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2015/04/29

今さらではありますが、
2月末~3月最初に開催された「じゃぐなぎ杯」エキスパート部門の感想を。

前に書いた通り、
僕自身今じゃぐなぎ杯の存在意義について考えるところがあったりとか、
そんなに開催のモチベーションが高くなかったりするわけですが、
ひとつのじゃぐなぎ杯の特徴として、
「審査員が演者にアドバイスを送ることを推奨している」というものがあります。

2か月遅れになってしまい、若干記憶がおぼろげになっているところもあり、
コメントはちょっと簡単ではありますが、
参考にしてもらえるのであれば主催者冥利に尽きます。

1:やましょー(シガーボックス)
<良かったところ>
技のバラエティの豊かさ、特に、バランス系の技というのは
他のシガーボックス使いとの違いを出そうとしているのが伝わりました。
また、ステージ上の動き、ポーズの取り方、舞台の広く使い方などは
基本を押さえている感じでルーチンを作ったことのない人にお手本にしてほしいくらいです。

<アドバイス>
一番最初の演技順ということで、
お客さんもあったまっていなくて大変だったと思います。
今回の演技順は僕が意図して決めたものですが、
「序盤は観客に拍手をしてもらうように演技を作る」ことを意識するといいでしょう。
(こういう、序盤に観客と自分のプレッシャーを和らげるテクニックをメルティングというそうです)
今回、「トップバッター」という
特殊な状況に慣れていなかったものもあり、思うように演技できなかったと思いますが、
いかなる状況にも立ち向かえるような経験を積んでいくときっと安定感が上がると思います。

2:Dee(ハット)
<良かったところ>
技のバラエティの豊かさ、ハットという道具はなかなかスポットライトが当たりませんから、
技の全てが観客に新鮮に伝わったのではないかと思います。
舞台の使い方はベテランの貫録と言ったところなのではないでしょうか。
ドロップにあまり動じないメンタルの高さもあったと思います。

<アドバイス>
彼は同じサークルなので知っているのですが、
練習時間があまりとれていなかったんだろうなぁという感じです。
(その中でも果敢にじゃぐなぎ杯に挑んでくれて感謝したいです)
普段人前でやってないルーチンとは思うのですが、
やっぱり日ごろからある程度(いつふっと振られても良いように)
練習しておくのがいいのかなぁと思いますw
(まあ、その「振る」のが自分だったりするわけですが……w)

3:清水公太(ディアボロ)
<良かったところ>
他の出場者に比べ、特に安定感が高かったところが印象的です。
勿論、技の難易度もビンビンに伝わってくる内容で、
ディアボロの大会等で第一線で戦っているだけのことはあると感じました。
競技がどういうものかということがわかっていて挑んでいるので、
こういう大会では強いですね。

<アドバイス>
演技時間が6分と長いので、もう少し「遊び」の時間があっても良いのではと思います。
音楽で言うと、「間奏」的な部分で、
例えば、ディアボロの個数を増やす時などに、
直前の技を終える→拍手をもらう→観客席を一望→ディアボロのあるところまで歩いていく
→ディアボロをとる→もう一度舞台中央まで戻ってくる→2個目のディアボロを見せる→演技再開
など、時間を使える部分はたくさんあります。
安定感があるだけに、こういうゆとりが持てれば、その分ルーチンの密度が濃くなるのではないでしょうか。
演出の種類にも依存しますが、ご参考まで。

4:70322(コンタクトジャグリング)
<良かったところ>
クリスタルボールという、重い素材を使ったアクティブなコンタクトジャグリング
(※マイム的な要素メインではなく、高いリスクのあるボディーロールという意味)
は斬新に感じました。こういったコンタクトジャグリングは一般的にはステージボールが使われますよね。
あまり見たことのない技も多く、観客席からのどよめきが聞こえていましたね。
曲の変化に合わせてルーチンのメリハリを効かせていたのも良かったと思います。

<アドバイス>
演技全体の「完成度」をもっと高めてほしいです。
それは、単にドロップを少なくすべしという意味ではなく、
動作の綺麗さ(ここで足を動かす、何歩動く、指先は曲げるのかどうなのか)
まで意識して完成度を高めていってください。
勿論ドロップしないことも重要ですが。
今後の伸びに大変期待できる内容でした。

