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2009/04/18

友達が家に遊びに来た。
部屋の中をジロジロと眺めまわしながら、一言。
「ほんとに男っ気がない部屋ね。」
なんと!まあ、実際ないけど。
「歯ブラシも一個しかないし、いや~おひとりサマのマンションね。」
たとえ彼氏がいたとしても、歯ブラシなんて・・・、
そんなわかりやすいものは目につくところに置きません!
「でも、男の子からもらったプレゼントくらいはあるでしょ。」
ええ、まあ、もう25歳だもん。
男の子にもらったものくらい・・・と、いうことで、並べてみた。

■ガンプラ
あまりにも有名なガンダムのプラモデル2体。
入社1年目に大阪支社の先輩から譲り受けた。
新規開拓のアポの時など、心細い時には
営業鞄に入れて連れ歩いていた。

 ガンプラ

■トカゲ

これも大阪時代の先輩からもらったバリのお土産。
「可愛がってや」
と言われたものの、
最初はリアルすぎて引いた。
でも、今はちゃんと可愛がってる。

トカゲ

■トミカ
弊社では、担当している顧客を愛するがゆえに
担当企業のミニカーを机に並べることが多い。
これは、当時好きだった人にもらった。
私も彼に、ミニカー(スポーツカータイプ)をあげた。
これが20代の愛の形だw

トミカ

■バズの人形
トイストーリーのバズ。
私がへこんでいた時に、大好きな同期がくれた。
彼にとってバズグッツは宝物なので、
私もとても大切にしている。

バズ

以上!

「主におもちゃね。」
ええ、主にというか、全部おもちゃですっ!
「今まで男の子からもらって一番うれしかったものは?」
・・・万華鏡がついたオルゴール。あと大量のぷーさん、
音に反応して踊るビンラディンの人形、変な掛け軸、
映画のポスター。
「ほんとに?(笑)」
当時は使い道に困ったものだって
キラキラとした思い出になるものです。
好きな人と一緒なら、マックでもワタミでもどこだって嬉しい、とか思っちゃうのと一緒。
「そんな志向だったとはね。」
なんだか、踊るビンラディンの人形とか
思い出したら、そんな気持ちも一緒に思い出したのだ。
「イイ恋しなさいね」
おう!
「でもその前に・・・日経ビジネスを部屋のあちこちに
置きっぱなしにするのはやめなさい!モテないよ!」

あうぅ。メーカー萌えしても許してくれる人がいいのに。。。

2009/04/06

檀上で受け取った両腕いっぱいの花束を、
もらった日の帰り道に全部捨てたことがある。

その夜は、本当に闇が深くて、疲れていて、
表彰状もトロフィーも、ましてや大輪の百合が咲き乱れる花束なんて
どうしていいかわからなかった。

まだ、景気がすこぶる良くて、本当に忙しかった頃。
仕事はどこまでも終わらなかった。
次々と舞い込む仕事に応じて作成する企画書はほとんどが汎用品で、
同じ企画を量産しているような気分だった。
でも、それが一番上司に通りやすかったし、新しいことをしようと
周りを説得する気力もなくて、流されていた。

帰りはどんどん遅くなって、
売上はどんどん積み重なった。

そうして売っている内に、ある四半期の末日に、会社から表彰されたのだった。
弊社では、高額の売上を上げた営業が、
最も顧客の事を考えて仕事をしているとみなす。
そして四半期ごとに、そんな営業を表彰するパーティーが開催される。

大ホールに首都圏の営業が全員集う中、
受賞者は皆の前で表彰されて、拍手をもらう。

あの秋の日、そんな身の丈に合わない舞台で表彰された
私のスピーチは、プロジェクトメンバーへのお礼の言葉以外、
全く薄っぺらなものだったと思う。

走って、怒られて、走って、怒鳴られてを繰り返した結果なだけだと思った。
何にも考えられてなかった。

だから表彰式の後のパーティーは、ものすごく居心地がわるかった。
自分の業績や仕事の質を過剰評価されているカンジ。
本当はデコボコな成果物だったのに。
お客様に喜んでいただける程まで、やりきれていなかったのに。
それにもう、疲れたし、眠たいし。

