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2015/12/31

なぜかこの大みそかというとても重大なイベントの時に
今年の10月に開催されてた日本最大のジャグリングの大会、JJFのチャンピオンシップの感想を書きたいと思います。

チャンピオンシップ感想

1:チーム元IJAチャンプとRefleXの常識人
リング&ボール&ハットというあまり見たことのない組み合わせの3人組。
チームの名前が示すように、昨年IJAチャンプであるひろた君と、RefleXの常識人である2人の組み合わせ。
ひろたくんの安定感はチームになっても健在で、その好調さが他の二人にも良く影響しているように見えました。
チームというのは、人数が多ければ多いほど練習の機会というのはあまり多くなくなるのですが、
それを感じさせないくらい安定感と練られたオリジナリティあふれるトリックが良かったですね。
音楽もとても楽しげで、一番手としてふさわしい演目だったと思います。

2:こーのCLUB
正統派クラブパサーの2人、前回出場時は優勝しましたが、再度優勝を狙っての出場。
彼らは技術的に大変うまくなったと感じました。
「フラットスピン」と「トレブラー」という、ただでさえ難易度の高い大技をルーチンの核として持ってきて、
数が上がったときにその技が入るのが強烈で、「ジャグラーだけ」という観客の心をつかむ術を良くご存じと感じました。
そして、正面同士のパスからダイレクトにバック・トゥ・バック(背中あわせ)につなぐなど、
クラブパスのテクニカル的な部分も見せつけましたね。

チーム部門総括
残念ながら出場者の組数は2組と極端に少ない大会となってしまいましたが、
出場していた両者は拮抗していたと思いました。
僕の意見では優勝が「チーム元IJAチャンプとRefleXの常識人」だったのですが、
実際の優勝はこーのCLUBでした。
2組の場合はシルバーメダルにふさわしいかどうかの競技が審査員内で行われるということで、
準優勝はチーム元IJAチャンプとRefleXの常識人に。

チーム元IJAチャンプとRefleXの常識人(以下、長いのでTICRJと省略)は、
オリジナリティ(いわゆる希少性)、完成度、エンターテイメント性などの要素でこーのCLUBを
上回っていたと感じたのですが、こーのCLUBの技術力(難易度というカテゴリ)が圧倒的だったのでしょうか。

パフォーマンス終了後に別の人と話していて
「ただ、こーのCLUBは『チームとしての演技ができていた』」という言葉をいただきました。
「おおなるほど」と思ってしまい、納得してしまいました。
(その結果「そういう意見で簡単に自分の意見を覆すようでは審査員には向いていない」と言われましたw)

TICRJが「チームとしての演技ができて」いなかった、とは言えません。
3人がシンクロして別の道具を使った同じ動きをするパートなどは、チームならではの演出と思いますし、
むしろ、三人組であることを生かしたとても楽しい演技だったと思います。

ただ、こーのCLUBは全編通じて2人組の技のみで通されているんですね。

これは、今回のチーム2組には該当しませんが、
「コンテストのチーム部門」に、ソロの演技は必要ないと考えます。
オーケストラなどのコンサートと同じように、多くのチームメンバーがいる中でのソロのパフォーマンスというのは
とてもかっこいいのですが、それは、コンテストではない公演でのみにしておいたほうがいいと思います。

説明するまでもないかとは思いますが、
ソロの演技は個人部門でやればいいわけで、コンテストにおけるチーム部門では、
「チームとしての難易度」「チームとしての完成度」「チームとしてのエンターテイメント性」
「チームとしての構成力」「チームとしての希少性」で評価をされるのではないでしょうか。
つまり、ソロで演技をしているパートは、これら評価に該当しないと考えてもいいかもしれません。

無論、演出上どうしても必要な場合もあるでしょうし、「勝ちに行く」ことがすべてではないですけれどね。
「ソロ」を「チーム部門でやる」「意義」がそこにあれば話は別、ということです。

そう考えた場合、今回の二組において、全編通してずっと二人の間でクラブが飛び交っていた
こーのクラブの演技を評価すべきでしょう。

TICRJも三人組を生かした技も多くありましたが、主に難易度の面で「チームとしての難易度」が高い技が少なく、
評価につながっていなかったとも考えられます。

こういう「大会としてのジャグリングのあり方」を考える必要があるくらい
近頃のジャグリングの大会というのはレベルが高く、
以前のように明確な「こちらの方が良かった」と圧勝というケースがなくなってきたような気がします。
審査員泣かせな状況ではありますが、日本のジャグリングの成長のためには現在の状況の方がいいですね。