5:クロ助(シガーボックス)
<良かったところ>
技のオリジナリティ。そして、こだわり。
クロ助さんの特徴である「あの技」を徹底的にこだわっているのが素晴らしいです。
日本人ジャグラーが好みそうな演技ですね。
キャラクターもあり、構成も良かったと思います。
「じゃぐなぎ杯」としての感想で無くなってしまうのですが、これまで
昨年7月のシガーボックス大会、11月の社会人大会と
今回のじゃぐなぎ杯、全てルーチンを変えているところが素晴らしい。
つまり、それはまだルーチンを伸ばせるモチベーションが高いということです。
さらに良い演技を期待したいです。

<アドバイス>
クロ助さんの「あの技」は、我々は知っているからいいとして、
演目を作るにはやはり「初見」を意識して作るべきというのが僕の意見です。
つまり、「あの技」に入る伏線をちゃんと用意しておく構成の方が
僕としては好みです。

6:村木慎也(オフストリングスヨーヨー)
<良かったところ>
ヨーヨーの世界からまず殴りこみをかけてきたというチャレンジ精神ですね。
「ジャグリングの世界でも評価されるものを作りたい」という目的を達したのは
審査員の高評価を見ればわかるのではないでしょうか。
ジャグリングの観点から見ても、技一つ一つのスピード感が素晴らしかった。
ドロップが少なかったところもヨーヨーの厳しい世界を戦い抜いている猛者の証明ですね。

<アドバイス>
ジャグリングのショーとしての観点から言いますと、
まだヨーヨーの世界から抜けきっていないと感じました。
例えば「最終的に手元に戻ってくるもの」などのヨーヨーのルールから抜け切れていないということです。
ピルエットなど、「ヨーヨーの世界では評価につながらない」技も
ジャグリングの世界では評価の対象となります。
むしろ、そういうジャンルを開拓するのが
ジャグリングの世界でも戦うことのできる肝となってきそうな気がします。

7:らっせ~ら世良(デビルスティック)
<良かったところ>
完成度の高さと、演出の良さが目立ちました。
特に、技と技の間の間の取り方がメリハリがあって好印象。
舞台を動く動き方も洗練されており、とにかく演技が綺麗に見えました。
客目線の演技ができていた、ということですね。

<アドバイス>
構成は素晴らしいし、このままショーになってしまうと思うのですが、
コンテストとして見た場合、技術レベルにもう少し比重を置きたいと感じます。
現時点でもよい技はあるのですが、大きなどよめきになる技が欲しい。
「火力の高い技」と一般的に言われますが、
例えば、凄く長い連続技を止めずにやりきるというのも一つの方法。
確かに技を止めて拍手をもらうのは大切なのですが、
時に、技をしている間に拍手が自然とわき起こるようなテクニカルな部分も必要です。

8:かんば(ボール)
<良かったところ>
独自の世界観をもった演技でしたね。
4ボール中心の1ルーチン目から、体の動きの綺麗さを重視した2ルーチン目
と、曲が変わった後の変化が大きかったのが個人的には印象深かったです。
(1曲目と2曲目とあまり変化が無いな……という人も多いですからね。)
体の動かし方もなめらかで洗練されていました。

<アドバイス>
かんばさんのスタンスのルーチンはコンテストとして見ずに
普通のジャグリングのショーとして見た場合はとてもいいムードを持っていると思いますが、
コンテストになると、どうしても印象が薄くなりがちです。
全員の演技が終わった後に、インパクトに残っている、というのは
(例えコンテストとしてルーチンを組んでも)難しいんですが、
例えば(本当に思いつきで言いますが)とてもゆっくりやるとか、何かストーリー見たいのを作ってしまうとか、
そのくらいのレベルのことをやらないと厳しい、今の日本のジャグリングのレベルは
それほどまでに上がっています。
いいアドバイスをあげることができないのがもどかしいですが、
かんばさんのようなスタイルを持つ人全体の課題なのではないかと思います。

9:いづた(シガーボックス)
<良かったところ>
動きのダイナミックさ。
彼ほどの動きのダイナミックさが出せるシガーボックス使いはなかなかいないと思います。
シガーボックスというのは概して高さに弱い道具ですが、
それを克服できている、
というより、むしろ高さが出ているのが普通の用にやってしまっているところが素晴らしい。
超時間連続で技をやり続けるパートがある等、技術的にも爆発力を持っていました。

<アドバイス>
やはり大会ともなると練習と感触が違うんだと思いますが、
ドロップが多くなってしまったのはやはり大会ならでは、なのではないのでしょうか。
そもそも予選で送られてきたビデオを見ると、アウトドアで撮影されていますし、
大分甲斐性も感じたのですが、やはり本番は何が起こるかわからないもの。
前半でミスをして崩れないように、メンタルにも負荷がかかる練習ができればいいのですが。
「ルーチンを人に見てもらう」ことも練習の一つと思いますので、
チャンスを見て積極的に人前でルーチンをするなどしてみてはどうでしょうか?