しかしそうしてテンション低く彷徨っているうちに、
いつも私の面倒を見てくれる先輩が泥酔したため、
先に先輩と帰ることになった。

この先輩を、私は営業として尊敬し、遊んでくれる兄貴分として慕っている。

先輩はよく、泥酔する。
それを適当に誘導して深夜タクシーに乗せてお送りするのが
いつもの私たち後輩の役目なのだが、
この日は、時間がまだ早かったので、少し歩いて外の風にあたることにした。
しかし・・・完全に千鳥足で先を行く先輩は、
やがて大企業の本社ビル前で立ち止まり、正面玄関横に座り込むと
そのまま仰向けに寝転んだ。
「ちょ、ちょっと!なにしてんですか!」

先輩は、長身である。
「ほんと、起きてください!」
私は何度も懇願しながらライトグレーのスーツを引っ張ったが、動かない。
なんとか起こそうと声をかけたり引っ張ったりと騒いでいると、
先輩はゆっくりと目を開けて
「まあ、君もここに座りなさい」と、言った。

・・・・・・・・・・・・・、なんでやねん(←関東人風関西弁)

だけどもう、正直どうでもよくなっていた。
私は常識人ぶって騒いだり、酔っ払いをたしなめたりするフリをやめて
大人しくその場に座り込んだ。

大手企業の本社玄関は、大理石が敷いてあって
座ると足がひんやりした。
意外なことに、警備員はやってこなかった。
なぜか寝ころぶ長身のサラリーマンと、
その横に座る営業女子。
少し離れたところの道を、同じような背格好のサラリーマンたちが
通っていく。
みな、私たちの奇行を興味深そうに眺めていた。

「あの、相当見られてますけど。」
「ふん。本当はみんな、こういうことをやりたいのだ。」
「いや、そうでもないでしょ」
「いや、きっとそうだね。自分が面白く生きていくのに
会社だのなんだのの枠から出られないなんて、
自分はすっきりしてないくせに、その枠の中で評価されることを目指すだなんて、
本当につまらない」

それは、確かに。
でも、本当に今日の先輩は、迷惑ですよ?

時々冷たい風が吹く。
私は、両手に抱えていた花束を、横たわる先輩の上に置いた。

本当は、もらってすごく嬉しいはずのおっきな花束。
綺麗で、香りも最高の、豪華な花束。

「おまえはいっつも、反省ばっかしてるな~。
あたしが一番!あたしが女王様!くらい思っちゃえば~?今日は褒められたんだから」
「だって、そんなこと本当に全く思えないですもん。」
「いいのにねえ。喜んで。」
「無理です。」

ちょうどその時、同期から私に電話がきたので、私は現状の報告をし、
彼女に援軍を要請した。

「先輩、援軍がきます。」
「なにっ。それじゃあその前に、これをなんとかしよう。」
「これ?」
「花束」
もらい主である私が納得できなかった花束は、
その秋の夜、都心のど真ん中に広がる日比谷公園に隠された。

正確にいえば、土に帰して差し上げたのだ。

「納得できない花束持って帰っても、ちっちゃな部屋の中で
息苦しいだけだろう。」というのが大先輩(酔っ払い)の主張だった。

そしてその日、色んなことに疲れていた私は
その提案に乗っかった。

ヒトは疲れると、正常な判断基準を失う。
私はあの日の自分を思い出す度に
本当に心底怖くなる。
あの、ひどく投げやりな感じ。
すべてがどうでも良いような。

その夜、私たちは花束を抱えて日比谷公園に入り、
美しく結ばれた花束のリボンをほどいて植え込みの中にお花をまいた。
盛大に、思いきりよく。

後悔はしなかった。
ただ、2度と同じ状況にはなるまいと思った。
とても悲しい気がしたから。

なるべく土に近いところにお花を落ち着かせて、
私たちは公園を出た。
少々の罪悪感と共に、気持ちのよい開放感に包まれながら。

翌日、さわやかにご出勤された先輩は
前日の事を何も覚えていなかった。
私が表彰式でスピーチをしているのを眺めていたのが
最後の記憶だと主張するのだ。

だからこの記憶は私だけのものだった。
だけど人は忘れてはいけない事を忘れるから
忘れないように、書いておく。

あの日の屈折したくやしさも、
酔っ払いにもらった優しさも
決して忘れてしまわぬように。