続いて、女性部門。
3 今井 緑(デビルスティック)
動きに切れがあり、アピールがうまかったことが印象に残っています。
ステージの使い方、ルーチンの構成はこういった協議会初挑戦とは思えないくらいしっかりできていました。
技の難易度も申し分なかったのですが、大技がクリーンに決まらず、特に序盤で流れを作れなかったことを
後半に引きずってしまったのではないでしょうか。
「最初の大技」というのが、観客と自分との間にリラックスした雰囲気を作るために必要なものです。
ここの集中力は最も入れ、後の方に流れをつなげるようにしておくとよいですね。
しかし、その失敗を引きずった場合、演技が全体的に崩れそうなところなのですが、最後まで笑顔を忘れず、
全体が崩れることなくルーチンを終えることができたのはなかなか初挑戦ではできない芸当と思います。

4 田崎 杏(ボール)
3度目の挑戦とのことですが、相変わらず、演出については申し分ありません。
序盤の安定感は以前と比べてはるかな成長をしていたと思っています。
ミスが重なってしまい、崩れたところもありましたが、6ボール、7ボールまで挑戦できる
女性ジャグラーは、日本人ではとても貴重だと思います。
トスのできる女性ジャグラーとしては、間違いなく日本でもトップクラスと思いますので、
是非今後もこういった大会にどんどん挑戦して言っていただきたいと思います。

5 森 香凪恵(フラワースティック)
とにかく力技で勝負したフラワースティック。
多くのジャグラーが演出面も考える中、逆に、ひたすら高度な技をやるこういう演目があるのはとても良いと思います。
ただ、これが可能なのは、演出なくとも観客を興奮させられる技術力の高さ、
そして、技をどういう順番でやるか、直観的な構成のセンスでしょうね。
だからと言って演出面が悪かったかというとそういうわけではなく、
例えばステージを歩むときのスピードがゆっくりに統一されているとか、
技を決めたときのポーズの綺麗さとか、ステージ上で一点でやらずに動いて技をやるところであるとか、
良い演技を根幹から支えていたと思います。

6 須田 恵梨華(ディアボロ)
ディアボロを使って素晴らしい演技をする人というのは、
体の使い方とか持っている雰囲気とか、
ジャグラーの中でも突出していなければ評価をされにくい現状ですが、
須田さんはその領域に確実に近付いている印象がありました。
男性でこの領域に達している人は何人かいるのですが、女性では日本においては彼女だけなのではないでしょうか。
ステージに立ち、演技をするだけで会場の雰囲気を変えてしまう実力の持ち主で、
行う技の難易度、そして表現面では他の女性ジャグラーの出場者から比べて上手いと感じました。

女性部門ですが、
今回は4名も決勝に進出しており、それぞれが高いレベルの技を引っ提げての出場でしたね。
僕の予想では
1位 森さん、2位 須田さん、3位 田崎さん。
会場でちょこちょこ他の人の意見を聞いてみましたが、1位 森さん、2位 須田さんは
少数2人が入れ替わることもあったもののほぼ鉄板の順位。
3位はボールとデビルが半々くらいでした。

順位は、僕が予想した通りでして、
1位 森さん
2位 須田さん
3位 田崎さん
でした。
フラワーは技術力だけではなく、終始安定した演技だったのが良かった。
ディアボロは他の面ではほぼ上回っていたけれど、完成度の観点で評価を下げてフラワーに及ばなかったか。
ボールとデビルでは、ほぼ互角だったように見えましたが、6ボールや7ボールまで挑戦したボールが評価をされたという結果でしょう。

7 滝渕 亮太 (ボール)
首の後ろを中心とした技の数々を繰り出した正統派トスジャグラー。技はとてもマニアックでした。
首の後ろ技を中心とした構成というと、数年前に3位入賞をした加藤さんが思い浮かびますが、
その加藤さんに劣らないバリエーション豊かな技の数々を見せていました。
トスジャグラーで、この難易度で、この安定感が出せるのはすごいですよ!
男性部門しょっぱなから衝撃的なルーチンが見られたおかげで、会場は幾分かざわついていましたね。
何かしらのキャラクターを前面に押し出した感じの演技ではなかったのですが、
終始にこやかに演技をしていて、とても好感が持てました。