10:高森啓史(ディアボロ)
<良かったところ>
しょっぱなからガンガンにストレートを打つような、気持ちのいい始まり方でした。
とてもロングスパン(=途中で技を止めずに連続して技を決める)パートが多く、
ミスせず続いたところは確実に拍手をとっていました。
高度なことに挑戦していたと思います。
決めた技も、僕には目新しく感じました。

<アドバイス>
構成の意識を高めるのがいいと思います。
現状、音楽は「かけっぱなし」の状態で技を次々とやっている状態に近い印象で、
もっと有効に活かせると思います。
やっている技は凄いので、そういう(音楽を無視した)スタンスもありだとは思うのですが、
だとしたら歌詞が無い曲の方が適していると考えます。
人の受け売りですが、
「自分がもう一つの楽器を演奏している」ようにやるのがよいのではないでしょうか。

11:しゅわっち(ボール)
<良かったところ>
ルーチンの雰囲気を的確にとらえた音楽を選べていたと思います。
この意識があるだけでルーチンとしてはぐっと良いものになっていると思います。
2つのボールがくっついて移動するのが技の肝になっていたのですが、
その音楽がこの技の不思議さを一層際立てていて良かったですね。
また、曲の雰囲気に合わせ、
あまり表情を出さないキャラクターというのも雰囲気作りにプラスになっていました。

<アドバイス>
オリジナルの技中心の構成、特に「核」となる部分がある演技については、
その「核」をどう料理できるかが勝負だと思います。
そういう意味で、もっとえぐめの技があっても良かったのではないかと。
雰囲気がまた独自だったので、そことバッティングしてしまうかもしれませんが、
ピルエットやボディースローなど、派手目の技とあわせてみると良いのではないでしょうか。
雰囲気を活かすとしたら、もう少し構成を練るのがいいですね。
「二つくっついているのが不思議でしょう?」ということを、
もっと序盤でアピールできたら良かったと思います。

12:aki(デビルスティック)
<良かったところ>
ルーチンの大部分をデュアルデビルで通したというのが
まず「攻めているなあ!!」という感じで前衛的ですね。
ルーチン全体として見た場合、とんでもない難易度だと言えます。
この難易度にもかかわらず、目立ったドロップもないところもまたすごい。
これで高校生だというのですからたまりませんね……

<アドバイス>
演出面から。舞台を広く使えているという感じはしたのですが、
なんとなく動いてしまっているような気がします。
動く時はメリハリをつけて移動する。
つまり、移動するときは「技をちゃんとし終わって、アイドリング状態
(技の「アイドリング」ではなく、何も技をしていない状態のこと。
 デュアルプロペラを続けているだけの状態、など。)
で動き、足を止めてから次の技をやる。
ということの意識をしっかり持っておくと技が綺麗に見えるようになるでしょう。
技術レベルは高度なものを持っていますから、ルーチンの作り方をもっとこだわってみてください。

13:hanehitsuji(シガーボックス)
<良かったところ>
まずは、去年の彼の演技から見て、大変な成長を感じました。
「気迫」という言葉が適切と思いますが、それを感じる演技でした。
観客へのアピールの仕方、舞台っを広く使い方など、
去年甘いと感じた部分が全て克服されていましたし、
技も高度な技をガンガン決め、さらに多少の軌道の乱れを拾える甲斐性もありましたね。
技術力はもはや第一線で活躍するシガーボックス使いと比較しても
そん色のないレベルなのではないでしょうか。

<アドバイス>
技術はとてもよかったですが、演出/構成はまだ良くなると思います。
特に、音楽への意識がもう少し高くてもいいのではないかなと。
シガーボックス使いだけではなく、他のジャグラーの動画も、
音楽をどう上手く利用しているかを研究しながら見てみてください。
音楽に合わせて技をやりながら、自分が気持よくなるように演技できたらそれが一番なのですが。

