら、「うん」って言ったらしいんですよ。自分では全然覚えてないんですけど(笑) でもそれがきっかけで、自然と習うようになりました。家では三味線や筝の音がずっと聞こえているような環境でしたから。

――音楽の道を職業として選び取られたのは、16歳のとき。多くの人が大学卒業後に直面する問題に、吉永さんは早くからぶつかっていました。

吉永:私は小さい頃からなりたいものがいっぱいあって、実は高校までは「箏(こと)」の道に決めきれなかったんですね。奏者を職業として決めたのは高校1年で、大学進学を考えたときでした。私は元々すごい理系人間で、理系の強い高校に行って、理系の大学に行って、っていう道も考えていたんです。宇宙にすごい興味があったんですよ、だから宇宙科学研究者になりたい、とか思ってたりもして。天体関係にも興味があったし、筑波にある科学センターにも週末に家族と一緒に行ったりもしましたし。私の通っていた高校は高校1年で進路決定をするような進学校でしたから、希望大学別にクラスが完全に別れていて。その進路を決めるのにとても悩みました。あーどうしよう、ってたくさん考えて。理系に進んで研究者になるか、音楽家になるか、って。

――そんな時期に、吉永さんは高校のプログラムでオーストリアに短期留学をします。それは進路決定の直前のことでした。

吉永:留学中は日本と全然違う環境に刺激も受けましたし、いろんな方にも出会えましたから、すごく楽しかったですね。でも一番うれしかったのはその時のホストファミリーが私が箏(こと)をやっていることを知っていて、箏(こと)のある場所を探してくれたとき。「Mana、弾いて?」って言ってくれて、それで弾いたらホストファミリーが感動して泣いてくれたんです。私は小さい頃からお琴をやっていたこともあって、あんまり客観的な箏のよさだったり、箏のもつパワーっていうのは知らなかったんですけど、このことがあって、箏は日本の文化の代表として見せることもできるし、こういう風に日本を全く知らない人にも感動してもらえるし、楽しんでもらえる楽器なんだな、って初めて思いましたね。それがきっかけでこの道を選んだんです。留学から帰ってきたあとなんて、「箏持って世界を回りたい!」って言うようになってました(笑)。だから留学してなかったら、そうだなあ……科学者になってたかもしれないですね。

■音楽グループ「Rin’」での活動

――こうして進路を音楽の道に定めた吉永さんは、東京芸術大学に入学し音楽学部邦楽科生田流箏曲専攻を卒業。その後、「Rin’」という音楽ユニットを結成します。

吉永:芸大にいるときも、卒業後もそうだったんですけれど、日本の和楽器、特に伝統的な楽器ほどあまり格好よくないというか、古臭いという、私たち奏者にとってはマイナスなイメージが多かったんです。でも和楽器って魅力のある楽器だと思うんですね。だからそれをもっと多くの方に知ってほしくて、思い切ってJ-POPまで融合を図って、和楽器の新しい魅力を伝えていきたいな、と思ったのが「Rin’」の結成の理由です。

――「Rin’」にご参加されているメンバーはもともとそれぞれ和楽器の奏者ですが、ボーカルもメンバーが自ら担当しています。こうした楽器の奏者たちの多くが歌の入らないインストゥルメンタルで活動を行う中、ポップスで歌も展開されたということが特徴的でした。

吉永:やっぱり和楽器を使って新しい音楽を作る、たくさんの人に聞いてもらうというためには、ポップスにすることが必要で、そのためには歌が必要だろうと思ったんです。インストだけだとなかなか音楽チャートには上がれないし、やっぱりそれが出来る人はすごく少ない。私たちはもともと地歌と言って、日本の古典の歌はやっていたんですけど、ポップスに関しては素人でしたから、プロデューサーに最初「歌も歌ってみる?」と言われた時は自分たちで歌うなんて考えられなかったんですよ。「ええーっ!?」って(笑)。でもやっぱり多くの人に聞いてもらうためには歌が必要だろうって思いましたし、一番最初に作った曲(注3)にも最初から歌はありました。歌詞には日本に古くから伝わる美しい言葉がありますし、地歌にも素晴らしい表現の言葉はたくさんあって、それを伝えるためにも自分たちで歌うって選択をしたんです。だから歌詞には古典的な言葉をたくさん使っていると思いますし、それが「Rin’」の特徴だとも思いますね。

――アーティスト「Rin’」の名義ではシングル3枚、アルバムが6枚発表されています。それぞれに思い入れはあると思いますが……。

吉永:やっぱり一番思い出深いのはファーストアルバムの「時空」です。実はこのアルバムはデビューする前からこの詞はこうしよう、とか、ここをああしよう、とか、メンバー全員でひたすら話し合って作っていったものなんですね。だから思い入れもたくさんありますし、一番好きなアルバムです。だから「Rin’」のアルバムでどれがお薦め?って聞かれたら、もう迷わず「ファーストアルバムの『時空』がいいよ」って言ってますね(笑)。それぐらい、大事にしているアルバムです。

~後編(6月30日公開)に続く

* * *

注1)東京芸術大学を卒業した同期の女性和楽器演奏家であるMana(吉永真奈)・Tomoca(長須与佳)・Chie(新井智恵)の3名による音楽ユニット。箏、十七絃、琵琶、三絃、尺八といった日本の伝統楽器の音色に、様々なアレンジ、POPな音楽のメロディー要素を加え、新たな伝統音楽・文化を創造。ユニット名の由来は「凛(りん)とする」という意味のほか、英語の「Ring(輪)」と和楽の「和」をかけて、音楽を通じて「輪」を作っていきたい…という理由から。 2004年にavexから シングル「Sakitama~幸魂~」でデビュー、2006年にDomoレコードからアルバム「Inland Sea」で全米デビューを果たす。2009年2月13日に解散、現在はそれぞれにソロ活動を展開。

注2)安藤政輝。東京芸術大学教授。輝箏会・箏グループ輝(かがやき)主宰。日本で初めての音楽家による博士として、各界にて論文発表及び招待講演・演奏等を行う。

注3)「Smile on」。ファーストアルバム「時空」所収。

* * *

<吉永真奈 略歴>
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5歳の頃より生田流箏曲を安藤政輝氏に師事。その後地歌三味線も師事。
2001年 東京芸術大学音楽学部邦楽科生田流箏曲専攻卒業。
2004年 和楽器ユニット「Rin’ 」を結成しavex より「Mana」としてメジャーデビューをする。「ブルボンチーズおかき」のCFやアニメ「SAMURAI 7」のエンディングテーマとしてRin’の楽曲が抜擢。 アメリカでのデビューアルバム「Inland  sea」では、プロデューサーにJimmy Harry、 ゲストボーカルにLISA LOEB、Leigh Nashを迎え、LA・NYなどアメリカ各地でライブを行う。現在までアメリカにとどまらず、中国各地、中米や南米でも数々のライブ活動を行う。
そして本年自身のより深い音楽活動を始めるため待望のソロ活動をスタート。「吉永真奈」として、楽曲制作、レコーディング、ライブなど新たな音楽創造を始める。
それ以外にも生田流箏曲演奏家として、伝統邦楽の世界での演奏活動も行っている。 また、自身の門下生を持つなど生田流箏曲・地歌三味線の教授にも力を注いでいる。
オフィシャルウェブサイト:http://www.yoshinagamana.com/
吉永真奈ブログ「千代に八千代に・・・」:http://blog.goo.ne.jp/manayoshinaga1120/

2009/06/19 09:59 | momo, ・世界を変える女性たち | No Comments

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