8 世良 京太 (デビルスティック)
僕の卒業したジャグリングサークルPatioの後輩。久々のPatioからの決勝進出者ですね。
後輩ですし、じゃぐなぎ杯にも出ていますし、個人的にも応援していました。
まず決めポーズが良くて、笑顔も良かったですし、舞台の上だからと言って縮こまらずに
のびのびと演技ができていたと思います。
おそらく舞台で行われるのは世界初となる3デビルが、一周とは言え見られたのは
大きかったと思います。観客の思いとしてはもう少し続けてほしかったというのが本音でしょうけれど。
それを含めても安定感があり、全パフォーマーの中で群を抜いて失敗が少なかった印象があります。
凄く反復練習したんだろうなと感じました。

9 秋田 誠博 (シガーボックス)
早稲田大学infinityのシガー3兄弟の一人。
日本のシガーボックスはJJFにおいては現在とても厳しい状態になっていると思います。
2年前、JIN君が決勝に進出してからというもの、色々な大会で5箱のダイヤモンドなどの
「大技構成」で挑む人が多くなっています。
「技」で挑むのは、僕も潔くて好きではあるのですが、別の方向からの可能性を模索できる人がいないのかと思っていました。
まさに彼がその答えを持ってきたという感じで、
僕はどうしてもシガーボックスに対しては厳しめに見てしまうのですが
その僕をもってしても、「完璧な構成を持ってきた」と言える、大変素晴らしい演技でした。
まず、曲・衣装・キャラクターのマッチングは他の出場者に比べて群を抜いてよく、
ところどころに挟むえぐい技、しかもあまり見たことがない技を良く取り入れていて、
「シガーボックスはダイヤモンドやレインボーだけではないぞ」というところをよくぞ見せつけてくれたと思います。
シガーボックス使いで居酒屋に行った時秋田君がそばに座ったので言ったのですが、
このルーチンは是非とも今後も練習をして、さらに完成度を高めてほしいです。
JJFだけで終わるのはもったいなく、最近とても多いジャグリング系の公演で使ってほしい。

10 渡辺 隼人 (ディアボロ)
「怖さがテーマである」というナレーションで始まったディアボロの演技。
緊張で固さもあったと思うのですが、その中で着実に技を決めていくのはさすがベテランの渡辺さんと言ったところでしょうか。
キャラクターは看板に偽りなしと言った感じ。もう少し極端に演出が入っても良かったかもしれませんが、
演出を入れすぎると逆にコミカルになってしまうこともあるのであの程度が適切かもしれません。
2ディアボロのよくぞあれが絡まないなという技を中心に、魅了できる技もたくさん。
やや全体的にドロップが多かった印象のある今大会の中では、完成度も高めだったと感じています。
ピルエットやハイトスなどの派手目の技に頼らずにルーチンを組んでいるところも職人気質を感じました。

11 KOMEI (クラブ)
KOMEI君と言えば、ダンス+ジャグリングをあわせたダグルという新ジャンルの開拓者。
何度かJJFでは「ゲスト」としてステージに立ったこともあるような人ですが、
そのKOMEI君が、満を持してJJFのチャンピオンシップに戻ってきました。
大方の予想では使うのはボールだろうと思われていたのですが、何と使った道具はクラブ。
クラブを持って舞台そでから出てきたとき、若干のざわつきがありましたね。
当然5つのクラブも安定して投げることができる彼ですが、そんな「普通の技」は彼の演技ではおまけ程度、
やはり、他の出場者と比べて動きや技の独創性が飛びぬけていたと思います。
数多くの舞台を乗り越えてきた貫禄と言いましょうか。
正直、人前でやる回数が増えれば増えるほど、演技の内容は無難になり、安定感を追い求めるため、
チャンピオンシップという舞台からは精神的に遠ざかってしまうのですが、
KOMEIくんをはじめ、昨年の深川晃くんや、その前の宮野玲くんなど、一線で活躍しているようなジャグラーが、
こうやってチャンピオンシップにもう一度挑戦してくれるような状況はとても素晴らしいと思います。

12 矢口 純 (デビルスティック)
今年じゃぐなぎ杯にも出場してくれたデビルスティッカー。僕も審査員をした中部学生大会では男子個人2位でしたか。
じゃぐなぎ杯で彼の予選のビデオを見たときから、「これは今年来るな」と思い、
じゃぐなぎ杯ではトリにさせてもらったものです。その僕の予感は正しかったと言えましょう(自慢)
1デビルが若干ドロップが多かった印象があったのですが、
その印象を打ち消すくらいの2デビルの技の応酬。
これでもかと言わんばかりに高度な技を連発し続け、しかも、その技の決まること決まること。
「技」だけで他を圧倒するパフォーマンスであったと言えます。
過剰な演出はなかったのですが、技の応酬こそ最大のエンターテイメント。
ジャグリングの大会はこうあるべきという姿を見た気がします。
彼の姿がとても舞台上で大きく見えたのですが、きっとジャグリング中の姿勢の良さもあったのではないかと思います。