14:工藤正景(ディアボロ)
<良かったところ>
彼もまた、去年と比べて成長を感じた一人です。
体の使い方も良く、体のキレもよくてダイナミックな演技ができていたと思います。
また、自分独自の世界観を出そうとしている努力を感じました。
そもそも、体を動かしながら技をするということ自体難しいですから、
それができるというのが彼の強力な武器であると考えます。

<アドバイス>
曲、特に2曲目が、ループする曲(ゲーム曲に多い)だったため、
ルーチンの緩急が無く、惜しいことをしていると思いました。
無論、ループする曲を選ぶというのもありなのですが、
せっかく演出の上手さを感じるので、
いわゆるAメロBメロでは流れるように演技をし、
サビの部分で大技を連続で決める、などの演出のできる
起承転結のある曲をチョイスするのが有利と思います。

15:ひろた(ボール)
<良かったところ>
清水君と並んで完成度が高い演技でした。
さらにその上でキャラクターもできているわ、技も高度だわ、
演技の間の「遊び」も面白いわ、曲も活かせているわ、
たった数分でギャラリーをグッと引き寄せることができる稀有な存在と思います。

<アドバイス>
ありません(笑)

……というと冷たいように聞こえるかもですが、
そのまま突き進んでほしいというのが感想で、
下手なアドバイスはいらないんじゃないかなぁ。

強いて言えば、似たような技がルーチン中何回か出てきたりして、
そこに変化をつけてもいいんじゃないのかなぁと思うのですが、
その「同じような技が出てきた」という印象に残っていないので
(そのアドバイスを)口にするのすら無粋な気がします。

16:稲葉悠介(シガーボックス)
<良かったところ>
演技を見ていたとある人物によれば「舞台に立った瞬間入賞するのがわかった」
くらいの気迫があったそうで、
流石に僕はそれは極端だろうと思いますが、その気迫が本当であることを証明しました。
技術レベル、間違いなく今の日本のシガーボックス界でトップ中のトップクラスの実力を身につけましたね。
演出、文句ありません。
ダイナミックで、観客へのアピールもかっこよく、
スピード感、危機迫る表情、舞台の使い方、全て素晴らしかった。

<アドバイス>
もはや残されているのは完成度だけでしょう。
充分完成度も高かったのですが、ドロップがあったのも事実。
このレベルのルーチンが、高次元の完成度を持っていたら
どれほど観客席が盛り上がるのか、今から楽しみです。
通常の練習で足りなければ、がっつりと人に見てもらうのも練習の一環です。
幸いにもすんでいるところにはサークルがたくさんあるでしょうから、
色々なところに足を運び、
「ルーチンを見てもらう」(生で)ということをしてみてください。

17:矢口純(デビルスティック)
<良かったところ>
技術レベルの高さ。こちらもほぼルーチン通してデュアルデビルという
驚異的なルーチン。(何故こんなことができる人が1つの大会に2人もいるのか。)
しかも、決めた時に「うおおおーっ!!」というどよめきを起こせるポテンシャルがありました。
抜群な舞台の使い方の上手さもありましたね。
左右に「ただ動く」のではなく、技を止めながら走る、技をやりながら動く、メリハリが効いていました。

<アドバイス>
やはり完成度、というか、この後の大会でじゃぐなぎ杯より
完成度が高いレベルで挑んだ大会があり入賞しているわけですが、
まあ、このレベルの演技であればもはや完成度で入賞が決まると言って
過言ではないのではないでしょうか。
別の人へのアドバイスと重複しないようにすると、
本番の舞台で自分がパフォーマンスしているところの
イメージトレーニングなんかも有効です。
僕が良く言うのが、舞台袖でコールっを受けるところからのイメージトレーニング。
その時に、緊張することができたら良いイメージトレーニングができている証拠です。

総括です。
最近のジャグリングコンテストのレベルの上昇を象徴するように、
じゃぐなぎ杯もまたレベルが上がっていたと思います。
昨年までだったら予選通過しているようなレベルの人も、
予選時点でやむなく落選をさせなくてはいけないということも
今後多くなってくるでしょう。

最近ちょっと
自分のアドバイスも古い価値観になってないか大変心配ではありますので、
本当に↑の感想はご参考までにしていただきたいです。

毎年出場していただける皆様に感謝いたします。


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