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2009/06/20

今日は皆さんがあまりご存じない動物に対するトリビアな検査法を紹介しましょう。

 「ちょくちょうけんさ」と読みます。略して「ちょっけん」。

産業動物獣医師、つまり主に牛や馬を診療している世界では直腸検査は重要な診断手法です。これは、その名のとおり直腸を通して検査することですから、簡単に言えば肛門から手と腕をいれて、直腸壁を通して各種臓器を触診して診断することです。写真は、検査のときに着ける「直検手袋」です。昔はゴム製でいちいち洗っては再使用していましたが、今は当然使い捨てです。これを手腕にはめて指の先にゼリーなど滑りやすい素材をつけて、肛門から直腸に入れます。対象は牛や馬ですが、ときに豚もあります。犬や猫では指で行ないますが頻度は下がります。慎重に検査しませんと、直腸壁に傷をつけてすぐに出血しますから挿入や検査の際に注意が必要です。検査のときに動物がやや暴れることもありますが(まあ、当然の反応でしょう)、通常鎮静はかけません。主に骨盤腔の中を中心に触診して診断しますから、当然腕をかなり奥まで直腸内に挿入しますので、動物に暴れられるとつらいですが・・・

 直腸検査法は主に牛馬に対する腹腔臓器の異常・疾患に対しての診断法に用いられますが、そのほか子宮、卵巣、卵管、子宮頚などの異常や診断にも多用されます。現場の臨床獣医師は日に何度もこの検査を行ないます。

 特に繁殖(妊娠できない)の病気のときには必ず検査します。子宮、卵巣の状態を指の先の感覚で探るのです。形状、硬さ、全体の大きさなどを探ります。妊娠診断も直腸検査で行ないます。妊娠7週程度ですでに明瞭になってきた胎膜を触知することで診断します。

 内臓臓器でも、胃、腸、腎臓(左)、リンパ節、骨盤、血管などを探れます。これにより消化器病、泌尿器疾患、骨盤骨折などが診断できる。以前は、直検で外陰部動脈を探し当て、そこに直接動脈注射したなんてことも行いました。

 先輩からよく「ちょっけん」は両方の手でできるように訓練しなさいといわれました。これはどちらかが怪我しても対応できるという意味があります。特に利き腕でない方でできるようにした方がいいとされています。これは利き腕でない方で「ちょっけん」して、利き腕で所見をその場で書いてしまうことができるからです。それくらい頻度が高く一度に何頭も検査するのです。最後には腕がしびれるくらい・・・

 今はポータブルの超音波診断装置があり、野外で効率的に画像診断できるようになりましたが、手と指先で勝負する「ちょっけん」の重要性は変わらないのです。

 以上、ちょっけんの紹介でした。

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2009/06/20 08:23 | 獣医学 | No Comments

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