13 Ike(コンタクトポイ)
こちらもじゃぐなぎ杯に出場してもらったことのあるコンタクトポイ使いのIkeくん。
コンタクトポイという道具はジャグリングの大会として出場する場合、
ポイとして綺麗な軌道を描きつつ、
コンタクトジャグリングや、リリースしてキャッチするなどのトスジャグリングの要素も入れる必要があり、
そもそも道具としての難易度が高い道具であると考えています。
そういう道具の性質をうまく利用しているルーチンで、
ポイの要素も、トスの要素も、勿論コンタクトの要素もふんだんに取り入れた演技でした。
特に、2つのポイを使った手から離れるポイの技を入れているところはとてもリスキーで、
コンタクトポイならではの演技だったのではないでしょうか。

14 亀井 大輝(ディアボロ)
昨年2位の「団長」こと亀井君がさらに上の順位を目指しての挑戦。
彼はとにかく会場を盛り上げるのがうまく、特に、バータックス系と呼ばれる、
ディアボロを縦まわしに回転させてそれを飛ばしつつ、カウボーイの縄のように飛んでいるディアボロをひっかける
系の技が始まると、どんな大会でも全力で盛り上がります。
そして、技のバラエティの多さ、決める技の数、技のスピード感、体の動かし方の切れの良さ、
ディアボロ使いの中でも群を抜いて高いと思います。
今回は、新規開拓の技が残念ながら上手くいかなかったのですが、
開拓されつくされたと思われているディアボロの世界を、これでもかと探求していく姿にとても好感が持てます。

来年のIJAチャンピオンシップにほいっと出たら、あっさりと優勝をかっさらってしまうくらいの実力があると思うのですが、
いかがでしょうか? 賞金額も高いですよ(笑)

男性部門はとても審査が難しかったと思います。
僕の予想では、1位滝渕、2位矢口、3位世良という予想。

1位・2位は迷いましたが、
滝渕君にした理由は、トップバッターでの演技は最終的に薄れがちになるのにも関わらず、
演技が最後まで頭に残っていたこと。
しかも、トスジャグラーでここまで印象が残るのはとてもレアです。
ただ、矢口くんも暴力的な技の応酬は一番会場を盛り上げていましたし、
この1位2位の順位は逆になるかもという思いはありました。

3位はとても迷いました。
世良くんではなく、Komei君か、秋田君が入ってもおかしくないというもの。
Komei君は演出+他に真似をできないことをやっていたという意味で、大いに入賞はありうると思いましたし、
心情的には秋田君の今インフレがすさまじいシガーボックスの世界に一石を投じたという点で押したかったです。
Komei君や世良君がもう少し単発で派手な技を決めていれば、秋田くんがもう少しドロップが少なければ
すっと3位は決まっていたかもしれませんが、無難に安定感のあった世良くんだろうと。
ただ、この3人は僕の中ではとても拮抗していました。

会場でそれとなく観客に順位予想を聞いてみましたが、
1位矢口君、2位滝渕君はほぼ全員がそう予想しており、(つまり、僕とは1位2位が逆です。)
3位は僕の言った3人の他に、渡辺隼人さんという声もちらほらありました。

結果は1位 矢口君、2位 滝渕君、3位秋田君。
1位2位はある意味予想通り。(順位は逆でしたが。)
3位に秋田君が入ったのは審査員のジャッジをとても賞賛したい。
秋田君は正直ドロップが多かった。ドロップが多かったが、間違いなくシガーボックスの世界に一石を投じた。
審査員の意図としてはそういうことなのではないのかもしれないけれど、
そんな彼の演技が評価されたのはシガーボックス使いとしてとてもうれしいです。

総評。
相変わらずレベルの高い大会でした。
ただ、今年はトス成分が少なく、ジャグリングファンとしてはちょっと寂しいですね。
それでもこれだけのハイレベルな戦いがくりひろげられるのはすごい。

予選の突破でさえ難しい今日この頃なんですが、
本当に予選一発で決まっちゃうのもったいないよなぁと思います。

2015/12/31 11:06 | ジャグリングイベント情報 | No Comments

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